※2023年7月23日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
最近はトヨタの主力車種でAndroid Autoに対応したディスプレイオーディオが標準装備となった事で、一気に知名度が高まりつつありますが、ここ何年かでアフターパーツ製品も各社から販売され、以前と比べると選択肢が増えて来ました。
そこでこの記事では、これからAndroid Autoに対応したカーナビ、ディスプレイオーディオの導入を検討されている方向けに、各社の製品をご紹介します。
そもそもAndroid Autoとは?
Android Autoは、Androidスマホのアプリをカーナビ画面から、車載専用のインターフェイスで操作・制御する事が可能な、Googleが開発したシステムです。
2014年にGoogleから発表されて以降、AppleのCarPlayと合わせて輸入車を中心に純正カーナビ・オーディオへの搭載が開始されました。
Android Auto普及の歴史
これらのシステムは、当初から海外ではそれほど抵抗なくユーザーに受け入れられて来たようですが、日本においては従来型のカーナビの機能が秀逸であった事から、無料ナビアプリの雑な案内は受け入れられにくく、知名度が上がって来たのはこの4~5年です。
※アフターパーツのカーナビでは、それより前に数年間に渡って各社の最上位モデルでサポートされていた事もありますが、価格が高過ぎた為に多くのユーザーに受け入れられる事はなく、2020年には一度全てのメーカーからAndroid Auto対応カーナビが姿を消しています。
しかしながら、カーナビよりも下の価格帯で展開しているディスプレイオーディオにおいては、パイオニアが過去数年に渡って販売してきたAndroid Auto対応品が好調だった事もあり、2020年以降にはアルパインやケンウッドもAndroid Auto対応のディスプレイオーディオの販売に力を入れ始めています。
個人的には「エントリーグレードのカーナビにAndroid Auto機能を追加したような製品があれば良い」と考えていますが、2023年春の段階では、アフターパーツのカーナビでAndroid Autoに対応しているのは2023年モデルのアルパインのハイエンドカーナビのみとなっています。
Android Autoで出来る事
Android Autoは車載オーディオの液晶からAndroidスマホを操作・制御するシステムです。
Androidスマホの映像をカーナビに出力するだけなら、ミラーリングという方法でも可能ですが、ミラーリングでは液晶画面からスマホを操作する事が出来ませんので、安全面を考えると現時点ではAndroid Autoの方に分があるでしょう。
また、スマホ内の全てのアプリが使用出来る訳ではないので、必ずしもミラーリングよりも便利であるとは言えませんが、操作性や安全性などを考慮するとAndroid Autoの方を選んだ方が良いケースもあると思います。
Android Autoは動画アプリが使用出来ないが、解決方法もある
Android Autoは、車内で安全にスマホのアプリを使う事が基本コンセプトですので、動画アプリを使用する事が出来ません。
そこで最近注目されているのが、Android Auto対応のカーナビ・オーディオで動画アプリを使用する事が可能なAI BOXと呼ばれるAndroidドングルです。
このドングルを使用する事で、原則としてAndroidに対応しているアプリはそのほとんどを使用する事が出来ます。
Android Autoに対応するカーナビ
2023年の夏時点では、Android Autoに対応した現行品のカーナビはアルパインのみとなっています。
アルパインのカーナビは液晶サイズで型番が分かれており、機能面ではどの製品も同等となっています。
その為、これらの製品では全機種がAndroid Auto対応となります。
ただし、価格が高いのでAndroid Autoを試してみたい、という目的の方には不向きであると考えています。
Android Autoに対応したディスプレイオーディオ
次にカーナビソフトを搭載しないAndroid Auto対応のディスプレイオーディオをご紹介しますが、先に注意点をお伝えしておきます。
これらを使用する場合にはカーナビ機能はスマホのカーナビアプリとの併用が前提になりますが、今までカーナビメーカーのナビソフトを使って来た人の場合だと、スマホのナビアプリの案内精度に戸惑う事もあると思いますので、Android Autoはまだまだ万人におすすめ出来るようなものではない事をご理解下さい。
