実機レビュー「CS-361FHT」セルスターの360°+リアカメラドラレコの評価

※2022年2月19日更新:実機レビューを追記しました。

バーチャルオートサロンでセルスターからいくつか面白い製品が発表されていますが、今回は日本メーカーの360°ドラレコとしては最も高い評価をしていた「CS-360FH」の後継機と見られる360°+リアカメラドラレコの実質3カメラ構成のモデル、「CS-361FHT」についてご紹介します。

2021年9月15日に正式発表されています。

「CS-361FHT」のスペックと特徴

「CS-361FHT」スペックはこちらの表の通りです。(CD-30は販路違い)

CS-361FHT
21.09発売
前:1920×1080/30ps/HDR
中:1920×1080/30ps/HDR
後:1920×1080/30ps/HDR
LED信号対応
前:188°×103°
中:188°×103°
後:117°×62°
microSD付属64GB/最大64GB
フォーマット不要
GPS内蔵
駐車監視モード
常時録画のみ
常時録画+衝撃検知
動体検知のみ
動体検知+衝撃検知
専用ケーブル
GDO-41
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店

※「CS-361FHT」は64GB、「CD-30」は32GBのmicroSDカードが付属します。

※「CS-361FHT」は直結電源ケーブル、「CD-30」はシガー電源ケーブルが付属します。

フロント筐体の仕様は先代の「CS-360FH」と同等、イメージセンサーについてはIMX307が使用とだけ書かれている事からリアカメラ含めて3カメラとも「IMX307」を搭載しているものと考えられます。

LaBoon!!ではセルスターのリアガラスに貼り付けるタイプのSTARVISカメラは、最上位の「CS-91FH」しかテストしていません。

こちらはフルハイビジョンとしては「IMX307」よりも明るさに優れた「IMX327」を搭載している製品ですので、「CS-361FHT」のリアカメラの明るさがどの程度の物かが気になるところです。

2021年はコムテックから4K相当の360°モデル「ZDR037」が発売されており、ナンバー認識精度が大幅に向上、夜間の明るさも従来機と比べると改善が見られています。

実機レビュー「ZDR037」4K相当の360°+リアカメラドラレコの評価!
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セット内容とデザイン

今回は「CS-361FHT」を購入し、先代の「CS-360FH」、カーメイトの「DC4000R」との画質の比較を中心に実機テスト行いました。

セット内容はこちらの通りとなります。

・フロントカメラ筐体
・リアカメラ
・GPS内蔵マウント
・フロントマウントバー(長・短)
・リアマウントバー(長・短)
・カメラ接続ケーブル(アナログ4極 9m)
・2芯直結電源ケーブル(DCプラグ)
・64GBのmicroSDカード
・その他取り付け部品
・取扱説明書

フロントカメラ筐体

フロントカメラ筐体はスタンダードな箱型ドラレコと比べるとやや横幅が大きいですが、360°ドラレコの中ではコンパクトな部類に入ります。

先代の「CS-360FH」と比べると、ほんの少しだけ幅広です。

ボタン類は正面右端に3つ、左側のインナーレンズの周りには4灯の赤外線LEDが装備されています。

右サイドのスロットには64GBのmicroSDカードが挿入されていました。

筐体上部には左からリアカメラ端子、GPS端子、電源端子が装備されています。

通常の場合、ドラレコの操作ボタンは4つ以上がスタンダードで、①決定、②キャンセル、③カーソル上移動、④カーソル下移動、と言ったものが多いですが、3ボタンになると長押し操作を要求されるので操作が分かりにくくなります。

 

液晶も1.44型と最小クラスなので操作性は最悪の部類に入ります。

リアカメラ

リアカメラはコンパクトタイプで、背面には正像・鏡像、天地反転のスイッチが装備されています。

リアカメラ接続ケーブルは9mの4極プラグタイプです。

GPS内蔵マウント

GPSは先代と同様に日本のメーカーとしては珍しい分離型で、マウントに内蔵されています。

マウントのバーは前後カメラ分とも、長短2種類が付属しますので、フロントガラスの傾斜やルームミラーの位置に応じて使い分けが可能です。

電源ケーブル

電源ケーブルは、最近の同社の他のドラレコと同じく2芯直結のDCプラグタイプです。

車内への取付けについて

今回はアクアに「CS-361FHT」の取り付けを行いました。

最終的にはこの位置に設置したのですが、前後2カメラの360°モデルは取り付け場所に迷います。

…というのは、液晶部分をミラー裏に隠してしまうとミラーに運転席側の視野が遮られ、ミラー下にレンズを出そうとするとドラレコの位置が下がりすぎて保安基準に引っ掛かる恐れが出てくるからです。

レンズが左側に付いていますので、助手席側ではレンズが左に寄りすぎてしまいますし…最終的には少し邪魔なのは妥協して、運転席側のミラー横に出す事にしました。

本機の左側に付いているカーメイトの「DC4000R」のような1レンズの半天球タイプは、ミラーからレンズ部分をちょこっと出しておけば必要な範囲は映りますが、2レンズタイプは取り付け面の融通が利きにくいというデメリットがあります。

一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。

【保存版】自分で前後2カメラドライブレコーダーを取り付ける方法について解説
...

