※2023年5月7日更新:実機レビューを終了しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
VANTRUEから第三世代のスマートミラーで3カメラモデルの「M3」が発売されています。
私はVANTRUEアンバサダーでもありますが、このメーカーは事前の発売情報をリークしないので、毎度ユーザーに質問されて発売に気が付くパターンです(笑)
第二世代の「M2」については、動作の不安定性など、いくつか問題点があった為、「ガッツリおすすめ!」はしていませんでしたが、「M3」ではその部分が改善されているかが気になりますね。
後日レビュー予定ではありますが、この記事では取り急ぎ「M3」の特徴について解説します。
※LaBoon!!とVANTRUEは、サポート、プロモーション、いずれの契約も結んでいませんので、デバッグ的なテストはしません。既知の不具合、または未知の不具合が発生しても、サポートは出来ませんので、その点ご理解下さい。
「M3」のスペックと特徴
「M3」のスペックは以下の表の通りです。
M3 |
---|
11.88型IPS液晶 |
フロント:2560×1440/28fps インナー:1920×1080/28fps リア:1920×1080/28fps |
LED信号対応 |
レンズ視野角 フロント:150° インナー:140° リア:140° |
リアカメラケーブル?m |
microSD付属なし/最大512GB |
GPSサポート |
駐車監視モード |
タイムラプス/自動起動/衝撃検知 |
専用ケーブルは付属 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
「M3」のスペックを見る限り、ドラレコとしては「S2」、または「Element 3」辺りのスマートミラー版とも言えそうな、2.5K+フルハイビジョン+フルハイビジョンの3カメラ構成となっています。
イメージセンサーはIMX335+IMX307+IMX307の定番構成
おそらく、ドラレコとしての画質面では安心してテスト出来るような高画質であると予測しています。
一方でスマートミラーとしての画質ですが、こちらも「M2」を見る限り、それなりに高画質であろうと予測します。
ただし、「M2」にはこのような問題もありました。
この辺りの問題点がどのように改善されているかが気になるところですね。
「M3」の付属品とデザイン
「M3」の付属品は以下の通りです。
・インナーカメラ
・GPS内蔵ドッキングステーション
・ドッキングステーション接続ケーブル
・リアカメラ(車内・車外ステー)
・リアカメラ接続ケーブル(6m)
・3芯電源ケーブル
・シガー電源ケーブル
・ゴムバンド×2種
・ふき取りクロス
・ステッカー
・取付・取扱説明書
・その他取り付け用品
11.88型ミラー液晶筐体
ミラー筐体のディスプレイサイズは、スマートミラーとしては最大クラスの11.88型です。
筐体下部にはディスプレイのON/OFFボタン
上部には左からドッキングステーション端子、microSDスロット、電源ボタンが装備されています。(ディスプレイボタン、電源ボタンを独立させているのが特徴的)
ドッキングステーション
GPS内蔵のドッキングステーションには、電源ケーブル・リアカメラケーブル・インナーカメラケーブル受けの端子が装備され、ディスプレイ筐体との接続を1本のケーブルにまとめるスッキリ仕様となりました。
ミラー筐体とはこちらのType Cケーブルで接続します。
インナーカメラ
インナーカメラは過去に見た事がないデザインで、4極プラグでドッキングステーションと接続します。
リアカメラ
リアカメラはこちらのスタンダードデザインで、ステーは車外用、車内・車外兼用タイプが付属します。
中継ケーブルは短めの6mですので、ミニバンなどでは配線を上から這わせる必要があります。
バックカメラとして運用する際にバック信号に接続する赤ケーブルも装備されています。
3芯電源ケーブル
駐車監視の際に使用する3芯電源ケーブルには、赤・黄線にミニ平型の15Aヒューズがついていますが
国産車ではこのタイプのヒューズが使用されている車種は少ないので、原則としては切り落としてエーモンなどの汎用のヒューズ電源取り出しケーブルを使う事になるでしょう。
※ヒューズ電源取り出しケーブルの種類・容量は車種ごとに異なりますので、取付店舗に確認しましょう。(店舗側で用意して貰えるケースもあり)