■ Android AutoでのGoogle Mapの使い方とレビュー
安価でAndroid Autoを試すならATOTO「F7」がおすすめ
Android Auto対応品はパイオニア、アルパイン、ケンウッドなどからも発売されていますが、最低クラスの製品でも価格は3万円台半ばです。
そんな中で価格面で日本メーカーを圧倒しているのが、2万円~の低価格を売りにしているATOTOの「F7」シリーズです。
LaBoon!!では「F7XE」の実機レビューを行っていますが、いくつか気になる部分はあるもののオーディオに特に高音質を求めない限りは普通に使えるコスパの高いAndroid Auto対応品という印象です。
中華メーカーなので故障率は気になるものの、とりあえずAndroid Autoがどんなもんか試してみたい方にはこの製品がおすすめです。
なお、本製品のメディア対応は必要最低限となっており、CD・DVDドライブドライブは搭載しません。
対応メディア構成はこちらの通り
・Bluetooth
・USB
・AV IN
・バックカメラIN
・AutoLinkミラーリング
・CarPlay(有線/無線)/Android Auto(有線/無線)
機能面で熟成されたパイオニアの「DMH-SF700」「DMH-SZ700」
「DMH-SF700」「DMH-SZ700」は過去数年に渡り、コツコツと国内でAndroid Auto対応品を展開してきたパイオニアの2020年発売のモデルです。
「DMH-SZ700」はスタンダードな2DIN筐体の6.8型40万画素液晶、「DMH-SF700」は1DIN筐体と9型100万画素のフローティング液晶を組み合わせた上位モデルですが、機能面では同等品となっています。
対応メディア構成はこちらの通り
・USB
・ハイレゾ:USB/Bluetooth(LDAC)
・WiFi
・WEBブラウザ
・HDMI IN
・AV IN
・バックカメラIN
・CatPlay/Android Auto/Alexa
ATOTOの「F7」と比べると地図アプリと音楽アプリの音量が個別に調整可能であったり、WiFi接続とWEBブラウザからの動画の再生に対応していたり、HDMI INポートを搭載している事からFire TV、ChromeCast、Apple TVなどのネット動画再生ガジェットをポン付け出来るというメリットがあります。
実際に使用してみたところ、過去数年に渡ってこのカテゴリーの製品を展開しているだけあって流石に完成度が高いと感じました。
なお、これらの製品には前身である、CD/DVDドライブを搭載し、HDMIポートはサポートしない「FH-8500DVS」という過渡期モデル的な製品も存在します。
パイオニアの最新モデル「DMH-SF500」
パイオニアの「DMH-SF500」は、型番的には前述の「DMH-SF700」の下位モデルのような印象を受けますが、2023年向けの最新モデルです。
機能構成は以下の通り。
DMH-SF500 | DMH-SF700 | |
---|---|---|
ディスプレイ | 9型 | 9型 |
CarPlay/Android Auto | 有線 | 有線 |
Bluetooth | 〇 | 〇 |
USB | 〇 | 〇 |
CD/DVD | - | - |
ハイレゾ | 〇 | 〇 |
HDMI入力 | - | 〇 |
alexa | - | 〇 |
WebLink® | 〇 | - |
WebLink® Cast | 〇 | - |
「DMH-SF700」と比較すると、ディスプレイサイズや対応メディアは同等ですが、HDMI入力ポート・alexa機能がカットされています。
一方でスマホとの親和性を高める機能として、WebLink®が追加されました。
WebLink®はCarPlay・Android Autoの登場以前の2012年頃からのパイオニアの取り組み「スマホリンク」の復活と言えそうな機能で、ディスプレイオーディオの画面上からいくつかのスマホの対応アプリが操作・使用可能になるものです。
WebLink®では、YouTubeを含むいくつかのアプリをディスプレイオーディオから起動させる事が出来ますが、どうやら今のところPrime VideoやNetflixなどの有料アプリは対応していない模様です。
また、スマホの画面をミラーリング(mirroring)ではなく、ミラリンク(mirrorlink)が出来るWebLink®Castにも対応しており、この機能を使うとiPhone、Androidスマホの画面をディスプレイオーディオに出力しつつ、その操作までもが可能になります。
