※2019年3月22日更新~実機レビューを追記しました。
ユピテルから水平録画視野角138°のエントリーっぽいドライブレコーダー「DRY-ST1700c」が発売されています。
ドライブレコーダーの録画視野角は、現時点ではコムテックの「HDR852G」が最大となり、水平で144°となっていますが、このモデルは同社のハイエンドモデルと需要を喰い合ってあまり売れてません。(価格が1~2格高い)
ただし、広視野角のドライブレコーダー需要がない訳ではありませんので、個人的にはもう少しリーズナブルな価格で水平130°超のモデルが出てくれば市場の穴が埋まるのでは?と常々考えていましたが、「DRY-ST1700c」はGPSなしでフルハイビジョンの解像度ですので、ちょうどその空白ゾーンに当たる特徴を持ったモデルのようです。
ざっくりとしたレビューはこちらの動画で視聴できます。
「DRY-ST1700c」のスペック
「DRY-ST1700c」のスペックは以下の表の通りです。
|
DRY-ST1700c | DRY-ST5100d |
---|---|
19.01発売 | 19.02?発売 |
1920×1080/30fps/HDR | |
LED信号(西日本では同期の可能性あり) | |
録画視野角:水平138° | |
付属8GB | |
最大32GB | |
GPS非対応 | GPS内蔵 |
駐車監視モード | |
動体検知 |
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手動起動 | |
専用ケーブル OP-E1060 OP-VMU01 |
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「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
録画視野角が超広いという点以外には、特にこれと言った特徴はありません。
なお、スペック表には記載されていませんが、イメージセンサーは300万画素の物を使用しており、録画解像度は本来であれば「2304×1296」まで対応出来そうな気がしますが、ひょっとすると後でGPS内蔵の高解像度モデルを発売してくる可能性はありますね。
※GPSありモデルは「1920×1080」の解像度で発売されています。
「DRY-ST1700c」のセット内容とデザイン
「DRY-ST1700c」のセット内容はサッパリした構成で以下の通りとなります。
①ドラレコ本体
②シガーソケット電源ケーブル
③8GBのmicroSDカード(本体に挿入された状態で納品)
④ボールジョイントのマウント
⑤取扱説明書
本体のサイズデザインは「DRY-ST1500/3000/7000」のものを踏襲しており、手のひらサイズのコンパクトです。
液晶は2.0インチで小型となっており、ボタン類の配置は正面に3つ、右側面に手動録画ボタン、左側面にはminiUSB電源ポートとmicroSDカードスロットが配置されています。
例によって電源ボタンはありません。
マウントの可動範囲は比較的広く、ミニバンなどの垂直に近いリアガラスにも設置が可能です。
「DRY-ST1700c」のインターフェイス
「DRY-ST1700c」…というか、ユピテルのドラレコのインターフェイスは分かり易いようで分かりにくく、メニューツリーが①録画モード、②再生モードに分かれています。
エンジンを掛けて電源をオンにすると録画モードで起動し、自動で録画が開始されますが、録画モードのメニューは真ん中の「MENU」ボタンで呼び出します。
その他「SDボタン」長押しでmicroSDカードのフォーマット、「MotionDetect」ボタン長押しで動体検知モードの出入りとなります。
個人的にはコムテックやケンウッドのようにメニュー直下に録画系・再生系の子ツリーがあった方が分かり易いと思います。
おそらく「ST1500/3000/5000/7000系」はマザーボード的な基盤とCPUが共用で、レンズとイメージセンサー、ソフトウェアだけを入れ替えている感じがするので、ボタンの配置や操作系はそう簡単に変更できない事情がありそうです。
「DRY-ST1700c」の取り付けについて
今回は「DRY-1700c」を初期型のリーフに取り付けました。
サイズ的にはミラー裏に余裕で隠せます。
