2024年1月24日更新:実機レビューを追記しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
コムテックから2023年向けの2カメラドライブレコーダー「ZDR055」が発表されています。
このラインはコムテックのドラレコとしては主力の系統で、「ZDR-015」→「ZDR025」→「ZDR035」→「ZDR045」に続く5世代目となります。
私が感じる市場の動向としては、他社も含めてドラレコの画質は第三世代の「ZDR035」辺りで円熟期を迎え、そこからは各社横並びに近い状態で差別化が難しい状況であると言う印象です。
ネット上で出て来る売れ筋情報も実勢価格が2.2万円の「ZDR035」>2.7万円の「ZDR045」のようですので、多くのユーザーは些末な画質・機能の差よりも価格を優先していると言う結果が読み取れます。
ただし、メーカー側の立場で考えると、急激な円安に振れる前の2021年4月に発売されている「ZDR035」よりも、原価が1.5倍程度になってしまった現行モデルを高く販売しなければならない事情があり、各社とも頭を悩ませている状況ではないかと推察されます。
この発売されている製品は、1ドル100~110円くらいを想定した価格設定になっている筈です。
「ZDR055」のスペックと特徴
「ZDR055」の特徴は以下の表の通りです。
ZDR055 |
---|
23.10発売 |
フロント:1920×1080/27.5fps リア:1920×1080/27.5fps |
レンズ視野角 フロント:水平138° リア:水平138° |
LED信号対応 |
microSD付属32GB/最大128GB |
フォーマット不要 |
GPS内蔵 |
駐車監視モード |
衝撃クイック録画/常時録画+衝撃録画/タイムラプス |
自動起動 |
専用ケーブル HDROP-014 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
各種仕様をメーカーのプロダクトページで細かくチェックした限りでは、ディスプレイサイズを「ZDR045」の3.0型から2.7型にサイズダウンした点以外には全く違いが見られません。
ひょっとするとソフトウェアのチューニングが進化している可能性はありますが、どちらかと言うと過度な円安の状況下で価格を上げない為のコストダウンモデルなのかも知れません。
「STARVIS 2」対応のイメージセンサー
先代の「ZDR045」以降では、SONYの新型夜間特化型STARVIS2センサーが採用されています。
SONYのSTARVISとは、低照度の環境下でも明るく撮影が可能なもともとは防犯カメラ向けの技術ですが、STARVISもSTARVIS 2も、対応する照度の基準は同一であり、異なるのはダイナミックレンジの広さです。
■セキュリティカメラ用 イメージセンサー技術 STARVIS™ / STARVIS 2
ダイナミックレンジを広げる事により、昼間の日陰の黒潰れや逆光下での白飛び、夜間のヘッドライトが反射したナンバーの読み取り能力が上がり、明るさそのものを上げる調整も可能になります。
今回「ZDR045」「ZDR055」に搭載されているセンサーは、おそらく200万画素級のIMX662でしょう。
セット内容とデザイン
「ZDR055」の実機を購入しましたのでレビューを追記します。
セット内容についてはこちらの通りとなります。
・リアカメラ
・カメラ接続ケーブル(9m)
・3PINシガー電源ケーブル
・32GBのmicroSD
・取扱説明書
・取付部品
フロント筐体
フロント筐体のデザインはスタンダードな箱型タイプで、サイズもスタンダードです。
液晶はドラレコとしてはやや大き目のな2.7型、液晶の左には2つの操作ボタン、筐体の下側側面には4つの操作ボタン
右側面にはmicroSDカードスロット
上側面には左から3PIN電源端子、リアカメラ接続端子が装備されています。
リアカメラ
リアカメラは最近のコムテック2カメラモデル「ZDR045」とほとんど同じデザインのコンパクトな正方形タイプとなります。
カメラ接続ケーブルはコムテック定番の9mの4極タイプです。
電源ケーブル
電源ケーブルはシガープラグタイプとなりますが、駐車監視の運用には別途専用の3芯常時電源ケーブルが必要です。(シガープラグや2芯の直結ケーブルだと駐車監視モードが起動しません)
インターフェイスについて
電源ONから録画開始までの起動時間は2秒程度と2カメラドライブレコーダーとしては非常に早めです。
メニューツリーは一本化されており、ボタンの役割が液晶下にプリントされていますので使い勝手は悪くありません。
ただし、夜間にはこのプリントが見えませんので操作には慣れが必要です。
車内への取付けについて
今回は初期型のアクアに「ZDR055」の取り付けを行いました。
ミラー裏に簡単に隠せますが、なるべくレンズが車の真ん中近くになるように設置したいところです。
リアカメラケーブルは長めの9mですので、ミニバンなどでもケーブルをマット下などに這わせる事が出来るでしょう。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
ドライブレコーダーとしての画質について
画質については、現行の日本メーカーの2カメラドラレコとしては最高評価の「HDR801」と、前後の映像を比較しました。
比較ポイントはこちらの通りです。
・逆光補正能力
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
フロントカメラの録画視野角は水平138°程度で、現行のドライブレコーダーとしては最も広い部類に入ります。
リアカメラもかなり広めの水平138°程度です。
逆光補正能力について
「ZDR055」は前後カメラとも強烈なHDR補正が掛かっていますが、露出も非常に高く調整されている為、やや白飛びが出る傾向があるものの、黒潰れは抑えられており、全体としてはバランスの良いチューニングとなっています。
【リア】
ナンバー読み取り精度について
