※2022年6月5日更新:ドラレコ機能の実機レビューについて追記しました。
※2022年5月28日更新:ナビ機能の実機レビューについて追記しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
パイオニアからドラレコをベースとして、かつて存在しなかった全く新しいタイプの複合ガジェット、「NP1」が発表されています。
「NP1」には、今まで他社にあったいくつかの機能に加えて、全く新しいパイオニアにしか出来ないような機能も採用されています。
個人的にはなかなか面白そうな製品と感じていますので、後日レビューを行う予定ですが、この記事では先行して「NP1」の製品概要について解説します。
「NP1」の4つの機能
「NP1」のベースはドライブレコーダーですが、ざっくりと説明するとこのような機能構成になっています。
※クラウドベースの製品なので、別途通信費が掛かりますが、原則としては通信費込みのプランでの販売になるようです。
それぞれの機能の詳細はこちらの通りです。
ドライブレコーダー機能
「NP1」のドライブレコーダーとしての基本仕様はこちらの通りです。
NP1 |
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22.0?発売 |
フロント:1920×1080/27fps インナー:1920×1080/16fps リア:1920×1080/27fps |
LED信号対応 |
録画視野角 前:水平130° 中:水平124° 中:水平105° |
microSD付属32GB/最大512GB |
GPS内蔵 |
WiFi/クラウド |
駐車監視モード |
衝撃検知/自動起動 |
専用ケーブルはOP NP-BD001 |
取扱説明書 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
ドライブレコーダーとしては、VANTRUEの「N2S」のような筐体の前後にレンズを搭載した一体型2カメラタイプで、液晶を搭載しないWiFi対応モデルとなっています。
録画視野角はフロントカメラが水平130°と充分な広さですが、インナー側は水平124°と、ドアパンチを確実に捉えるには心許ない広さとなっています。(理想は水平140°以上)
この製品は2カメラですし、音声コマンド対応ですので、ドラレコとしての実用性のみを追求した場合、フロントではなくリアガラスに設置し、フロントには別途4Kモデルなどを取り付けるという手もありそうです。
リアガラスに設置した場合には、水平124°でもドアパンチは映るのではないかと思います。(駐車監視モードは衝撃検知後の録画という方式なので、常時録画を継続させる前提で)
WiFi対応の液晶なしモデルですので、設定などはスマホアプリから行う事になろうかと思います。
また、本機はいくつかの音声コマンドにも対応していますので、イベント録画などは音声コマンドで行う事になります。
クラウド機能
最近のドラレコ業界では、保険会社やドコモのモデルなどでクラウド対応製品が増えていますが、ドラレコのクラウド機能を大別すると以下の4つに分けられます。
「NP1」では、このうち②のオペレーターサービス以外に対応しており、機能面ではBlackVueのドラレコに近いものとなっています。
③の第三者との相互通信機能では、離れたスマホからアプリを介してリアルタイムにGPSトラッキング、映像を再生しながら、ドラレコとの通話が可能となります。(これはBlackVue製品でも可)
④の駐車監視機能については、専用の常時電源ケーブル(NP-BD001)を使用して取り付けた後にエンジンをOFFにすると、衝撃検知による録画を行う駐車監視モードに入るようです。
問題は衝撃を検知した後からの録画となる点で、録画時間も10秒間と限られている事から、当て逃げの際のナンバーが映るかどうかは運任せですし、ドアパンチは映らない仕組みです。
ドアパンチの衝撃を検知して数秒後に10秒間だけ録画したところで、加害車両のナンバーは映らないですし、動画を見ただけでは何が原因で衝撃検知録画が行われたかも分からない訳です。
従ってこのドラレコで駐車監視するなら、外部バッテリーを使って常時録画を継続させる方法がおすすめです。
ドラレコ機能だけで考えるとクラウド対応モデルとしては、BlackVue製品が一番実用性が高いと感じます。
音声カーナビ機能
こちらは実用性の高さは別として、パイオニアにしか実現できない機能かと思います。
スマホの音声アシスタントと同じような感覚で、目的地の設定などが出来るようです。
操作や案内は原則として音声になりますが
スマホアプリでもある程度の事は出来る模様です。
これはこれで新しい機能として面白そうではありますが、面白いだけで終わる可能性も無きにしも非ず、と言ったところでしょうか。
WiFiアクセスポイント機能
