※2019年1月5日更新~全天球モデルのカーメイト「ダクション360S」、ユピテル「S20」について追記しました。

ここ2017年の東名高速の煽り事件以来、マスコミの煽り運転に関する報道も増え、警察による煽り運転の検挙数も増えているようです。

それに合わせて360°ドライブレコーダーに対する世間の興味も増しているように感じますが、通常のドライブレコーダーと比較して、360°ドライブレコーダーには何が期待出来るのでしょうか?

私自身はこれまでに3つの360°ドライブレコーダーをテストしており、大体のメリット・デメリットは分かっていますが、amazonなどのレビューでは360°ドライブレコーダーの特性を理解せずに購入したがために、全くの期待外れの性能と感じて低評価が付いているケースが目立ちます。

この記事では360°ドライブレコーダーとスタンダードタイプのドライブレコーダーの得意な点、苦手な点を踏まえて、購入を検討している方が後悔しないように、360°ドライブレコーダーには何を期待すべきなのかを解説したいと思います。

ドライブレコーダーを設置する目的を改めて冷静に考えてみる

最近のドライブレコーダーは360°ドラレコも含めて、多機能・高性能化が進んでいます。

自分がドライブレコーダーを設置する目的を整理しておかないと、自分には必要のない機能が付いているがために価格が通常よりも高いモデルを選んでしまう事になるかも知れません。

あなたがドライブレコーダーを設置する目的として考えているのは、以下のつのうちのいずれか、または全てではないかと思います。

①事故の際に不利にならない為の証拠能力(視野角の広さ、明るさ、逆光補正の強さが必要)

②駐車中の当て逃げに対する証拠能力(精細感が必要)

③駐車中のイタズラに対する証拠能力(視野角の広さ、明るさ、逆光補正の強さが必要)

④煽り運転に対する抑止能力(後方ステッカーでアピールすれば、効果はダミーステッカーでも変わらない)

⑤極めて悪質な事件性のある煽り運転に対する、警察への通報に使用する証拠能力(精細感が必要)

⑥乗車中に暴力行為を受けた際の証拠能力(車内を撮影する機能が必要)

⑦車上荒らしや車両盗難への対策

 

以上をまとめると、ドライブレコーダーに求められるのは、①事故の際の状況証拠力、②当て逃げと悪質な煽り運転に遭ったの際のナンバー認識力、③暴力被害を受けた際の車内の撮影能力、④車上荒らしや車両盗難への対策、の4つになります。

※煽り運転の抑止には、デカいダミーステッカーで充分かと思います。

なお、④の車上荒らしや車両盗難への対策については、対応モデルもあるにはありますが、話がややこしくなる為、ここでは参考程度に留めておきます。

360°ドライブレコーダーが得意としている事

上記のようにドライブレコーダーに求められる能力は、①状況証拠力、②ナンバー認識力、③車内の撮影能力が主なものになりますが、360°ドライブレコーダーは録画視野角が広い為、①の広範囲にわたる大雑把な状況の把握が得意です。

また、車内も撮影が可能な為、暴力行為を受けた際の証拠能力も備えています。

例えば720°の全天球(正確には通常の360°モデルとは異なる)ドライブレコーダーのユピテル

「Q-02c」の製品紹介ページには事故の際の衝突部位や状況について以下のような記載があります。

データのソースについては『(公財)交通事故総合分析センター「車両の第1衝突部位別、当事者別、全事故件数(第2当事者) 』とありますが、このデータに関しては有料統計の為、今すぐ確認する事が出来ません。

一方で警察庁の事故統計によると、2017年度の車両相互の事故の発生件数は408,812件となっています。(全事故は472,165件)

■ 平成29年中の交通事故の発生状況

このデータで拾えるものをまとめたのが以下の表となります。

車両相互の事故のパターン
正面衝突10,0002.4%
追突167,84541.1%
出会い頭衝突115,70428.3%
追越・追抜時衝突8,2372.0%
すれ違い時衝突5,0011.2%
左折時衝突21,0795.2%
右折時衝突38,6859.5%
その他42,26110.3%
408,812100.0%

ユピテルの引用しているデータに関しては、「第2当事者側」(過失が2番目に重い)から見た、最も大きい損傷箇所の割合についてサイド・リアが73%という事でしょう。

 

次に事故のパターン別にどの部分が最も大きく損傷するか考えてみましょう。

上の表の「追突」41.1%、「すれ違い時衝突」1.2%、「追越・追抜時衝突」2.0%はほとんどがサイド・リアが破損しますが、合計で44.3%となります。

73%には28.7%不足していますが、どこが壊れるか分からない「出会い頭衝突」・「左折時衝突」・「右折時衝突」・「その他」の合計は53.3%になり、この53.3%のうちの53.8%=全体の28.7%がおそらくサイド・リアに損傷を負ったものと考えられます。