因みに奥に付いてるのはケンウッド「DRV-340」ですが、マウントと本体の形状を見直してレンズとフロントガラスの距離を詰める事で映り込みを防止する、というのが唯一のセールスポイントになるのですが、「他のメーカーは以前からそれやってますって!」…と改めて感じさせられた構図となりました。(笑)
「DRY-ST1700c」の画質について
「DRY-ST1700c」の画質については、ケンウッドの2019年エントリースタンダードクラスの「DRV-340」と以下の4つのポイントについて比較しました。
①録画視野角
②昼間のナンバー認識精度
③昼間の白飛び耐性
④夜間の見え方とナンバー認識精度
録画視野角について
「DRY-ST1700c」の録画視野角のメーカースペック表記は水平138°となっていますが、水平100°の「DRV-340」と比較した結果、概ね水平138°程度の録画視野角が得られている事が確認出来ました。
昼間のナンバー認識精度について
「SRY-ST1700c」はフルハイビジョンで水平138°の超広角の為、水平100°の「DRV-340」と比較すると1画素当たりで表現しなければならない面積は「DRV-340」の1.9倍となり、ナンバー認識精度は100万画素で水平100°のモデルに近くなります。
比較に使用した「DRV-340」自体が、現行のフルハイビジョンのモデルの中ではナンバー認識精度が低い方なので(下の中か上くらい?)、比較した動画ではそれほど大きな差には見えませんが、「DRV-340」よりも数段劣っているのがお分かり頂けるかと思います。
まぁ、フルハイビジョンで水平138°の超広角モデルとしては頑張っている方ですね。
昼間の白飛び耐性について
トンネル出口や逆光時の白飛び耐性は、ベンチマーク基準の「DRV-340」はドラレコ全体の中ではHDR機能を搭載している為、比較的高い部類に含まれますが、HDRモデルの中では低い方となります。
「SRY-ST1700c」については「DRV-340」よりも若干耐性が低い為、WDRモデルよりは高く、HDRモデルの中では最低ランクになるかと思います。(WDRモデルの中でもハードウェアのスペックが優秀な優秀なものもあるので、これよりは劣る)
夜間の見え方とナンバー認識精度について
「SRY-ST1700c」は街灯やネオンなどの光をほとんど絞っていませんので、明るい場所では明るく、暗い場所では暗く映ります。
ヘッドライトで照らされている部分に関しては「DRV-340」とほぼ同等の明るさ、街灯が多い場所では「DRV-340」よりも明るくなるのですが、ヘッドライトの照射の範囲外は真っ暗になります。
暗い部分が明るく見えるようなSTARVIS対応モデルとは全く特性が異なり、旧世代のドラレコの視野角だけを広げただけ、という印象が強いです。
ただし、「DRV-340」についてもベースが2016年モデルの旧設計モデルなので、このモデルに比べると視野角がやたらと広い!という大きなメリットがあります。
最近のエントリーモデルではコムテックの「ZDR-022/024」、ユピテルの「SN-SV40c」辺りが優れた夜間の認識能力を備えていますが、「SRY-ST1700c」は夜間は苦手で暗視能力は全くありません。
西日本LED信号の見え方について
ユピテルの2015年半ば以降に発売されたドライブレコーダーは、LED信号対応と謳われていますが、その中でも30fpsモデルと27.5fpsモデルが存在し、これは出力されるファイルのフレームレートを表しています。
27.5fpsモデルは27.5fps撮影、27.5fps出力ですが、30fpsモデルは30fps撮影のものと29.7fps撮影の物が確認されています。
「SRY-ST1700c」の電力周波数60Hzの西日本エリアでのLED信号の撮影テストは未実施ですが、ユピテルの30fpsモデルのほとんどは「LED信号対応」と謳われているものの、以下のように数秒間の同期による消灯が確認されていますので、このモデルも非対応である可能性が高いです。
「DRY-ST1700c」の駐車監視の仕様について
「DRY-ST1700c」はST1500/3000/7000系と同様に手動切替の動体検知モデルとなります。
駐車監視には以下のタイマーユニットと、タイマーユニットとドライブレコーダーを接続するケーブルが必要になります。
なお、タイマー設定やカットオフ電圧に関しては「OP-VMU01」側でコントロールする事になり、設定可能な範囲は以下の通りとなります。
①タイマー設定~30分/1時間/2時間/3時間/4時間/6時間/12時間