「NP1」のもう一つの目玉機能は、クラウド機能で使用するSIMカードを利用して「NP1」自体がWiFiアクセスポイントなる点です。(別途OP料金が必要)
この機能だけを捉えれば、BlackVueのLTE対応製品と全く同じではありますが、「NP1」にはドコモの回線を格安で使えるプランがあるのが最大の差別化ポイントになります。
なお、パイオニアには車載WiFiルーターの「DCT-WR100D」が存在しますが、プランの料金はほとんど同等となっています。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2021/05/2021y05m01d_202102518-160x90.jpg)
また、「DCT-WR100D」と同様にアクセスポイント機能には停車制限もあります。
既に「DCT-WR100D」を使っている私としては、本機のWiFiアクセスポイント機能はいらないので、「DCT-WR100D」に子機として接続出来れな良いなぁ…と考えています。
※BlackVueのLTE対応製品は、アクセスポイントに接続して使用する事も出来る
冷静にBlackVue製品と比較すると、回線以外は微妙な感じになりますが、日本メーカーとして全く新しい試みをしている点を評価したいです。
他社の後追いのような普通のドラレコは、本来のパイオニアらしくない製品とも感じてきましたし…。
付属品とデザインについて
今回は「NP1」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・脱落防止用ストラップ
・シガー電源ケーブル(4PIN)
・32GBのmicroSD
・取付け用品
・取付説明書
※取扱説明書はWEB版になります…というよりも、随時ファームアップデートで機能変更される前提のようで、ユーザーズガイドと言った形で、項目ごとの改変が容易なスタイルとなっています。
本体筐体
本体筐体のサイズ感はこちらの通りで、ずっしり重い超重量級です。
マウントの両面テープの面積も広いですが、万一の脱落対策として、別途フロントガラスにこちらのストラップを貼り付ける仕様となっています。
前方は正面から見て右側レンズ
インナー側は室内から見て左側レンズですので、フロントガラス運転席側の中央寄りへの取り付けが前提となっています。(かなり大きい筐体なので、フロントガラスの高さがない車だと邪魔に感じるかも知れません)
右側面には操作系のボタン、放熱対策の為に小型ファンが内蔵されています。
左側面には4PIN電源端子、SIMスロット、microSDカードスロットが装備されています。
※現在の仕様では3PINしか使いませんが、いずれ車速センサーとの接続が可能になるのでしょうか?(ナビ機能を充実させる為には、車速パルスの吸出しは必須だと思います)
付属のレンチはマウントの位置調整の際に使います。
取り付けについて
今回はアクアにNP1を取り付けました。
通常であれば、前方のレンズ部分を車両のセンターに配置したいところですが、ルームミラー裏に隠してしまうとインナーカメラの視野が遮られてしまいますし、筐体がかなり大きい為にルームミラーの右側に出す事は出来ませんでした。
そこで今回はルームミラー下からカメラ部分を少し出す形で設置しています。
ここまで下に落とすと車検に通らない可能性がありますので、取付にはかなり気を遣う製品です。
ナビ機能について
「NP1」をいじくり回してみて分かったのですが、ナビ機能の仕組みはこのようなものとなっているようです。
初期設定にはスマホアプリが必要ですが、ナビ機能の運用の際にはスマホの電源を落としていても単独で動作可能です。
ライバルはGoogle Map
エンドユーザーはあまり意識しない事かと思いますが、「NP1」のナビ機能は、以下の2つを差別化ポイントとして、世界のGoogle神に戦いを挑もうとしているように見受けられます。(日本人として日本メーカーのこの試みは応援したい)
そもそもこれだけスマホが普及している時代に、スマホを使わずにナビ機能を音声だけで完結させる必要があるとは思いませんが、まずはメーカーがベースとして打ち出している音声だけのナビ機能を試しました。
※話題性の為に「音声だけで」が協調されていますが、ナビ世代のオッサンらに対して、スマホに案内が表示されているのに、見るな!というのは苦行でしかありません。本来はスマホに案内を表示させながら使うものと捉えた方が良いでしょう。
音声によるルート案内機能
こちらは比較の為に、合わせてパイオニアのディスプレイオーディオ「DMH-SF700」+CarPlayのGoogle Mapを起動させています。
走行経路はこちらの通り、東北道久喜インターから首都高C2山手トンネル経由で東名に抜けるルートです。
評価のポイントは、競合サービスであるGoogle Mapが苦手としている、こちらのポイントとしました。
右左折時に適切なタイミングでの案内があるか?
