※2021年1月28日更新:12月に発売されたエントリーモデル「AVN-LS01」「AVN-LS01W」について追記しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
デンソーテンはかつては富士通テンという、富士通グループの企業で、元々はカーラジオなどのオーディオを製作していた会社ですが2000年に世界初のDVDカーナビとAVを2DINに一体化し、カーナビブランド「ECLIPSE」を立ち上げています。
カーナビのアフターマーケット市場が縮小し続けている為、2017年に富士通とデンソーによる株式交換に伴ない社名を変更して現在ではデンソーテンとなっています。
なお、カーナビのアフターマーケットメーカー全てに言える事ですが、ここ数年で大幅にラインナップを絞り込み、今回デンソーテンから発表されているモデルは、たった2つの系統のみになってしまいました…と書いたのは2016年ですが、あれから早くも4年が経過し、現行シリーズは5年目の継続展開となりました。
また、2021年向けモデルでは一度ラインナップから消えていたエントリークラスのモデルが復活しており、スタンダードクラス以上の製品については売れ行きが芳しくない事から将来的には撤退もあり得ると見ています。
イクリプス2020~2021年モデル
イクリプスのカーナビはエントリークラスの「AVN-LS」、「AVN-R/D/P」の2グレードとなっていますが、このうち上位に当たる「AVN-R/D/P」については2016年にフルモデルチェンジを行い、直近のマイナーチェンジは2019年で止まっています。
一方でエントリークラスの「AVN-LS」は新たに新設されたエントリーグレードですが、これはここ数年間デンソーテンが販売のみを行っていた中国メーカーの「SOLING」のOEM製品と見受けられ、デンソーテンの個人向けアフターパーツのカーナビ事業は死ぬ寸前のように思えます。
※どこの記事かは忘れましたが、最近市場ではイクリプスのカーナビが一番人気、売れ筋No.1などと書かれていました。これはこの状況から考えるとまずあり得ないでしょう(笑)
エントリークラスの「AVN-LS01」「AVN-LS01W」
2021年モデルから復活した「AVN-LS01」「AVN-LS01W」は他社で言うところの下から2番目くらいのグレードに当たるフルセグ対応のエントリーモデルです。
AVN-LS01 | AVN-LS01W |
---|---|
20.12発売 | |
7.0型液晶 | |
VICS WIDE | |
ETC2.0車載機は連動せず | |
フルセグ/Bluetooth/CD/DVD | |
対応バックカメラ | |
ステアリングリモコン | |
地図更新の可否は未確認 | |
取扱説明書 | |
車種別適合表 | |
※スペックは誤りがある可能性もありますので、念の為メーカーサイトでもご確認下さい。 |
液晶は2DINとワイド筐体の7型液晶ですが…
見た目も中身も中国メーカーのSOLING「SL3118NV」「SL3118NVW」の劣化OEM品のような体です。
地図ソフトもこちらがイクリプス…
こちらがSOLINGです。
因みに液晶サイズはどちらも7型ですが、SOLINGは中華企画のスタンダードで60万画素、イクリプスは日本向けのスタンダードで40万画素です。
機能面でも「AVN-LS01」「AVN-LS01W」の方が絞られている上、価格も1.5~2倍程度となっていますので、おすすめする理由が全くないですね(笑)
おそらく…ですけど、「SOLING」の製品が思った以上に売れたのだと思いますが、それは価格で売れたのであってスペックや仕様が他社製品よりも評価されたからではないでしょう。

スタンダード~ハイエンドクラスの「AVN-R/D/P」
イクリプスのスタンダード~ハイエンドカーナビは2016年の秋に大幅なモデルチェンジと展開モデルの縮小が行われており、2021年向けの最新モデルはこのうちの2つの系統(「AVN-R」と「AVN-D」)が継続、更に販路の異なる「AVN-P」が追加されています。
因みに型番を見ると、従来販路向けの「AVN-R」と「AVN-D」シリーズは2019~2020年モデルと全く同じ「AVN-D10W / AVN-D10」「AVN-R10W / AVN-R10」となっていますので、地図のみを最新版に差し替えたものと考えられます。
なので、2020年のモデル更新は実質ナシという事になりますね。モデル末期なので来年に期待した方が良さそうです。
なお、2020年秋に追加された特定販路向けの「P」系統、「AVN-P10/P10W」はベースがRグレードです。(どこかのディーラーOPでしょうか?)
