こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
最近は「DRV-MR8500」の販売停止の件もあり、ケンウッドのドラレコをディスる記事が多くなってしまっていますが、先日JVCケンウッドから主にドラレコや車載カメラの映像を劇的に改善する目的で開発された動画処理システムに関する独自新技術「IPSILOS」(イプシロス)が発表されました。
JVCケンウッドのプレスリリースがハッタリでなければ、今後のメーカーごとのドラレコシェア変動に対して大きな影響を及ぼす事が予測されます。
もし仮に…本当にこのような事が実現可能であるなら、今まで散々ディスってきたケンウッドのドラレコを手のひらを返したように神と崇める事になるやも知れません。
「IPSILOS」(イプシロス)の概要
プレスリリースには小難しい事が書いてありますが、簡単に説明すると「IPSILOS」はイメージセンサーで受け取った画像信号を動画信号に変換する回路ブロックです。
人間の目で言うところの網膜の先にある視神経と脳の部分に当たるでしょうか?
この「IPSILOS」は画像を動画に変換する過程で従来と異なる処理を行う事で、このように白飛び・黒潰れを抑えた高画質な動画への変換を行うとの事です。
HDR補正についても、このように白飛び・黒潰れを抑える効果が劇的に高まっているようです。
ビクターの技術が全く反映されてこなかったケンウッドのドラレコ
JVCケンウッドは2008年にビクターとケンウッドの経営統合で生まれた会社ですが、ケンウッドのドラレコは台湾ドラレコメーカーのOEM製品が主力で、旧ビクターの技術はほとんど使われた来なかったように見受けられます。
今回開発された「IPSILOS」は以前からビクターが使用してきた「FALCONBRID」というブロックをベースとして開発されたもののようですが、JVCケンウッドとしてはイメージセンサーで言うところのSONYのように、自社製品だけでなく他社にもブロックを提供したい意向のようです。
「IPSILOS」については当社が展開するさまざまな映像関連機器へ搭載するだけでなく、映像関連機器の高画質化を実現する技術として、スマートフォンを始めとするさまざまな市場で使用されている信号処理SoCを開発するメーカーなどへIPとして提供することも想定しています。
※SoCとは「IPSILOS」ブロックの他に、CPUやGPU、メモリなどを含んだチップセット。ドラレコではAmbarellaやNovatek製が多い。
このビジネスモデルが一番儲かりそうですね(笑)
「IPSILOS」の仕様
「IPSILOS」の仕様はこちらの通りです。
最大解像度は4K超えの4480×2520の1130万画素で、この状態のフレームレートが60fps。
最大同時入力は1920×1080/60fps×2ch、1920×1080/30fps×2chとなっています。
最大解像度は1130万画素/60fpsですが、カメラ数が増えると(200万×2)/60fps、(200万×4)/30fpsと、合計の画素数/フレームレートが落ちてしまいますので、画素数に関わらず1静止画当たりの補正処理に相当なリソースを持っていかれるものと見受けられます。
また、これだけの処理を行うには「IPSILOS」だけでなくSoCのCPUやGPUに当たる部分にも相当なハイスペックが要求されると考えられますので、価格もそれなりに高いゾーンにしか実装されないかも知れませんね。
「IPSILOS」は今のドラレコにはオーバースペックな感じですが、あと2~3年もすればこれが標準になるのかも知れません。
ダイナミックレンジの面でハードルが高い360°ドラレコとも滅茶苦茶相性が良さそうですね。
これは是非試してみたいと思います。(2カメラならセンサーはIMX327とか使ってもらいたいですよね)
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント