※2022年1月1日更新:実機レビューを追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
先日、セルスターのスマートミラー型ドラレコ「CS-1000SM」の実機レビューを行ったばかりですが、ついにコムテックからもスマートミラー型「ZDR038」が発表されました。
セルスターの製品は事前の予測通り、LaBoon!!としては積極的におすすめ出来切るような完成度ではなかったので、日本メーカーによる3年保証モデルとしての期待が高まります。(期待を裏切ってくれる可能性も結構ある)
コムテックの生産背景はOEM元と見られる韓国メーカーがある程度情報を公開している事もあり、なんとな~く特性の予測がつきやすい面もありますが、現時点で判明している情報をもとに「ZDR038」の特徴を予測します。
「ZDR038」の生産背景
おそらく…ではありますが、「ZDR038」はコムテックの主力製品の企画・設計・開発を行っている韓国の「EMT OMEGA」によるOEM品ではないかと予測されます。(組み立ては日本なので日本製を謳っているのでしょう。セルスターもおそらくそんな感じだと思ます。)
こちらの製品紹介にはミラー型も含まれますし、カメラ仕様的には最近の2カメラモデル「ZDR035」に良く似たものとなっています。
コムテック・セルスター・ユピテルの最近のドラレコは韓国系のメーカーの技術を使った製品で、皆さんが知らないところでも日本メーカーの名前で韓国メーカーの企画のドラレコが相当数売られています。
中国・台湾系のDashCamと、韓国系のBlackBoxは日本では両方ともドラレコとして販売されていますが、2013年頃まではフルハイビジョン以上のハイエンドは韓国系、値段で売るのが中国系という図式が成り立っており、当時は韓国系の方がスペック・品質ともに高いものでしたが、2021年現在では、品質・安定性では韓国系、スペック・先進性では中国系となっています。
韓国系のメーカーは、品質・安定性を重視する傾向が強い為、熱を逃がしにくいミラー型は品質管理の面で問題があり、アフターサポートを考えた時に安易に展開しにくいという事情があった為、最近までミラー型は中国メーカーの独壇場となっていました。
ここ最近になって韓国メーカーもミラー型手を出し始めていますが、私の見る限りミラー筐体やベースのシステムは既存の中国系のものをベースに改良し、録画方式やカメラ部分の制御、その他の付加機能の面では従来の韓国系の技術を使っているように思われます。
YouTubeに動画を上げると、時々このようなコメントを頂くのですが、そんなものは幻想です。
中華メーカーから金は貰ってないし、日本メーカーは完全な自社企画・設計・開発で市場で通用するドラレコは作れません。
…という訳で、普通の人が「ZDR038」を見ると「3年保証の日本メーカー製だ!」としか思わないでしょうが、実情は全く異なるものと考えた方が良いでしょう。
従って「ZDR038」は韓国メーカーがコムテックの要望により、既存の中国系の技術を独自に流用・改良して開発した製品、だと予測します。
「ZDR038」のスペック
「ZDR038」のスペックはこちらの表の通りです。
ZDR038 |
---|
11.88型液晶 |
21.10発売 |
フロント:1920×1080/27.5fps/HDR リア:1920×1080/27.5fps/HDR |
LED信号対応 |
録画視野角 フロント:水平138° リア:水平138° |
microSD付属32GB/最大128GB |
GPS外付け付属 |
フォーマット不要 |
駐車監視モード |
衝撃クイック録画/自動起動 常時録画+衝撃録画/自動起動 タイムラプス/自動起動 |
専用ケーブル HDROP-014 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
ミラー筐体は最近主流になっているスタンダードな11.88型液晶の長方形静電式タッチパネル、HDR/STARVIS対応の前後セパレートの2つのカメラがセットになっています。
気になるポイントとして、レンズ仕様が「ZDR035」と共通した前後とも対角168°/水平138°の超広角となっている点が挙げられます。
これは広い範囲の状況証拠を記録するという面ではドラレコとしては好ましい視野角ですが、スマートミラーではこのままの映像をミラーに出力してしまうと、後続車両が小さく映り過ぎて距離感が全く掴めなくなります。
おそらくHDR補正により後続車のヘッドライトの白飛び防止についてはそこそこ良いレベルになっていると思いますが、視野角が水平138°であった場合、私はこの製品をおすすめしないと思います。
付属品とデザインについて
今回は「ZDR038」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・フロントカメラ
・車内専用リアカメラ
・フロントカメラ接続ケーブル(0.4m)
・リアカメラ接続ケーブル(9m)
・3PINシガー電源ケーブル
・32GBのmicroSD
・ゴムバンド2セット
・2Aヒューズ管×2
・取扱説明書
予想通り韓国製の3年保証です。やはり韓国の「EMT OMEGA」がOEM生産している可能性が高そうです。
ミラー型筐体
ミラー型筐体のデザインは一般的な11.88型の中華メーカーのものとさほど変わりません。
液晶の電源を落とすと通常のミラーとして使えるように、そこそこ反射はするようになっていますので反射が気になる方は反射防止フィルムなどで対策しましょう。
本体下部にはスタンダードな1ボタン、このボタンで手動イベント録画、駐車監視のON/OFFを行います。
