ドライブレコーダーのHDR補正の正体

ドライブレコーダーには「HDR補正対応」と謳われている製品が増えて来ましたが、その半分くらいは偽物のHDRなんじゃないか?感じています。

メーカー的には少しでも自社の商品を良く見せたいので「どうせユーザーには検証できないんだから良いだろ!」的にHDRを謳っている製品も多いので言ったもん勝ちの状況ですね。

そもそもHDR補正って何なのよ!

HDR補正というのは同じタイミングで撮影された2枚の画像を合成して全体の見え方のバランスを調整する機能ですが、スマホにも標準搭載されていますので、皆さんも一度はHDRありとHDRなしの写真の見え方を見比べてみた事があるかも知れませんね。

HDRの仕組みを言葉で伝えるのはなかなか難しいのでいきなり画像をお見せしますが、上がHDRあり、下がHDRなしのドライブレコーダーの画像です。

下の画像はトンネル出口が真っ白に潰れてしまってますよね?

HDR補正を入れないと何故にこんな風になってしまうのかを一言で説明すると、カメラは人間の目ほど性能が良くないから、という事になります。

車を運転していて正面から西日が当たったり、真っ暗なトンネルの中から明るい出口を直視すると眩しく感じたり周りが見えにくくなる事がありますよね。

カメラの場合には機械なので眩しいとは感じませんが、撮影される映像は性能に正直ですので、表現できる明るさの限界を超えてしまうと写真のように明るい部分が真っ白になってしまったり、光の回りが真っ黒になってしまう事があります。

因みに夜間に前方を走る車のナンバープレートにヘッドライトが反射してしまうと、普通のドラレコは真っ白に潰れてしまいます。

光に対する感度を下げれば真っ白にはならないですが…

さて、お手持ちのスマホでお部屋の中の照明や太陽を撮影してみて下さい。

スマホで写真を撮影する場合、画面内の特定の被写体のエリアをタップすると写真全体の明るさが被写体のエリアに合わせて調整されるのはご存知ですよね?

以下の1枚目の画像が画面内の最もの明るい場所に合わせて明るさを調整したもの、2枚目が最も暗い場所に合わせて明るさを調整したものです。(いずれもHDRはOFF)

上は電球に合わせて明るさを絞っていますので回りが真っ暗、下は周りは良く見えていますが電球部分が真っ白になっていますよね。

そして次の画像がこの2枚の画像を私が合成したものです。

全体的に極端に見えにくくなっている場所がなくなりましたよね?

ただ、手持ちでスマホのシャッターを2回切っていますので電球の部分が2重にブレちゃってますが、実は動きながら撮影を行っているドラレコでも本物のHDRはこうなります。

HDR補正をするにはほぼ同一のタイミングでシャッターを2回切り、2つの明るさが異なる写真を合成してる訳ですが、2回シャッターを切る場合には1回目と2回目のシャッタータイミングの間に若干の時間差が発生しますので、ドラレコの場合には動画が二重に見えてしまったりする事がある訳です。(最近はほどんどブレずに高いHDR効果を出しているものもあるので、ほぼ同時にISO感度の高い映像と低い映像を撮影している可能性もあり)

このようにHDR補正は事故や事件の際の状況証拠を捉える上で非常に有効な機能ではありますが、実はHDR補正を行う為にはイメージセンサーがHDRに対応してる必要があり、SONYのドラレコ用のイメージセンサーでも廉価なものはHDRに非対応であったりします。

HDRじゃないのにHDRと謳っている製品はコントラスト調整を行っている

HDR補正はドラレコの頭脳部分であるCPUに多大な負担を掛けるので、チップセットも高価なものを使わないと画質が低下してしまいますし、HDRに対応しているイメージセンサーも高価なものが多いので、本物のHDRモデルは価格も高くなりがちです。

そこで代わりに採用されているのが、2枚の映像を合成する方法ではなく、画面全体の明るさのコントラストを落として全体の明るさのバランスを調整する方法です。(本来はWDRと表現するべきかと…)

HDRとWDRの違いは?
...

例えば先程のHDR補正なしの以下の画像ですが…

こちらのコントラストを下げて行くと…こんな感じになります。

見易さはあんまり変わらないですが…、暗い部分が明るくなった?って感じですかね。本物のHDRが以下となります。

そもそも元の画像は電球の部分が白く潰れてしまってますので、コントラストを下げてもどうにもならないのですが、暗い部分は見易くなったかと(笑)

いずれにせよ、本物のHDRとコントラスト調整タイプだと結構見た目に差が出るって事ですね。

また、本物のHDRモデルであっても合成する映像のISO感度(受光の感度)が近い場合、劇的な白飛び防止の効果が得られませんので、景色も綺麗に撮影出来るようにと変に気を遣ったりすると本来のHDRの目的である白飛び防止の効果が薄くなってしまいます。

強烈で効果的なHDR補正の入ったドラレコ

過去にテストしてきた100台以上のドラレコのうち、現行品では以下のモデルがHDR補正で効果的に白飛びを防止していると感じます。

かなり少ないですね。

ただ、これが現実でこの2社以外のドラレコのHDRモデルは「HDRに対応してます!」というほど白飛び防止の効果はありません…残念ですが。

まぁ、トンネルの出口付近の白飛びはある程度のダイナミックレンジの広さがあればさほど問題にはなりませんが、夜間の先行車のナンバーを確実に映しておきたい、という場合にはここで挙げているドラレコがおすすめです。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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コメント

  1. いつき より:

    とあるディーラーで勤めている者です。
    最近ドラレコのことを調べる際にこちらのサイトを使わせていただいてます。(noteの方も購入させていただきました)
    各ドラレコの画質や使用感など、実際に買って使ってみないとわからない部分をわかりやすくまとめてあるので大変参考になりますし、用品店で聞くよりも実際のユーザーとしての感想が見れるので、とても助かっています。
    そこで少し相談なのですが、各ドラレコの使用感の部分で電源を入れてから録画されるまでの起動時間などもあると、選ぶときの参考になるかなと思いコメントさせていただきました。
    ご検討していただけると幸いです。

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      いつき様、ご要望ありがとうございます!
      起動時間については特に問題がある場合、例えば10秒くらいかかるなどの際は記載するように心がけていますが、漏れてるのもあるかも知れませんね。
      参考にさせていただきます。

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