車両相互の事故のパターンうち、サイド・リアの損傷のケース
正面衝突2.4%
0%
追突41.1%
41.1%
追越・追抜時衝突2.0%
2.0%
すれ違い時衝突1.2%
1.2%
出会い頭衝突28.3%
15.2%
左折時衝突5.2%
2.8%
右折時衝突9.5%
5.1%
その他10.3%
5.5%
100.0%
73%

まあ、多少の誤差はあろうかと思いますが、追突はさておき、出会い頭に横から突っ込まれたパターンが15.2%もありますね。

あとは自分が優先の際の右左折時に横に当てられるケースが7.9%となり、前後2カメラの場合だと映らない事もありそうです。

もっとも、前後2カメラで撮影している限り、横が映っていなくても自分の過失の有無は証明可能ではあると思います。

ただし、事故の際には相手との過失の割合で賠償負担が決まりますし、自分が動いていない場合には話は早いのですが、特に右左折時に自分が横に損傷を受けるケースでは、自分も相手も動いている事が多いのではないかと思います。

具体的なケースとしては、以下のものが考えられます。

自分が左折、相手が右折

この当たり方だと相手が止まっている状態であれば、横っ面を損傷する可能性はほとんどない為、仮に衝突の瞬間に相手が映っておらず、相手が動いていないと言い張ってもそれは通らないのでは?と思うのですが、実際の事故の処理の際にどうなるのかは私には分かりません。

自分が右折、相手が左折

このケースでは基本的には相手が優先になりますので過失割合は自分の方が大きくなりますが、相手が動いていた場合と止まっていた場合では若干過失割合が変わって来るかと思います。

まぁ、相手が止まっていれば当たらないと思いますが、動いていても止まっていたと勘違いする事はあり得ますね。

自分が右折、相手が左折

あとは信号のない交差点ではこのようなケースも考えられます。

自分が優先道路を走っていて相手の車がいる道路に右折しようとした際に、相手の車がこちらの右折のウィンカーを見て左折を始めようとしてサイドに当たるパターンです。

相手の車両が衝突時に前後のドラレコに映らない可能性もありますし、相手が動いていないと言い張る可能性もゼロではありません。

自分が右折、相手も右折

こちらも信号がない交差点のケースですが、自分が優先道路から相手の車のいる道路に右折しようとするパターンです。

まあ、レアケースではあるような気もしますが、こちらが右折しようとしているところに、相手が徐行しながら出てきた場合ですね。

こちらの衝突の瞬間にドライブレコーダーに相手の車が映っておらず、相手が止まったと言えば過失割合に影響するかも知れません。

360°ドライブレコーダーが苦手としている事

360°ドライブレコーダーには上記のようなメリットがある一方で、少ない画素数で広範囲の録画を行う為にナンバー認識については苦手としています。

従って、駐車監視や通報目的でのナンバー認識能力には期待しない方が良いでしょう。(一部のモデルではフロント部分をダブルで録画する事で、前方車両のナンバーを読み取れるものもある)

※画素数等の詳細についての説明は省きますが、360°ドライブレコーダーでのナンバー認識には通常では8K以上の解像度が必要です。(現行モデルでは4Kが最高ですが、これではナンバー認識は困難です)

事故の際の状況認識だけなら充分役に立つケースもある

事故が発生した際のざっくりとした状況証拠の把握だけなら、2万円程度の360°ドライブレコーダーでも問題ないケースもあります。

自車と相手の車両や歩行者、自転車などの大雑把な動きが分かれば、事故の全容が把握できることもあるからです。

ただし、場合によっては一般的な360°ドライブレコーダーでは把握しきれない要素もあります。

それは…

①信号の色

②後方車両の様子

③夜間の周囲の動き

 

の3つです。

360°を撮影しているのになぜ信号が映らないのか?と疑問に思うかも知れませんが、ほとんどの360°ドライブレコーダーは前後左右は360°の視野角がありますが、上下方向には180°しかありません。

従って車高が低い車になればなるほど、近くの信号が映らなくなる可能性が高くなりますし、前方のやや上の方までカバーしようとすると、今度は後方が映らなくなります。

また、昼間に車内から車外を撮影するには白つぶれに強いという特性が必要になりますし、夜間の場合には逆に車外が明るく映らなければなりません。

白つぶれに強く、夜間が明るいというのは実はものすごく難しい事で、高性能のハードウェアを使用して、強い負荷を掛けながらきついソフトウェア処理を必要とします。

従って2万円程度のモデルには夜間の明るさは期待できず、ヘッドライトで照らされない部分が真っ暗に近い状態になる可能性が高いです。

 

