クラウドによる遠隔での駐車監視対応のドライブレコーダー

※2022年9月9日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。

こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。

この記事では法人ではなく、個人向けのクラウド遠隔監視対応のドライブレコーダーについて解説しています。

既に法人向けのクラウド管理のドライブレコーダーは、運行管理サービスなどどと合わせて、という形で随分前から普及が進んでいます。

その一方で、現状の個人向けのクラウド対応ドライブレコーターは、保険会社が保険のOPプランの一環として、事故動画の保護や事故処理に関わるドライバ―のサポートを主な目的としたものが主流です。

ただし、これらの製品は駐車監視機能には対応していませんので、遠隔での駐車監視を目的とする場合にはの駐車監視対応の製品を選ぶ必要があります。

そこでこの記事では駐車監視向けのクラウド対応ドライブレコーダーと、その機能概要について解説します。

BlackVue「DR750X系」「DR900S系」

この手のドラレコの中で最も機能が充実しており、おすすめなのが韓国のグローバル向け専門のドラレコメーカーの製品です。

BlackVueでは、相当に早い時期から(5年前には既にあった)、クラウド対応のドラレコメーカーを世界に先駆けて販売していますが、同社の「DR750X系」はクラウド対応のモデルの中ではスタンダード、「DR900S-2CH」はハイエンドの括りに入る2カメラ以上のドラレコです。

いずれもモバイルルーターやスマホのテザリング、製品よってはSIMカードを使った直接モバイル通信により、このような機能を利用する事が可能です。

・遠隔ライブビューの視聴(走行時・駐車監視時)
・音声通話(走行時・駐車監視時)
・緊急アラーム:走行時の衝撃検知、駐車監視時の動体検知、衝撃検知時
・クラウド上へのイベント録画ファイルのアップロードと再生(走行時・駐車監視時)
・GPSによるリアルタイム追跡(走行時・駐車監視時)
・動画のリモート再生:遠隔地からドラレコのmicroSDカードの動画を再生(走行時・駐車監視時)
・アクセスポイントを使用したクラウド利用
・LTEを使用したクラウド利用
監視・盗難時BlackVueGarminコムテックパイオニアドコモ
GPSリアルタイム追跡×××
遠隔ライブビュー×××
相互通話××××
警報通知
クラウド録画/再生
LTE×
WiFi××

元々が海外向けの製品なのでドコモの製品に比べると分かりにくい部分も多々あるのですが、動体検知+衝撃検知による駐車監視時には検知時にスマホにアラームを送る機能がありますので、当て逃げ・イタズラ対策を考慮する場合には現行で最も高い実用性を誇る製品となっています。

なお、BlackVueの製品にはOPでSIMをセットできる外付けモジュールに対応した「DR750X Plus」、LTEモジュールを内蔵して本体にSIMをセットできる「DR750 LTE」などもあり、これらの製品を使えばルーターなしのSIMの契約だけでクラウド監視が可能です。

実機レビュー 3カメラで遠隔監視 LTE対応のクラウドドラレコ BlackVue「DR750X-3CH Plus」の評価
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ガーミンの「47Z」のクラウド機能

ガーミンの「47Z」は液晶なしのドラレコ「mini2」を追加して最大で4カメラでの録画ができる製品です。

この製品でクラウド機能を使用する為には、別途WiFiアクセスポイントを用意する必要があり、このアクセスポイントを通じてインターネットに接続し、ライブビューや録画データをスマホのアプリで視聴する事が出来るようになります。

家の駐車場に家庭内のWiFiルーターの電波が届く場合にはモバイルルーターなどは必要ありません。

駐車監視中に異常を検知した場合には、スマホアプリに告知が行くようになっていますが、この製品は駐車監視中の動体検知には対応しておらず、衝撃検知のみに対応していますので、イタズラ対策には向いていません。

