※2022年11月14日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ここ3~4年くらいで前後2カメラタイプのドライブレコーダーの普及が随分と進みましたが、2カメラドラレコの中でも最もスタンダードなのが、このようにリアカメラが別体となったセパレートタイプの製品です。
これらの製品のリアカメラは、あくまでも車外後方を撮影する為のものであり、フロントガラスに車内に向けてリアカメラを設置する事は可能ではあるものの、ある程度以上の明るさがないと夜間は車内側が真っ暗に映ってしまいます。
ドライブレコーダーで車内側の撮影を行う目的は、デンジャラスドライバーの暴力行為の証拠確保や、警察の誤認検挙の抑止であったり、趣味的な使用、または教習所やタクシーなどでの業務使用が考えられますが、この記事ではドラレコで車内撮影を行う方法について、以下の4つの括りでご紹介致します。
・セパレートタイプの前後2カメラドラレコ
・3カメラドラレコ
・360°ドラレコ
一体型の前後2カメラドラレコ
車内撮影用のサブカメラを搭載しているドライブレコーダーは、フロントにメインのカメラ、裏側にサブカメラが設置されているものがほとんどです。
車内撮影用のカメラには、夜間でも車内が明るく映るように赤外線LEDが搭載されているものが主流ですが、最近の製品はカメラ性能が向上している為、赤外線をOFFにした方が夜間の車内・車外の視認性が上がります。
逆に赤外線をONにしてしまうと、それがサイドガラスに反射して車外が見えにくくなってしまうシチュエーションがあります。
このタイプの製品はそこそこ発売されているモデルが多いのですが、画質の面ではVANTRUEの「S2」「N2S」がダントツの高画質なので多くは紹介しません。
VANTRUE「S2」
一体化2カメラドラレコとして最も新しく注目度が高いのはVANTRUEの「S2」です。
※「S2」はベースが2CHモデル、これにリアカメラが追加された3CHセットモデルもあります。
「S2」はVANTRUEの一体型2カメラドラレコとしては4代目に当たり、「N2」→「N2 Pro」→「N2S」→「S2」と進化しています。
従来モデルとは異なり、板状のマウントを採用する事でミラー裏への設置が可能となり、さらにWiFi機能もサポートされていますので、利便性が大幅に向上しました。
同社の従来モデルと同様にVANTRUEビュワーと合わせて使用する事で強力な夜間撮影能力を発揮します。(暗視はN4、N2Sよりも若干落ちる)

VANTRUE「N2S」
「S2」と同様に一体化2カメラドラレコとしては最強の画質を誇るのがVANTRUEの「N2S」です。
「S2」とは異なり、WiFiには非対応の円筒型のデザインですが、画質面ではフロントカメラに500万画素のSTARVISセンサー「IMX335」、インナーカメラに200万画素のSTARVISセンサー「IMX307」を搭載した、このカテゴリーでは最も高いハードウェアスペックを誇る製品となっており、VANTRUEビュワーと合わせて使用する事で得られる暗視能力は「S2」以上です。

万能型の3カメラドラレコ
一体型の2カメラドラレコはフロントと車内・左右の認識は得意ですが、後続車両の動きとナンバーを把握するのが苦手です。
このような理由から、2020年初頭からは3カメラドラレコのライナップも増えており、2021年末以降には360°カメラと組み合わせた3カメラモデルも出てきています。
カーメイト ダクション360D「DC4000R」
カーメイトのダクション360Dは、筐体中央の360°カメラに前方を撮影するフロントカメラ、後方を撮影するリアカメラを追加した、360°+2カメラのハイエンドモデルです。
従来の360°ドラレコは、一般的な2カメラドラレコと比べると広範囲の録画が可能な為に事故の際の状況証拠を捉える目的では有利でしたが、ナンバーの認識能力が致命的に低い点が弱点でした。
本製品では筐体下部の400万画素カメラで360°の全方位の録画を行った上で、前後は200万画素のカメラでフルハイビジョン録画を行うという理想的な仕様となっています。
駐車監視モードにはやや癖がありますが、その他は万人向けの特性ですので駐車監視をしないユーザーはまずこの製品を検討すると良いでしょう。

