※2021年9月25日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
2カメラを超えるチャンネル数を超えるドライブレコーダーとしては、VANTRUEの「N4」が人気ですが、AKEEYOから最大4カメラ対応のドライブレコーダー「AKY-Z3GT」が発売予定であるとの情報が入って来ました。
なお、発売時期や製品仕様は調整中の部分がありますので、多少の変更がある可能性もありますが、現時点で判明している情報に基づいて「AKY-Z3GT」の製品概要について解説します。
「AKY-Z3GT」のスペックと特徴
「AKY-Z3GT」には「AKY-Z3GT-3」と「AKY-Z3GT-2」の2つのバージョンがありますが、カメラ仕様はこちらの通りです。
この仕様を見る限り、3と2は同じ筐体で3は3カメラ、2は2カメラ、いずれもOPで4カメラまでの増設が可能なようです。
AKY-Z3GT-3 | AKY-Z3GT-2 |
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21.09発売 | |
フロント:1920×1080/25fps リア:1920×1080/25fps サイド①1920×1080/25fps サイド②(OP)1920×1080/25fps | フロント:1920×1080/25fps リア:1920×1080/25fps サイド①(OP)1920×1080/25fps サイド②(OP)1920×1080/25fps |
LED信号対応不明 | |
レンズ視野角 未確認 |
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リアカメラケーブル??m | |
microSD付属32GB/最大??GB | |
GPSは外付け付属 | |
駐車監視モード | |
衝撃検知後の録画のみ | |
専用3芯ケーブル付属 | |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
ディスプレイは5.5型のセパレートという事ですので、先日レビューしたセイワの「PDR900SP」と似たような仕様と言えます。
サイドカメラは「AKY-X3GTL」や「AKY-V360ST」付属するものと同じ仕様と見られ、ウィンカー連動機能もサポートされている模様です。
現時点ではこれ以上の事は分かりませんが、ディスプレイが5.5型と大型であり、サイドカメラのウィンカー連動表示機能がサポートされている事から、スマートミラー的な運用も可能かも知れません。
セット内容とデザイン
今回は正式発売前の「AKY-Z3GT」のほぼフルセット最終サンプルをAKEEYOさんからご提供頂きました。
※先行して発売されるのは「AKY-Z3GT-2」の方との事
3カメラ版は10月末以降になるそうです。
セット内容についてはこちらの通りとなります。(これは最終サンプルなので正式版とは若干内容が異なるそう)
・ダッシュボード用粘着マウント
・フロントカメラ
・フロントカメラ用ケーブル(1.5m)
・リアカメラ
・リアカメラ用ケーブル(8m)
・リアカメラステー
・サイドカメラ左
・サイドカメラ左用ケーブル(1.5+0.5m)
・サイドカメラ右
・サイドカメラ右用ケーブル(1.5+2.5m)
・GPSアンテナ
・シガー電源ケーブル(製品版は3芯との事)
・32GBのmicroSD
・配線チューブ
・配線止め
・内張り剥がし
・両面テープ
・取扱説明書
フロント筐体
フロント筐体はセイワの「PDR900SP」に良く似た5.5型静電式タッチパネルディスプレイを採用しています。
右側面には5つの操作ボタンがありますが、ほぼ全ての操作はタッチパネルと音声コマンドで可能ですのでこのボタンを使う事は手動での電源のON/OFF以外にはほぼないでしょう。
左側面にはmicroSDカードスロット(microSDは4K対応のU3以上が指定)
背面には根元で1本にまとまったケーブルと右サイドカメラ入力端子、GPS端子が装備されています。
マウントは粘着タイプとなっています。
なお、右カメラ入力端子はアナログ4極ジャックとなっており、このカメラ以外の映像の入力も可能なようです。(入力可能な映像の形式は直接メーカーに確認して下さい)
フロントカメラ
セパレートタイプのフロントカメラはカメラ側がminiUSB端子、ディスプレイ側が4PIN形状の1.5mケーブルと接続します。
側面には正像/鏡像・天地反転の切り替えスイッチがあります。
なおマウントは手違いで同梱されていませんでしたので、手持ちのマウントを加工して使用しました。
リアカメラ
リアカメラはAKEEYOのスマートミラーに使われている物と同等と見受けられるものが付属します。