Google Mapの場合、右左折時の最終案内が曲がる直前になってしまう事が多く、初めて走る道で横道に逸れるような場合には、曲がるタイミングを逃してしまう事があります。
その点、「NP1」では、市販ナビのさらに上を行く案内の丁寧さような印象で、適切なタイミングで案内されていました。
レーンチェンジが必要な場合、適切なタイミングで案内されているか?
こちらが「NP1」と市販カーナビを含めたすべてのナビシステムとの最大の違いであると感じましたが、右左折後の走行ルートで更に車線短い時間で車線変更が必要な場合、おすすめの車線を案内してくれるなど、過去のどのナビよりも音声による案内が分かり易いという評価でした。
側道に入る場合にも、適切なタイミングでその旨が案内されていました。
トンネル内などのGPSが受信出来ない場所で案内を継続するか?
CarPlayのGoogle Mapは、「DHM-SF700」により、車速信号を吸い出しているものの、アプリ側の自律航法のアルゴリズムがポンコツな為、首都高山手トンネルのような都心部の長いトンネル内では自車位置を見失い、まともな案内を継続できなくなります。
一方で「NP1」の方は、車速信号の吸出しが今のところ出来ません。
山手トンネルに入るとあっという間に測位が出来なくなってしまい、そこから地上に出て再測位するまでは案内を停止しました。
これは車速信号の吸出しを行っていない以上、仕方のないところですが、自律航法のアルゴリズムの方はパイオニアには過去の技術の蓄積がある筈のですので、何らかの形でのバージョンアップを期待したいことろです。(首都高や今後開発予定の外環道なども、地下区間が増えるそうですし)
「NP1」にはカメラが付いていますので、画像認識によってGPSをロストした状態でもどうにか案内を継続出来ないでしょうか?
ナビ機能の使い方など
次にナビ機能の案内以外の部分について、気が付いた点を以下のようにまとめておきます。
目的地の設定とルート探索
目的地の設定とルート探索は、音声認識とスマホアプリからの設定の2つの方法で行う事が出来ますが、おすすめは提示された行程をビジュアルで確認、選択出来るスマホアプリ「My NP1」経由です。
また、Google Mapとの連携も良く、Google Mapからアプリに目的地情報を送信する事も可能となっています。(Google Mapのレビュー機能は優秀で、大手キュレーションサイトのようなライターが絡んだり、忖度されたレビューが少ないので重宝しています)
ただし、この機能は万能ではなく、アプリ側のデータベースにない地点に関しては、目的検索できない事もあります。
このような場合、緯度・経度をGoogle Mapからコピペして目的地指定したいところですが、現時点ではそれは出来ないようです。(これが出来ればGoogle Mapとの連動性はバッチリなのですが)
なお、「NP1」を起動していない状態でもスマホからのルート予約は可能です。
また、走行時に急遽ルートを変更したい場合、立ち寄り地を追加したい場合などは、音声認識を使う事になるでしょう。
因みにスマホアプリに表示される地図は、私が普段使っているサイバーナビとそっくりで、インクリメントPのものを採用しているようです。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2022/05/2022y05m24d_111835369-1-160x90.jpg)
出先の駐車場からのリスタート時には注意が必要
「NP1」のルート案内とGPSによる測位は、スマホアプリではなく「NP1」筐体側で処理されます。
車両が移動してGPSによる測位情報に変更があった場合にも、カメラ映像に変化がない場合には停車しているものとみなされ、案内を開始しません。
また、案内は車両が道路に出た事が確認されてからになりますので、出先の駐車場から出る時には左右のどちらに進むのか分からなくなる事があります。
