※2020年12月26日更新~実機レビューを追記しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
先日ユピテルのWEB専売の箱型ドラレコ「WD260S」が過去にないくらいコスパが高いという評価をしていますが、今回はこの製品にGPSをプラスしてさらに視野角を広げた上位モデル「SN-ST3200P」が発表されています。
実勢価格次第にはなりますが、「WD260S」の画質が非常に高評価だっただけに「SN-ST3200P」も2021年にはシングルドラレコとしてはおすすめNo.1機種になる可能性があります。
「SN-ST3200P」のスペック
「SN-ST3200P」のスペックはこちらの表の通りです。
SN-ST3200P |
---|
20.12発売 |
1920×1080/27.5fps/HDR |
LED信号対応 |
録画視野角:水平147° |
microSD付属16GB/最大64GB |
GPS内蔵 |
駐車監視モード |
タイムラプス(1fps) |
手動起動 |
専用ケーブル OP-E863 OP-VMU01 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
筐体デザインなどベースは「WD260S」と同様ですが、レンズの視野角が水平147°と更に広がり、360°ドラレコ以外では最大視野角となっています。
また、GPSを内蔵している点、microSDカードが64GBまでサポートされるようになった点もユーザーの幅を広げる事になるので好意的に捉えています。
果たしてこの視野角でフルハイビジョンの解像度を維持しながら、どの程度のナンバー認識精度を維持できているかが気になるところです。
セルスターの「CS-360FH」は2レンズの360°モデルですが、単眼の視野角は水平188.6°、垂直102.8°でナンバー認識精度にはやはりあまり期待できません。
一方で「SN-ST3200P」については水平147°、垂直83°ですので、撮影範囲は「CS-360FH」の63%程度になります。
本来なら解像度を1440Pに上げるのが一番手っ取り早いのですが、その分明るさが犠牲になりますのでフルハイビジョンのSTARVISセンサーのままでどこまで視野角を広げてナンバー認識精度も落とさないように出来るか?と言った点がポイントになりそうです。
「SN-ST3200P」の付属品とデザイン
レビュー概要や操作方法等については以下のレビュー動画でも解説しています。
「SN-ST3200P」の付属品は以下の通りです。因みに箱は白い簡易包装で説明書はインターネットでのダウンロード版になります。(購入サンプル)
①2.0型液晶搭載の筐体
②ボールジョイント式マウント
③miniUSBシガーケーブル
④16GBのmicroSDカード
筐体のデザイン
「SN-ST3200P」の筐体は先代の「WD260S」と同じコンパクトな箱型です。
こちらの左が「SN-ST3200P」、右が「WD260S」ですが、外観はGPSのプリント以外全く同じです。
miniUSB電源端子は上側面、microSDカードスロットは右側面に配置されています。
「SN-ST3200P」の取付について
今回はアクアに「SN-ST3200P」の取り付けを行いました。
ルームミラーは純正ではなく、MAXWINの交換式スマートミラー「MDR-A001」が装着されていますが、ミラー裏の車両センターに配置するとミラーからはみ出でしまう為、やや右寄りに取り付けました。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
「SN-ST3200P」のインターフェイスについて
「SN-ST3200P」の起動時間は23秒程度で1カメラのドライブレコーダーとしては非常に遅い部類に含まれます。
インターフェイスはこれと言って特徴のないスタンダードなツリー型ですが、ツリーが録画モード・再生モード・設定モード・microSDカードのフォーマットの4つ別れており、モードボタンでそれぞれのモードの切替を行なう必要があるので、操作には慣れが必要です。
ボタン数が多いので操作性自体は悪くありません。
ただし、「WD260S」と同様に録画開始のピーッ!という安っぽい電子音が耳にキンキン響く音質で、設定から音を消す事が出来ないのがマイナスポイントです。
また、メニューを終了すると通常のドラレコは自動で録画を再開しますが、本機ではOKボタンを押さないと録画が再開されませんでので注意が必要です。
「SN-ST3200P」のドライブレコーダー画質について
「SN-ST3200P」のドライブレコーダーとしての画質については、こちらの3つの製品と比較を行いました。
②「SN-SV70c」~最上位の円筒型でWiFi対応の超広角STARVIS
③「HDR752G」~コムテックの最優秀シングルドラレコ
比較ポイントは次の5つです。
②昼間の白飛び、黒潰れについて
③ナンバー読み取り精度について
④夜間のナンバー読み取り精度について
⑤夜間の明るさについて
録画視野角について
録画視野角については仕様表に記載されている数値と同様で水平147°程度で、現行のシングルドライブレコダーの中では単独で最大値となっています。(360°ドラレコを除く)
