※2021年8月23日更新~実機レビューを追記しました。記事下にクーポンあり。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
360°タイプのスマートミラーと言えば、AKEEYOの「AKY-V360S」とその後継機である「AKY-V360ST」が先行機種として一定の地位を築いていますが、今回はTEENTOKというブランドを持つメーカーさんから、「HDR360」という360°+リアカメラのスマートミラーのレビュー依頼を頂きました。
現時点では「AKY-V360ST」の完成度を超える事は難しいだろうと考えているので、レビューしないつもりですが、 TEENTOK「HDR360」の特徴をざっくりと見ておきましょう。
TEENTOK「HDR360」のスペックと特徴
「HDR360」のスペックはこちらの表の通りです。
HDR360 |
---|
11.88型IPS液晶 |
フロント:1920×1920/??fps リア:1920×1080/??fps |
LED信号対応不明 |
レンズ視野角 フロント180°×220° リア:不明 |
リアカメラケーブル?m |
microSD付属32GB/最大128GB |
GPSは外付け付属 |
駐車監視モード |
衝撃検知/自動起動 |
専用ケーブルはOP |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
360°とのフロントカメラ、リアカメラの見た目のスペックはAKEEYOの「AKY-V360ST」の2カメラ部分と同様に、「1920×1920」+「1920×1080」の解像度での出力となっています。
※「AKY-V360S」は2カメラ、「AKY-V360ST」は3カメラ
「AKY-V360ST」と「HDR360」との最大の違いは、360°のフロントカメラ部分の位置です。
「AKY-V360ST」では中央下側にこのような形でレンズが付いています。
一般的な乗用車であればこの位置でも全方向の録画が可能です。(液晶画面に表示可能な範囲は限られる)
ただし、車高や屋根が低い車の場合にはレンズ位置が下の方に下がってしまう関係上、上方向の視野が狭くなってしまう事があります。
360°ドラレコは概ね下半球+αの視野角となっていますので、レンズ位置はなるべく上の方に持って行った方が良いのですが、「HDR360」ではこのように筐体右側に格納された状態から回転させ、筐体の下側面からレンズ部分のみが僅かに飛び出す仕様となっています。
従って垂直方向に220°と、同じレンズ視野角である「V360ST」よりも上方向の視野が広がるという塩梅です。
従ってスマートミラー型の360°カメラドラレコを付けたいけども、車高が低い車に乗っている場合には「HDR360」がおすすめと言えそうです。
セット内容とデザインについて
レビュー概要や操作方法等については以下のレビュー動画でも解説しています。
「HDR360」のセット内容はこちらの通りです。(使いまわしのレビュー用サンプルの為、付属品が少ない)
・リアカメラ(今回は車外・車内兼用タイプ)
・リアカメラ接続アナログ4極8.5mケーブル
・miniUSBシガーケーブル
・GPSアンテナ
・32GBのmicroSDカード
・ゴムバンド
フロント筐体のデザイン
フロント筐体は一般的な11.88型のスマートミラーとほぼ同じで、レンズが右下コーナーについている点のみが異なります。
AKEEYOの「AKY-V360ST」は中央から垂れ下がる形ですので、このレンズの位置と高さが本機の最大の差別化ポイントです。
レンズ上にはスタンダードな1ボタン、このボタンで液晶表示、または電源のON/OFFを行います。
上部には左からminiUSB電源端子、リアカメラ入力端子、microSDカードスロット、GPS端子が配置されています。
リアカメラのデザイン
リアカメラはスマートミラーとしては珍しい長方形の車内専用タイプで、上下にのみ角度調整が可能です。
ケーブル端子はアナログ4極、ケーブルの長さは8.5mでした。
その他付属品
GPSアンテナは外付けの両面テープタイプ
電源ケーブルはminiUSBシガープラグタイプです。
取付状況について
今回はアクアの純正ミラーに取り付けを行いました。ミラー筐体はスタンダードな11.88型ですので、いつも通りと言った感じでこれと言った特徴はありません。
リアカメラ接続ケーブルは8.5mありますのでミニバンなどでも長さは足りると思います。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
インターフェイスについて
「HDR360」の電源ONから録画開始までの起動時間は4秒程度と、2カメラドライブレコーダーとしては速めです。
初期状態で画面に表示されている情報は、録画状態を示すアイコン、カレンダーの2つの項目です。
これらの表示項目のうち、カレンダーについては設定から表示をOFFにする事が出来ます。
基本操作はこちらの通りです。
・ボタンの短押しでディスプレイ表示ON/OFF、長押しで電源ON/OFF
なお、録画ファイルは常にこのような魚眼形式で作成され、ライブビューの表示形式の変更によって録画ファイルの保存形式が変わる事はありません。
ライブビューの表示はあくまでもレンズの向きの調整を行う為のものですので、走行時にはリアカメラの単一表示をおすすめします。
液晶画面での動画の再生
ミラ―液晶での動画再生は前後カメラ個別となり、360°のフロントカメラの視点はこちらの3種類の固定画面を切り替える事が出来ますが、VRのようなドラッグ操作は出来ません。
なお、AKEEYOの「V360ST」はドラッグ操作は出来るものの、ミラー液晶では上の方の表示が削られてしまいますので、機能的には単純ではあるものの使い易さでは「HDR360」に軍配が上がります。