4カメラまで対応可能な異色のネットワークドラレコ GARMIN「47Z」
GARMINは言わずと知れたアメリカのGPSメーカーでガジェットメーカーとしては抜群の信頼性を誇ります。
同社の「47Z」は2019年6月に発売された、WiFiとBluetoothでネットワークを構築する2カメラドライブレコーダー「46Z」の2021年向けの後継機ですが、このネットワークリアカメラ相当の単品モデル「mini2」を2台まで追加する事で、最大で4台の構成が出来ます。
3台構成の場合には3台目を車内向きに、4台構成なら左右のクォーターガラスに外向きに取り付けるなど方法でユーザーの要望に合わせて撮影範囲を調整する事が可能です。
本機はSTARVISセンサーを採用している訳ではありませんが、ソフトウェアによるチューニング技術が優れており、昼間の白飛びを抑えながら夜間も比較的明るく撮影できるのが特徴です。

3カメラドラレコ ユピテル「Y-3000」
ユピテルの「Y-3000」は、スタンダードな箱型のフロント筐体+円筒型のリア筐体の前後にカメラの搭載する、珍しい1+2タイプの3カメラドラレコです。
従来型の3カメラドラレコは、3ピースのセパレート、またはフロントカメラ筐体の前後にカメラを搭載した2+1タイプが主流でした。
「Y-3000」ではリア筐体に2つのレンズを搭載する事で、運転の邪魔にならない位置にフロントカメラ筐体を取り付けられる上、取付の手間も通常の2カメラドラレコと変わらないというメリットも備えています。
録画視野角が前:水平138°、中:水平138°、後:水平128°と、特にインナーカメラの視野角を従来モデルよりも広げた事で、ドアパンチの撮影能力も高くなっている点が最大の特徴です。

3カメラドラレコ VANTRUE「N4」
前述の3機種が発売される前までは最強の高画質を誇っていたのが、VANTRUEの3カメラモデル「N4」です。
本製品はフロント筐体の前後とリア用の筐体に、それぞれ500万画素・200万画素・200万画素のSONYのSTARVIS対応のイメージセンサーを搭載し、2.5K/フルHD/フルHDの高解像度録画を行います。
フロントカメラは2.5Kの高解像度録画を行いますので、ナンバー認識精度が非常に高い上、動画の明るさを自在に調整できるPCのVANTRUEビュワーを使って再生する事で、従来のドラレコの明るさの限界値を余裕で振り切る明るさを実現しています。
従来の感覚からするとちょっとおかしいだろう?と感じるくらいの暗視能力で、前後と合わせて室内・左右の録画も可能ですので、現行のドラレコとしては走行時の事故、運転トラブル、駐車監視のあらゆるシチュエーションで最強クラスの証拠能力を誇ると言っても過言はありません。

ただし、ドラレコやガジェットの操作が苦手であったり、機械系が全般的に苦手という方にはユピテルやセルスターなどの日本メーカーの製品をおすすめします。
3カメラドラレコ VIOFO「A139」
VIOFOの「A139」は2021年に発売されたWiFi対応の液晶なし3カメラドライブレコーダーです。
3カメラともにSONYの夜間特化型STARVISセンサーを搭載し、フロントカメラは2.5Kの高解像度とVANTRUEの「N4」によく似た仕様となっています。
VANTRUEのPCビュワーの性能を考えると、ドラレコとしての実用性で「N4」を上回る事は難しいと考えていますが、VIOFOのドラレコには景色撮影能力が高い製品が多いので、美しく綺麗な映像を撮影した方向けの製品になりそうです。

VANTRUE「S2」
これまでに他社に先駆けて3カメラモデル「N4」を販売し続けて来たVANTRUEが、2022年8月に新たにラインナップに加えたのがWiFi対応の「S2」です。
「N4」と同じくフロント筐体に前後2カメラを搭載するものの、インナーカメラが筐体下部に設置されるなど、ルームミラーを回避し易い構造となっており、取付の際の汎用性では一定の改善が見られます。
画質面ではフロント、インナーカメラはほぼ「N4」と同等、リアカメラは明るさの面で「N4」に劣ります。
3カメラとしての括りの中での画質面での総合力は、僅差ではあるものの、「N4」>「A139」>「S2」と言った印象です。

車内撮影が出来るドライブレコーダーのまとめ
以上、車内撮影ができるドライブレコーダーについていくつかご紹介しました。
走行中の証拠能力はカーメイトのダクション360Dが最も高そうですが、駐車監視になると運用の利便性なども考慮する必要が出てきますので、そのような目的の方は以下記事をご参照ください。