HDMIを廃止して、よりスマホとの親和性を高めた製品であると言えそうです。
アルパインの直販ディスプレイオーディオ
アルパインは2020年モデルのBIG DAから、直販形態に限りAndroid Auto対応のディスプレイオーディオ市場に参入していましたが、これが好調だった為か2022年モデルは更に機能面をブラッシュアップした以下の一般モデルを投入しています。
・「DAF9Z」:フローティング9型ディスプレイ
・「DAF11Z」:フローティング11型ディスプレイ
従来機との差別化機能はこちらの6つです。
その他、従来の最上位モデルで採用されていた以下機能は全てサポートされています。
従来機と合わせて考えると、カーナビソフトなしのディスプレイオーディオとしては、全ての機能を網羅しつつ、必要最小限の機能のみをカバーしたエントリーモデルの選択肢も提供するという、オールレンジでの展開となりました。
特に無線CarPlayは、国内で展開している製品では初物ではないかと思いますし、今の段階でパイオニアとアルパインのディスプレイオーディオのどちらかを選べ、と言われれば、アルパインを選んじゃいそうです。
出直しのケンウッド「DDX5020S」
ケンウッドは2018年に地デジやDVDドライブなど、ほとんどフル装備のAndroid Auto対応ディスプレイオーディオ「DPV-7000」を販売していますが、価格がユーザーのニーズに合わなかったらしく、短期間で販売停止となりました。
その後、パイオニアが主導して盛り上げたAndroid Auto対応のディスプレイオーディオ市場の情勢を見て2020年には「DPV-7000」の機能を絞って価格を下げた廉価モデルの6.8型液晶モデル「DDX5020S」を発売しています。
機能構成的にはエントリーカーナビからカーナビソフトと地デジを外したようなもので、こちらの通りとなります。
・USB
・ハイレゾ(USB)
・CD/DVD
・AV IN
・バックカメラIN
・Androidスマホのミラーリング
・CatPlay/Android Auto
HDMIポート非搭載ですのでネット動画メディアとは相性が悪いですが、CDは必須と考えている方向けの製品です。
Android OSを搭載したディスプレイオーディオ
最初にご紹介したATOTOからはAndroid OSを搭載し、タブレットと同様に単体でAndroidアプリを使用可能な製品もあり、日本国内ではAndroid Auto対応品よりもこちらの方が人気だった期間が何年か続きました。
最近ではこれらのAndroidオーディオでも、デフォルトでAndroid Autoに対応させているモデルも増えており、YouTubeの他にもAmazon Videoなどの有料アプリがFire TVなどの追加ガジェットなしで再生出来る点が魅力です。
まとめ
以上、Android Autoに対応したカーナビ・ディスプレイオーディオについてご紹介しました。
ここ3年くらいでこのカテゴリーの品揃えが急激に増えていますので、従来のカーナビは高すぎる、機能的に必要ないものが多い、と感じる方は検討してみて下さい。
コメント
いつも楽しみに拝見させていただいております。
純正のナビにエアコン操作パネルも兼用されているため、アンドロイドオートのナビに入れ替えが出来ないと思っていましたがLUPA H33(Android Auto搭載 デジタルミラー)という商品がありました。
まだ登場したての商品なので性能面で不安なところもありますが、ドラレコ搭載のデジタルミラーでAndroid Autoに対応したものでオススメとかありますか?
当方の車はTPMSやレーダーなども搭載しており、駐車中のバッテリー負荷も大きいのでAndroid Autoを追加する際にミラー・レーダー・TPMSなどと兼用できる商品を探しています。
なにか良いオススメなどあればよろしくお願います。
すぎたろう様
この辺りの製品、中国では随分前から出回っており、気になるのは品質です。
https://car-accessory-news.com/?p=68901&preview=1&_ppp=beb0a1ae42
ですが、これは使ってみなければ分からないので何とも言えませんね。
こちらのポータブルタイプなども中華の典型ですが、使えるものの品質は良くないです。
https://car-accessory-news.com/boomboost/