②カットオフ電圧設定~11.6/11.8/12.0/12.2/23.6/23.8/24.0/24.2V
ただまぁ、録画視野角が超広いのは良いですが、ナンバー認識精度が落ちるというデメリットもありますので、駐車監視向きのモデルではない気がしますね。
「DRY-ST1700c」の駐車監視の運用
「DRY-ST1700c」の動体検知による駐車監視は、エンジンのオンオフとは連動しません。
手順は以下の通りです。
①「OP-VMU01」でエンジンオフ後も電源を供給する前提で、録画状態から「MotionDetect」ボタン長押しで動体検知を起動させます。
②エンジンオフ後もタイマーで設定した時間だけ動体検知(イベント録画なし)による監視を行います。
③車に戻った際に「MotionDetect」ボタン長押しで動体検知を解除し、常時録画に戻します。
外部電源を使用した駐車監視について
ドラレコ専用の外部バッテリーiCELLを使用した駐車監視の駆動予想時間はこちらの通りです。
iCELL | B6A | B12A | B40A | EN12000 | iCELL |
---|---|---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 31.5時間 | 63時間 | 158時間 | 63時間 | 158時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 | 100分 | 150分 |
「DRY-ST1700c」の仕様外のmicroSDでの録画・再生状況
「DRY-ST1700c」は32GBまでのmicroSDカードの使用がサポートされていますが、以下のmicroSDカードについては本体でのフォーマット&録画が可能でした。(1時間程度の録画と再生を確認)
あくまでも仕様外ですので、自己責任でお願いします。
1時間当たりのファイル容量は6GB程度ですので、32GBのmicroSDカードでは5時間程度の録画データの保存が可能です。
地デジへのノイズの影響について
地デジノイズ干渉に関してはギリギリフルセグが映る場所で電源のオン・オフを行っても、変化は見られませんでしたので、ノイズはかなり抑えられているかと思います。
※車種やカーナビの種類、アンテナの位置などによって変わります。
「DRY-ST1700c」のファイルの録画形式と再生方法について
「DRY-ST1700c」はGPSなしのモデルの為、専用のビュワーはありません。録画ファイルの形式は「MOV」、動画のコーデックはH.264、ビットレートは12,000kbps程度です。
ドラレコでの再生
「DRY-ST1700c」は2.0型の小型液晶モデルの為、ドライブレコーダーでの再生時の視認性はそれほど良くはありませんが、事故の際の状況確認程度であれば問題はないでしょう。
PC汎用ビュワーでの再生
PC汎用ビュワーでの再生に関してはWinddows 7→10にアップグレードしたPCでは問題なく可能でした。
スマホでの再生
スマホでの再生については、以下のガジェット類を使用してiPhone 7での再生が可能でした。
Anodroid端末では、本体のmicroSDカードスロットとカードリーダー経由での再生が可能でした。
※スマホでの再生はメーカーのサポート範囲外ですし、スマホで再生後にドラレコにカードを戻すと、フォーマットを要求される事があります。
「DRY-ST1700c」の総評
「DRY-ST1700c」の評価をまとめると以下の通りとなります。
本体デザインは手のひらサイズサイズのコンパクトでミラー裏に余裕で隠せるサイズで省スペース性には優れている半面、液晶が2.0の小型タイプの為、動画の視認性は良い方ではありません。
画質の面ではナンバー認識精度は低く、白飛び耐性はWDRモデルを含めると標準プラスαのレベルです。
夜間の明るさはやや暗い部類に含まれます。
全体としては視野角が超広い点がポイントで、他の項目の評価は高くはありませんが、駐車監視や走行中の当て逃げなどの対策を考慮せず、事故の際の状況証拠を最優先に考えた場合、コスト的には最もおすすめ出来るモデルではないかと感じました。
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(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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