音声コマンドが多過ぎて覚えられない上に、AIがあまり賢くない
「NP1」の音声認識は、私が普段使い慣れているSiriやGoogleアシスタンスなどと比べるとの精度が低く、例えば「久喜駅」を「勤務地」と認識してしまったり、指定されているコマンドと同じニュアンスの文言で命令を与えても、「それはまだ出来ません」などと返されます。
みなさんはこんなの覚えられます?私には無理です。
例えば「自宅に帰りたい」は〇ですが、「自宅に帰る」では×でした。
AIとしてはポンコツですね。
最近のSiriやGoogleアシスタンスでは、意味が分かりませんなどの回答はほとんどありませんので、どのコマンドなら理解できるか?などと考える必要はありません。
「NP1」のAIのバージョンアップに期待したいところです。
車内での会話に夢中になっていると、案内を聞き逃してしまう事がある
これはスマホアプリを起動させていれば問題にはなりませんが、車内で会話に夢中になっていると、次の案内を聞き逃してしまう事があります。
その場合には「次どこで曲がる?」のコマンドで確認する事が出来ますが、私にはコマンドが覚えられません。
観光ガイド機能について
「NP1」には、走行中のルートに観光名所などがあった場合、軽く観光ガイド的な案内をしてくれる事があります。
個人的にはネットのデータベースを活用して、この機能を充実させると面白いのではないか?と感じました。
メーカーの意図とは裏腹に、この製品の現状の購買層は、ガジェット好きでマニアックな年配の男性だと思います。(万人におすすめするような製品でもないですし)
この辺の層に向けて、歴史のウンチクや、時には地域のお店の紹介なども絡めれば、広告ビジネスとしても成立すると感じています。
ナビ機能の総評
ナビ機能のまとめですが、今回のテストの山手トンネルでの測位ロストは予想通りの結果で、ここは仕方がない部分として、それ以外の面ではスマホの画面を見ない前提でも、充分に分かり易い案内を実現していると評価します。
また、スマホアプリでナビ画面を表示した場合、Google Mapとは比べものにならないくらいの分かり易さであると感じました。
なお、今回はテストの為にスマホ画面は表示させずに使用しましたが、テスト以外の使用の際には、私は間違いなくスマホにナビ画面を表示させながら使うと思います。
※NP1は今後パイオニアのディスプレイオーディオ「DMH-SF700」が付いているアクアで使用する予定ですが、ナビ機能はGoogle Mapではなくこちらを使って行こうと考えています。
スマホアプリ「My NP1」がCarPlayに対応すれば、更に使い易くなると思うのですが。
因みに私はサイバーナビや彩速ナビを積んでいる車にNP1を付けようとは思わないですが、今買っている人たちはサイバーナビ+NP1という浪漫構成を組んでそうですね。
マニアなおっさんにはおすすめ!
LaBoon!!の読者層はガジェット好きでマニアックな40~60代の男性が最も多く、私もそれを強く意識して記事や扱うテーマを決めていますが、この層はパイオニア製品との相性が非常に良く、「NP1」にも興味を持たれた方が多いと思います。
私自身はコスパの話は抜きにして、「NP1」は機能的に斬新で、面白いから使う派ですし、おそらく現段階で「NP1」に興味を持たれた方は、何だか分からないけど面白そうだ、と感じているのではないでしょうか?
そんな方は是非「NP1」を購入して使ってみて下さい。
若年層や女性にはハードルが高いと思う
さて、「NP1」はガジェット好きでマニアックな40~60代の男性にはおすすめではありますが、コスパに敏感な若年層や、そもそもガジェットにはさしたる興味はなく、必要に迫られてカーナビ機能を導入しようと考えている女性にもおすすめ出来るような代物でしょうか?
