※2017年12月19日更新~実機を購入したのでレビューを追記しました。
アクションカメラで有名なYIテクノロジーからエントリークラスの日本向けドライブレコーダーが7月に発売されているようです。
型番は良く分からないのですがAmazonに表記されている「89022」というのが型番でしょうか。
このモデルの特徴はGPSと駐車監視に非対応ながら、2304×1296/30fps、1920×1080/60fpsの録画モードにとWiFi、前方衝突・車線逸脱などの安全運転支援機能にも対応していながら、価格が8,000円台と非常に安い点です。(12月時点では4千円台まで落ちていますね)
個人的にはこのモデル単体というよりも、4K/60fpsの録画モードに対応したIYテクノロジーのアクションカメラの方に興味があり、海外取り寄せで試してみたいと考えているところです。
YI Technologyは中国のスマホメーカー「Xiaomi」の関連会社のドローンメーカーなのですが、「Xiaomi」はスマホの世界シェアがサムスン、アップル、ファーウェイに次いで4番手につけている大手メーカーです。
アクションカメラ界隈では年始からかなり話題に上っていた製品で、アクションカメラでNo.1の高画質と言われている「GoPro HERO5」とほどんど変わらない画質で、更に4K60fpsの動画(「GoPro HERO5」は4K30fps)が撮影できると言われています。
YIテクノロジー WiFi対応ドライブレコーダーのスペック
「89022?」のスペックは以下の表の通りです。
YIテクノロジー YI 89022 |
---|
17.07発売 |
2304×1296/30fps 1920×1080/60fps 1920×1080/30fps |
逆光補正 不明 |
LED信号対応不明 |
60fps/30fps |
水平114° |
付属16GB |
最大64GB |
GPSなし |
WiFi対応(技適マーク有) |
安全運転支援機能 |
駐車監視モードなし |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
スペックを見る限り録画視野角がそこそこ広そうで、2304×1296/30fps、1920×1080/60fpsの録画モードに対応している事から、画質設定次第では高精細と景色撮影には滑らかな動画が期待出来そうです。
どうやら2016年頃から海外で販売されているもののようですがYoutubeにアップされている動画はかなり圧縮されているようですので、画質の良し悪しは全く分かりません。
デザインはアクションカメラの流用で大き目の箱型
YIテクノロジーはアクションカメラメーカーでドライブレコーダーの販売はこのモデルが初めてのようですが、デザインはアクションカメラそのままの箱型です。
付属品はマウントとmicroUSBケーブル、1ポートのシガーチャージャーになります。
ドラレコの中でも最大サイズになるコムテックのHDR-352GHと同じくらいの大きさですね。
液晶もかなり大き目になりますが、デザイン的にはWiFi対応のメリットがあまり生かされていないと感じます。
おそらく、同社のアクションカメラで使用されている型やパーツなどを流用した結果このような形になったのではないかと思われます。
最小限のコストでとりあえずドラレコも作っちゃいました系ですね。
マウントの柄の長さもそこそこあるのでルームミラー裏に隠すのは難しいケースが多いかと思います。
機能面は多彩ではあるが
このモデルには動体検知などの駐車監視に使用する機能が一切ありません。ただし、この価格帯では珍しく安全運転支援機能(車間距離・車線逸脱警報)に対応しています。(1080p/30fpsのみ)
スマホのGPS情報を吸い出して一定速度以上で警報を鳴らしますが、この機能を使用する為にはアプリを立ち上げて接続状態にする必要があります。
因みにWiFi接続を切ると停車時でも警報がなりまくりますし、アプリを裏に回すといつの間にか終了している事があるので、常にスマホのアプリを前面に出しておかなければならない事を考えれば実用性はかなり低いかと感じます。
なお、このモデルはGPS非搭載ではありますが、カレンダー機能に関してはスマホと通信を行った段階で自動設定となり、内蔵バッテリーで情報を保持します。
WiFiアプリに関しては使い勝手はまずまず
WiFiアプリに関してはスマホにアプリをインストール→本機のWiFi機能をオン→アプリの立ち上げの手順で通信が開始されます。(パスワード入力あり)
本機のWiFiをオンにしておいてもアプリを立ち上げないと接続は確立されません。
ただ、一度接続してしまえばメニューなどは比較的分かり易い仕様となっています。
画質はなかなか良いが、動作は不安定
レンズ視野角は対角165°との事ですが録画視野角は水平で114°程度出ていますのでなかなか広い方です。
精細感に関してもケンウッドのDRV-320よりも視野角が広いにもかかわらず、文字ははっきり映っています。
HDR処理はしていないと思いますが、レンズ・COMOSセンサーなどのハードウェア面でのダイナミックレンジは広く、一般的なWDRと謳われている製品と変わらない印象です。
屋内駐車場などではかなり明るく映るので好印象です。
かなりコスパが高いモデルかと思ったのですがどうも動作の安定性が低く、やたらと画像が滲む(動画圧縮過程の問題なのか?)事があります。
DRV-320よりもはるかに文字の認識精度が落ちていますね。
また、60fpsの録画モードではガッツリと縦にノイズがいくつも入ってしまいました。
どうもAmazonなどでは不良品率が高く、個体により精度の差があるようなレビューが多いですが、組み立ての精度よりもCPUのスペックが追い付いてないので時々不具合が出ており、それを確認出来なかったケースは良品、確認出来たケースは不良品の扱いを受けているのでは?と感じます。
組み立ての不具合なら常に滲みが出ると思うので、CPUの能力がレンズとCMOSセンサーのスペックに追い付いていない事が疑われますね。
アクションカメラ業界ではかなり注目されているメーカーなのでこの完成度はかなり期待外れです。
夜間に関してもかなり明るめである為、ハードウェア的には優秀なのだと思いますがそれだけに余計に残念なモデルです。
YIテクノロジードライブレコーダーのまとめ
メーカーの規模やアクションカメラの実績を考えると、この完成度の低さは如何なものかと思いますが、もともと駐車監視モードはありませんし、走行中の状況証拠を確保する目的を第一に考えるのであればかなりコスパは高くなります。
水平録画視野角はかなり広めの114°、ダイナミックレンジもそこそこ広いので、走行中の「当て逃げ対策」や、「刑事事件に巻き込まれた時の犯人特定の為の証拠」としての能力は怪しいですが、相手が逃げない事故の際の状況証拠という部分では充分能力は発揮してくれそうです。
動作が不安定とは言え、動画が保存されないなどの類の話ではないので、この価格を考えれば超安いとは感じますね。
まあ、私の中ではYIテクノロジーと「Xiaomi」の株はダダ下がりではありますが…。
ただし、次回以降のモデルで今回の問題点を吸い上げてそれらを改善出来れば、ドラレコ業界に激震を起こすくらいのコスパを発揮できる可能性を秘めているメーカーではあると感じます。次があるなら期待したいですね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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