中継ケーブルはバック信号線付きの8m、カメラは防水仕様でこちらのステーが付属しますので車内・車外のどちらにも取り付け可です。
こちらはスマートミラーではありませんので、カメラを下方向に向けてバックカメラ寄りの角度にするものアリですね。
左右サイドカメラ
左右のサイドカメラは1.5mのケーブル付きのカメラ部分は同じですが、左はディスプレイとの接続に1.5mの4PIN to 4PINケーブル、右は2.5mの4PIN to 4極アナログプラグケーブルを使います。
電源ケーブル
電源ケーブルはシガープラグタイプが付属していますが、製品版は3芯直結ケーブルになるとの事です。
車内への取付けについて
今回はアクアに「AKY-Z3GT」の取り付けを行いました。
なお、マウントの粘着性は非常に高いので、アクアのようなダッシュボード表面の素材に凹凸ある場合にもしっかり固定出来ましたので、ほとんどの車で問題なく筐体の固定自体は出来るでしょう。
※フロントカメラはマウントは送付が漏れていたので、手持ちのマウント加工して取り付けています。
リアカメラは車外のリアスポ下に付け。
サイドカメラはミラーの付け根に取り付けています。
ケーブルが車外に出てしまう場合にはこちらの付属のチューブを通して、なるべく目立たない位置に固定します。
※両面テープは再利用不可ですので、位置合わせは一発で終わらせて下さい。後で貼り換えると防水の面で問題が出るかも知れません。
なお、左サイドカメラはウィンカーとの連動表示に対応していますので、ウィンカー信号の+線にディスプレイ筐体から伸びている赤線を接続します。
ウィンカー信号の+線は車内のカプラーなどの位置が特定出来ればそこから取れは良いですが、分からない場合にはドアミラーウィンカーから取るのが簡単です。
ドアの内張を外すと車体側からウィンカーに伸びているハーネスがありますので、このカプラーを外してテスターでウィンカー信号を突き止めます。
ウィンカー信号線が特定出来たら、エレクトロタップなどで配線を割り込ませますが、内張りを戻す前に必ずドラレコの動作確認を行いましょう。(エレタップは時々ケーブルの被膜を突破出来ない事がある)
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
インターフェイスと操作系について
電源ONから録画開始までの起動時間は18秒程度と、流石に普通のドラレコと比べると遅くなっています。
操作は強制シャットダウン、強制電源ON以外は全てタッチパネルでも可能ですので、ボタンはほとんど使わなくても困る事はありません。
このディスプレイは静電式タッチパネルですが、ドラッグ中にタップ操作とみなされて画面が切り替わってしまったり、アイコンをタップしてもなかなか認識されない事がありました。
デフォルトでは全てのカメラが正像で出力されますので、設定からこのように変更しましょう。(録画映像も合わせて変更されます)
なお、全カメラで天地の反転も出来ますのでカメラ位置と向き調整の汎用性は高いと思います。
※microSDカードは4K録画に対応したU3規格以上が指定ですが、この条件を満たしていないカードを使用すると動画が途切れてしまったり、起動すら出来ない事がありますので注意しましょう。
音声コマンド
「AKY-Z3GT」にはほとんど使わないボタン、静電式タッチパネル液晶と合わせてこちらの10種類の音声操作にも対応しています。
・モニターオフ
・フロントカメラ
・バックカメラ
・サイドカメラ
・全てのカメラ
・写真を撮ります
・録音開始
・録音終了
・ビデオロック
これだけコマンドが多いと覚えるのが大変そうですが、覚えてしまえば便利に使えそうです。
なお、過去の同社の音声コマンド操作モデルでは、車内の会話やラジオなどの音声を拾って誤動作してしまう現象が報告されています。
本機では今のところこのような現象は確認出来ていませんが、誤動作が起きる場合には情報をメーカーに直接フィードバックしましょう。
サイドカメラ機能
「AKY-Z3GT」の左サイドカメラは赤線をウィンカー信号線に繫げる事で、左ウィンカーに連動して映像をフル画面に自動で切り替える事が可能です。
なお、右サイドカメラはウィンカー連動切り替え、音声コマンドによる切り替えは出来ませんので、どうしても右サイドの映像を切り替えたい場合には、左用のカメラを右側に付けて右側のウィンカー信号線を取るしかありません。
また、今回取り付けたドアミラー用のサイドカメラではこのように下の方の視野が広く、上の方が映りにくい映像範囲となります。
このようなドアミラーの視野に対して
前方の死角は良く映っています。
おそらく「X3GTL」や「V360ST」と同様に後日このようなフェンダー貼付けタイプのカメラも出てくると思いますが、