シガー電源ケーブル
こちらはシガーソケットから給電する為のケーブルです。
駐車監視をしない場合には、こちらのケーブルを使用しましょう。
※3芯ケーブルを使用した場合、駐車監視の設定をオフにしていても、駐車中に若干の電力を消費します。
「M3」の取付について
今回はアクアに「M3」の取り付けを行いました。
フロント筐体は他の一般的なスマートミラーと同じく、純正ミラーに被せてゴムバンドで固定するだけなので、取付けは簡単です。
※他に2機種のドラレコが付いていますので配線がゴチャゴチャしているように見えますが、「M3」では配線がスッキリ1本にまとめられています。
リアカメラはリアガラス内側に貼り付ける事も可能ですが、今回はリアスポ下に取り付けています。
リアカメラケーブルは6mと短めですので、ミニバンなどでは配線を上から這わせる必要がありそうです。
なお、リアカメラケーブルの赤いバック信号線をバックランプの+線に割り込ませる事でバックギアに連動して映像範囲を切り替える事が出来ます。
スマートミラーの取付け手順は、一番面倒なパターンを以下記事にて解説しています。
「M3」のインターフェイスについて
「M3」の電源ONから録画開始までの起動時間は10秒程度で、2カメラドラレコとしては標準的な部類に含まれます。
インターフェイスは独自仕様となっていますが、操作性は良好です。
なお、ディスプレイに表示されている各種項目を消すメニューは見当たりませんでした。
筐体下のボタン操作で液晶をOFFにする事で、通常のミラーとして使用する事も可能です。
「M3」のバックカメラとしての使い勝手
「M3」のバックカメラ機能は、スマートミラーとしてはスタンダードでリアカメラ中継ケーブルの赤線を後退灯などに接続する事でバックギアに連動して画面が切り替わります。
ただし、ソフトウェアの安定性が低いようで、通常のスマートミラーで映し出されている範囲に、ガイド線が表示されるだけです。
映像の位置調整はドラッグ操作で行う事が可能で、ガイド線の調整も出来ますが、今のところ使い物になっていない機能です。
なお、スマートミラーのバックカメラ機能には全般的に人によっては使いにくいと感じるような問題点もありますので、バックカメラ機能について真面目に考えている方はこちらの記事にも目を通しておいた方が良いと思います。
「M3」のスマートミラーとしての画質
「M3」のスマートミラーとしての画質は、次のポイントについてMAXWINの「MDR-A002」との比較を行いました。
・視野角と後続車両との距離感
リアカメラはいずれも車外に取り付けています。
ディスプレイの明るさ
ディスプレイの明るさについては、いずれも明るさ最高設定で比較しました。
最近ベンチマーク基準としているMAXWINの「MDR-A002B」と比較してみるとやや暗めですが、スマートミラーとしては標準的な明るさのように思います。
従って「MDR-A002B」と比べると、車内の反射にもやや弱めです。
見え方の特徴をまとめるとこのようになります。
視野角と後続車両との距離感
拡大機能を使用しない状態での「M3」のスマートミラーとしての視野角は、スマートミラー全体の中ではやや狭めの水平90°程度です。
拡大幅はA002Bの方が大きく、最大倍率ではこちらの通りです。
そこそこ広角から純正ミラーに近い距離感まで、幅広い範囲での視野の調整が可能でした。
昼間の逆光補正
「M3」は「MDR-A002B」と同様にHDR補正のように見受けられますが、昼間のトンネルや屋根付きの駐車場などでは白飛びがよく抑えられています。
※「MDR-A002B」が白飛びしているように見えますが、ディスプレイが「MDR-A002B」の方が明るいので、撮影側のカメラが処理しきれていません。実際は「M3」より良く白飛び・黒潰れを抑えています。
夜間のヘッドライトの防眩効果
「M3」のヘッドライトの防眩効果は、「A002」よりも若干明るさが強い印象ですが、スマートミラーの標準レベルは充分にクリア出来ています。
ディスプレイを撮影した映像は、撮影側の機器の問題で白飛びが強くなりますが、ドラレコ映像はこのようになります。
夜間の明るさ
スマートミラーでは防眩能力と合わせて夜間の明るさも重視したいところです。
「M3」の方は画面内の明暗の差が大きいので、メリハリがありますが、「A002B」は全体が同じ明るさになるように補正が掛かっていますので、全体として見易いのは「A002B」だと感じました。