インターフェイスについて

電源ONから録画開始までの起動時間は23秒程度と、3カメラドライブレコーダーとしても遅めです。

操作系のボタンは全て正面の1.4型液晶の右側に配置されており、液晶が小さい上に長押しの操作が要求されますので操作性については最悪の部類に入ります。

メニューツリーは分かりにくくはないですが、キャンセル操作が「ボタン長押し」など、ストレスなく使いこなすには慣れが必要です。

ドライブレコーダーとしての画質について

ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについて、セルスター「CS-360FH」、カーメイト「DC4000R」と比較しました。

比較ポイントはこちらの4つの項目です。

・録画視野角
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ

本機には明るさを3段階で調整する設定項目である、「HDRナイトクリア」がありますが、360°前方向けはHDRナイトクリア1、360°車内向けは3、リアカメラはHDR3に設定しています。

明るさはこちらの序列です。

・HDRナイトクリア3<2<1

録画視野角について

「CS-361FHT」の360°カメラ部分の録画視野角は、先代の「CS-360FH」と同様に、「水平180°×垂直206°」で、360°ドラレコとしては必要充分なものとなっています。

・360°カメラ:水平180°×垂直103°+水平180°×垂直103°

セルスターの「CS-3601FHT」は水平189°×垂直103°のカメラ2つの映像を合成していますので、水平180°×垂直206°、カメラの真上と真下が映らない、という形になります。

このような視野の取り方で他社製品よりもやや視野が狭くなりますが、映っていても意味のないところを削っていますので問題はありません。

この様に必要なエリアは全て視野に入ります。

「DC4000R」は別途セパレートのフロントカメラがあるタイプなので、360°カメラ部分の上の方の視野が狭くなっています。

リアカメラはドラレコとしてはやや広めの水平117°程度でした。

逆光補正能力について

「CS-361FHT」の360°カメラの画質は、「CS-360FH」と同じ物だろうと予測していましたが、さらに明るさ重視のチューニングとなっている為、昼間は車内・車外とも白飛びが出易くなっています。

強めに露出を絞っている「DC4000R」と比べると、差が分かり易いと思います。

リアカメラの方は、まずまず白飛びが抑えられている印象です。

ナンバー読み取り精度について

「CS-361FHT」の360°カメラ部分の有効画素数は2つのレンズ分を合わせて414万画素です。

撮影範囲の広さを考慮すると画素数が少ない為、一般的なフルハイビジョンのドライブレコーダーと比べるとナンバー認識精度はかなり低くなっています。

先代の「CS-360FH」と比べると同クラスの精度で、ギリギリぶつかりそうな車のナンバーはどうにか読み取り可能と言ったレベルです。

「DC4000R」のフルハイビジョンフロントカメラと比べると、かなりの差があります。

リアカメラは標準的なフルハイビジョンのドラレコと同程度でした。

夜間のヘッドライトが反射した状態のナンバー読み取り精度は、先代の「CS-360FH」も白飛びの為に高くはありませんでしたが、「CS-361FHT」ではさらに明るめの調整となっている為、絶望的に低いレベルでした。

ある程度露出を絞って強めのHDR補正を利かせている「DC4000R」では、バッチリ読み取りが可能です。

駐車監視を想定した場合、パーキングモードでは画素数が強制的に414万画素から70万画素に落とされてしまいますので、ナンバー認識精度は絶望的に低くなってしまいます。

特にナンバーが下の方に付いている車の場合には、ほとんど読み取り不可と思った方が良いでしょう。

夜間は解像度が高い常時録画モードでも、白飛びでナンバーは読み取れませんでした。

ドアパンチの様子については、昼も夜も非常に映り易くなっています。(夜間はルームミラーの向きがズレており、隠れてしまいましたが)

