※2018年11月8日更新~西日本でのテスト撮影を行ったところ、ガッツリ同期しましたので内容を追記
このところ、ユピテルからSTARVIS対応のドライブレコーダーの発表が相次いでいますが、今回はようやく?GPSとWiFi非対応のエントリークラスと思しき円筒型のモデル「SN-SV40c」が発表されています。
公式サイトを見る限り、「SN-SV40c」はWEB専売モデルとなっているようですが、販路がネット通販が中心というだけで通常の箱と紙の説明書が付属する廉価モデルのようです。
「SN-SV40c」の特徴
「SN-SV40c」のスペックは以下の表の通りです。
SN-SV40c |
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18.08?発売 |
1920×1080/30fps/HDR |
西日本LED信号は同期しました |
録画視野角 水平115° |
microSD付属8GB/最大32GB |
GPS非対応 |
駐車監視モード |
常時録画+衝撃検知/自動起動 |
専用ケーブル OP-E487 OP-VMU01 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
2018年8月末までで、ユピテルのSTARVIS搭載ドライブレコーダーをグレード順に上げていくと、円筒型のモデルとしては水平録画視野角132°でWiFi/GPS搭載の「SN-SV70c」、水平録画視野角115°でWiFi/GPS搭載の「SN-SV60c」、水平録画視野角115°でWiFi/GPSを搭載しない、今回の「SN-SV40c」の3つとなっています。
一方で箱型のスタンダードコンパクトタイプのドライブレコーダーとしては、水平録画視野角103°でGPS搭載の「SN-ST50c」が存在しています。
また、指定店舗向けの2カメラドライブレコーダーとしては前後STARVIS対応の「SN-TW80d」も発売されており、2018年のユピテルドライブレコーダーのラインナップはSTARVIS一色となっていますね。
リアだけSTARVISのモデルも10月に「DRY-TW9100d」が発売されていますし、そう言えば720°全天球ドライブレコーダーの「Q-02c」もSTARVISモデルでしたね。(笑)
少々分かりにくいので型番を整理すると、数字の40系がGPSなしのエントリー、50系はGPSありのスタンダード、60系以上はそれ以外の付加価値モデルということになります。
今回の「SN-SV40c」は箱型モデルでは発表されていないGPSなしのエントリークラスとなりますので、WEB専売モデルであるという事もあり、ユピテルのドライブレコーダーの中では最もリーズナブルな価格になる事が期待されています。
セット内容とデザイン
「SN-SV40c」については特にリアに単独設置のモデルとして期待が大きい事から、今回はユピテルさんには断らずに勝手に自己購入しています。
セット内容は以下の通りです。
①ドラレコ筐体
②miniUSBシガーケーブル
③マウントセット
④8GBのmicroSD
⑤両面テープ
⑥取扱い説明書
デザイン面では「SN-SV70c」とほぼ同じだろうと思いこんでいたのですが、筐体は全く共用している部分はありません。
「SN-SV40c」の方が幅広で細長いデザイン、レンズは筐体のほぼ中央に設置されています。
microSDカードスロットは運転席側から見て左側で「SN-SV70c」とは位置が逆になっています。
因みにこのモデルは液晶が超小型でWiFi非対応である為、テレビなどの外部出力用にmicroHDMIポート(miniじゃないよ)が搭載されています。
他社がコンパクトモデルとして販売しているドライブレコーダーと比べると、容積はそれほど変わらないものの、マウントが短い為、設置した時の圧迫感にはかなりの差があるかと思います。(ミラー裏に隠さない場合)
左からケンウッド「DRV-230/320/325」、ユピテル「SN-SV40c」、コムテック「ZDR-022」
インターフェイスと操作性について
「SN-SV40c」は液晶が小さく一度に表示可能な項目数が限られます。
また、操作ボタンが小さい上に、「MODEボタン」を決定操作と共用している為、操作性はあまり良くありませんし、メニューも「MODEボタン」で表示カテゴリーを切り替える仕様である為、分かりにくいです。
上の画像では下部に「PROTECTボタン」がOK=決定という旨の表示がなされていますが、時には「MODEボタン」が決定の機能を担う事があるので、普通の人は慣れるまで何度も誤操作を繰り返すかと思います。(画面下の操作ボタンの説明はありますが)