トンネル出口での逆光補正について
ユピテルのドライブレコーダーは全般的に景色撮影能力も考慮してかHDR補正が弱めですが、「SN-ST3200P」については「WD260S」と同様にこの中では白飛び・黒潰れのバランスは良いと感じました。
ナンバー読み取り精度について
これらのドラレコは録画視野角が広い為にナンバーの読み取りでは不利になりますが、「SN-ST3200P」はこの中でも最も視野角広く、それに伴ってナンバーの読み取り精度も順当に低くなっています。
夜間のナンバー読み取り精度について
夜間にヘッドライトの光が強く反射した先行車のナンバーの読み取り精度は、STARVISセンサーが最も苦手とするところですが、「SN-ST3200P」は夜間の明るさの絞りが苦手なようで、この中で…というよりドラレコ全体の中で最も白飛びが出やすくなっています。
過去の最低クラスが同社の「SN-SV70c」でしたが、これよりも更に白く飛ぶ範囲が広がっていますので、残念ですがこれは全く洗練されたチューニングとは言えません。
夜間の明るさについて
これらの4つのモデルは夜間の撮影能力が非常に高いのが特徴ですが…
STARVIS機ではない「HDR752G」のみが光の当たっていない部分がやや暗めに映り、それ以外なは概ね万遍ない明るさです。
ただし、街灯が少ない暗い場所になると何故か「SN-ST3200」は暗い部分い露出を合わせてしまう為か、ヘッドライトが当たる明るい部分の絞りが全く効かなくなり、白飛びが強く出てしまいます。
対向車とすれ違うとこの通り、自分のヘッドライトと対向車のヘッドライトが一体化してしまい、状況が良く分からなくなります。
ユピテルは日本メーカーでーは最も早いタイミングでSTARVIS機を発売していますが、過去3年間のフィードバックの集大成がこれ…というのはあまりにもお粗末と感じました。
これを見ると、「WD260S」のバランスが良かったのは開発陣が意図したものではなく偶然が重なっただけのように思えてしまいます。
暗視能力については「SN-ST3200」が「WD260S」よりも若干高めになっていますが、露出調整の全体のバランスは「WD260S」「HDR752G」には及びません。
ドラレコとしての画質の特徴をまとめるとユピテルのSTARVIS製品の中では
②逆光補正は昼間は良いが、夜間のバランスが致命的に悪い
④夜間の市街地での明るさ最高クラス
⑤暗視能力では最高クラス
となります。
先代の「WD260S」はここ2年位のユピテルの製品の中では、最も旧世代からの改善が目に見える形で行われている印象で全体として久々の高評価でしたが、なぜか最新の「SN-ST3200」ではバランスの悪かった初期STARVIS機である「SN-SV70c」のバランスを更に悪くした印象です。
点数 | 視野角 | ナンバー昼 | ナンバー夜 | 逆光 | 夜明るさ | 暗視 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
T3 | 25.0点 | ★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
MINIEYE | 23.0点 | ★★☆ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★☆ |
HDR752G | 21.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★☆ | ★★ |
WD260S | 21.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
A129 | 21.0点 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
HDR852G | 20.0点 | ★★★★★ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★☆ | ★ |
DRV-830 | 20.0点 | ★★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★ |
SN-ST3200P | 19.5点 | ★★★★★★ | ☆ | ☆ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
DRV-350 | 19.0点 | ★★★☆ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★☆ | ★★★ | ★ |
HDR203G | 18.5点 | ★★★★★ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★ | ★ | ★ |
A119V3 | 18.0点 | ★ | ★★★★ | ★★☆ | ★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆ |
SN-SV40c | 18.0点 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★☆ | ★★★★☆ |
