※2021年11月6日更新:実機レビューを追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ケンウッドが7月15日に新型ドラレコを発表するという事前情報が流れていたのですが、360°の亜流かなぁ~と思いきや、なんとスマートミラーでした!
中華メーカーに遅れる事3年半、業界的には3周回くらい遅れていますが満を持しての登場です!
ただし、どこかにODM生産としてブン投げてるとは思いますが。
なお日本の大手メーカーとしてはアルパイン、セルスターに続いて3社目になるのですが、オートバックスなどではこの製品をゴリゴリ押してくると思いますので、2021年売れ筋ドラレコNo.1になる可能性もあります。
「DRV-EM4700」のスペックと特徴
「DRV-EM4700」のスペックはこちらの表の通りです。
DRV-EM4700 |
---|
12型IPS液晶 |
フロント:1920×1080/28fps リア:1920×1080/28fps |
LED信号対応 |
録画視野角 フロント:水平143° リア:水平107° |
microSD付属32GB/最大128GB |
GPS外付け付属 |
リアカメラケーブル8m |
駐車監視モード |
衝撃検知/自動起動 |
OP駐車監視ケーブル CA-DR550 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
これと言って特徴のない、室内取り付け型のリアカメラが付属する12型のスマートミラーですが、フロントカメラの録画視野角は水平140°台と従来の中華メーカーの製品とは若干異なる仕様です。
※機能面では同等で液晶が10型になった「DRV-EM3700」が10月に追加発表されています。
画質の面ではプロモーション動画を見る限り、絞り強めの防眩重視のように見受けられますが、決して悪い画質ではないようです。(たぶん普通ですが、ケンウッドブランドなら普通で充分)
その他、音声コマンドも搭載されているので機能的に+αの付加価値もありますね。
付属品とデザインについて
今回は「DRV-EM4700」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・車内専用リアカメラ
・リアカメラ接続ケーブル(8m)
・シガー電源ケーブル(miniUSB)
・GPSアンテナ
・32GBのmicroSD
・ゴムバンド長短
・カードリーダー
・クロス
・取扱説明書
ケンウッド定番の中国製、一年保証です!
ミラー型筐体
ミラー型筐体のデザインは一般的な11.88型の中華メーカーのものとさほど変わりません。
レンズ部分が右側にスライドするようになっていますが、これは通常10型の製品に多く見られるデザインで、12型の場合にはほとんど不要な機能である事から珍しいものとなっています。
※最近は前後セパレートタイプが増えているので、新たにこのタイプを出してくるメーカーはほぼない状況です。
液晶の電源を落とすと通常のミラーとして使えるように、そこそこ反射はするようになっていますので反射が気になる方は反射防止フィルムなどで対策しましょう。
本体下部にはスタンダードな1ボタン、このボタンで液晶表示、または電源のON/OFFを行います。
上部にはminiUSB電源端子、リアカメラ入力端子、microSDカードスロット、GPS端子が配置されています。
リアカメラ
リアカメラはこのようなリアガラス貼付け専用タイプで、前後に首振りが可能です。
リアカメラ接続ケーブルは両側が4極プラグの8mです。
※一般な中華メーカーのケーブルと比べると太め
GPSアンテナ
GPSアンテナはこちらの両面テープタイプです。
電源ケーブル
電源ケーブルはこちらのシガープラグタイプが付属します。
取付けについて
今回は30系アルファードに「DRV-MR4700」の取付を行いました。
この車には既にMAXWINの「MDR-A001」が付いていますので、ここに「DRV-MR4700」を被せる形としました。
この製品は純正ミラーに被せるタイプですし、バックカメラ機能もありませんので、取り付け手順は一般的な2カメラドライブレコーダーと変わりません。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
インターフェイスについて
「DRV-MR4700」の電源ONから録画開始までの起動時間は8秒程度と、2カメラドライブレコーダーとしては標準的です。
この起動音は大小様々な中華メーカーで採用されているフリー素材のようなものですので、かなり手抜きしているなぁという印象を受けました。
初期状態で画面に表示されている情報は、録画状態を示すアイコン、その他の状況を示すアイコン類、カレンダーとなっています。
これらの表示項目のうち、アイコンはしばらくすると自動で消え、カレンダーについては設定から表示をOFFにする事が出来ます。
