※2018年5月21日更新~360°+360°の全天球ドライブレコーダーのユピテル「Q-02c」をテストした結果を踏まえて全面的に内容を見直しました。

ここ2017年の東名高速の煽り事件以来、マスコミの煽り運転に関する報道も増え、警察による煽り運転の検挙数も増えているようです。

それに合わせて360°ドライブレコーダーに対する世間の興味も増しているように感じますが、通常のドライブレコーダーと比較して、360°ドライブレコーダーには何が期待出来るのでしょうか?

この記事では360°ドライブレコーダーとスタンダードタイプのドライブレコーダーの得意な点、苦手な点を踏まえて、360°ドライブレコーダーには何を期待すべきなのかを解説したいと思います。

ドライブレコーダーを設置する目的を改めて冷静に考えてみる

最近のドライブレコーダーは360°ドラレコも含めて、多機能・高性能化が進んでいます。

自分がドライブレコーダーを設置する目的を整理しておかないと、自分には必要のない機能が付いているがために価格が通常よりも高いモデルを選んでしまう事になるかも知れません。

あなたがドライブレコーダーを設置する目的として考えているのは、以下のつのうちのいずれか、または全てではないかと思います。

  • 事故の際に不利にならない為の証拠能力(視野角の広さ、明るさ、逆光補正の強さが必要)
  • 駐車中の当て逃げに対する証拠能力(精細感が必要)
  • 駐車中のイタズラに対する証拠能力(視野角の広さ、明るさ、逆光補正の強さが必要)
  • 煽り運転に対する抑止能力(後方ステッカーでアピールすれば、効果はダミーステッカーでも変わらない)
  • 極めて悪質な事件性のある煽り運転に対する、警察への通報に使用する証拠能力(精細感が必要)
  • 乗車中に暴力行為を受けた際の証拠能力(車内を撮影する機能が必要)

※車上荒らし・車両盗難対策については通信機能が必要になり、少々話がややこしくなるのでここでは深く触れない事にします。(通信機能付きのドライブレコーダーについては別途記事を作成します)

まとめると、ドライブレコーダーに求められるのは、①事故の際の状況証拠力、②当て逃げと悪質な煽り運転に遭ったの際のナンバー認識力、③暴力被害を受けた際の車内の撮影能力の3つになります。

※煽り運転の抑止には、デカいダミーステッカーで充分かと思います。

360°ドライブレコーダーが得意としている事

上記のようにドライブレコーダーに求められる能力は、①状況証拠力、②ナンバー認識力、③車内の撮影能力が主なものになりますが、360°ドライブレコーダーは録画視野角が広い為、①の広範囲にわたる大雑把な状況の把握が得意です。

また、車内も撮影が可能な為、暴力行為を受けた際の証拠能力も備えています。

例えば720°の全天球(正確には通常の360°モデルとは異なる)ドライブレコーダーのユピテル

「Q-02c」の製品紹介ページには事故の際の衝突部位や状況について以下のような記載があります。

データのソースについては『(公財)交通事故総合分析センター「車両の第1衝突部位別、当事者別、全事故件数(第2当事者) 』とありますが、このデータに関しては有料統計の為、今すぐ確認する事が出来ません。

一方で警察庁の事故統計によると、2017年度の車両相互の事故の発生件数は408,812件となっています。(全事故は472,165件)

■ 平成29年中の交通事故の発生状況

このデータで拾えるものをまとめたのが以下の表となります。

車両相互の事故のパターン
正面衝突10,0002.4%
追突167,84541.1%
出会い頭衝突115,70428.3%
追越・追抜時衝突8,2372.0%
すれ違い時衝突5,0011.2%
左折時衝突21,0795.2%
右折時衝突38,6859.5%
その他42,26110.3%
408,812100.0%

ユピテルの引用しているデータに関しては、「第2当事者側」(過失が2番目に重い)から見た、最も大きい損傷箇所の割合についてサイド・リアが73%という事でしょう。

 

次に事故のパターン別にどの部分が最も大きく損傷するか考えてみましょう。

上の表の「追突」41.1%、「すれ違い時衝突」1.2%、「追越・追抜時衝突」2.0%はほとんどがサイド・リアが破損しますが、合計で44.3%となります。

73%には28.7%不足していますが、どこが壊れるか分からない「出会い頭衝突」・「左折時衝突」・「右折時衝突」・「その他」の合計は53.3%になり、この53.3%のうちの53.8%=全体の28.7%がおそらくサイド・リアに損傷を負ったものと考えられます。

車両相互の事故のパターンうち、サイド・リアの損傷のケース
正面衝突2.4%
0%
追突41.1%
41.1%
追越・追抜時衝突2.0%
2.0%
すれ違い時衝突1.2%
1.2%
出会い頭衝突28.3%
15.2%
左折時衝突5.2%
2.8%
右折時衝突9.5%
5.1%
その他10.3%
5.5%
100.0%
73%