上部には3PIN電源端子、フロントカメラ入力端子、リアカメラ入力端子、microSDカードスロットが配置されています。
GPSは外付けではなく内蔵タイプとなっています。
フロントカメラ・リアカメラ
フロントカメラ・リアカメラはこのようなガラス貼付け専用タイプで、前後に首振りが可能です。
フロントカメラ接続ケーブルは0.4m、リアカメラ接続ケーブルは9mで、いずれも両側が4極プラグです。
電源ケーブル
電源ケーブルはこちらのシガープラグタイプが付属します。
なお、この製品はプラグ部分に内蔵されているヒューズ管の容量が従来の1Aから2Aにアップしており、駐車監視用の常時電源ケーブル「HDROP-14」を使用する場合には、付属の2Aのヒューズ管に入れ替える必要があります。
取付けについて
今回は30系アルファードとアクアに「ZDR038」の取付を行いました。
リアカメラ中継ケーブルが9mと充分な長さですので、ミニバンなどでも配線を下から這わせる事が出来るでしょう。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
インターフェイスについて
「ZDR038」の電源ONから録画開始までの起動時間は3~4秒程度と、2カメラドライブレコーダーとしては速めです。(「ZDR035」などと同じ超速系)
初期状態で画面に表示されている情報は、録画状態を示すアイコン、カレンダー、カメラ切り替えアイコンとなっています。
これらの表示項目のうち、カレンダーは設定から消す事が出来ます。
主な操作はこちらの通りです。
・画面長押し:メインメニューの表示
※スマートミラー映像の拡大・縮小機能はなし。
メニューページの切り替えはタップ系で行い、スワイプ・ドラッグ系でメニューを送る事は出来ません。
動画の再生はこのように全画面で表示の位置の切り替えが可能です。
バックカメラ機能について
一般的なスマートミラーは、バック信号線を取る事でバックギアに連動して映像を下方向に自動で切り替え、ガイド線を出すことが出来ますが、本製品にはこの機能はありません。
スマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとして画質は、MAXWINの「MDR-A001B」と次の5つの項目について比較しました。
・視野角と後続車両との距離感
リアカメラはいずれも車内に取り付けています。
※「ZDR038」はリアカメラの明るさ調整が可能ですが、映像が白っぽくなる事を避けて明るさは標準設定、当初ナイトビジョンの設定はONにしてテストしたのですが、夜間の映像が全体的に白く濁り過ぎた為、ナイトビジョン設定はOFFにしています。
こちらはナイトビジョンONでの見え方です。
ディスプレイの明るさ
ディスプレイの明るさについては、最近「MDR-A001B」と比較を行ったケンウッドの「DRV-EM4700」、セルスターの「CS-1000SM」ともに薄暗く車内の反射が目立ちました。
従って車内の反射にも弱めです。
「ZDR038」は「MDR-A001B」と比べるとやや暗く反射にも弱そうですが、ケンウッドやセルスターの製品よりも視認性は良いと思います。
なお、「ZDR038」は映像に対してのスマートミラー向けの工夫が見られず、同社の「ZDR025/035/037」などの箱型2カメラドラレコに使われているリアカメラをそのまま持って来たような見え方で、画面全体が白っぽくコントラストも弱めで、後続車両が認識しにくく感じます。
視野角と後続車両との距離感
「ZDR038」のスマートミラーとしての視野角は、スマートミラー全体の中では規格外に広いな水平138°程度です。
純正ミラーよりも広範囲が認識出来るというメリットがありますが、後続車がとてつもなく小さく映りますので距離感は非常に掴みにくくなります。
※前述の通り、コントラストが弱く白っぽい画質なので、距離感だけでなく後続車の認識もしにくい
「A001B」を距離感重視の為に最大倍率に拡大したものと比べるとこれくらいの差があります。
平面鏡として使用した場合と比べるとこの通りです。
例えば走行中の後続車との車間距離が2m弱の場合、
平面鏡ではこのようにかなり鬱陶しい距離に感じますが…
ディスプレイをONにすると結構車間距離が空いているように感じます。
これには煽られているのに気にならない…というメリットもありますが、この映像を見て強めにブレーキを踏んだり、車線変更をしたりすると危険ですし、煽り運転の被害に遭う危険性も高くなりそうです。
昼間の逆光補正
「ZDR038」は箱型のドライブレコーダー「ZDR035」などと同様にHDR補正が入っていますので、逆光補正には強いですが、スマートミラーとして使用する場合には全体が白く濁るのが気になります。
ミラー液晶を撮影した映像は撮影側のカメラの問題で白飛びが強く出ていますが、実際の映像はこちらのドラレコ映像に近いものです。
夜間の明るさ
夜間は市街地では「MDR-A001B」と同様に充分な明るさでした。
街灯が少ない場所や、街灯が無いような暗い場所では「MDR-A001B」よりも暗くはなりますが、そこそこの明るさは維持できています。(少なくともケンウッドやセルスターの製品よりは良い感じです)
後続車両のヘッドライトの見え方
後続車両のヘッドライトの防眩能力は、スマートミラーとして最も重視したいポイントです。
ミラーを撮影した映像は派手に白飛びしてしまって参考になりませんので、ドラレコ映像を見てみましょう。
「MDR-A001B」と比べるとヘッドライト回りがうっすら白くなりますが…
最近テストした日本メーカーケンウッドやセルスターのスマートミラーと比べるとずっと高画質です。
スマートミラーとしての見え方のまとめ