もちろん、「NP1」がマスアイテムになる為には、この層を取り込む必要があると思いますが、現状ではそれは難しいと感じています。
まず、この層に「NP1」をおすすめする為には、Google Mapや従来型のカーナビよりも「NP1」がおすすめである理由を説明しなければなりません。
変態マニアのおっさん達には「この手のガジェットとしては、新しくて面白い!」だけで充分ですが、普通の人には「面白いかどうか?」ではなく、「必要かどうか?」、「他の選択肢よりも優れているかどうか?」を説明しなければなりません。
例えば対Google Mapで考えた場合、既にGoogle Mapに満足しているユーザーに「NP1」をおすすめしても意味がありません、
そこで「Google Mapは便利だけど案内が分かりにくいのがネックだ」と感じている人に、「NP1を使えばGoogle Mapの利便性をそれほど損なわずに、分かり易い案内を実現出来ますよ」と説明する訳ですが、その対価としてこの本体価格と通信費が許容出来るでしょうか?
私はちょっと微妙かな~と感じますね。
また、従来型のカーナビの代替品として捉えた場合には、バックカメラ機能は別途モニターと合わせて手配する事が前提となりそうですので、こちらもハードルは高い様に感じますね。
モニターが必要なら、普通にエントリーナビかディスプレイ―ディオを入れた方が良くないっすか?
従って「感性で面白いから買い!」とは言えますが=つまり既に興味を持っているなら買い、ガジェットにはさしたる興味はなく、必要に迫られてカーナビ機能を導入しようと考えている方に、これ良いですよ!とおすすめするようなものではないと感じました。
WiFiアクセスポイント機能について
「NP1」のネット回線の使用料金はこちらの通りとなっています。
「NP1」にはWiFi子機としてルーター経由でネット接続する機能もあるようなので、1年プランが終わった後にモバイルルーターなどのアクセスポイントを使用する事も可能なようです。
一方でモバイルルーターを使わずに、「NP1」のアクセスポイントの機能を持たせる事も可能ですが、この場合には別途OP料金が掛かります。
スタンダードなクラウド機能が実質14,000円/年、更にWiFiアクセスポイントで13,200円/年となってしまうのは、少々通信費が高すぎると感じました。
ドラレコ機能について
ドラレコ機能については、以下のポイントについてテストしました。
・クラウド機能について
・画質面について
・駐車監視機能について
インターフェイスと操作性について
「NP1」の設定は原則としてスマホアプリでBlutooth通信によって行いますが、ドラレコとしての設定項目は驚くほど簡素になっており、必要最低限しかありません。
こちらは賛否がありそうですが、この方が簡単で使い易いと感じる方もいるかも知れません。
クラウド機能について
冒頭でも説明しましたが、「NP1」のクラウドドラレコ機能はこちらの3つとなっています。
イベント録画クラウドサーバー上に保存
「NP1」では、衝撃検知による自動、または手動によるイベント録画映像をクラウドサーバーに自動でアップロードする機能があります。
この機能では離れた場所にあるスマホから動画を再生、ダウンロードできる他、microSDカードのトラブルによって動画が消えてしまう恐れもありませんが、何故か「NP1」のスマホアプリでは、microSDカード内の動画を再生する事が出来ず、一般のWiFi対応ドラレコと比べると出来て当たり前の事が出来ない点が気になりました。
また、BlackVueなどの他社のクラウド対応ドラレコでは、ライブビューの視聴はもちろん、インターネット回線を利用してmicroSDカード内の動画もストリーミング再生する事が出来る製品が多いですが、こちらも「NP1」では未実装でしたので、今後のアップデートに期待したいところです。
※「NP1」ではライブビューの視聴すら出来ません。(取り付け確認時のみ、ライブビューの視聴が出来る)
第三者との相互通信機能(ドライブコール)
こちらもBlackVueのクラウド対応ドラレコにも実装されていますが、「NP1」の方はこの機能の使い易さに特化している印象で、運転中に音声コマンドで予め登録している相手のSMSに招待リンクを送り、接続時にも音声コマンドで承認する仕組みです。
実用面では、煽り運転被害に遭っているが、自分で警察に通報する事が出来ない場合などに、家族に通報と状況の説明をして貰う際に有効でしょう。
地図上に自車位置も表示されますので、なかなか面白い機能だと思います。
セキュリティ駐車監視機能