こちらのカメラを使用した場合にはこのように上の方が広がる映像範囲となります。
夜間のサイドカメラの暗視能力もそこそこ高く、明るい場所ではこのように非常に明るく映り、
街灯から離れた暗い場所でもそれなりに明るく映ります。
バックカメラ機能
リアカメラの赤線をバック信号線に繋げた場合には、リバースギアに連動してこのようにガイド線入りのバックカメラの映像に切り替わります。
ガイド線はこのように細かく調整する事が出来ますが
カメラとステーの形状の問題でバンパーが映るほど下の方には向けられませんので、純正品のバックカメラの様に後方の距離感を掴む用途には向いていません。
ドライブレコーダーとしての画質について
「AKY-Z3GT」のフリー映像はこちらの通りです。
ぱっと見の印象は4カメラとも昼夜ともに逆光補正と明るさに優れている印象です。
サイドカメラについても、そこそこ暗視能力が高く他社の360°系のドラレコでこのように見える暗い場所でも…
まずまず明るく映っています。
VANTUREの「N4」よりは暗いものの、サイドを映すカメラが外付けとなっている事から、幅寄せに起因する事故や、歩行者や自転車の動きもこちらの方が把握し易いと感じました。
前後カメラの映像についてはコムテックの「ZDR035」とこちらのポイントについて比較しています。
・逆光補正能力(白飛び・黒つぶれ)
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
・暗視能力
録画視野角について
フロントカメラの録画視野角は水平109°程度でドライブレコーダーとしては標準的です。
リアカメラも同様でした。
逆光補正能力について
フロント・リアカメラの逆光補正能力はHDRモデルの「ZDR035」ほどではないものの、まずまず実用的なレベルです。
ナンバー読み取り精度について
昼間のナンバー読み取り精度は、前後カメラともフルハイビジョンモデルとしては標準的なレベルでした。
夜間のナンバー読み取り精度について
「AKY-Z3GT」はHDRモデルではありませんが、夜間のチューニング精度が高くヘッドライトが反射したナンバープレートの読み取り精度はHDRモデルの「ZDR035」と同クラスと高めでした。
夜間の明るさについて
夜間の明るさは、明るい場所、暗い場所のいずれにおいても、STARVISモデルとしてはまずまずの水準でした。
リアカメラの暗視能力は「ZDR035」と比べるとほんの少しだけ低めですが、まずまずのレベルでした。
ドラレコ映像で気になったポイント
「ZDR035」との比較では昼夜ともにまずまずバランスの良い調整具合となっていますが、フロントカメラのフレームレートが25fpsとなっている為、電力周波数50Hzの東日本エリアのLED信号が同期して数秒間消灯しました。
こちらは以下動画で状況を確認頂けます。
※これ1台で全てをカバーしようという主旨の製品ですので、これは修正の必要があると感じますが、4カメラのフレームレートを揃えて同期させていますので簡単には直せないような気がします。
また、4カメラ録画でマシンパワーを使い過ぎている為かビットレートの問題かは分かりませんが、走行中の映像がザラついたり、細かいモザイク状に崩れる事がありました。
こちらは以下動画で状況を確認頂けます。
おそらく、この製品はハードウェアの性能を限界まで使い切った状態ですので改善は難しいでしょう。
また、サイドカメラはほとんど光がない場所で起動すると、露出が下げられて真っ暗な状態になります。
少し光の当たる場所に移動すると露出が解放されて明るくなるのですが、こういう仕様のようです。
駐車監視について
「AKY-Z3GT」の駐車監視モードは、衝撃検知後に録画を開始するモードとの事ですが、今回は3芯ケーブルが付属していなかった為テストはしていません。
この製品はサイドカメラを2台設置する事でドアパンチも確実に捉えられそうな印象ですが、駐車監視の録画方式が「衝撃を検知してからの録画」となる為、駐車監視モードの使用は推奨しません。
外部バッテリーと組み合わせて常時録画を継続する方法であれば、強力な監視能力を発揮出来るでしょう。
外部バッテリー「iCELL」を使用した駐車監視の運用について
外部バッテリーを使用した駐車監視のテストは「iCELL」で行い、常時録画の継続という運用で正常な動作を確認しました。
この場合の運用は、駐車監視に入る前に音声コマンド、またはボタン操作でモニターを消灯させ、次に運転する際には同様の手順でモニターを点灯させます。
「AKY-Z3GT」の常時録画モードでの消費電力は以下の通りでした。
従ってiCELLでの連続駆動時間の予測はこちらの表の通りとなります。
型番 | B6A | B12A | B40A |