A129Pro | 17.5点 | ★★ | ★★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★★ | ★☆ |
SN-SV70c | 17.5点 | ★★★★★ | ★ | ★ | ★★ | ★★★★☆ | ★★★★ |
WD250S | 15.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★ | ★★ | ★☆ | ★★★★ |
ZDR022 | 15.0点 | ★★★ | ★★☆ | ★★ | ★★★☆ | ★★☆ | ★☆ |
DRY-ST1700c | 15.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★ | ★ |
DRV-650/W650 | 14.0点 | ★★★ | ★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★☆ | ★ |
HDR001C | 14.0点 | ★★☆ | ★★★ | ★★★★★ | ★★ | ☆ | ★ |
DRV-340 | 12.5点 | ★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★ | ★ |
「SN-ST3200P」のフレームレートとLED信号の映り方について
「SN-ST3200P」のフレームレートは27.5fpsとなっていますので、日本全国でLED信号が高速点滅して映るでしょう。
動画の再生方法について
「SN-ST3200P」の動画の再生については、本体液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワー、スマホでのテストを行いました。
本体液晶での再生
本体液晶での再生については、液晶サイズはやや小さめの2.0型ですが、液晶が暗すぎて再生映像が非常に見えにくい状況でした。
この映像ではサンシェードを使っているので暗さは感じませんが、サンシェードを外すとこんな感じです。(スマートミラーMDR-A001は明るさ最低設定です)
PC専用ビュワーでの再生
パソコンでの再生については、こちらの専用ビュワーで地図やGセンサー情報などの表示が可能です。
主な機能は次の通りです。
②Gセンサーグラフの表示
③速度表示
④再生速度の変更(0.3~4倍速)
拡大縮小は出来ませんのでドラレコビュワーとしては必要最小限の機能と言ったところです。
PC汎用ビュワーでの再生
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されているソフトでも可能でした。
スマホでの再生について
スマホでの再生については、iPhone SEでは「Tube Reader」、Androidスマホではカードリーダー経由でXPlayerでの再生が可能でした。
スマホで再生するとカード内に余分なフォルダが作成されますが、そのままカードを戻してもフォーマットなどは要求されず、通常通りに録画が開始されました。
駐車監視の仕様について
「SN-ST3200P」の駐車監視はOPの直結ケーブルとタイマーユニット「OP-VMU01」を使用して、走行中の常時録画の継続、またはボタンを長押しするタイムラプスモードがあります。
駐車監視の継続時間は「OP-VMU01」に依存し、最大で12時間までとなります。
また、タイムラプスモードを解除する際にもボタンの長押しが必要です。
なお、常時録画を継続する方法での駐車監視であれば、こちらのガジェットを合わせて使用する事で外出先では駐車監視、自宅駐車場では電源OFFの操作を自動化出来ます。
外部電源を使用した駐車監視の運用について
ドラレコ専用の外部バッテリーiCELLを使用した駐車監視の駆動予想時間はこちらの通りです。(タイムラプス)
iCELL | B6A | B12A | B40A |
---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 32時間 | 64時間 | 158時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 |
使用可能なmicroSDカードの最大容量
「SN-ST3200P」のmicroSDカードのサポート範囲は64GBまでとなっていますが、以下の256GB以上のカードでの1時間の録画・再生に異常は見られませんでした。
地デジへのノイズ干渉について
「SN-ST3200P」の単体使用では、アルファード+サイバーナビの組み合わせで影響は確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認出来ませんでしたが、ノイズの影響はドラレコの設置位置や車種、カーナビの種類などの状況によって変わる事がありますので、結果は参考程度に捉えて下さい。
「SN-ST3200P」の総評
「SN-ST3200P」のドライブレコーダーとしての画質の特徴をまとめると以下の通りとなります。
②逆光補正は昼間は良いが、夜間のバランスの悪さが致命的
④夜間の市街地での明るさ最高クラス
⑤暗視能力では最高クラス
ユピテルのSTARVIS機は2018年に発売された「SN-SV70c」「SN-SV40c」以降、目に見えた進化はなかったのですが、ようやく先代の「WD260S」で大幅な改善が認められました。