まあ、多少の誤差はあろうかと思いますが、追突はさておき、出会い頭に横から突っ込まれたパターンが15.2%もありますね。

あとは自分が優先の際の右左折時に横に当てられるケースが7.9%となり、前後2カメラの場合だと映らない事もありそうです。

もっとも、前後2カメラで撮影している限り、横が映っていなくても自分の過失の有無は証明可能ではあると思います。

ただし、事故の際には相手との過失の割合で賠償負担が決まりますし、自分が動いていない場合には話は早いのですが、特に右左折時に自分が横に損傷を受けるケースでは、自分も相手も動いている事が多いのではないかと思います。

具体的なケースとしては、以下のものが考えられます。

自分が左折、相手が右折

この当たり方だと相手が止まっている状態であれば、横っ面を損傷する可能性はほとんどない為、仮に衝突の瞬間に相手が映っておらず、相手が動いていないと言い張ってもそれは通らないのでは?と思うのですが、実際の事故の処理の際にどうなるのかは私には分かりません。

自分が右折、相手が左折

このケースでは基本的には相手が優先になりますので過失割合は自分の方が大きくなりますが、相手が動いていた場合と止まっていた場合では若干過失割合が変わって来るかと思います。

まぁ、相手が止まっていれば当たらないと思いますが、動いていても止まっていたと勘違いする事はあり得ますね。

自分が右折、相手が左折

あとは信号のない交差点ではこのようなケースも考えられます。

自分が優先道路を走っていて相手の車がいる道路に右折しようとした際に、相手の車がこちらの右折のウィンカーを見て左折を始めようとしてサイドに当たるパターンです。

相手の車両が衝突時に前後のドラレコに映らない可能性もありますし、相手が動いていないと言い張る可能性もゼロではありません。

自分が右折、相手も右折

こちらも信号がない交差点のケースですが、自分が優先道路から相手の車のいる道路に右折しようとするパターンです。

まあ、レアケースではあるような気もしますが、こちらが右折しようとしているところに、相手が徐行しながら出てきた場合ですね。

こちらの衝突の瞬間にドライブレコーダーに相手の車が映っておらず、相手が止まったと言えば過失割合に影響するかも知れません。

360°ドライブレコーダーが苦手としている事

360°ドライブレコーダーには上記のようなメリットがある一方で、少ない画素数で広範囲の録画を行う為にナンバー認識については苦手としています。

従って、駐車監視や通報目的でのナンバー認識能力には期待しない方が良いでしょう。

※画素数等の詳細についての説明は省きますが、360°ドライブレコーダーでのナンバー認識には8K以上の解像度が必要です。(現行モデルではその1/8~1/2程度しかない)

事故の際の状況認識だけなら充分役に立つケースもある

事故が発生した際のざっくりとした状況証拠の把握だけなら、2万円程度の360°ドライブレコーダーでも問題ないケースもあります。

自車と相手の車両や歩行者、自転車などの大雑把な動きが分かれば、事故の全容が把握できることもあるからです。

ただし、場合によっては一般的な360°ドライブレコーダーでは把握しきれない要素もあります。

それは…

  • 信号の色
  • 後方車両の様子
  • 夜間の周囲の動き

の3つです。

360°を撮影しているのになぜ信号が映らないのか?と疑問に思うかも知れませんが、ほとんどの360°ドライブレコーダーは前後左右は360°の視野角がありますが、上下方向には180°しかありません。

従って車高が低い車になればなるほど、近くの信号が映らなくなる可能性が高くなりますし、前方のやや上の方までカバーしようとすると、今度は後方が映らなくなります。

また、昼間に車内から車外を撮影するには白つぶれに強いという特性が必要になりますし、夜間の場合には逆に車外が明るく映らなければなりません。

白つぶれに強く、夜間が明るいというのは実はものすごく難しい事で、高性能のハードウェアを使用して、強い負荷を掛けながらきついソフトウェア処理を必要とします。

従って2万円程度のモデルには夜間の明るさは期待できず、ヘッドライトで照らされない部分が真っ暗に近い状態になる可能性が高いです。

 

まとめると、2万円程度の360°ドライブレコーダーには以下の3つのデメリットがあるという事です。

  • 信号の色が映らない事がある
  • 後方車両の様子が映らない事がある
  • 夜間の周囲の動きが映らない事がある

この3つのデメリットを許容できるのであれば、次の3つのモデルが選択肢となり得ます。(解像度はどれも同じで「1440×1440」の207万画素)

液晶王国サンコードスパラ
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店
QD-DVR360S

CARDVRSP
DN-914679

発売日不明
参考価格 18.05.21
17,600円22,800円
液晶王国サンコードスパラ
Amazonを頻繁に使うなら、是非とも作っておくべきカード
4.5インチ液晶5.0インチミラー型液晶4.0インチ液晶
1440×1440/30fps
1440×1440/24fps
1440×1440/24fps
西日本LED信号対応状況は不明LED信号対応LED信号対応
180°×180°180°×180°180°×180°
付属16GB付属32GB付属不明
最大128GB最大32GB最大不明
64GB~128GBのmicroSDカードを使用する裏技
GPS非対応
モバイルバッテリーから給電・充電出来るドライブレコーダー
※スペックは誤りがある可能性もありますので、念の為メーカーサイトでもご確認下さい。