4つボタンの場合▲・▼・メニュー・OKとして、メニューボタンに「戻る」の機能を与えれば迷う事はないと思うんですけど、メニューツリーが「MODE」で切り替える方式なのでややこしくなってます。
また、一度メニューに入った後に設定などを変更してメニューから脱出すると、普通のドラレコは常時録画を開始するのですが、「SN-SV40c」の場合には上部に各種設定一覧が表示される画面になるだけで、録画は自動では開始されません。
一度メニューに入ると、最後に右側面の「PROTECTボタン」で手動で録画を開始しなければならないという事です。
という訳で、インターフェイスに関しては直観的な操作が全く不可なので、ガジェット系が苦手な方には、ちと厳しいかも知れません。
取り付け位置について
「SN-SV40c」は液晶が超小型ですので、フロントガラスの上の方に設置すると液晶画面の確認が困難になります。
従ってルームミラーの付け根の真下にレンズが来るような位置がベストかと思います。
リアに設置してもそこまで目立つ感じではないですね。
録画視野角と画質について
画質に関してはフロント・リアに設置した2つのパターンでのテストを行い、それぞれ以下のモデルと比較を行っています。
◆フロント設置のパターン
①ユピテル「SN-SV70c」
②コムテック「ZDR-022」
③ケンウッド「DRV-320」
◆リア設置のパターン
①ユピテル「SN-SV70c」
②コムテック「ZDR-022」
③AUKEY「DR02」
録画視野角に関してはスペック表記では水平115°となっていますが、実測でも同等の115°程度でした。
ここ数ヶ月でスタンダードクラスのドライブレコーダーの録画視野角が115°前後に底上げされてきた印象です。
ナンバー読み取り精度に関わる精細感
精細感については、先に発売されているユピテルの超広角モデル「SN-SV70c」が最も苦手としてる部分ですが、録画視野角が狭くなった「SN-SV40c」では大幅な改善が見られます。(「SN-SV70c」の精細感が低いのは視野角だけの問題ではない気がするが)
この4モデルの中ではもっとも精細感は高い印象です。
白飛び耐性について
白飛び耐性についても「SN-SV70c」が、やや苦手としている項目になりますが、こちらも明るさの調整が行われており、耐性は若干上がっています。(周りも暗くなっているので露出を下げる調整をしたのではないかと)
この4モデルでは劇的な差がある訳ではないですが、敢えて順位をつけるのであれば以下の通りとなります。
①ケンウッド「DRV-320」
②コムテック「ZDR-022」
③ユピテル「SN-SV40c」
④ユピテル「SN-SV70c」
夜間の明るさについて
「SN-SV40c」の夜間の明るさについても「SN-SV70c」から微妙な調整が入っていますが、動画を見る限り以下のような傾向が見られます。
①全体の明るさを下げた
②明るい部分の絞りを強めた
③暗い場所では高感度ノイズを出して明るさを確保
④ダイナミックレンジは狭くなった(夜間は明暗の差が大きい場所は得意ではない)
その効果としては以下の点が挙げられます。(悪い点も含む)
①街灯が多く明るい場所では、全体的に明るさが抑えられ、光が当たらない場所が暗くなった
②街灯が少ない場所では「SN-SV70c」と同程度の明るさ
③暗い場所ではノイズが多くなるものの、「SN-SV70c」よりも明るくなった
④ヘッドライトが当たった状態でのナンバーの読み取り精度は、「SN-SV70c」よりも若干改善された
この調整に関してはセルスターのSTARVISモデル「CSD-790FHG」に近い形となりますね。
このような条件下では全体の認識能力は以下の順位となります。
①ユピテル「SN-SV70c」
②コムテック「ZDR-022」
③ユピテル「SN-SV40c」
④ケンウッド「DRV-320」
一方で暗い場所になると、全体の認識能力は「SN-SV70c」とそれほど変わらなくなります。(ヘッドライトが明るす過ぎると、ヘッドライトが当たらない部分が暗くなりそうな予感)
このような条件下では全体の認識能力は以下の順位となります。
①ユピテル「SN-SV70c」
②ユピテル「SN-SV40c」
③コムテック「ZDR-022」
④ケンウッド「DRV-320」
更に暗い場所になると「SN-SV40c」はノイズを出しながらも、明るさの絞りを開放して全体が明るくなるイメージです。
この状態では明らかに「SN-SV70c」の明るさを超えています。
①ユピテル「SN-SV40c」
②ユピテル「SN-SV70c」
③コムテック「ZDR-022」
④ケンウッド「DRV-320」
