ドライブレコーダーのLED信号対策のまとめ

ドライブレコーダーでLED信号を撮影すると一定時間信号が消えて映らなくなる現象が問題視されて久しいですが、最近ではLED信号対策済みのモデルが主流となっていますね。

因みにLED信号は常時点灯しているように見えますが、1秒間に100~120回のスピードで高速でチカチカ点滅しています。

あまりにも高速なので人間の眼にはずっと点灯しているように見えるのですが、カメラのシャッタースピードが1/240秒くらいになると信号が消えている状態が撮影出来るかと思います。

LED信号の同期ってどんな状態?

交流電源の場合、1秒間に100~120回プラスとマイナスが入れ替わり、高速で電気の流れの向きが反転しています。

交流電源で駆動するLED信号は以下のように、1秒間に100~120回のスピードで真っ暗な状態から徐々に明るくなり、明るさ最高になったらまた徐々に暗くなる…という動作を繰り返しています。

まぁ、徐々に明るくなったり暗くなったりと言っても、肉眼だとずっと点灯しているようにしか見えないのでピンとこないかとは思いますが、ごく短い時間ではありますが、真っ暗になってる状態が確実に存在しています。

…で、カメラのシャッタータイミングが信号の点滅タイミングにピッタリ合ってしまい、この真っ暗な状態だけを連続して撮影し続けてしまうのが、LED信号の同期の問題と呼ばれているものです。

以下の動画だと信号が真っ暗の状態が続いていますよね?

こう言った事が発生してしまうと、事故の際にどちらが信号を無視したのかが分からなくなってしまう事があります。

東日本と西日本で異なる電力周波数

さきほどから100~120回の点滅と何度か説明していますが、もう少し詳しく説明すると東日本では100回、西日本では120回となります。

これは地域の電力周波数に依存するのですが、50Hzの東日本では100回、60Hzの西日本では120回です。

東日本と西日本の電力周波数が違う理由は明治時代に遡りますが、最初の発電機として東がドイツの50Hz、西がアメリカの60Hzのものを入れてしまったからです。

因みに電力の東西エリアの境界線は以下の通りとなっています。

© 一般財団法人 日本原子力文化財団より 引用
日本の電気の周波数は、静岡県の富士川あたりを境に、東日本が50Hz(ヘルツ)、西日本が60Hzと異なっています。

 

新潟県と長野県の一部には50/60Hzの混在エリアがあり、静岡は富士川の東西で50/60Hzに分断されているものの、あとは概ね都道府県で分かれている感じですね。

LED信号が同期して消えちゃうフレームレートは?

最近のドライブレコーターは、フレームレート(1秒あたりのシャッター回数)が、25~30fpsとなっています。(25fpsはレアだが存在する)

東日本のLED信号は50Hzで1秒間に100回の点滅となりますので、25fpsで撮影するとシャッタータイミングと信号の点滅タイミングがピッタリ合ってしまい(これを同期するという)、信号が長く消えてしまう現象が発生します。

一方で西日本の場合には60Hzで120回の点滅となり、30fpsだと同期します。

実際には電力周波数は+-0.2Hz程度の誤差があるので、永遠に消えっ放しという事はなく、数秒間消えて数秒間点灯するように見えます。

以下の図で、シャッタータイミングが黒いゾーンに入った時に消えて見える訳です。

がシャッタータイミング

因みに30fpsのモデルでも50Hzの東日本エリアであれば、LED信号はチカチカ高速で点滅して見えます。

現状、ドライブレコーダーで行われているLED信号の同期対策

最も一般的なドライブレコーダーのLED信号同期対策は、フレームレートを50Hz/60Hzのどちらでも同期しないように、27~29.5fpsにずらす方法です。

例えば60Hzエリアであっても、フレームレートを29fpsにずらすと以下のように一秒間に数回点滅して見えるようになります。

過去の経験上、0.5fps程度ずらしているものであれば、信号が消えている時間は、コンマ数秒以下に抑えられている事が分かりました。

このようにフレームレートをずらして撮影するというのは、図で示すと以下のようになります。

がシャッタータイミング

30fpsでも西日本LED信号に同期しないものもある

一部のドライブレコーダーメーカーでは、スペック表では30fpsと謳われているものであっても、実際は29fpsで撮影・出力されていたり、撮影だけ29fpsで行い、出力だけ30fpsとなっているモデルがあります。

その他にもシャッタースピードを調整する事で信号の消灯を防いでいるものもあるようです。

 

例えば、パパゴ・TA-Creativeなどのモデルでは、動画を見る限り29fpsで撮影し、30fpsで出力されているようで、①~㉙コマまでを29fpsで撮影し、最後の30番目に不足しているコマは㉙をダブらせるような形となっています。

①~㉗㉘㉙㉙①②③…と言ったコマ振りになりますね。

…という訳で、LED信号対策には様々な物が存在しており、原則として対応モデルにはメーカーサイトに「LED信号対応」の表記があります。

メーカー側がアンチフリッカーとLED信号対策を混同している事もある

日本のメーカーでは流石にこれはないと思いますが、中国メーカーでは蛍光灯などのチラツキ防止のアンチフリッカー機能と、LED信号対策を混同して理解しているところもあります。

amazonで販売されているドライブレコーダーの中には、「LED信号対応=アンチフリッカー」と解釈して記載している事もありますので、中国メーカーの製品については購入時に注意が必要です。

※「実際に使用して問題なかった」というレビューがあったとしても、その信号機の電力周波数の誤差が0.2Hz出ていた為、30fpsで撮影しても「たまたま同期しなかっただけ」という可能性もあります。

実際のところ30fpsピッタリで29.8HzのLED信号を撮影しても、ガッツリ同期はせず消灯時間は1秒くらいに抑えられるかと思います。

ただし、30fpsで何の対策もしていないドライブレコーダーを使用して、周波数の誤差が少ない西日本のLED信号を撮影した場合、例えば信号の電力周波数が29.95Hzであればガッツリ同期して数秒間消灯すると思います。

ドライブレコーダーのLED信号対策のまとめ

ドライブレコーダーは原則として30fpsを基準に、そこから撮影フレームレートをずらしたり、撮影・出力フレームレートの両方をずらしたり、またはシャッタースピードをずらしたりする事で、主に西日本のLED信号との同期を防いています。(30fpsなら東日本では同期しないので)

問題なのはあまりにも色々な方法があり過ぎて、ユーザーにはイマイチどれが安心なのかが分からないところですね。

まぁ、この辺りはメーカーの規模や信頼性を当てにするしかないですが、特に一部の中国メーカーの製品や、どこの誰が販売しているか良く分からない中国製品については注意が必要かと思います。

因みにLEDではない旧型の信号機もまだ沢山ありますが、旧型の信号機の場合には常に点灯しているように映ります。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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