スマートミラーとしての見え方をまとめると、ヘッドライトの防眩や明るさの面ではセルスターやケンウッドのそれを大きく上回るものの、視野角がスマートミラーとしては規格外に広い為、全体の認識には有利なものの、距離感が全く掴めなくなります。
私は距離感重視でスマートミラーを選びますのでおすすめはしませんが、距離感が気にならない方には、日本メーカーの中では良い画質画質かと思います。
ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてMAXWIN「MDR-A001B」と前後カメラを比較しました。
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「ZDR038」の録画視野角は前後カメラとも仕様表記通りです。
逆光補正能力について
逆光補正能力については、同社の箱型ドラレコと同様にHDR補正の効果で非常に高めとなっています。
ナンバー読み取り精度について
前後カメラとも、録画視野角がドラレコとしては最高クラスですので、ナンバー認識精度の面では不利になり、フルハイビジョンクラスとしては最低でした。
夜間のヘッドライトが反射したナンバーの読み取り能力は同社の他の製品と同様に非常に高めです。
夜間の明るさについて
ネオンや街灯が多い市街地では前後カメラともまずまず明るめとなっています。
【後】
街灯が少ない暗い場所ではフロントカメラは非常に明るいものの
リアに関してはナイトビジョンをOFFにしている為、イマイチと言ったところです。
安全運転支援機能について
「ZDR038」にはこちらの5つの安全運転支援機能が搭載されています。
機能的には「ZDR035」のそれとさほど変わらないであろうとの予測から、今回は個別のテストは実施しませんでした。
以下の動画は「ZDR035」の同機能の挙動です。
動画ファイルの再生方法について
「ZDR038」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワーでのテストを行いました。
PC専用ビュワーでの再生について
専用のPCビュワーはこちらからダウンロードします。
機能的には以下のようにドラレコのビュワーとしては充実しています。
・映像の拡大~〇
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整(~4倍速)~〇
・明るさの調整~×
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」での再生も可能でした。
フレームレートとLED信号の映り方について
「ZDR038」のフロント・リアカメラのフレームレートは27.5fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。
駐車監の仕様について
「ZDR038」の駐車監視については内容が濃いので別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
使用可能なmicroSDカードの最大容量
「ZDR038」のmicroSDカードのサポート範囲は128GBまでとなっていますが、以下の256GB以上のmicroSDカードでは1時間の録画と再生に異常は見られませんでした。(それ以上の長時間デバッグは作業負担が大きいので未実施)
1時間当たりのデータ使用量は6GB程度です。
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
「ZDR038」の総評
「ZDR038」のスマートミラーとしての評価は
と、スマートミラーとしては良くも悪くもない…ではなく、良いところも悪いところも際立っています。
一番の問題は視野角の広さで、広範囲の認識が可能である事と引き換えに後続車との距離感が全く掴めなくなっていますので、私ならこの製品選びません。
ただし、距離感はサイドミラーで掴むので問題ない、という考え方であればこの点は問題にはならないでしょう。
コメント
ネオトーキョーが、ズーム機能などを搭載したミラーカムを発売するみたいですね。
KENWOODのEM4700を付けてますが、やはり使い物になりませんね。3ヶ月で電源入らなくなったので、KENWOODに電話したら、やはり元払いだと。
は??と言ったら、すぐさま、着払いで構いませんと。2日で戻ってきたので、修理ではなく新品送ってきました。HPでカウントダウン方式で大々的に宣伝して、あのスペックって、KENWOODの名の通った企業としてのプライドないんですかね。笑
どんな社内会議したら、これで行こうとFIXされるのか、不思議です。
ナックル様
私なら恥ずかしくて外を歩けないですね(笑)
大企業病なんでしょうか…。
修理から戻ってきましたので追加レビューは明日公開しますが、買ってはいけないスマートミラー2021アワード優勝です(笑)
逆台形の中華ブランドのスマートミラーを購入検討していたところ
曲がりなりにも国産表記のコチラの機種が発売になり、大変気になっております。
Omi様の辛口レビュー、参考にさせていただきたく楽しみにお待ちしています。
おさん様
ZDR038はいずれレビューする予定ですが、順番はこちらのアンケートを参考にしていますので、是非投票をお願いします!
https://car-accessory-news.com/review-schedule/
ミラーを2つ重ねているステーは市販のものですか?どういったものを使っているのか、ぜひ教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
うちのはAKEEYOさんからの提供品ですが
これと似た感じのものですね。
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