「NP1」の駐車監視機能は、省電力からのスリープ→衝撃検知で数秒後にウェイク&録画→クラウドアップロード&スマホに告知、という流れですが、録画開始まで数秒掛かる上に、録画時間が10秒しかなく、ライブビューの視聴も出来ない事から、クラウド機能を上手く使いこなせているとは言い難い状況です。
こちらもアップデートによる改善を期待したいところです。
動画の再生について
「NP1」はクラウドデータのみ、スマホで再生が可能で、それ以外はmicroSDカードを抜いてPCで再生する必要がありますが、現時点では専用ビューワ―などはないようです。
Windowsの汎用再生ソフトを使用しましょう。おすすめは明るさ調整が出来るVLCです。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2018/08/2017y07m20d_220227299-500x211.jpg)
画質面について
「NP1」のドライブレコーダー画質は、前後カメラの構成が良く似たものとなっている、VANTRUE「N2S」と以下のポイントについて比較しました。
比較ポイントはこちらの4つの項目です。
・逆光補正能力
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
録画視野角
フロントカメラの録画視野角はドライブレコーダーとしては最大クラスの水平130°、インナーカメラはこの手の車内向けカメラとしては物足りない水平124°でした。
インナーカメラの録画視野角は、出来れば水平160°程度は欲しいところです。
逆光補正能力
「NP1」のフロントカメラは、白飛び、黒潰れのバランスが良く、良好な視界となっています。
インナーカメラは「N2S」と同様に、やや白飛び・黒潰れが強い特性でした。
ナンバー認識精度
「NP1」の録画視野角は、水平130°とドラレコとしては最大クラスですので、ナンバー認識精度はフルハイビジョンクラスのドラレコとしては最低ランクです。
「N2S」は2.5Kの解像度ですので、ナンバー認識精度には大きな差が出ています。
また、白飛びにはそれほど強くないようですので、夜間のヘッドライトが直撃したナンバープレートは、読み取れないケースもありそうです。
夜間の明るさ
夜間の映像については、VANTRUEの製品では専用のビュワーで明るさのチューニングが出来るのに対して、「NP1」には現在のところ専用のPCビュワーが存在していないようです。
そこで今回は、無料のVLCという汎用ビュワーで明るさをチューニングした映像を合わせて比較しました。
※チューニング映像は全てデスクトップ映像のキャプチャリングですので、画質が低下します。
なお、「NP1」は赤外線機能をOFFにする事が出来ませんので、夜間は常時ONの状態になります。
ネオンと街灯が多い市街地では全てのカメラとも随分明るく映っています。
ネオンが減ってくると明るさは落ちますが、フロントカメラの映像に関しては必要充分な明るさとなっています。(暗いシーンだと、チラツキが酷くなります)
インナーカメラは「N2S」と比べると、VLCでのチューニング込みでも、もう少し明るさが欲しいと感じます。
西日本LED信号の見え方について
「NP1」の前カメラの録画フレームレートは27fpsですので全国のLED信号も同期する事なくしっかり映る筈です。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2018/09/2018y06m09d_220729177-1.jpg)
駐車監視機能について
「NP1」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2022/05/DSC_6250-1-160x90.jpg)
microSDでの録画時間について
「NP1」では、最大で512GBまでのmicroSDカードがサポートされていますが、32GBのカードで高画質録画を行った場合には、3.5時間の録画データの保存が出来るとユーザーズガイドに書かれていますので、512GBだとその16倍の56時間となる予測です。
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
![](https://car-accessory-news.com/wp-content/uploads/2022/01/2021-04-05-13.56.06-160x90.jpg)
「NP1」の総評
最後に「NP1」の総評 です。
ドラレコ機能について