ただし、「M3」もスマートミラー全体の中では見易い方かと思います。
暗い場所での見え方について
「MDR-A002」は、暗視能力を少し犠牲にして60fpsの滑らかな映像を実現している機種ですので、暗視がそこまで得意な機種ではありません。
「M3」はこれに比べるとやや明るめとなっており、スマートミラー全体の中でも明るい方と言えそうです。
その他気になったポイント
これは他社製品ではあまり見た事がない事例ですが、リアカメラの映像遅延が0.1秒ほどあります。
普通に走る場合、0.1秒程度なら問題はないようにも思いますが、時速100kmは秒速28mですので、28×0.1=2.8mほどの誤差が出ます。
気にするレベルではないのかも知れませんが、気になります。
スマートミラーとしての見え方のまとめ
「M3」のスマートミラーとしての見え方は概ね高評価でしたが、遅延はどうにかして欲しいところですね。
「M3」のドライブレコーダーの画質と機能・性能について
画質についてはVANTRUEの「N4」と映像を比較しました。
比較ポイントはこちらの通りです。
・逆光補正能力
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
なお、「Element 3」のビュワーはN4とは別のタイプで、明るさを調整する事が出来ませんが、N4用のビュワーでも動画の再生は可能です。(直近のバージョンアップで明るさ調整にも対応しています)
録画視野角について
「M3」録画視野角は、以下の通りでインナーカメラの視野角が狭い点が気になりました。
最近の日本メーカーのドライブレコーダーは、水平130°オーバーの広角モデルが一般的になっていますし、高解像度は広角との相性も良いのですが、VANTRUE製品はグローバルモデルなので、企画段階での日本向けのローカライズがイマイチですね。
逆光補正能力について
逆光補正についてはフロントカメラはN4と近いイメージですが、インナーカメラは白飛びが強く、リアカメラはスマートミラーを兼ねますので、しっかり白飛びが抑えられています。
ナンバー読み取り精度について
「M3」はフロント2.5Kの高解像度モデルなので、「N4」と同様にナンバーの認識精度は高めです。
ただし、やや露出が開放気味の為、夜のヘッドライトが強く反射した状態のナンバープレートの読み取り精度は低めと言う結果でした。
概ね問題のないレベルではありますが、夜間の駐車監視中のナンバー撮影を想定した場合には、N4がギリギリ合格レベルだと思いますので…
露出はもう少し絞るべきだと感じました。
夜間の明るさについて
夜間の映像については、素の動画の他に、VANTRUE VIEWERで再生したものをキャプチャリングして比較しました。
※インナーカメラは赤外線をOFFに出来ないので、車外は暗めになります。
前後カメラの市街地での明るさはドライブレコーダーとしては、ほぼ最上位のクラスとなっています。(VANTRUE VIEWERによる、補正ありきの話)
フレームレートとLED信号の映り方について
「M3」のフレームレートは28fpsとなっていますので、日本全国でLED信号が高速点滅して映るでしょう。
動画の再生方法について
「M3」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワー、スマホでのテストを行いました。
ミラー液晶での再生
ミラー液晶での再生に関しては、他社モデルと同様に操作性は良好です。
PC専用ビュワーでの再生
PCの専用ビュワーは以下のページからダウンロード可能です。
これはN4とは違う新しいタイプのビュワーですが、残念ながら明るさの調整機能はなくなっています。
最新バージョンではN4のビュワーと同様に明るさ調整機能が実装されていました。
その他の機能的には以下のようにドラレコのビュワーとしてはスタンダードなものでした。
・映像の拡大縮小~×
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整~〇
・明るさの調整~×
PC汎用ビュワーでの再生
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤーなどのOSにデフォルトで搭載されているソフトでの再生も可能でした。
駐車監視の仕様について
