※2019年9月14日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
今回はドライブレコーダーの解像度について解説します。
お店やテレビ、ラジオなどのドライブレコーダーのセールストークでは、「このモデルは解像度がフルハイビジョンで200万画素だから安心ですよ」などと勧められる事が多かろうと思いますが、そもそもこの解像度とは何者で、フルハイビジョンだとなぜ安心なんでしょうか?
画素数と解像度とは?
画素数と解像度と言う用語は混同されて使われてる事が多いですが、実は全然違います。
ドライブレコーダーに関しては物凄く簡単に説明すると…
①画素数~ドラレコが取り込む事が出来る映像の細かさの限界値
②解像度~ドラレコが出力する事が出来る映像の細かさの限界値
と言う事になります。
画素数が多くても解像度が低ければキメの細かい映像にはなりませんし、その逆もまた然りです。
どちらも限界値になりますので、①②のうちの低い方がそのドラレコの映像のキメの細かさの限界になります。
画素数と解像度についてもう少し詳しく説明すると…。
ドライブレコーダーの画素数
ドライブレコーダーが動画を録画する仕組みは、以下の写真のようにレンズで取り込んだ映像をCMOSセンサー(撮像素子)に照射して、チップセットで動画を圧縮したり補正しながらmicroSDカードなどのメディアに保存する流れとなります。
分解するとこんな風になっています。
チップセットの上にレンズが乗っているのが分かると思いますが、その間にCMOSセンサー(撮像素子)が挟まっています。
更にバラすとこんな感じです。
メーカーのスペック表に記載されている「撮影素子」またはCMOSセンサーの項目が200万画素などと謳ってあるのは、この真ん中にあるCMOSセンサーが昆虫の複眼のように細かく何区画に分かれているかという事です。
分かり易く言うとトンボの目です(笑)
【朝日新聞より】
トンボの目は2万個の複眼が集まっているそうですが、このCMOSセンサーは200万個の複眼で映像を捉えていると言えます。(小さいので平らに見えますが)
この複眼が何個あるかと言うのが、ドライブレコーダーの画素数というスペックになります。
人間の目で言うと1億2千万個もある、網膜細胞と言ったところでしょうか?
構造的には人間の目に例えた方が分かり易いかも知れませんね。
レンズ=水晶体、網膜=CMOS、チップセット=脳の反射を司る部分、microSD=脳の記憶する部分となります。
CMOSセンサーの画素数が多いほど、キメの細かい映像になる可能性があるという事です。
ただし、CMOSセンサーの個々の細胞の表面は、全て光を受け取る面で出来でいるわけではなく何パーセントかは隣の細胞の仕切りであったり、他の役割のパーツが入っていますので、同じサイズのCMOSセンサーを無理に画素数を増やしてしまうと光を受け取る面が減ってしまい、暗くなってしまう場合もあります。
隣の細胞との仕切りがない単眼の方が光を集める効率は良いと言えますので、小さいサイズのCMOSセンサーで画素数がやたら多いのは逆効果になる場合もあるという事ですね。
本来なら細かく見えるはずが、光不足でぼやけた…って感じでしょう。
ドライブレコーダーの解像度って何のこと?
ドライブレコーダーの解像度は、「1920×1080」などの数字と、CMOSセンサーと同じく「200万画素」などと表記されています。
これはデータとして出力されるファイルの映像の細かさを表しています。
具体的には横方向に1920個、縦方向に1080個の点で映像を表現する事になりますが、1920×1080=約200万ですので記録解像度としては「1920×1080/200万画素」などと表記されています。
仮にイメージセンサーの画素数が100万画素しかない場合でも、映像を引き伸ばして出力ファイルを「1920×1080/200万画素」にする事は可能ですが、もともとの情報量は100万しかないので、キメの細かさは100万画素のままです。(ファイルの容量が大きくなるデメリットしかありません)
画素数と解像度をまとめると
画素数と解像度の関係をまとめると
①画素数~イメージセンサーの目の細かさ
②解像度~動画ファイルの目の細かさ
となり、通常の常識の場合には以下の様に設定されています。
センサーの画素数 | 録画ファイルの解像度 |
---|---|
100万画素 | 1280×720 |
200万画素 | 1920×1080 |
400万画素 | 2560×1440 |
800万画素 | 3840×2160 |
解像度による見え方の違い
2014年以降のドライブレコーダーのスタンダードな画素数は200万画素で、出力ファイルの解像度は「1920×1080」のフルハイビジョンとなっていますが、スタンダードクラスの画素数と解像度は5年くらい変化がありません。
では200万画素の「1920×1080」のフルハイビジョンの解像度があれば必要充分なのか?と言うと、大体のケースでは近距離の車のナンバーを認識する事が出来ますので、必要充分であると言っても間違いではないでしょう。
ただし、同じ画素数や解像度であってもスペック通りのキメの細かい映像になるとは限りません。
例えば…
①イメージセンサーに廉価なショボい製品が使われている
②ドライブレコーダーの頭脳を搭載するチップセットがショボいものである
③ソフトウェア処理がヘタクソ
④レンズの組み付けの精度が悪い
などに該当する場合には、にじみやノイズが多い何とも残念な映像になる事もあります。
ただ、最近はSONYのイメージセンサーを使用した製品であれば大外れは少なく、概ね安定したキメの細かさは期待できるようになっています。
100万画素、200万画素、400万画素の見え方の違い
これは理論上の話ですが、100万画素の「1280×720」の解像度でドライブレコーダー設置位置から4m離れた車のナンバーを撮影した時の認識精度は、200万画素の「1920×1080」の解像度で5.7m離れた車のナンバーを撮影した時の認識精度と同等になります。
400万画素の「2560×1440」であれば8m、800万画素の「3840×2160」(いわゆる4K)になると11.3mになります。
①100万画素の「1280×720」~4m
②200万画素の「1920×1080」~5.7m
③400万画素の「2560×1440」~8m
④800万画素の「3840×2160」~11.3m
仮に100万画素のドライブレコーダーであっても、ぶつかるくらいまで接近した状態の車のナンバーであれば充分読み取りは可能ですが、高解像度になればなるほど読み取り距離が長くなります。
なお、ノーズが長い車はドラレコの位置から前方車両までの距離が長くなる傾向がありますので、高解像度のモデルを選んだ方がバランス的には良いと思います。
ノーズが短い車はどちらかと言うとより視野角の広さ重視ですね。
4Kと謳われている製品には注意が必要
最近はVANTRUEなどから800万画素のイメージセンサーを搭載した「3840×2160」の解像度の正真正銘の4Kドライブレコーダーが発売されるようになっていますが、一昔前の4Kと謳われているドライブレコーダーはなんちゃって4Kしかありませんでした。
このなんちゃって4Kとは何か…と言いますと
①800万画素必要な筈のイメージセンサーが何故か400~500万画素しかない
②録画解像度がなぜか「2560×2180」で500万画素しかない
と言ったモデルです。
4Kのキメの細かさは、800万画素のイメージセンサーと「3840×2160」の録画解像度が組み合わさってこそ実現出来るものですから、これらの4Kと謳われているモデルはなんちゃって4K、または似非4Kと言う事になりますね。
まとめ
以上、ドライブレコーダーの画素数と解像度について、ご説明しました。
200万画素のフルハイビジョンモデルは価格も安くなり、お求め易いコスパの高いカテゴリーではありますが、更に上のナンバー認識精度を求めるのであれば400~800万画素の高解像度モデルがおすすめです。


(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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