「47Z」のクラウド機能で出来る事をまとめるとこちらの通り。

・クラウド上へのイベント録画ファイルのアップロードと再生(走行時・駐車監視時)
・遠隔ライブビューの視聴(走行時・駐車監視時)
・駐車監視モード中の衝撃イベント告知(駐車監視時)
・アクセスポイントを使用したクラウド利用

逆にBlackVueなどの先行するクラウド対応ドラレコで実装されていて、「47Z」にはない機能はこちらの通りです。

・GPSによるリアルタイムの位置表示
・音声の双方向の通信
・SIMカードを使用したモバイル通信
監視・盗難時BlackVueGarminコムテックパイオニアドコモ
GPSリアルタイム追跡×××
遠隔ライブビュー×××
相互通話××××
警報通知
クラウド録画/再生
LTE×
WiFi××
GARMIN「47Z」「mini2」の駐車監視の使い方とおすすめ設定について解説
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コムテック「ZDR058」「ZDR059」

コムテックの「ZDR058」「ZDR059」は、いずれもクラウド通信機能を搭載した2カメラドライブレコーダーですが、「ZDR058」はスタンダードな箱型、「ZDR059」はフロントカメラが360°ドラレコとなっています。

「ZDR058」「ZDR059」の通信機能で出来る事はこちらの通り。

・走行時、駐車監視時のイベント録画をクラウドサーバーに自動保存(20秒/32万画素/17fps)し、アプリに通知
・専用アプリを使って遠隔地からドラレコと通話(音声を送るだけ、双方向ではない)
・ドラレコの電源ON/OFFと位置情報をアプリで遠隔把握(リアルタイムではない)
・ドラレコが動作中にアプリから遠隔で静止・動画と位置情報をクラウド保存
・クラウドサーバーに保存されたイベント録画データをアプリで遠隔再生

逆に「ZDR058」では以下の機能はサポートしていないように見受けられます。

・ドライブレコーダーのライブビュー映像の遠隔視聴
・ドライブレコーダーのリアルタイム位置追跡

・ドラレコのmicroSDカードに保存された録画データのWiFi再生、遠隔再生

監視・盗難時BlackVueGarminコムテックパイオニアドコモ
GPSリアルタイム追跡×××
遠隔ライブビュー×××
相互通話××××
警報通知
クラウド録画/再生
LTE×
WiFi××

一見すると多機能なようですが、ライブビューの遠隔再生やリアルタイムトラッキングが出来なかったりと、防犯面ではイマイチな機能構成となっています。(そもそも当て逃げ対策だけなら、クラウド機能はいらないです)

防犯面の機能の充実を目的に導入するなら、やはりまだBlackVueですね。

コムテックから4G LTE通信とクラウド対応で遠隔駐車監視が可能なドライブレコーダー「ZDR058」発売
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「ZDR059」コムテックからクラウド対応の360°ドラレコ発売
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パイオニア「NP1」

パイオニアの「NP1」は、クラウド機能を活用した音声カーナビとドライブレコーダーの異色の複合ガジェットです。

本製品のドラレコのクラウド機能は、防犯向けではなく運転支援系を重視しており、こちらのような機能構成となっています。

・遠隔ライブビューの視聴(走行時のみの機能でドライバーからの招待が必要)
・音声通話(走行時のみの機能でドライバーからの招待が必要)
・イベント告知:衝撃検知時(走行時・駐車監視時)
・クラウド上へのイベント録画ファイルのアップロードと再生(走行時・駐車監視時)
・GPSによるリアルタイム追跡(走行時のみの機能でドライバーからの招待が必要)
・アクセスポイントを使用したクラウド利用
・LTEを使用したクラウド利用

逆に「NP1」では、以下の機能はサポートしていません。

・遠隔ライブビューの視聴(駐車監視時)
・音声通話(駐車監視時)
・GPSによるリアルタイム追跡(駐車監視時・盗難時)

また、駐車監視時のイベント録画は、衝撃を検知してから数秒後から10秒間だけですので、駐車監視機能そのものが弱いと言えます。

従って駐車監視目的での本機の導入は微妙ですね。

実機レビューと評価「NP1」パイオニアから新発想のドラレコベースの複合ガジェット
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ドコモ「DDR01」