暗い場所で明るくなったのは良いのですが、明るい場所で暗い部分が映らないのはちょっと痛いですね。街灯が多いような場所の方が歩行者や自転車が出現する確率は高いと思いますので…。
ヘッドライト反射時のナンバー読み取り精度
ヘッドライトがガッツリ反射した先行車のナンバーについてですが、どれもライトの当たり方によっては真っ白で全く読み取れません。(まぁ、これはコムテックの一部のドラレコを除いてどれもそうなりますし、敢えて最も厳しい状況下の動画を上げています)
その中でも耐性の順位をつけると、一番最初に読み取り不能になるのが「SN-SV70c」最も頑張るのが「N-SV40c」と言ったところです。
敢えて優劣をつけるなら、反射耐性は高い順に以下の通りとなります。
①ユピテル「SN-SV40c」
②ケンウッド「DRV-320」
③コムテック「ZDR-022」
④ユピテル「SN-SV70c」
なお、「SN-SV40c」の画質については、他の同価格帯のドライブレコーダー7モデルとの比較も行いましたが、なかなかバランスに優れた味付けと言えそうです。
リアガラスに設置した場合の画質
リアガラスに設置した場合の明るさのテストは、以下のモデルとの比較を行いました。
◆リア設置のパターン
①ユピテル「SN-SV70c」
②コムテック「ZDR-022」
③AUKEY「DR02」
設置した車両はリアガラスに純正の薄いスモークが貼ってあるランエボ10です。
なお、「ZDR-022」「DR02」については動画の明るさの調整が可能な為、リア用に明るさ最大値、「SN-SV40c」「SN-SV70c」は調整出来ませんので標準設定のままです。
結果はフロントと変わらず、明るい場所では「SN-SV40c」はそれほど明るくありません…普通のドラレコ並みです。
暗くなるほど他の物よりも明るく映ります。
昼間の場合にはフロントよりもやや暗くなりますが、特に問題はないかと思います。
※「DR02D」は明るさを最大にしている為、上の方が真っ白になりますね。「ZDR-022」はそれほど変化は大きくない感じです。
西日本LED信号の見え方について
当機は東西LED信号対応モデルと謳われていますが、60Hzエリアに持ち込んでテスト撮影を行ったところ、同期して数秒間の消灯が確認されました。
ユピテルの30fpsモデルでは「DRY-TW9100d」はフレームレートの調整画見られますので同期しませんでしたが、現段階では当機を合わせて「SN-SV70c」「SN-TW80d」の3モデルでの同期が確認されました。(全て東西LED信号に対応と謳われている)
こう言った状況だと他の30fpsモデルも疑わしくなってきますね。
地デジへのノイズ干渉について
地デジへのノイズ干渉については、フルセグがギリギリ映る場所での電源オフで映像に変化はありませんでした。
ただし、車種やカーナビの種類、アンテナの位置によって干渉具合は変わりますので、全てのケースで影響がないかどうかは分かりません。
動画の再生方法について
「SN-SV40c」は超小型液晶でWiFi非対応のモデルですので、現場での動画の確認はスマホなどを積極的に活用したいところです。(サポート外なので自己責任でお願いします)
専用ビュワーでの再生
「SN-SV40c」の専用ビュワーについては2018年10月現在では公開されていないようです。
とりあえず「SN-SV70c」の指定ビュワーとなっているTypeEでの再生は可能でしたが、GPSなしのモデルなので地図はともかく、Gセンサーのグラフも出てきません。(ログ自体を取ってないかも)
このビュワーで他に出来る事と言えば1コマ再生程度なので、以下のPC汎用ビュワーでの再生に比べてほとんどメリットがないような気もします。
パソコンの汎用ビュワーでの再生について
「SN-SV40c」の動画の拡張子は「MOV」となっており、コーデックはH.264、ビットレートは10.5Mbpsです。
Windows 7→10にアップグレートしたPCのメディアプレイヤー12でも問題なく再生する事が出来ました。
スマホでの動画再生方法
iPhone 7では以下のカードリーダー付きのモバイルバッテリーを使用して動画の再生が可能でした。
android端末では以下のカードリーダー経由での再生が可能でした。(本体のカードスロットでも問題ないでしょう)
テレビやカーナビなどの外部モニターでの再生について
テレビなどのHDMIモニターに動画を出力する際には以下のmicroHDMIポートを使用します。
必要なものはHDMI入力ポートを搭載したテレビやカーナビと、HDMI to microHDMIケーブルです。
RCAなどのアナログ入力ポートしかない場合には、以下のHDMI to アナログコンバーターを間に入れて、RCAケーブルでモニターと接続すれば再生可能かと思います。