※車高が高いミニバンなどであれば、信号は若干映り易くなるかと思われます。

これらのモデルのデメリットをご理解頂いた上で購入を検討されているようであれば、コメント欄でレビューの要望を書き込んで頂ければ実機テストを検討します。

2万円程度の360°ドライブレコーダーの問題点を克服しているモデル

ここで紹介する3つのモデルは、上で説明した360°ドライブレコーダーの苦手ポイントのいくつかを克服しているモデルとなります。

解像度についてはそこまで大きく変わりませんので、駐車監視や通報目的でのナンバー認識能力には期待しない方が良いでしょう。あくまでも事故の際の状況証拠の確保という観点で考えて下さい。

ユピテルカーメイト
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店
Q-02c
Q-01c(Q-01)
d’Action 360
18.0?発売16.12発売17.02発売
参考価格 18.04.23
64,800円49,680円43,998円
amazon
楽天市場
Yahoo!
amazon
楽天市場
Yahoo!
amazon
楽天市場
Yahoo!
Amazonを頻繁に使うなら、是非とも作っておくべきカード
2560×1280/30fps2560×1080/30fps1440×1440/27.5fps
2880×2880/27.5fps(駐車監視)
CMOS 680万画素CMOS 200万画素CMOS 1353万画素
HDRWDR
LED信号対応
録画視野角 180°×180°+180°×180°180°×194°
付属16GB(SD)付属16GB
最大32GB(SD)最大128GB
GPS内蔵
-WiFi
駐車監視モード
走行時の録画を延長(常時録画+衝撃録画)衝撃録画
自動起動運用不明
専用ケーブル
OP-CB5R
タイマーユニット
OP-VMU01
マルチバッテリー
OP-MB4000
専用ケーブル
DC200
モバイルバッテリーから給電・充電出来るドライブレコーダー
※スペックは誤りがある可能性もありますので、念の為メーカーサイトでもご確認下さい。

カーメイト「d’Action 360」

カーメイトの「d’Action 360」は1カメラタイプでスペック表記では360度×194度の視野角となっています。

2万円台のモデルと比べると上方向の視野角は若干広くなっていますが、車種によっては近くの信号が映りにくそうに感じます。

 

駐車監視の最高解像度は「2880×2880」=829万の4K相当ですが、撮影範囲が一般的なドライブレコーダーの6~7倍となる為、精細感はフルハイビジョン未満です。(走行時は2万円台のモデルと同じ「1440×1440」

通常の視野角のドライブレコーダーであれば「1500×800」程度に相当する精細となるでしょうか。

HD画質に毛が生えた程度の精細感なので、おそらくフロント側でナンバーを正面から映す事が出来れば読み取りは十分可能ではないかと思います。

駐車監視に関しては衝撃検知にはなりますが、前後を撮影するようですので比較的実用性の高い仕様となっています。

ただし、公式チャンネルの駐車監視動画ではナンバーがしっかり映っていませんので、解像度以外にも何か問題がありそうです。

 

CMOSセンサーも1353万画素、「裏面照射型CMOSイメージセンサー 1/2.3型」と書いてあるのでもう少し鮮明に映っても良さそうですが実際のサンプル動画はよろしくありませんね。

もう少しで及第点になりそうなので惜しいモデルと感じます。

なお、夜間の明るさに関しては以下の動画を見る限り、そこまで暗くはならないという印象です。

 ユピテル「Q-01c」「Q-02c」

ユピテルの「Q-01c」「Q-02c」2つのモデルは、通常の360°ドライブレコーダーとは一線を画した2つのレンズを搭載する720°の全天球モデルです。

 

イメージ的には以下のような撮影範囲となりますので、映っても意味のない天井も録画されますが、信号が隠れると言う360°ドライブレコーダーの問題点を克服しています。

また、「Q-02c」については夜間の録画に特化したSTARVIS対応のCMOSセンサーを搭載している為、他のドラレコでは真っ暗になるような照度でもそこそこの明るさを確保できている事が確認されました。

走行録画の出力解像度も「2560×1280」と最も高く、後方のドライバーの詳細な挙動を把握したいという事でなければ、事故対策としては「Q-02c」1台で充分ではないかと私は感じます。

■ ユピテル「360°+360°」ドライブレコーダー2018年モデル「Q-02c」のレビュー、評価

最強の720°全天球ドラレコ「Q-02c」を超えるにはマルチカメラ方式しかない

「Q-02c」は前方や横方向の映像は比較的認識し易いのですが、後方に関してはやはり距離が大きくなったり、視界がリアウィンドウの形状などに左右される事もあります。

また、駐車監視についてもナンバー認識を苦手としている事もあり、ガッツリ対策を考えるのであれば複数台のドラレコを設置するマルチカメラ方式も考えられます。(設置作業やコストの面でハードルはかなり高いですが)

 

ここまで来るとドラレコと言うより、移動監視カメラと呼びたくなりますが、走行中・駐車中を問わずに完全防備を求めるなら、現時点ではマルチカメラ方式の方がベターな選択となりそうです。

要は個々のユーザーが何をどこまで求めるかによって、構成が変わって来るという事なので、そこはお財布と相談ですね(笑)

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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