個人向けのクラウド遠隔監視対応のドライブレコーダーとして、最も知名度が高いのはドコモから発売されている「DDR01」という製品です。(OPでリアカメラあり)

この製品はケンウッド製のドラレコ筐体と、おそらくドコモのeSIMを組み合わせたもので「ドコモ ドライバーズサポート」と呼ばれるこちらの6つの機能をサポートしています。

・事故通知
・緊急通知
・駐車異常時通知
・現在地共有
・運転警告履歴
・交通情報受信

どちらかというと、遠隔監視ではなく走行時の異常発生を家族に知らせる事に主眼を置いた機能構成となっていますが、駐車監視中も一定以上の衝撃を検知するとこのような動作を行います。

・衝撃検知後の10秒間の映像をクラウドサーバーにアップロードするとともに、登録したスマホのアプリに位置情報や映像を送信する

なお、この遠隔駐車監視は最大待機時間が24時間までとなっている上、録画を行うのは衝撃を検知した後の数秒後から、となっていますので、イタズラ対策としては微妙ですし、当て逃げ被害に遭った際にも衝突前から衝突の瞬間までは映らない点が弱点となり、今後のバージョンアップが望まれます。

駐車監視向けのクラウド対応のドライブレコーダーのまとめ

因みに過去に私が単身赴任していた際に、夜間にランエボ10にカラーコーンを乗せられていたり、醤油を掛けられるというイタズラに悩まされていたことがありました。

【2024年版】車のイタズラ・防犯対策におすすめのドライブレコーダー
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こんな感じのイメージで(これが赤だったらシャア専用ザクっぽい!)。

こう言ったイタズラに対してはLED付きのドラレコなども有効ではありますが、当時はそんなモデルが見つかりませんでしたし、普通にサラリーマンをしていたのでじっくり対策を練る事も出来ませんでしたが、このようなケースではクラウド対応のドラレコが非常に有効であると思いますね。(クラウドで現場を押さえたら、即警察に通報です!)

コメント

  1. 最近のはいいですね より:

    複数台設置する場合はSim内蔵よりもwifiタイプのほうが対費用効果は高いかもしれませんね。
    アクションカメラでクラウド録画対応しているのは初耳です。ちなみに対応しているアクションカメラを教えてもらえないでしょうか?
    現状一番よさそうなのはプラネックスのカメラ一発シリーズですね。これは単体でクラウド録画できる代物なので。

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      正確にはアクションカメラと言うより、360°カメラの類になります。
      また、クラウドと言うのも正確な表現ではなく、YoutubeやFacebook、Twitterなどのプラットフォームでストリーミングでライブ配信が可能なモデルという事になります(笑)

      ・THETA S
      ・Gear360
      ・Insta360 Nano
      ・Insta360 Air

      どちらかというと玩具的なものですが、個人的には気になっていますね。

  2. 私もお初はcowonAW1 より:

    blackvue DR750S というものがクラウド対応ということで、少々お高かったのですが、AW1から買い換えました。

    3000円程のwifiルータにUQのデータSIM、UPS300が在庫無しで買えない時期だったので、blackvue 純正のバッテリーも追加購入、自宅と会社駐車場以外で、クラウド駐車監視運用させています。

    当初は、クラウド経由でスマホへのイベント通知→スマホからクラウド経由でDR750Sに接続、リアル映像や録画ファイル確認が出来る、という機能位でしたが、F/W更新で、ベータ版の位置付けですが、イベント時に自動でクラウドにアップする機能がつきました。

    私は非公開にしてますが、リアルタイムの映像を他者に公開することも出来、買った当初は、海外ユーザの車窓の景色をしばし眺めさせてもらったりもしました。

    クラウドとして、あるといいなと思うのは、イベント時に静止画を2、3枚送ってくれるような機能ですかね。通信はモバイルルータになるのがほとんどなわけで、完全無制限になんぼでも通信可、というリッチな人もそうそういないと思うので。