「M3」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
使用可能なmicroSDカードの最大容量
microSDカードは最大で512GBまでがサポートされていますが、手持ちのこちらの512GBカードでは1時間以上の録画と再生に異常は見られませんでした。
※データサイズが4K相当なので4K対応のU3規格でないとエラーが出る可能性があります。
25%はイベント録画用に割り当てられているようなので、5fpsのタイムラプスモードで256GBのカードに録画をする場合には81時間、512GBであれば162時間分のデータが保存できる計算です。
※データサイズはファームアップデートごとに変更される事もあり得ます。
地デジへのノイズ干渉について
地デジ・ラジオへの干渉については「M3」の単体使用では、アルファード+サイバーナビの組み合わせで影響は確認出来ませんでしたが、車種やカーナビの種類、アンテナの位置などで状況は変わる事がありますので結果は参考として捉えて下さい。
「M3」の総評
最後に「M3」の総評です。
スマートミラーの画質面では、貼付型の上位クラスの画質ですが0.1秒の遅延が気になるところです。
ドラレコ画質は3CHモデルとしては夜間の明るさに優れていますが、駐車監視モデルとしてはフロントカメラの白飛びが気になります。
こう言ったシチュエーションでは、かなりの高確率で白飛びするでしょう。
上記2点が修正されれば、手放しでおすすめ出来るクオリティと言えそうです。
※既知の不具合
これはSONYセンサーの仕様かと思いますが、周囲の明るさ背景色によっては色味がこのように緑になる事があります。
上がミラーカムPro2、下がM3です。
※MAXWIN「MDR-A002」やセルスターの「CS-1000」では青み掛かります。
コメント
新年おめでとうございます。
本年もレビユー、楽しみにしております(^^)/
VANTRUEの防水リアカメラ製品が、再ラインナップされ一安心です。
別体フロントカメラや純正ミラー交換型(又はブラケット)が好みなのですが、需要が無いんですかね?
M3用防水リアカメラが、他機種に使えるのなら別売りを熱望します!
神父村様
別体フロントカメラは需要はあると思いますが、企画を一から起こす事になる上、カメラ内蔵モデルとの並列販売も難しく、コスト的に難しいのだと思います。
アイサイト搭載車にドラレコを設置して予定で
駐車監視や設置位置を真ん中に置く意味でミラータイプが
良いかと考えています。
デジタルミラーとしての活用は距離感が掴みにくいのであまり考えにないのですが、ミラータイプのM2などは
液晶オフ時にハーフミラーとなるのでしょうか?
あまりに暗くなければいいなと…
ミヤビ様
スマートミラーはほとんどの製品が液晶をOFFにすれば、ルームミラーとして使えますよ。
液晶をOFFにした際の明るさには多少の差がありますが、こちらはデータとして管理してません。
ご返信ありがとうございました。M3のレビューも楽しみにしています!(E3やZDR045も)
ミヤビ様
また何かございましたらご相談下さい。
M3の購入を検討しています。
駐車監視ケーブル付きとなっておりますがバッテリーのカットオフ機能は付いているのでしょうか
何処に質問した良いか分からずこちにたどり着きました
よろしくお願いいたします
僕ら自宅防衛隊様
M3については、こちらもまだテストしておりませんので、分かりません。(ないとは思えませんが)
お手数ですがVANTRUEサポートまでお問い合わせ下さい。
はじめまして。
いつも参考にさせていただいております。
初めてドラレコをつけるのですが、今からつけるなら3カメラのミラー型にしようと思いM3を購入しました。
説明書には車内カメラはフロントガラス中央助手席側に、ドッキングステーションを運転席側につけるように書いてあります。
個人的にはあおり運転対策で運転席の外側を広く映したいと思っているのですが、車内カメラを運転席側に取り付けることは有効なのでしょうか?
ご教授いただけると助かります。
きばたく様
M3については現物を見た事がないので、正確な回答が出来ません。
お急ぎのようでしたら、メーカーに直接お問い合わせ頂けますと幸いです。
いつも素晴らしいレビューありがとうございます。
M3は遅延さえ修正出来れば間違いなく買いですね。
MAXWINは性能はいいですがドラレコに6万7万払うのは庶民には怖すぎます。
清田様
修正されると良いですね。