まとめると、2万円程度の360°ドライブレコーダーには以下の3つのデメリットがあるという事です。

①信号の色が映らない事がある

②後方車両の様子が映らない事がある

③夜間の周囲の動きが映らない事がある

 

この3つのデメリットを許容できるのであれば、次の3つのモデルが選択肢となり得ます。(解像度はどれも同じで「1440×1440」の207万画素)

液晶王国サンコードスパラ
QD-DVR360S

CARDVRSP
DN-914679

発売日不明
4.5インチ液晶5.0インチミラー型液晶4.0インチ液晶
1440×1440/30fps
1440×1440/24fps
1440×1440/24fps
西日本LED信号対応状況は不明LED信号対応LED信号対応
180°×180°180°×180°180°×180°
付属16GB付属32GB付属不明
最大128GB最大32GB最大不明
GPS非対応
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店

※車高が高いミニバンなどであれば、信号は若干映り易くなるかと思われます。

これらのモデルの特徴は、解像度がフルハイビジョン相当で録画視野角は水平・垂直ともに180°である為、ナンバーの認識は絶望的、前方の信号かリアウィンドウのどちらか一方、もしくはその両方が映りにくいという点が挙げられます。

その一方で液晶が4インチ以上のタッチパネル方式となっている為、操作性や録画映像の視認性は良いものと考えられます。

2万円程度の360°ドライブレコーダーの問題点を克服しているモデル

次に紹介する3つのモデルは、上で説明した360°ドライブレコーダーの苦手ポイントのいくつかを克服しているモデルとなります。

コムテック HDR360Gユピテル Q-02cカーメイト d’Action 360S
18.07発売18.0?発売18.12発売
1856×1856/29fps
2560×1280/30fps3840×1920/30fps
2880×1440+1920×1080/27.5fps
CMOS 500万画素CMOS 680万画素CMOS 2706万画素
WDRHDRWDR
LED信号対応
180°×240°録画視野角 180°×180°+180°×180°録画視野角 180°×180°+180°×180°
microSD付属8GBmicroSD付属16GB(SD)microSD付属なし
microSD最大32GBmicroSD最大32GB(SD)microSD最大128GB
GPS内蔵
--WiFi
駐車監視モード
常時録画+衝撃録画?(5fps)走行時の録画を延長(常時録画+衝撃録画)常時録画(~30分)
衝撃録画(16時間/2週間)
自動起動自動起動自動起動
専用ケーブル
HDROP-014
専用ケーブル
OP-CB5R
タイマーユニット
OP-VMU01
マルチバッテリー
OP-MB4000
専用ケーブル
DC201
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店

解像度については「ダクション360S」が最大で4Kとなりますが、ドライブモードではフロント部分のみをフルハイビジョンでダブル録画を行う機能が搭載されていますので、360°ドライブレコーダーの中では唯一ナンバー認識が可能なモデルとなります。

コムテックとユピテルのモデルについては、解像度についてはそこまで大きく変わりませんので、駐車監視や通報目的でのナンバー認識能力には期待しない方が良いでしょう。あくまでも事故の際の状況証拠の確保という観点で考えて下さい。

コムテック「HDR360G」

コムテックの「HDR360G」は通常サイズの液晶を搭載した比較的コンパクト?な360°ドライブレコーダーです。

価格帯的には他の2モデルよりも2~3ランク下となりますが、走行中の有効画素数は意外と高いです。

①d’Action 360~207万画素

②Q-02c~328万画素

③HDR360G~344万画素

 

まぁ、いずれにせよナンバーの読み取りは困難なのでこの領域での画素数の差はそれほど重要ではないですが…。

録画視野角は180°×240°となっていますので前方の信号機と後方のリアガラスもどうにかカバーできる範囲となります。

 

ただし、白潰れ耐性は高くなく、夜間も普通の明るさなので街灯の少ない場所だと視認性は良くありません。

また、液晶に出力される動画は録画モードにもよるのですが、360°モードだとこんな感じです。

これがWiFi対応でアプリでグリグリ回転操作が可能で、白潰れ耐性も高く夜間も明るければかなり使い勝手が変わっていたかもしれません。

まぁ、やはり今の段階では360°ドラレコは発展途上感が満載ですし、他のドラレコと併用するプラスワンと捉えた方が良いかな…と。(でも高い!)