その他の操作はこちらの通りです。
・ボタンの短押しでディスプレイ表示ON/OFF、長押しで電源ON/OFF
ページの切り替えはフリック系で行い、スワイプ・ドラッグ系でメニューを下に流す事は出来ません。
音声コマンド
「DRV-EM4700」では静電式タッチパネル操作と合わせて、こちらの5つの音声コマンド操作にも対応しています。
・写真を撮ります
・フロントカメラ
・バックカメラ
・全てのカメラ
因みに先日レビューしたAKEEYOの「AKY-Z3GT」の10のコマンドと文言がそっくりです。
・モニターオフ
・フロントカメラ
・バックカメラ
・サイドカメラ
・全てのカメラ
・写真を撮ります
・録音開始
・録音終了
・ビデオロック
日本人が開発に関わっていれば、まず「写真を撮ります」というコマンドにはならないと思いますので、中国に既にあるものを持ってきただけの機能という事が良く分かります。
バックカメラ機能について
一般的なスマートミラーは、バック信号線を取る事でバックギアに連動して映像を下方向に自動で切り替え、ガイド線を出すことが出来ますが、本製品にはこの機能はありません。
スマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとして画質は、MAXWINの「MDR-A001B」と次の5つの項目について比較しました。
・視野角と後続車両との距離感
リアカメラはいずれも車内に取り付けています。
ディスプレイの明るさ
「DRV-EM4700」単体での使用の際にはそれほど気にはならなかったのですが、「MDR-A001B」と比較してみるとかなり薄暗く、全体的にぼんやり滲んでいる事に気が付きました。
従って車内の反射にも弱めです。
その他、気になった点として「EM4700」はおよそ1秒に1回、コマ飛びによるカクツキが出る点が挙げられます。
こちらの原因は良く分かりませんが、一般的な中国系のスマートミラーは
に対し、「EM4700」は28fps録画である為、このうち3コマをカットして25fps出力している可能性があります。
という事かも知れません。
このようなカクツキは過去にテストした数十台のスマートミラーでは見られなかったものですので、本製品だけのマイナスポイントになります。
視野角と後続車両との距離感
「DRV-EM4700」のスマートミラーとしての視野角は、スマートミラー全体の中では標準的な水平107°程度です。
純正ミラーよりも広範囲が認識出来るというメリットがありますが、後続車が小さく映りますので距離感は掴みにくくなります。
こちらの「A001B」の最大倍率がほぼ平面鏡で見えるサイズと同等です。
昼間の逆光補正
「DRV-EM4700」はAUTOVOX製品と同様のWDR補正のように見受けられますが、昼間のトンネルや屋根付きの駐車場などでの見え方に問題はなく、充分実用的です。(もちろん、「MDR-A001B」には劣ります)
ミラーの映像は撮影側の機器の問題でそこそこ白飛びしていますが、実際の見え方はこちらのドラレコ映像の方が近いものとなります。
夜間の明るさ
昼間の見え方は「MDR-A001B」とそれほど変わりませんでしたが、夜間は市街地では充分な明るさではあるものの
街灯が少ない場所や、街灯が無いような暗い場所では「MDR-A001B」との差が大きくなります。
後続車両のヘッドライトの見え方
後続車両のヘッドライトの防眩能力は、スマートミラーとして最も重視したいポイントです。
ミラーを撮影した映像は派手に白飛びしてしまって参考になりませんので、ドラレコ映像を見てみましょう。
こちらは「MDR-A001B」と比べてしまうとかなり差が大きく感じられ…
そして中途半端な明るさのシチュエーションでは真っ暗になります。
このように「白い」・「黒い」はドラレコ業界では典型的な低画質と言われます。
スマートミラーとしての見え方のまとめ
「DRV-EM4700」のスマートミラーとしての特徴をまとめると、明るさ・防眩能力ともに2流以下の実力で、MAXWINの「MDR-A001B」には遠く及ばない性能という結果でした。
ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてMAXWIN「MDR-A001B」と前後カメラを比較しました。
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「DRV-EM4700」の録画視野角は前後カメラとも仕様表記通りです。
フロントの水平143°の広角レンズは、広い範囲の状況の撮影が可能という点で評価は高くなります。
逆光補正能力について
逆光補正能力については、ドラレコ全体の中ではやや低く、特にフロントカメラの黒潰れが強く出易いのが気になりました。
ナンバー読み取り精度について