---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 9時間 | 18時間 | 52時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 |
iCELLとの接続方法
iCELLを使って走行中の常時録画を継続する場合には、通常とは異なりこのようにiCELLと接続します。
②「iCELL」OUT黄線~二又に分岐させて「AKY-Z3GT」3芯ケーブルの赤・黄に接続
③「iCELL」OUT黒線~「AKY-Z3GT」3芯ケーブルの黒に接続
iZONEを使用して自動で駐車監視キャンセル
駐車中も「AKY-Z3GT」の常時を継続させる場合、駐車監視をしない自宅駐車場などでは電源ボタン長押しで電源を落とし、次に車を運転する際には同様に電源ボタン長押しで電源入れ直す必要があり、非常に面倒です。
そこでこちらのLaBoon!!企画のガジェット「iZONE」と組み合わせて使用れば、自宅駐車場などの予め登録したGPSポイントでは自動でドラレコの電源をOFF、次の運転時には自動で起動させる事が可能です。
接続方法はこちらの通りです。
②「iZONE」OUT白線~二又に分岐させて「AKY-Z3GT」3芯ケーブルの赤・黄に接続
③「iZONE」OUT黒線~「AKY-Z3GT」3芯ケーブルの黒に接続
動画ファイルの再生方法について
この製品は専用のPCビュワー以外での再生は不可となっており、無理に再生すると動画が崩れてしまいますので、以下の専用ビュワーを使用しましょう。
PC専用ビュワーでの再生について
PCの専用ビュワーは以下のページからダウンロード可能です。
機能的には以下のようにスタンダードなものとなっています。
・映像の拡大縮小~〇
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~表示はあるが反映されず
・再生速度調整~×
・明るさの調整~×
なお、動画を読み込む際に見た目は読み込みが完了しているように見えても、実際には読み込み中である事があり、この場合には動画がカクつく事があります。
読み込みが完了したファイルはファイル一覧の下に最高速度と走行距離が表示されますので、それまで待ってから再生して下さい。
症状が改善されない場合はメーカーに問い合わせて下さい。
microSDでの録画時間について
「AKY-Z3GT」のmicroSDカードのサポート範囲は256GBまでとなっていますが、以下の512GBのカードは使用出来ました。(長時間の録画はテストしていません)
なお、256GB以下のカードでも、他のドラレコで使用後にPCでexFAT形式でフォーマットしたものは認識されず、FAT32形式でフォーマットし直してから挿入→本機でのフォーマットを要求される事がありました。
※1時間当たりのデータ使用量は20GB程度です。30%程度はイベント領域かと思います。
地デジへのノイズの影響について
アルファード+サイバーナビの組み合わせでは「AKY-Z3GT」を起動させるとアンテナが5本→4本に減りました。
ラジオへのノイズの影響は確認出来ませんでしたが、車種やカーナビの種類、アンテナの位置で状況は変わる事がありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
「AKY-Z3GT」の総評
最後に「AKY-Z3GT」の総評です。
「AKY-Z3GT」のドライブレコーダーとしての画質は、事前の予測をやや上回るもので、ナンバーの読み取り精度、全体の状況の把握能力は競合する他社の360°+リアカメラのどの製品よりも高くなっています。
従って事故や煽り運転の被害に遭った際の状況証拠を押さえるという目的においては、現時点では「AKY-Z3GT」が最も強力な製品であると言えそうです。
ただし、フレームレートが全てのカメラで25fpsとなっている関係上、電力周波数が50Hzの東日本エリアではLED信号が同期して消灯してしまいますので、この製品の特性を考えると非常に痛いところです。
また、当て逃げやドアパンチにしっかり備えようと考えた場合には本機の駐車監視モードは衝撃検知後からの録画という仕様になっている為、外部バッテリーと合わせての常時録画の継続が要求され、コストが掛かります。(消費電力も大きい)
現時点では無条件でおすすめ出来るのは電力周波数が60Hzのエリアでの使用を前提としている西日本エリアのユーザーという事になりそうです。
※フレームレートの27.5fps化は難しいそう。
現在先行発売されているのはZ3GT-2の方で3カメラ版は10月末以降になるそうです。
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