※2018年6月4日更新~実機テストを行いましたのでレビューを追記しました。
ユピテルの「WD300」は、2017年後半に追加された新系統の「DRY-ST1000/2000c」の流れをくむ…というか、スペック的には「DRY-ST2000c」と同等品のネット専売モデルです。
実のところ、ユピテルの箱型モデルは2017年にエントリー~ハイエンドクラスまで、「DRY-ST1500/3000c」系のモデルでラインナップが一新されていた為、半年後にこの系統のモデルが出た際には「なぜ???」と疑問を抱いていました。
個人的な推察の域を出ませんが、同社は過去モデルのバッテリー絡みのリコール交換品としてこの新系統の「DRY-ST1000c」を当てており、この系統のモデルの生産はかなり計画的に大規模に行われたであろうと思われます。
「DRY-ST1000c」が売れようが売れまいが一定以上の交換対応分の数量は確保しなければなりませんし、周辺パーツもかなりの数が必要となりますので、モデルの幅出しをする為に上位モデルの「DRY-ST2000c」も合わせて初回生産分から大量に作り込んでいたのではないかと思われます。
その一環として通販専売モデルの「WD300」もラインナップに加えたと言ったところなのでしょう。
生産背景的にはかなりコストメリットが生かせていそうな系統になりますが、それを活かしてか1万円以下の価格で流通していますので、2018年6月時点ではエントリークラスの中で1~2位を争う人気モデルとなっています。
「WD300」のスペック
「WD300」のスペックは以下の表の通りです。
DRY-ST1000C | DRY-ST2000C | WD300 |
---|---|---|
17.07発売 | 17.08発売 | 17.08発売 |
1920×1080/27.5fps |
||
LED信号対応 | ||
録画視野角 水平104°(実測) | ||
HDR | ||
付属8GB | ||
最大32GB | ||
GPS非対応 | GPS内蔵 | |
駐車監視モード | ||
動体検知 | ||
専用ケーブル OP-E863 OP-VMU01 |
||
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
事実上、「DRY-ST2000c」の簡易外箱・説明書ダウンロードモデルとなっており、GPS内蔵の大手国内メーカーのモデルの中では激安です。
説明書はこちらからダウンロードが可能です。
「WD300」の立ち位置と特徴
「WD300」の立ち位置を説明するには、2017年以降のユピテルの他のモデルとの関係性が絡んできますので、ちとややこしくなります。
2017年に最初に発売された「DRY-ST1500/3000c」の系統の方が、おそらくハードウェアの素養は上であると感じていますが、機能面ではほとんど差はありません。(これらは録画視野角108°)
一方で「DRY-ST1000/2000c/WD300」の録画視野角のスペック表記は95°になっているのですが、実測値では104°出ています。
従って表面上のスペック的にはこれらの2系とはほとんど同じということになりますが、画質の面を考慮すると、立ち位置的にはGPSなしモデルでは「DRY-ST1500c」>「DRY-ST1000c」、GPSありモデルでは「DRY-ST3000c」>「DRY-ST2000c/WD300」という関係になろうかと思います。
普通ならこう言った分かりにくい商品構成はしないと思うのですが、諸々の事情と現在のドラレコ市場の情勢を考慮して強気で押してる感じなのでしょうね。
「WD300」のセット内容とデザイン
「WD300」のセット内容は、ドラレコ本体・GPS内蔵のマウント・シガーケーブルとなります。(使用済みのサンプルの為、本来であれば両面テープなどの小物類もあるかと思います)
デザインについては「DRY-ST1500c」系統と比較すると、厚みやマウント挿し込み口の形状などの絡みでほんの少しだけ大きめです。
「WD300」の画質の特徴
「WD300」の画質の特徴は、HDRによる逆光補正は標準レベル(かなりCPUに負荷が掛かっている印象)、夜間についてはほんの少しだけ標準よりも暗めと言った感じです。
ケンウッドのスタンダードクラスの「DRV-320/325」に極めて近いバランスとなっていますね。
「DRY-ST1500/3000c」系統は夜間が比較的明るい部類に入る為、そのクラスと比べるとやはり下位の位置づけであるという事が分かります。
【WD300とDRV-320】
【DRY-ST3000cとDRV-320】