以下のような形で本来「SN-SV40c」の液晶に表示される物が外部モニターに出力されます。
「SN-SV40c」の駐車監視の仕様
ユピテルの2017年モデルまでは動体検知によって駐車監視を行うモデルが主流でしたが、何故か2018年モデルについては動体検知の機能を外したものが増えており、「SN-SV40c」も動体検知機能は搭載していません。
従って駐車監視の際には以下の専用ケーブル類やマルチバッテリーを用いて、走行中の録画状態を継続する形になります。
※「OP-VMU01」、「OP-MB4000」の使い方は以下の記事で説明しています。
■ ユピテル マルチバッテリー「OP-MB4000」の取り付け、使い方
駐車監視中の衝撃センサー感度については、常時録画の設定を継続しますので、感度を変更しなければ相当強くぶつけられないと反応しないかと思います。
かと言って駐車監視の度に設定を変更するのも手間ですので、自己責任で大容量のmicroSDを使用する方法が現実的かと思います。
なお、「SN-SV40c」には駐車監視モードが存在していないので、運用手順は以下の通りとなります。
①エンジンオフ時にドラレコは操作しない
②エンジンオン時にもドラレコは操作しない
③自宅駐車場で電源を落とす際は、ケーブルを本体から抜く(または、「OP-VMU01」のスイッチ、「OP-MB4000」のディップスイッチ操作)
④次回の乗車時にケーブルを本体に挿す
運用面がイマイチスマートではないですね。
外部電源を使用した駐車監視について
ドラレコ専用の外部バッテリーiCELLを使用した駐車監視の駆動予想時間はこちらの通りです。
iCELL | B6A | B12A | B40A |
---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 29時間 | 58時間 | 143時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 |
仕様外のmicroSDカードでの録画状況
「SN-SV40c」は32GBまでのmicroSDカードがサポートされていますが、以下のカードでドライブレコーダーのメニューからフォーマットを行い、1時間以上の録画、再生に異常は見られませんでした。
※サンディスクの128~200GBはPCでのフォーマット、ドライブレコーダーのメニューからフォーマットでも使用不可
「SN-SV40c」の総評
「SN-SV40c」は録画視野角も水平115°とそこそこ広く、現在のところ価格も1万円ちょいで落ち着いているようです。
他のSTARVISモデルに比べると白飛び耐性はやや高く、その代わり夜間の明るい場所ではやたらと暗く映る部分出て来るのが特徴です。(明るい場所だと普通のドラレコと同じような見え方)
おそらく、白飛び耐性とのトレードオフで暗くなっているのではないかと思いますが、明るさが一定値以下になるとノイズを出しながらかなり明るくなるのが特徴です。
夜間は明るい場所の方が自転車や歩行者と遭遇する可能性は高くなりますので、明るい場所で死角が出来るのは残念と感じます。
「SN-SV40c」の画質の特徴をまとめると以下の通りとなります。
①録画視野角~広め
②精細感~標準+α
③白飛び耐性~標準
④夜間の明るい場所での視認性~普通
⑤夜間の暗い場所での視認性~非常に良い
⑥操作性・利便̪性~やや悪い
先に発売された「SN-SV70c」は夜間の明るさに激振りしたモデルでしたが、「SN-SV40c」はバランスを取って角を丸めたようなモデルですね。
同価格帯の他社モデルと比べると非常にコスパは高いと思いますので、フロント用としてはなかなかおすすめ出来るモデルかと思います。
リア用としては、明るさの中間域までがAUKEY「DR02」よりも大幅に暗い為、なかなか判断が難しいところではありますが、録画視野角も広いですし、どんなどんな状況においてもある程度以上の認識能力を発揮する「SN-SV40c」の方が良さそうな気もしますね。
欲を言えば「SN-SV70c」のように常に明るい方が良いですが、価格差が2倍程度になりますので…。
市街地の走行が多い場合にはAUKEY「DR02」、街灯が少ない道路を走る機会が多いなら「SN-SV40c」を選ぶという方法もありますね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
「SN-SV40c」と競合するモデルはこちらです。
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