「ZDR055」はフロント・リアともに録画視野角が非常に広めですので、ナンバー認識精度では不利になり、フルハイビジョンモデルとしては最も低い部類となります。
夜のヘッドライトが強く反射した状態のナンバープレートの読み取り精度は非常に高めでした。
夜間の明るさについて
夜の明るさについては素の動画ではドラレコ内で補正を掛けている「HDR801」には劣りますが、PCのVLCで補正を入れて再生した場合には、「HDR801」よりも補正の限界値が高く、明るくクリアな映像となっています。
フレームレートとLED信号の映り方について
「ZDR055」のフレームレートは前後とも27.5fpsとなっていますので、日本全国でLED信号が高速点滅して映るでしょう。
安全運転支援機能について
「ZDR055」には、こちらの7つの安全運転支援機能が搭載されています。
・後続車接近おしらせ:後方から接近する車両を映像で認識し、お知らせを行います。また設定により後続車接近録画データとして記録
今回は安全運転支援機能の実機テストは行っていません。
「ZDR035」でのテスト結果を参考にして下さい。
駐車監視について
「ZDR055」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
■「ZDR055」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
動画ファイルの再生方法について
動画の再生については以下の3つの方法をテストしました。
・PC専用ビュワーでの再生
・PC汎用ビュワーでの再生
ドラレコ液晶での再生について
ドラレコ本体での動画の再生は、液晶サイズが2.7型で比較的大き目でデザインも箱型のスタンダードな為、ドラレコとしては見易い部類に入ります。
PC専用ビュワーでの再生について
PCの専用ビュワーは以下のページからダウンロード可能です。
機能的には以下のようにドラレコのビュワーとしては充実しています。
・映像の拡大縮小~〇
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整~〇
・明るさの調整~×
・上下左右の反転~〇
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」、汎用ビュワーで明るさが調整出来る「VLC」での再生も可能でした。
microSDでの録画時間について
「ZDR055」の録画データサイズは以下の通りです。
microSDカードの容量は128GBまでサポートされています。(256GB以上のカードの動作は未確認)
地デジへのノイズの影響について
「ZDR055」の単体使用では、アルファード+サイバーナビの組み合わせで影響は確認出来ませんでした。
ラジオへのノイズの影響も確認出来ませんでしたが、車種やカーナビの種類、アンテナの位置で状況は変わる事がありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
「ZDR055」の総評
最後に「ZDR055」の総評です。(先代の「ZDR045」と同等)
総合評価は以下の表の通り。
点数 | 視野角 | ナンバー昼 | ナンバー夜 | 逆光 | 明るさ | 暗視 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
X4S | 29.5点 | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
DC2000R | 29.5点 | ★★★★★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
S1 Pro | 28.0点 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
HDR801 | 26.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
Element 2 | 26.0点 | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
Y-4K | 25.5点 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★☆ | ★★★☆ | ★★★★ | ★★★☆ |
DRV-MR570 | 25.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
ZDR055 | 25.0点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
ZDR045 | 25.0点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
47Z | 24.5点 | ★★★★ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★ |
CS-92WQH | 24.0点 | ★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆ | ★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
ZDR035 | 23.5点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★ | ★★★★☆ |
Y-300R | 22.0点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★☆ | ★★★★ |
ZDR025 | 22.0点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆ | ★★★ |
A129 IR Duo | 22.0点 | ★★★ | ★★★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