なお、録画視野角についてはベンチマーク基準である水平100°の「DRV-320/325」と比較したところ、104°程度出ている事が分かりました。
精細感については、「DRV-320/325」よりも安定的に高く、全体的にバランスが取れた低価格の良モデルであるという印象です。(「DRY-ST1500/3000c」とはほぼ同等かと)
【WD300】
【DRV-320】
なお、内蔵のマイクについてですが、結構音割れし易い印象ですので録音の質にこだわるならこのモデルは外した方が良いです。(音割れ状況は、このページのPCビュワーの動画の項目内で確認して下さい)
「WD300」の駐車監視の運用
「WD300」の駐車監視には別売のタイマーユニット「OP-VMU01」と、「OP-VMU01」とドライブレコーダーを接続するケーブル「OP-E863」が必要になります。
エンジンのオフで「OP-VMU01」のタイマーと電圧管理は作動するものの、「OP-E863」自体が2芯のケーブルで12Vを5Vに変圧する役割しかないのでエンジンのオンオフに連動した駐車監視の出入りには対応していません。
タイマー設定について(30分・1時間・2時間・3時間・4時間・6時間・12時間の中から選択が可能です。
「OP-VMU01」についての仕様は以下のページを参照して下さい。
駐車監視に使用する動体検知の起動は、車のエンジンのオン・オフには連動せず、手動で操作を行います。
具体的には本体右側の「OK」ボタンを3秒以上長押しする操作が求められます。(動体検知は10fps)
復帰の際には再度「OK」ボタンを3秒以上長押しします。(タイマーが切れて電源が落ちると動体検知は解除されま、再起動時の操作は不要)
インターフェイスについて
インターフェイスに関しては「MENU」ボタンでメニューを呼び出して、「MODE」ボタンでツリーを切り替える方式となります。
画面下部に各ツリーのアイコンが表示されますので、「MODE」ボタンで録画設定→再生→SDカード→その他設定、と言った具合に切り替えるのですが、分かり易さを考えると「DRV-320」のように、メニューボタンで全ての項目が表示され、▲▼ボタンで項目の切り替えを行う方が好ましいと感じます。
専用PCビュワーについて
PCビュワーソフトについては、グーグルマップの地図表示があるスタンダードなタイプです。
スローモーション、早送り機能などがありますが、画面の拡大などは出来ない模様です。
なお、動画再生のウィンドウは最大化する事も可能ですので、使い勝手は悪くないかと思いますね。
■ 「WD300」の専用ビュワーはこちらからダウンロードが可能です。
モバイルバッテリーでの駆動について
モバイルバッテリーでの駆動については、他のユピテルのモデルと同様に電圧の変化に弱い事が確認されましたので、おすすめはしません。(再起動はしないものの、録画が開始されなかったりした)
「WD300」の総評
「WD300」の競合モデルは、同社のアッパーシリーズ「DRY-ST3000c/3000p」、ケンウッドの「DRV-320」コムテックのGPSなしエントリーモデル「ZDR-012」辺りになろうかと思います。
このクラスのモデルと主な要素を比較すると
- 録画視野角~「ZDR-012」>「DRY-ST3000系」>「WD300」>「DRV-320」
- 精細感~「DRY-ST3000系」=「WD300」>「ZDR-012」=「DRV-320」
- 夜間の明るさ~「ZDR-012」>「DRY-ST3000系」>「DRV-320」>「WD300」
- 逆光補正~どれもほぼ同じ
録画視野角、画質の面ではハイエンドクラスのような物凄い差はありませんので、価格とデザインの好みなどで選ぶと良さそうですが、機械が苦手な方であればインターフェイスの使い易さもキーポイントとなろうかと思います。
初心者向けのインターフェイスが好みであれば、「DRV-320」=「ZDR-012」>「DRY-ST3000系」「WD300」と評価します。
まあ、「WD300」はネット専売モデルですし、そこまでインターフェイスにこだわらない人がターゲットかと。
また、GPS内蔵の大手国内メーカーのモデルで1万円以下は今のところ見当りませんし、GPS内蔵モデルであればケンウッドの「DRV-320」が競合になりますが、録画視野角もやや「WD300」の方が広いですし、コスパで考えると「WD300」の方に圧倒的なアドバンテージがあると思いますよ。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
「WD300」と競合するモデルはこちらです。
コメント