コメント
ZDR-026のサブカメラをフロントに設置し、後ろ向きに撮影するのはいかがでしょうか?
通りすがり様
ZDR-026はSTRVISでも明るさ特化の味付けではなく、車内向けと言う感じではないですね。
また、車内向けだと高解像度が活かせませんし、車間距離のファイルロックも効かなくなるので、勿体ない使い方になると思います。
返信ありがとうございます。
当方、駐車監視(ドアパンチ)を重点にドラレコを検討しておりますが、360℃カメラはナンバーの識別が厳しいとの事でしたので、2カメラはタイプでフロントから前後で撮影出来るものを検討いる中でZDR-026が使えないかと思ったのですが、ZDR-026のSTRVISは車内向けではないのですね…
通りすがり様
車内に向けてカメラを設置するのは色々難しい部分がありまして…
性能が低いドラレコを車内に向けて設置すると
①ガラス越しの外の映像が白飛びする
②夜間は車内も外の映像も暗くなる
と言う問題が発生します。
1.車内向けに設置して、車内だけを撮影したいのなら、夜間の赤外線LED対応製品などが最適です。
2.車内向けに設置して、車外だけを撮影したいのなら、昼間の白飛びに強く、夜間も車外がそこそこ明るく映る製品が最適です。(白飛びと明るさはトレードオフの関係にあるので、この条件を満たす製品はコムテックのHDR-351/2、くらいしかないような気がします。
3.車内向けに設置して、車内と車外を撮影したいのなら…となると更に難しくなります。今のところ一番正解に近いのはやはりHDR-351/2かなぁとは思うのですが…。
予算の条件が無ければカーメイトのダクション360Sがドアパンチには強いですが、通常の駐車監視の運用だと小さな衝撃を検知しない可能性がありますので、駐車中も走行中の常時録画を延々と継続させる必要がありますね。
ただ、microSDカードが128GBまでですので3時間分のデータしか保存できないのが難点ですが。
https://car-accessory-news.com/dc5000/
詳しいご説明ありがとうございます。HDR-351/2を二台使いにして二台とも駐車監視にした場合は、バッテリーの減りも2倍になってしまい、駐車監視の録画時間も半分になってしまうという理解でよろしいでしょうか?360Sは予算的に厳しそうです…
ちなみにVREC-DZ700DSCのサブカメラの性能はいかがでしょうか?
通りすがり様
見た目や運用の部分はさておき、最小限のコストて最大限の効果を得ようと考えるなら、今のところHDR-351/2×2台ですかね。
電力消費に関しては、単純に2倍ではなく2倍+アルファになりますね。一度に流す電流が大きくなるほどバッテリーの持ちは悪くなりますので。
VREC-DZ700DSCについては、随分前にサンプルは手配してあるのですがなかなか時間が取れず放置気味です。
テストは10月になりそうです。
STARVISなので車外の白潰れには弱そうです。
お忙しいところありがとうございます。
それでは、現時点ではHDR-351/2×2台使い+ドラレコ用UPSの使用がベターでしょうか?
VREC-DZ700DSCのテストも楽しみです。
通りすがり様
見た目の問題を考えなければHDR-351/2×2がベストな設定と考えます。
VREC-DZ700DSC、一ヶ月以上前からサンプルあるんですが、どうしても外部依頼のレビューが先になってしまうので、10月中旬以降になりそうです…。
HDR-351/2二台使いについて一点気になったのですが、車室内側に向けたドラレコについては、モニターがフロントガラス側を向いているので、本体設定や動画確認の際は、本体を回転させ、モニターを確認することは可能でしょうか?
通りすがり改めブランドル様
付属のレンチでマウント固定ボルトを緩めれば360°回転出来ますが、面倒と言えば面倒です。
レビュー要望の欄に無いのでこちらから失礼します。
オウルテック社のOWL-DR803FG-3Cをレビューして頂きたいです。
チュウソン様
確認すると公開できなくなる可能性があるので確認していなのですが、この製品はVANTRUEのOEMである可能性があり、「N4」とほとんど同等品だと思ってます。なのでこちらのレビューをご参考に頂けると幸いです。
https://car-accessory-news.com/vantrue-n4/