CS-91FH | 21.5点 | ★★★☆ | ★★☆ | ★★ | ★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
A129 Duo | 21.5点 | ★☆ | ★★★☆ | ★★★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
Y-400di | 21.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★★ |
HDR963GW | 21.0点 | ★★★★★ | ★ | ★★★★ | ★★★★☆ | ★★★ | ★★☆ |
PDR800FR | 21.0点 | ★☆ | ★★★☆ | ★★★ | ★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
A129 Plus Duo | 20.5点 | ★★★☆ | ★★★★ | ★★☆ | ★★☆ | ★★★★ | ★★★★ |
SN-TW81 | 20.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★ | ★★☆ | ★★★☆ | ★★★★★ |
DRV-MR8500 | 20.0点 | ★★★ | ★★★☆ | ★★★☆ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ |
P4 | 20.0点 | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆ | ★★ | ★★ | ★★★ |
SN-TW80d | 19.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★☆ |
DRV-MR770 | 19.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ | |
VREC-DH300D | 19.0点 | ★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
SN-TW9500dp | 19.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★ | ★★☆ | ★★★☆ | ★★★★ |
DRY-TW9100d | 19.0点 | ★★★★☆ | ★★☆ | ★★☆ | ★★ | ★★★★ | ★★★☆ |
VREC-DZ700DLC | 18.5点 | ★★★★ | ★★ | ★ | ★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
ZDR026 | 18.5点 | ★★★ | ★★★☆ | ★★★★ | ★★★★ | ★★☆ | ★☆ |
DR750X Plus | 18.5点 | ★★★☆ | ★★★ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆ | ★☆ |
VREC-DZ800DC | 18.0点 | ★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
A129 Pro Duo | 18.0点 | ★☆ | ★★★★★ | ★★ | ★★ | ★★★★ | ★★☆ |
DR750S-2CH | 18.0点 | ★★★☆ | ★★☆ | ★ | ★★☆ | ★★★★ | ★★★★☆ |
S1 | 17.5点 | ★★★☆ | ★★★ | ★ | ★★ | ★★★★★ | ★★★ |
DRV-MR480 | 17.5点 | ★★★★☆ | ★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★ | ★ |
46Z | 17.0点 | ★★★ | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ | ★★★ | ★★★ |
GoSafe S70GS1 | 17.0点 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ | ★★★☆ | ★★☆ |
DRV-MR760 | 16.0点 | ★★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★☆ | ★☆ |
DRV-MR870 | 15.5点 | ★★☆ | ★ | ★★ | ★★★★★ | ★★☆ | ★★☆ |
ZDR-015 | 15.5点 | ★★★☆ | ★☆ | ★★★★ | ★★★☆ | ★★ | ★ |
DRV-MR745 | 15.0点 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★☆ | ★☆ |
YA-670 | 14.0点 | ★☆ | ★★☆ | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
DRV-MR740 | 13.5点 | ★ | ★★★☆ | ★★★ | ★★★ | ★☆ | ★☆ |
CSD-790FHG | 11.5点 | ★★☆ | ★ | ★ | ★★☆ | ★★☆ | ★★ |
★=2pt、★=1pt、☆=0.5pt |
対「HDR801」で考えた場合には、素の動画では「HDR801」の方が高画質、VLCでの再生を前提とすると、補正マージンを残した「ZDR055」の方が高画質であると言う結果です。
どちらかを選べと言われたら、私なら「ZDR055」を選びますが、「ZDR045」「ZDR035」から買い替える必要性はないと感じました。
コメント
>どちらかと言うと過度な円安の状況下で価格を上げない為のコストダウンモデルなのかも知れません。
推測ではありますが、フラッグシップモデルとして、やってほしくなことですよね。
無理に新型を出さずに、ZDR045を継続販売すればいいのに。
HCR32様
フラッグシップはHDR系なんですよね。
今までのZDR系の出来が良すぎましたね。