ドラレコ機能については、画質面では業界トップクラスの専用機には及ばないものの、駐車監視を想定しない用途ではまずまず実用的だと感じました。
一方でスマホではmicroSDカード内の動画が再生出来ないなど、不便な面も目立ちました。
ドライブコールは緊急時の実用性も高そうですが、ガジェット好きの私としては、遊びの機能として面白いと言った印象の方が強いです。
駐車監視の仕様などを考えても、趣味のガジェットとしては私の好みだが、実用面を突き詰めて考えると他の人におすすめ出来るかどうかは、その人の嗜好による、と答えてしまいます。
ナビ機能について
ナビ機能については、案内の丁寧さ、分かり易さは充分に合格点ですが、やはり車速センサー信号を取れていない事から、山手トンネルなどの都心の地下道などに入ると案内を停止してしまう点が残念に感じました。
「NP1」の機能面では、パイオニアが散々プロモーションを掛けて宣伝されていますが、AIがポンコツだったりと色々問題はあるものの、個人的には気に入りました。
ドラレコ機能と同様に、、趣味のガジェットとしては私の好みだが、実用面を突き詰めて考えると他の人におすすめ出来るかどうかは、その人の嗜好による、と答えてしまいます。
ガジェット好きの変なオッサンには、思ったより良いオモチャで満足してます…というのが、私個人の感想ですね。
コメント
Omi様
『NP1』ネットで見て興味津々でしたのでレビュー楽しみにしております♪
現車のナビがガチガチのメーカー専用楽ナビなのですが機能etc不満がたんまり
&ドコモの3G停波に伴い2025/3月に通信機能が使えなくなるのですが代替機も
対策も無のようなので私的にはドラレコ機能よりナビ性能か気になります!
ちなみに現況でこれを導入するとなるとをN4をNP1にしてリア画像はデジタル
インナーミラー(PR998N)で補管といった感じ???(~_~)/~
が、ドラレコはN4の調子が???な時はユピテルの「Y-3000/Z300」も代替時の
候補なのでOmi様のレビュー参考に試行錯誤したいと思います☆☆☆
M様
パイオニアは楽ナビやサイバーと絡めて自動車メーカー純正品が攻められないようなゾーンを徹底的にやって欲しいですね。
レビューまでしばらくお待ちください。
トンネル厳しいのは残念ですね。音声操作ってSiriもそうですがいまだに使いこなせてません。(^^;
meitantei様
自律走行が確立されれば万能なんですけどね~。
今後に期待したいです。
Omi様
NP1のレビュー参考になりました♪ありがとうございます!!!
私はLaBoon!!の読者層には該当してませんがナビは昔からサイバーでした(~_~)v
が、現車はご姿勢のディスプレイオーディオ搭載車で社外ナビ換装不可・・・
おまけにかろうじて搭載可能だった4年落ちの楽ナビの機種の通信モジュール(ドコモ製)が2025/3月で3G停波
で利用不可→メーカーの後継機は期待薄なのでNP1に興味津々だったのですがレビューですと『まだまだ、
But今後のUPDateに期待!!!』といった感じですがタイムリミットまであと2年以上あるので本サイトは勿論の事『今後』をじっくり見て行きたいと思います☆☆☆
M様
車速が取れれば最高なんですけど、それはメーカー側も分かってると思うんですよね。
ここが解決されないと、思い切っておすすめって訳には行かないですね。
2DINナビを入れるスペースが物理的になく、純正ナビでcarplayも使うことも出来ないような一部の外車ユーザーにはウケが良いかもと思いましたね
かくいう自分もその一人ですので大変参考になりました
しゃもじ仙人様
輸入車だとCarPlayかAndroid Autoが使えそうなイメージですが、ない車も結構あるんですかね。
エリーゼとか(笑)
以前、BMWの純正ナビの有料道路の塗り分けで質問させていただいた者です。
NP1、アップデートで山手トンネルでも止まらなくなったようです。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1487131.html
楽ナビポータブルの通信モジュールが使用期限となりナビをどうしようかというのとドラレコも付けたいというところから、もう少しこの情報を早く仕入れていればこちらにしたかもです。
ナビの位置精度を捨てきれず純正の地図を更新+Advanced Car Eye 3.0 Proでいくことにしました。
以前はAVIC-T1を使用していたりとこの手のものは好きですなのですがw
「COCCHi」と同様にリルートのアルゴリズムが改善されたみたいですね。
https://car-accessory-news.com/cocchi/#toc4