フロントカメラは録画視野角がドラレコとしては最高クラスですので、ナンバー認識精度の面では不利になり、フルハイビジョンクラスとしては最低でした。
リアは標準視野角ですので普通です。
夜間のヘッドライトが反射したナンバーの読み取り能力はそこそこ高めではあるものの、角度や位置関係によってはこのように読み取り不能になります。
夜間の明るさについて
ネオンや街灯が多い市街地では前後カメラともまずまず明るめとなっています。
ただし、補正の精度が低いので明るさのバランス次第では周囲が真っ暗に映る事があります。
【後】
街灯が少ない暗い場所ではフロントカメラはそこそこ明るいものの
リアに関してはイマイチと言ったところです。
動画ファイルの再生方法について
「DRV-EM4700」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワーでのテストを行いました。
PC専用ビュワーでの再生について
専用のPCビュワーはこちらからダウンロードします。
・映像の拡大縮小~×
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整(0.5~2倍速)~〇
・明るさの調整~×
因みにこのビュワーは最近レビューしたユピテルの「Y-4K」とベースが同じものと見受けられます。
ソフトウェアは同じ中国企業に開発させてんのかなぁ~(笑)
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」での再生も可能でした。
フレームレートとLED信号の映り方について
「DRV-EM4700」のフロント・リアカメラのフレームレートは28fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。
駐車監の仕様について
「DRV-EM4700」の駐車監視の録画方式は専用の常時電源ケーブルを使用しての衝撃検知録画となります。
今回はこのケーブルは購入していませんが、他社の類似ケーブルを使用してテストしたところ、このような挙動を示しました。
これはその他大勢の中華系のスマートミラーのシステムと全く同じです。
この仕様では駐車監視モードの証拠能力にはあまり期待は出来ませんので、当て逃げ・ドアパンチ・イタズラ対策としての駐車監視を検討するのであれば、外部電源と純正シガーケーブルを組み合わせての常時録画の継続をおすすめします。
外部電源「iCELL」を使用した駐車監視の運用について
外部電源を使用した常時録画の継続という形での駐車監視のテストは「iCELL」で行い、正常な動作を確認しました。
「DRV-EM4700」の消費電力は液晶表示をOFFにした状態では 3.5W程度でしたので、連続駆動時間の予測はこちらの表の通りとなります。
型番 | B6A | B12A | B40A |
---|---|---|---|
容量 | 76Wh | 153Wh | 422Wh |
駆動時間 | 19.5時間 | 39時間 | 108時間 |
満充電 | 50分 | 100分 | 150分 |
常時録画を継続する場合には、車を降りる前にこのボタンを短押しして液晶をOFFにする必要があります。
また、自宅駐車場などで駐車監視をしない場合には、このボタンを長押しして電源をOFFにし、次回の運転時には再度このボタンを長押しして電源をONにする必要があります。
iZONEを使用して自動で駐車監視キャンセル
こちらのLaBoon!!企画のガジェット「iZONE」と組み合わせて使用する事で、自宅駐車場などの予め登録したGPSポイントでは自動でドラレコの電源をOFFにする事が可能です。
この場合、次回のエンジンONの際には何も操作はしなくても自動で電源が入ります。
iCELLとの接続方法
iCELLを使って走行中の常時録画を継続する場合には、エーモンソケットと「DRV-EM4700」の純正シガーケーブルを使用してこのように接続します。
②「iCELL」OUT黄線~ソケットケーブルの+側に接続
③「iCELL」OUT黒線~ソケットケーブルの-アース側に接続
使用可能なmicroSDカードの最大容量
「DRV-EM4700」のmicroSDカードのサポート範囲は128GBまでとなっていますが、以下の256GB以上のカードは使用出来ませんでした。
1時間当たりのデータ使用量は10~11GB程度です。
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
一日で壊れたのでレビューを一度中断しています
こちらは希少な日本メーカーのスマートミラーという事で、5万円弱で購入した製品ですが、なんと一日使用しただけでリアカメラを認識しなくなるという故障に見舞われました。
どんだけゴミ品質なんですか?ケンウッドさん!流石信頼の世界ブラントと謳っているだけありますな!