    私など、せっかく新規導入したUQのSIM、ドラレコ通信だけでは勿体無いと思い、amazon fire tv stick を車中に設置、spotifyで昭和songを楽しんでます(笑)

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      blackvueのモデルは気になってはいるのですが、かなり高価格帯であるのと日本向けのローカライズの部分がどうなのかな~?と考えていました。
      因みにイベント時にクラウドに送信される機能が駐車監視中にも有効なのであれば、アフターマーケットのこの手のドラレコではかなり画期的な気がしますね。

      リアルタイムの映像は回線や通信料などの問題でかなりデータが圧縮されそうですが、どれくらいの画質ですか?

      • 私もお初はcowonAW1 より:

        そうなんですよね。cowonもですけど、韓国のものは皆、感覚的に1万円位高いですよね・・。

        ローカライズは、PC/スマホアプリ/本体FW/説明書/西日本LED対応(web上30fpsだかFW更新で対応したはず。東日本在住なので確認は出来ないですが)、皆問題ありません。FW更新情報や新製品のお知らせが英語ページのみ、位ですかね。

        クラウドの機能は、通常時でも駐車監視時でも、wifiで直接blackvue に接続しているのと同じ事ができます。

        blackvue の動作状態(クラウド接続・切断、通常・駐車モード切替、モーション・衝撃イベント発生、高温停止等)は、スマホにリアルタイムにバッジ通知されますので、通知を確認後、リアルタイム映像や録画済みファイルを確認したり、ファイルをクラウドに手動アップロードしたり、本体の設定を変更したりできます。

        これ以外に、通常時も駐車監視時も、衝撃検知時のみ、内蔵SDへの録画以外に、設定してある前後どちらかのカメラのリアルタイム映像が、自動でクラウド側に保管される、という感じです。

        リアルタイム画像のアップロード画質ですが、基本的に画質優先のようで、通信速度が十分でないとコマ落ちします。コマ落ちというか、数秒映像が止まったかと思ったら、パパパッと数秒間の映像が進んじゃったり。

        まぁ、光固定回線を除き、上り通信が下り同等に速いというインフラがそもそも無いですからね・・。5Gなどの次世代通信普及での帯域底上げまでは致し方ない所かと。

        あ。お伝えし忘れてましたが、クラウドサービスは、無料プラン/有料プランがあり、無料プランだとリアルタイム映像視聴は1日10分までとか、クラウド保管は5GBまで、などの制約があります。無料プランで十分と思いますが・・お知らせです。

        総合的に、blackvue のクラウドサービスは、私がAW1利用の頃から駐車監視で出来たらいいな、と思っていた事が概ね実現出来ていると思います。

        ただ、少し話逸れますが、駐車監視において、私が一番ネックなのは真夏の車内温度です。

        外も中も真っ黒な2ドアクーペなので、AW1の時は朝9時位には高温停止しちゃってました。DR750のほうが10℃ほど高くても大丈夫な仕様ですが、まず止まるだろうと。

        セパレートタイプのもので本体をトランク設置でもしないと無理だと思ってますが、私が望む仕様のものは、永遠に市場には出ないでしょうね・・。

        なお別件ですが、blackvue の新型バッテリー(B124)も機能は面白そうでしたよ。容量大、ヒューズボックス直結での高速充電、複数台連結、Bluetoothでのバッテリー状態監視など。

        日本未導入かつ、発売しても、そんなわけでエライお高いんでしょうけれど(笑)

        • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

          ローカライズはそこそこ充実しているんですね。
          数年単位で考えると通信面はクリアできるかも知れませんので、時代を先取りしているという気もします(笑)

          個人的にはそれほど高額でなければ有料プランも試してみたいですね。あんまり使わないかも知れませんが。
          いずれにせよblackvueの製品は価格がかなり高いですが、なかなか面白そうなものが多いと感じます。

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