2018年は2カメラや単体ドラレコが目に見える性能アップをした年なので、360°ドラレコの進歩以上にハードルが上がっている気がします…。

コムテック 360°ドライブレコーダー「HDR360G」のレビュー、評価

ユピテル「Q-02c」

ユピテルの「Q-02c」は、通常の360°ドライブレコーダーとは一線を画した2つのレンズを搭載する720°の全天球モデルです。

イメージ的には以下のような撮影範囲となりますので、映っても意味のない天井も録画されますが、信号が隠れると言う360°ドライブレコーダーの問題点を克服しています。

また、夜間の録画に特化したSTARVIS対応のCMOSセンサーを搭載している為、他のドラレコでは真っ暗になるような照度でもそこそこの明るさを確保できている事が確認されました。

走行録画の出力解像度も「2560×1280」と最も高く、後方のドライバーの詳細な挙動を把握したいという事でなければ、事故対策としては「Q-02c」1台で充分ではないかと私は感じます。

ただし、当機は液晶を搭載せず、WiFiにも対応していないので事故の際の動画の確認が現場では不可能な点がマイナスポイントですね。

運用面に若干の難があると言ったところです。

※解像度の問題でナンバー認識はほぼ不可です。

ユピテル「360°+360°」ドライブレコーダー2018年モデル「Q-02c」のレビュー、評価

カーメイト「d’Action 360S」

カーメイトの「d’Action 360S」も同様に2レンズ全天球の録画に対応したWiFi対応のドライブレコーダーです。(アクションカメラでもありますが)

「d’Action 360S」の最大の見るべきポイントは、ドライブモードで録画した際には全天球を「2880×1440」、フロント部分のみを通常の単体ドラレコと同じフルハイビジョンで録画できる点です。

これで走行中の最大の弱点は克服された訳ですが、残念ながら駐車監視モードでは4K全天球の録画モードになってしまうので、ナンバー認識は微妙になります。

白潰れ耐性や夜間の明るさの面では、スマホとPCビュワーに明るさ調整機能が搭載されていますので、他のドラレコに比べるとかなり良い方かと思います。

また、「ダクション360S」は液晶を搭載しないWiFiモデルですが、アプリの操作性が直観的で分かり易く、機能面でも充実している為、使い勝手の面では全体的にかなり良い部類に入ります。

※以下360°VR動画です。

問題点は価格が高すぎて気軽に「おすすめです!」とは言えないところですね。不満点もありますし。

カーメイト全天球ドライブレコーダー+アクションカメラ「ダクション360S」のレビュー、評価

オマケの防犯特化型360°ドライブレコーダー「S20」

「S20」ユピテルの指定店舗専用モデルとなりますが、録画視野角は「Q-02c」と同様の全天球となります。

イメージセンサーが200万画素、録画視野角は「2560×1080」と控えめですので、「Q-02c」よりもさらにナンバー認識精度の面では劣りますが、イメージセンサーは夜間特化型のSTARVIS対応モデルを使用している事から夜間撮影は得意であると思われます。

ナンバー認識が弱いので当て逃げ対策としては微妙ですが、ドップラーセンサーを搭載し、最大14日間の監視が可能な上、動体・振動検知の他にドアの開閉や車両の傾斜を検知する事で大音量の警報を発する機能も搭載されています。

どちらかと言うと全天球ドラレコとカーセキュリティユニットが一つになったようなモデルと言えるでしょう。

ユピテル 防犯特化型の全天球ドライブレコーダー「S20」発売!!

360°ドラレコを超えるにはマルチカメラ方式しかない

「Q-02c」は前方や横方向の映像は比較的認識し易いのですが、後方に関してはやはり距離が大きくなったり、視界がリアウィンドウの形状などに左右される事もあります。

また、駐車監視についてもナンバー認識を苦手としている事もあり、ガッツリ対策を考えるのであれば複数台のドラレコを設置するマルチカメラ方式も考えられます。(設置作業やコストの面でハードルはかなり高いですが)

 

ここまで来るとドラレコと言うより、移動監視カメラと呼びたくなりますが、走行中・駐車中を問わずに完全防備を求めるなら、現時点ではマルチカメラ方式の方がベターな選択となりそうです。

要は個々のユーザーが何をどこまで求めるかによって、構成が変わって来るという事なので、そこはお財布と相談ですね(笑)

フロントに360°ドラレコ+2カメラドラレコの構成がなかなか強そうな気もします。

全天球ドライブレコーダーとマルチカメラはどちらが良いのか?

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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