デザインに関してはどのグレードも2DINの180mmが従来のインダッシュナビ型、200mmがスマホライクなフルフラット型となっています。
【2DIN 180mm】
【200mmワイドタイプ】
「AVN-R/D/P」の共通の特徴は、主に以下のポイントとなります。
②WiFi経由で地図の自動更新が可能(差分更新のみ~2022年10月までは無料)
③WiFi経由で駐車場の満空情報が取得可能
個人的なざくっりとした印象は、ケンウッドの彩速ナビ上位モデルのような特徴のカーナビになっているというところでしょうか。
因みにWiFi通信には対応しているものの、プローブ情報を活用した渋滞情報は関東エリアだけで実装されている「VICS WIDE」のみに対応している模様です。

「VICS WIDE」については、各社のほとんどのカーナビに実装されていますので、せっかくネットに接続できるのだから、もう少しどうにかならないものかと)
個人的には…、各人のスマホから位置情報を吸い上げているGoogle Mapの渋滞データが最も正確ではないかと、最近強く感じています。
ただし、Google Mapの案内インターフェイスは市販のカーナビに慣れていると見にくいですし、案内の親切さもイマイチ、また案内ルートもほとんど時間的に差がないような迂回ルートを積極的に選択したり、普通車で通りたくないような狭い道にも連れて行かれます。(コペンとか乗ってる時には良いんだけども…)

データだけGoogle から貰って、案内は市販のカーナビで行うように出来ないですかね。(出来るけど利益のほとんどをGoogle に持って行かれるからやらないのかも知れませんが)
なお、HDMIポートはいずれのモデルにも搭載されていません。
主な機能は以下の通りです。
AVN-R10/R10W | AVN-D10/D10W |
---|---|
20.11発売 | |
7.0型液晶 | |
VICS WIDE | |
ETC2.0対応車載機 | |
フルセグ/SD/USB/Bluetooth/CD/DVD/CD録音 | |
対応バックカメラ | |
フロントカメラ | |
ステアリングリモコン | |
地図の差分更新は3年間無料 | |
取扱説明書 | |
車種別適合表 | |
※スペックは誤りがある可能性もありますので、念の為メーカーサイトでもご確認下さい。 |
全地図更新に関しては無料更新などの記述が見つけられませんでしたので、有料になるかと思います。
差分更新では新しく開通した道路などは反映されるかも知れませんが、施設などの更新はされない筈です。
AVN-RとDの機能の違い
「R」グレードはベーシックなスタンダードグレード、「D」はドラレコ連動の上位モデルとなりますが、「R」にはなくて「D」にはある機能は以下の通りです。(いずれも180mm、200mmの2サイズ)
…以上です!
要は「D」グレードは「R」グレードにドラレコ機能を付加しただけのモデルという事ですね。
なお、ドライブレコーダーのスペックは以下の通りとなっています。
・水平録画視野角 117°
・フレームレート 28fps
・HDR補正機能
・WiFi機能
・microSDカードは純正品のみサポート(8/16GB)
・バックカメラのダブル録画可能
最高画質での録画時間については16GBのカード使用時には200分となっています。
「万が一に備えてFull HD画質でも長時間の記録が可能です。」と書かれていますが、普通のドライブレコーダーに比べると録画時間は短いですね。
因みにカーナビにWiFi機能も搭載されてますので、スマホでの動画の視聴や取り込みも可能ですが、カーナビで動画が見れる為、あまり使う機会は少ないような気がしますね。
また、「D」グレードは同社のバックカメラ、BEC113と接続する事でフロント・リアの2カメラ録画が可能です。
バックカメラの解像度は30万画素程度ですが、駐車監視には対応していないモデルなので走行中の状況証拠の確保が目的であれば問題はなさそうです。
カメラから取り込んだ映像を活かして、安全運転支援警報などを行う訳ではないのですが、新規でカーナビとドラレコのセットを組むなら無駄の少ない構成と言えそうですね。
後はオマケのようなものですが、これとは別にバックカメラの映像を取り込んで後方の安全支援を行う「カメラ機能拡張BOX」というものが発売されています。
イクリプスのカーナビのまとめ