夜間の明るさについて

昼間は白飛びが出易い印象でしたが、夜間は過去のどの360°ドラレコよりも明るく映っており、特に暗い場所でのサイドの映り方は、素晴らしいと感じました。

「DC4000R」と比べても圧倒的な明るさです。

リアカメラはやや露出を絞っていますが、フリーソフトのVLCで調整するとかなり明るくなります。

動画ファイルの再生方法について

動画の再生については以下の4つの方法をテストしました。

・ドラレコ本体での再生
・PC専用ビュワーでの再生
・PC汎用ビュワーでの再生
・スマホでの再生

ドラレコ液晶での再生について

ドラレコ液晶での再生は、液晶が極端に小さく動画の視認性は最悪です。

PC専用ビュワーでの再生について

PCの専用ビュワーは以下のページからダウンロード可能です。

■「CS-361FHT」専用ビュワー

専用のPCビュワーでは基本はこのように視点の切り替えが可能なVR表示を含む、合計4パターンの表示方法から選ぶ事が出来ます。

機能的には以下のようにスタンダードなものとなっています。

・2倍の拡大表示
・再生速度の変更(1/2~4倍速)
・地図への走行軌跡の表示
・速度の表示
・Gセンサーグラフの表示

PC汎用ビュワーでの再生について

PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されているソフトウェアでの再生も可能でした。

その場合には、このように縦長の上下分割方式で「1920×2160」の解像度のファイルとして再生されます。

スマホでの再生について

本体液晶は事故現場での状況確認には全く向いていないのですが、「Tube Reader」を使用してiPhone SEでの再生は、残念ながら出来ませんでした。

Android端末ではカードリーダー経由での再生が可能でした。

※なお、スマホで再生したカードをドラレコに戻しても、再フォーマットは要求されずに通常通りに録画が行われましたが、こちらはメーカーサポート外の方法なので自己責任でお願いします。

西日本LED信号の見え方について

「CS-361FHT」の録画フレームレートは29fpsですので全国のLED信号も同期することなくしっかり映る筈です。

ドライブレコーダーのLED信号対策のまとめ
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駐車監視について

「CS-361FHT」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。

■「CS-361FHT」の駐車監視の仕組みと使い方について解説

「CS-361FHT」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
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microSDでの録画時間について

「CS-361FHT」の録画データサイズは、1時間当たり20GB程度となります。

なお、microSDカードの容量は64GBまでサポートされていますが、128GBまでなら起動時間はほとんど変わらないものの

・256GBでは1分
・512GBでは3分

掛かりました。

フォーマットは起動時間の1.5~2倍の時間が掛かります。

 地デジへのノイズの影響について

「CS-361FHT」の単体使用では、アルファード+サイバーナビの組み合わせで影響は確認出来ませんでした。

ラジオへのノイズの影響も確認出来ませんでしたが、車種やカーナビの種類、アンテナの位置で状況は変わる事がありますので結果は参考程度に捉えて下さい。

ドライブレコーダーのノイズ対策と、ノイズが少ないであろうドライブレコーダー
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「CS-361FHT」の総評

最後に「CS-361FHT」の総評です。

本機では360°カメラ部分の夜間の撮影能力が大幅に向上し、現行の360°ドラレコとしては単独でNo.1になりました。

一方でナンバー認識精度は相変わらず低く、特に夜間は絶望的な低さとなっています。

従って駐車監視をしないユーザーに対して、最もおすすめできる360°ドライブレコーダーと言えそうです。

走行中・駐車監視中のナンバー認識精度を気にしないなら、夜間のサイド部分の明るさを考慮すると、「DC4000R」よりもこの製品の方が良いと感じますが、トータルでは「DC4000R」の方がおすすめ出来る製品と言えます。

コメント

  1. あら より:

    題名の騙された、金返せと言われそう、とはどういう点でのことか教えて下さい。

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      あら様
      日本メーカーの360°ドラレコとしては最も高い評価をしていた「CS-360FH」を買ってしまった人はそう思うでしょうと言う事です(笑)
      発表からすでに数か月たってしまっていますが、発表当初は「CS-360FH」発売からそれほど経っていないタイミングでしたので。

  2. mh-ort より:

    国産メーカーということで期待しておりましたが、駐車監視においては同タイプのVANTRUE N4の方が上でしょうか。
    何か35万画素の強制低画質を回避する方法はあるのでしょうか?
    こちらの発売を待つかN4にするかで悩んでおります。

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      mh-ort様
      外部バッテリーと合わせて常時録画を継続させる方法がありますが、そうするとmicroSDカードの最大容量の問題が出てきますね。
      後はフロントカメラの視野角と解像度の関係でナンバー読み取り精度はそれほど高くないと思います。
      この2点がクリア出来るなら私は多分N4ではなくこちらをおすすめすると思います。

      https://car-accessory-news.com/cs-360fh/#toc11

  3. 田中 より:

    360度ドライブレコーダーの選定でアドバイスを頂きたく書き込みました。
    360度ドライブレコーダーはAKEEYO V360sが故障で映らなくなり視野角にもともと不満があったので交換を考えています。候補は「VANTRUE N4」と「セルスターCS-361FHT」(ただセルスターが指定店モデルということなので量販店で購入できるか確認してません)目的のひとつに側面からの自転車飛び出し、自転車バイクのすり抜けなどの運転席、助手席の両サイドをカバーしたい。丁度、室内カメラの赤外線撮影がカバーすると思っています。AKEEYOも暗視能力評価から購入しました。
    もう一つが駐車監視時のナンバー読み取りが出来ればなお良いかな?くらいに考えています。
    宜しくお願いします。

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣 より:

      田中様

      駐車監視をしないなら、視野角の広いCS-361FHTが良いと思います。普通にネットでも売られてますよ。
      https://amzn.to/3ALeehs

      ナンバーの認識精度ではN4の方がかなり高く、CS-361FHTは微妙ですが。

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