パソコンでの動画再生について
「HDR360」の録画ファイルは他社の360ドラレコと同様にフロントカメラ分がこのように魚眼形式で保存されます。
Windows media playerなどのパソコンの汎用ビュワーではこの魚眼のまま再生されますが、microSDカードに生成される専用ビュワーを使用する事でいくつかのビューや視点の変更が可能となります。
フロントカメラはこちらの4つの再生方法を選ぶ事が出来ます。
なお、リアカメラの映像についてはフロントとの同期再生が可能ですが、視点の移動や拡大・縮小の操作は出来ません。
その他、ビュワーの主な機能はこちらの通りです。
・映像の拡大・縮小~〇
・再生速度の変更~〇(0.5~3倍速)
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・Gセンサーグラフの表示~〇
「HDR360」のスマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとしてのリアカメラの画質は「AKY-V360ST」のリアカメラを貸し出し中の為、AUTOVOXの「X6」と次の4つの項目について比較しました。
・視野角と後続車両との距離感
リアカメラはいずれも車内に取り付けています。
視野角と後続車両との距離感
「HDR360」のスマートミラーとしての視野角は、スマートミラー全体の中では狭めの水平102°程度です。
広角の製品と比べると広範囲の状況認識には向いていないものの、後続車との距離感が掴みやすくなるのがメリットです。
昼間の逆光補正
昼間の見え方は「X6」とは色味が違うものの、どちらもHDRではなくWDRのようなやや白飛びが出易い特性となっていますが、実用上は問題のないレベルに抑えられています。
ミラーの映像は撮影側の機器の問題でそこそこ白飛びしていますが、実際の見え方はこちらのドラレコ映像の方が近いものとなります。
駐車場内では状況によって黒潰れが出ますので、カメラのハードウェアグレードは「X6」よりも下という印象です。
夜間の明るさ
昼間は「X6」との見た目の差は僅かでしたが、夜間は全く印象が異なり「HDR360」は全体的に暗めの印象です。
ネオンが多い市街地ではそれほど暗さは感じませんが
街灯が少ない場所や、街灯が無いような暗い場所では「X6」との差が大きくなります。
なお、「X6」は本来車外取り付けのカメラを車内に取り付けていますので、車外向けのチューニングである筈ですが、車内専用カメラの「HDR360」はそれよりも暗く、リアカメラのチューニングを含めた性能は2.5流という評価です。
※1流は「MDR-A001」クラスのHDR×明るめチューニング
後続車両のヘッドライトの見え方
後続車両のヘッドライトの防眩能力は、スマートミラーとして最も重視したいポイントです。
ミラーを撮影した映像は派手に白飛びしてしまって参考になりませんので、ドラレコ映像を見てみましょう。
こちらはWDRと見られる「X6」と同じような見え方でスマートミラー全体の中では低い防眩能力となっています。
スマートミラーとしての見え方のまとめ
「HDR360」のスマートミラーとしての特徴をまとめると、明るさ・防眩能力ともに2.5流の実力で、ガチの競合モデルの「AKY-V360ST」には遠く及ばない性能という結果でした。
従ってスマートミラー性能を優先する場合には「AKY-V360ST」の方をおすすめします。
「HDR360」のドライブレコーダーの画質と機能・性能について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてAKEEYO「AKY-V360ST」とフロントカメラ、リアカメラはAUTOVOX「X6」との比較を行いました。
※「AKY-V360ST」のリアカメラ貸し出し中につき
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ
フロントカメラの画質
フロントカメラの映像は、「HDR360」「AKY-V360ST」ともに動画編集ソフトでの直接の編集が出来ません。
専用のビュワーで再生したものをキャプチャリング録画してから編集していまので映像に若干の劣化があります。
また、純正ミラーにスマートミラーを2枚重ねる形で取り付けていますので、フロントカメラが過重に耐えられず映像に若干のブレが見られますが、通常通りの1枚取り付け使用の際にはこのようなブレは見られません。
録画視野角について
「HDR360」の魚眼状態での録画視野角は、「AKY-V360ST」とほとんど同様で録画視野角は水平180°×垂直220°となっています。
ただし、「HDR360」の方がレンズが高い位置に来るため、実際の上方向の視野は若干広がって見えます。(劇的な差ではありません)
逆光補正能力について
「HDR360」のフロントカメラは、明るさを絞った上で強めのHDR補正が入っているような映像の特性で、トンネル内では効果的に白飛び・黒潰れを抑えられていました。
これは屋根付き駐車場でも同様です。
昼間の映像は「V360ST」よりもバランスの良い仕上がりになっています。
ナンバー読み取り精度について
「HDR360」は絞りとコントラストが強めのチューニングとなっていますので、明るさ全開で昼間の白飛びが出易い「V360ST」と比べると昼間のナンバーの認識精度は高めですが、駐車監視の際の当て逃げ対策として確実にナンバーを捉えようと考えた場合には心許ない精度です。
夜間の先行車にヘッドライトの光が強く反射した状態でのナンバーの読み取りは、「V360ST」よりも随分マシですが、こちらも確実性は全くありません。
夜間の明るさについて