ここ何年かで他社カーナビメーカーは生き残りを懸けて大画面化・車種専用化・高精細化・有機EL化・ネットメディア対応など、試行錯誤を重ねています。
イクリプスのカーナビは5年前に実装されたドラレコ連動がセールスポイントですが、そんな事は既にどのメーカーも当たり前の様に実装されている状況です。
来年辺りはデンソーの影響力を生かしたディーラー向けなどの販路以外の製品は消えてなくなる可能性がありますね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
ブルートゥースで携帯電話とペアリングをした場合の通話音質についての評価が欲しい。カロッツェリアは2008年製と2015年製及びパナソニックの2015年製を使用したが、どれも送話音量が小さく、聞こえないという苦情を多く受ける。送話音量を上げると、反響して、やはり聞き取れない為、オートバックスに問い合わせたところ、エクリプスが良い由。
奥山様、ご要望ありがとうございます。
カーナビに関しては実機の借り受けがなかなか難しいのですが、可能な場合には確認致します。
管理人様、レビューお疲れ様です。
トヨタ派ですので、どうしてもイクリプスを応援したく、
どこか少しでも、このメーカーの価値を見出せないか?という
”超”色眼鏡で見ているのですが、なかなか…(笑)。
とりあえず去年モデル(D8W)を買い、取り付けています。
意外とこのメーカーは、AVN(オーディオとナビのミックス)や
ドラレコとの連動など革新的な開発や、トヨタの純正ナビ制作など、
結構、重要なメーカーなのですが、その後が続かなかったり、
広報力が弱いのか、今一つ、マニアにしか認知されていないメーカーです。
ドラレコ連動も他社に比べてスッキリして良いのですが、
最大32GB(SDHC)という制限や、親会社が開発している
ナビコン非対応など、至る所に残念さを感じます。
方向性は極めて良い!しかし、あと1歩(というか、2歩、3歩…)
足りてないのが惜しいメーカーだと思います。
折角、トヨタとカプラーが同じなのでポン付けができるのも
ウリの1つだと思うのですが、ならばトヨタ純正の舵角信号も
取り入れられれば良かったのに…。
トヨタ信者様
確かにイクリプスは広報にあまり力を入れていないように感じますね。
親会社がデンソーに変わった事で今後何か変化があるかも知れないですし、そもそもアフターマーケットのカーナビは儲からないので純正OEMに集中しそうな気もします。
その為の株式交換かも知れませんしね(笑)
イクリプスに不満を感じながら、車両入替に伴い、カロッツェリアに
乗り換えてみて、イクリプスの良かったところを考えてみました。
なかなかこういうのは、離れてみないと分からないものもありますね。
今にして思う、イクリプスの良さ…というか、使うと良い人とは、
ずばり、ナビや車に興味のない人、高齢者、女性に良いと思います。
こちらや色々なサイトでも挙げられていますが、カロッツェリアや
パナソニック、アルパインは機能が豊富で拡張性に優れています。
使いきれる人には面白いおもちゃである反面、使いきれない人にすれば
宝の持ち腐れであり、無駄であり、ゴチャゴチャしています。
また、案内の声やアナウンスは、やはりメーカー(トヨタ)純正を扱っている
だけに、運転に自信のない人には良いと思います。
悪い評価として挙げられますが、イクリプスはうるさいという意見もありますが、
例えばカロなら一時停止は「ポーン」となるだけですが、イクリプスは、
「この先、一時停止です」と言葉でアナウンスがあります。
こちらのようなレビューサイトでは、イクリプスナビは取り上げるものが
乏しく、ネタに困るほどでしょうが、実はそのシンプルさというのは、
意外と使い手によっては、大きなメリットなのだと思いました。
ただ、相変わらずナビ精度とかは、残念なのは否めないのですが。
トヨタ信者様
ご意見ありがとうございます。
イクリプスはカーナビの車両システム一体化に向けて富士通からデンソー傘下に入ったようなものなので、社外品として売って行こうと言う姿勢は乏しい様に思います(笑)
>こちらのようなレビューサイトでは、イクリプスナビは取り上げるものが乏しく、ネタに困るほどでしょうが
>ナビや車に興味のない人、高齢者、女性
面白い製品ではないのでそうなりますね。
個人的にも全く食指が動かない製品です(笑)
詳しくない人がディーラーやお店ですすめられて買う製品って感じですかね。