「WD260S」にGPS機能が付いたのが「SN-ST3200P」かと考えていましたが、夜間のチューニング精度が低く、初期STARVIS機の荒っぽさに更に輪をかけたような白飛びが出やすい画質になっています。
点数 | 視野角 | ナンバー昼 | ナンバー夜 | 逆光 | 夜明るさ | 暗視 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
T3 | 25.0点 | ★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
MINIEYE | 23.0点 | ★★☆ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★☆ |
HDR752G | 21.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★☆ | ★★ |
WD260S | 21.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
A129 | 21.0点 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
HDR852G | 20.0点 | ★★★★★ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★☆ | ★ |
DRV-830 | 20.0点 | ★★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★ |
SN-ST3200P | 19.5点 | ★★★★★★ | ☆ | ☆ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
DRV-350 | 19.0点 | ★★★☆ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★☆ | ★★★ | ★ |
HDR203G | 18.5点 | ★★★★★ | ★★☆ | ★★★★★ | ★★★★ | ★ | ★ |
A119V3 | 18.0点 | ★ | ★★★★ | ★★☆ | ★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆ |
SN-SV40c | 18.0点 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★☆ | ★★★★☆ |
A129Pro | 17.5点 | ★★ | ★★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★★ | ★☆ |
SN-SV70c | 17.5点 | ★★★★★ | ★ | ★ | ★★ | ★★★★☆ | ★★★★ |
WD250S | 15.5点 | ★★★★★ | ★★ | ★ | ★★ | ★☆ | ★★★★ |
ZDR022 | 15.0点 | ★★★ | ★★☆ | ★★ | ★★★☆ | ★★☆ | ★☆ |
DRY-ST1700c | 15.0点 | ★★★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★ | ★ |
DRV-650/W650 | 14.0点 | ★★★ | ★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★☆ | ★ |
HDR001C | 14.0点 | ★★☆ | ★★★ | ★★★★★ | ★★ | ☆ | ★ |
DRV-340 | 12.5点 | ★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★ | ★ |
従って残念ですが本機をおすすめする理由がありません。
むしろGPS非対応ではあるものの、先代の「WD260S」の方がチューニングが優れていますのでそちらをオススメします。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
こんばんは。
予定より早いSN-ST3200のレビューありがとうございます。
こちらの機種も購入を考えていたので助かります。
フロントガラスに取り付けてメインのドライブレコーダーとして使うには性能が残念な機種のようですね。
ただ私は駐車監視用として使おうかと思っていまして、フロントガラスの真ん中にSN-ST3200を2台取り付けて右半分、左半分を写すようにし、リアガラスに260Sを付ければ後方の左右の近くに死角があるもののドライブレコーダー3台でほぼ360度を監視出来るのではないかと考えています。
この使い方ならSN-ST3200の性能でも大丈夫ではないかと思うのですが如何でしょうか?
高野様
夜間の走行時のライトの潰れが問題なので、駐車監視時の運用には問題ないと思います。
返信のお礼が遅くなって申し訳ありません。
実際に取り付けてみたらまたご報告したいと思います。
今後もアドバイスをよろしくお願いします。
高野様
また何かありましたらご質問下さい。