昼間は「HDR360」の方が優れたチューニングバランスでしたが、夜間は「V360ST」の方に軍配が上がります。
明るい市街地ではどちらも充分な明るさですが
暗くなるに従って明るさの差が大きくなり
街灯が少ない道路では「HDR360」の方は横方向がほとんど何も見えなくなります。
リアカメラの画質
リアカメラの画質は録画ファイルをダイレクトで編集が可能でしたので、劣化の少ないものとなっています。
録画視野角について
「HDR360」のリアカメラの録画視野角は、水平104°程度でしたのでドライブレコーダーとしては標準的です。
逆光補正について
トンネル内での逆光補正はWDR補正ながらそこそこ白飛び、黒潰れが抑えられているという印象ですが
屋根付き駐車場などでは黒潰れが強く出るケースがあります。
ナンバー認識について
ナンバー認識については視野角が広い方ではない「HDR360」はフルハイビジョンモデルとしてはそこそこ高めです。
夜間の明るさについて
昼間は「X6」との見た目の差は僅かでしたが、夜間は全く印象が異なり「HDR360」は全体的に暗めの印象です。
「HDR360」のフレームレートとLED信号の映り方について
「HDR360」のフロントカメラのフレームレートは27fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。
リアカメラは25fpsですので東日本で同期する可能性がありますが、後方ですので問題ありません。
駐車監視の仕様について
「HDR360」の駐車監視の録画方式は専用の常時電源ケーブルを使用しての衝撃検知録画となります。(指定のケーブルは不明)
今回はこのケーブルのサンプルはお送り頂いていませんので、駐車監視モードのテストは行っていませんが、衝撃を検知した後の起動となる筈ですので、駐車監視モードの証拠能力にはあまり期待は出来ません。
当て逃げ・ドアパンチ・イタズラ対策としての駐車監視を検討するのであれば、外部電源と純正シガーケーブルを組み合わせての常時録画の継続をおすすめします。
外部電源「iCELL」を使用した駐車監視の運用について
外部電源を使用した駐車監視のテストは「iCELL」で行い、正常な動作を確認しました。
「HDR360」の消費電力は液晶表示をOFFにした状態では 4.75W程度でしたので、連続駆動時間の予測はこちらの表の通りとなります。
iCELL | B6A | B12A | B40A |
---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 14.5時間 | 29時間 | 80時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 |
常時録画を継続する場合には、車を降りる前にこのボタンを短押しして液晶をOFFにする必要があります。
また、自宅駐車場などで駐車監視をしない場合には、このボタンを長押しして電源をOFFにし、次回の運転時には再度このボタンを長押しして電源をONにする必要があります。
iZONEを使用して自動で駐車監視キャンセル
こちらのLaBoon!!企画のガジェット「iZONE」と組み合わせて使用する事で、自宅駐車場などの予め登録したGPSポイントでは自動でドラレコの電源をOFFにする事が可能です。
この場合、次回のエンジンONの際には何も操作はしなくても自動で電源が入ります。
iCELLとの接続方法
iCELLを使って走行中の常時録画を継続する場合には、エーモンソケットと「HDR360」の純正シガーケーブルを使用してこのように接続します。
②「iCELL」OUT黄線~ソケットケーブルの+側に接続
③「iCELL」OUT黒線~ソケットケーブルの-アース側に接続
使用可能なmicroSDカードの最大容量
「HDR360」のmicroSDカードのサポート範囲は128GBまでとなっていますが、以下の256GB以上のカードは使用出来ませんでした。
1時間当たりのデータ使用量は11GB程度です。
地デジへのノイズ干渉について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
「HDR360」の総評
「HDR360」の評価をまとめるとこちらの通りとなります。
ドライブレコーダーとして
360°ドライブレコーダーは、AKEEYOの「AKY-V360ST」がガチの競合モデルになりますが、レンズの位置が上がる為、若干ですが上方向の視野が広がる点が最大のセールスポイントになっています。
ただし、私が使った限りでは実際に録画された映像を比べるとその差はごく僅かで、この視野角の広さの差に期待して「HDR360」を購入するのはおすすめしません。
むしろ、車高が低いスポーツカーなどでルームミラー下のレンズが前方視界の邪魔になりそうだ、と言ったケースで検討すべき製品でしょう。
例えばコペンのに「AKY-V360ST」と取り付けると、ここまでレンズが下がりますが
「HDR360」ではこの通りです。
ただし、コペンのようなフロントガラスの面積が小さい車の場合にはそもそも12型のミラーは大き過ぎますので、普通車のスポーツタイプの車におすすめと言ったところになるでしょうか?
スマートミラーとして
スマートミラーとしての機能は全面的に「V360ST」を下回りますので、こちらはあまり期待しない方が良いでしょう。
全体としてはこんな方におすすめです。
それ以外の機能面では「AKY-V360ST」の下位互換的な特性となっていますので、多くを求める方には「V360ST」をおすすめします。
割引クーポン
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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