この手の不具合はリアカメラ・ケーブル・ミラー筐体端子のいずれかが原因となりますが、他社製品にリアカメラとケーブルセットを接続したところ、そちらでは認識されていますので、筐体側の不具合確定です。
サポートセンターに問い合わせたところ、他のユーザーからもそのような報告が上がっているとの事。
なお、今回も念の為に送料負担について確認したところ、元払いでお願いします!との事でした。
信頼の世界ブラントケンウッドさんがおっしゃる事は、日本のスタンダードな対応なので喜んで従います。
製品は発送から1週間以内に返却されましたが、シリアルが変わっていまたので交換対応となったようです。
「DRV-EM4700」の総評
「DRV-EM4700」のスマートミラーとしての評価は
と、全く良いところがありませんでした。
ここまでは事前の想定の範囲内でしたが、1日使用しただけで壊れた上に、ほぼ初期不良であるにも関わらず発送時の送料はこちら持ち、という日本メーカーのお手本のような対応をされました。(もちろん嫌味です)
従って総合評価では
となります。
過去6年でレビューした製品のうち、買ってはいけないドラレコ優勝候補です。
PORMIDOやJADOのようなセンサー偽装中華メーカーも大概ですが、この製品は価格が高いだけに一撃の破壊力と精神的ダメージはこちらの方が遥かに上でした。
この製品はおすすめする理由が一つも見当たらないので…3年保証にでもならない限り、絶対におすすめしません。
この製品の製造原価は1万円以下かと思いますが、えらいボッタ値で売りますね(笑)
コメント
その昔、ケンウッドといえば初めての一人暮らし用のお手頃なミニコンポぐらいのレベルだったし。業務用はさておき、市販品はそんな高級品の代名詞でもなかったですよ。
これは中華製より劣っていて1日で壊れ価格だけはめいどいんじゃぱん。
せめて耐久性は無駄に10年レベルとかでいて欲しかった。ないわー買わないわー。
私はリアに6%の濃色フィルムを貼ったセダンなので、室内リアカメラで夜間のフィルム越しの視認性が良いものが欲しいのです。STARVISだけではちょっと見えにくい。
そんな無茶なと自分でも思いつつ、中華製でいいのでどこか企画してくれないかなぁと思っています。
webrudy様
ケンウッド=「最高級」はあくまでもスマートミラーのカテゴリーの中で価格が一番高い事に対する嫌味です(笑)
このメーカーに対してはここ何年かずっとこんな感じなので、チクリチクリしたくなるんです。
現行のスマートミラーで一番高性能なのはMDR-A001ですよ。
この記事の中でも紹介してますけど。
昔トリオのチューナー使ってましてね。ケンウッド商標はホームエレクトロニクスがメインなので業務用はともかくと私も嫌味を一つ(笑)
お薦めありがとうございます。
001は交換型なので踏み切れずにいるんですよね。
レビューもフィルム無しの夜間ばかりで自分が試すには少し高価なもので。
webrudy様
1万円台でそこそこと言う事なら、この辺ですね。
https://car-accessory-news.com/smart-room-miror/#toc15
https://car-accessory-news.com/smart-room-miror/#toc17
私がアンバサダーを務めるVANTRUEも今後スマートミラーを出すようですが、こちらの価格と実力は未知数ですね。
https://car-accessory-news.com/vantrue-m2/
もし大した事なかったら、アンバサダーとして修正点を提案してに思いっ切り圧力かけますけど(笑)
ありがとうございます。そちらの記事も拝見しておりましたが、濃厚フィルム越しではリアカメラはあまり大差なさそうな気がします。ソニーセンサーの性能もあるでしょうし需要も少ないんでしょうねきっと。
webrudy様
これでも最近のドラレコは昔に比べると超絶と言えるほど明るく改善されてますよ。
https://car-accessory-news.com/drive-recorder-smoke-2camera/
フィルムの影響はカメラにとって甚大なので、現在ではこんな感じですね。
そうですね。もともと濃厚フィルム越しという無茶な要求ですし、無い物ねだりな気はしています。
もう少し検討を続けてみます。色々ご紹介いただきありがとうございました。
webrudy様
また何かありましたらご相談ください。