パイオニア エントリー~スタンダードクラスドラレコ「VREC-DH400」「ND-DVR10」のレビュー、評価

※2018年10月31日更新~「ND-DVR10」が2018年モデル「VREC-DH400」と型番のみを変更して販売継続となりましたので、改めて最近の同価格帯のドライブレコーダーとの比較を行い、2年半振りに再レビューしました。

パイオニアの2018年モデルのドライブレコーダーの全ラインナップが10月に更新されていますが、2016年2月から販売されているGPS内蔵のスタンダードクラス(現在の性能面ではエントリー?)のドライブレコーダー「ND-DVR10」も「VREC-DH400」と型番を変更して再デビューしています。

最近のパイオニアは資金難でドラレコの開発まで手が回っていないように見えますし、古いモデルをさも新製品の如く新しい型番で再販する方法はあまり関心出来るものではありません。

カーナビなども含めて、あまり製品の仕様やスペックなどに詳しくないユーザーに対して、他社製品との競合が少ない自動車のディーラーOPやメーカーOPとして販売して行こうという方向性なのかも知れませんね。

という訳で、2018年10月現在で新しく発売された「VREC-DH400」はコストに見合ったパフォーマンスを発揮出来るドライブレコーダーなのかどうか?を同価格帯の他社モデルと比較しながらチェックしてみました。

「VREC-DH400」「ND-DVR10」のスペック

「VREC-DH400」「ND-DVR10」のスペックは以下の表の通りです。

ND-DVR10VREC-DH400
16.02発売18.10発売
1920×1080/27.5fps
LED信号対応
水平録画視野角 105°
WDR
microSD付属32GB
microSD最大32GB
GPS内蔵
偏光フィルターOP
駐車監視モード
動体検知+衝撃検知
自動
内蔵バッテリー50分
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店

※パイオニアのサポートに確認したところ、「VREC-DH400」は「ND-DVR10」の型番のみを変更したモデルであるとのご回答を頂きました。

機能的にはフルハイビジョンのGPS内蔵と、スタンダード中のスタンダードです。

おそらく…、なのですがこの系統のモデルはケンウッドの2014~2015年モデル「KNA-DR300/350」を生産していた中国の工場と同系列、または同じところで生産されたものと考えられます。

デザインと付属品について

デザイン面では元が2016年2月モデルなので、主にサイズの面で古臭さを感じます。

現行のケンウッドの同クラスのモデル「DRV-320/325」辺りと比較してもサイズが二回りくらい大きく感じます。

各種操作系のボタンについては、フロント側がよくあるスタンダードな4ボタン仕様。

車内から見て左側のサイドにはmicroUSBスロットと電源ボタン、右側にはminiUSB電源ポートと手動録画ボタンが配置されています。

主な付属品については以下の通りとなります。

①ドライブレコーダー筐体

②miniUSBシガーケーブル(ケンウッドの「KNA-DR350」辺りと全く同じ物)

③32GBのmicroSDカード

④マウント・両面テープ

インターフェイスについて

メニューのツリーや基本システムの構成は、ケンウッドの「KNA-DR350」から続いている「DRV-300系/600系」とほぼ同じで、ファイルの録画形式、GPSログの保存形式、PCの専用ビュワーまでほぼ同じですので、OEM生産を依頼している工場に「企画ごと丸投げしたでしょ?」と感じずにはいられません。

なお、「VREC-DH400」「ND-DVR10」の操作感はボタンを押してから画面が反応するまでのタイムラグがあり、あまりよろしくありません。

 

画質についての評価

画質については以下のポイントに沿って評価を行いました。

①録画視野角の広さ

②精細感~文字の認識精度

③白飛び耐性

④夜間の明るさ

⑤夜間のナンバー反射耐性

 

比較対象のモデルとしては、ユピテルの「SN-SV40c」(2018年8月)、ケンウッド「DRV-320」(2016年9月)、TA-Creative「TA-011C」(2017年12月)の3機種を選んでいます。

録画視野角について

録画視野角はメーカーによって表記の仕方が異なりますので、水平100°の「DRV-230/320/325」を基準として計測すると、次のシーンでは以下の通りとなりました。

・「DRV-230/320/325」・・・水平100°

・「VREC-DH400」「ND-DVR10」・・・108~110°

・「SN-SV40c」・・・114~116°

・「TA-011C」・・・115~117°

 

「VREC-DH400」「ND-DVR10」の録画視野角はメーカーの公式スペックでは水平105°となっていますが、実測では108~110°程度はありそうです。

精細感~文字の認識精度について

「VREC-DH400」「ND-DVR10」は内蔵バッテリーによる50分間の駐車監視が可能なモデルですが、本格的に駐車監視を行う方向けではないので、ナンバー認識精度はそれほど重要ではないかも知れませんが、最近の1万円クラスのモデルと比較しても、精細感はイマイチです。

ケンウッドの「DRV-320」よりは文字認識精度は高いので、「ND-DVR10」は2016年の2月発売、「DRV-320」は9月の発売ということを考えると、発売当初のスタンダードモデルのレベルとしては決して低くはなかったと記憶しています。

なお、テストした録画解像度と補正モードは以下の通りです。

・DRV-320~フルハイビジョンHDR/27.5fps

・TA-011C~フルハイビジョンHDR/30fps

・SN-SV40c~フルハイビジョンHDR/30fps

・ND-DVR10~フルハイビジョンWDR/27.5fps(HDRモードなし)

白飛び耐性について

トンネル出口での白飛び耐性については、唯一WDRモデルである「VREC-DH400」「ND-DVR10」が不利にはなるものの、結果としては以下の通り、「TA-011C」には劣るものの、「DRV-320」「SN-SV40c」よりはやや耐性が高い印象です。

「ND-DVR10」が発売された当初としては、ケンウッドの2015年モデル「KNA-DR350」がスタンダードグレードの代表でしたのでそれと比べるとかなりのアドバンテージがありましたし、現在でも白飛び耐性については標準+αのレベルは維持しています。

夜間の明るさについて

夜間の明るさに関しては、特に2017年以降に発売されているSONYのExmor「IMX323」や、夜間特化型のSTARVIS対応の「IMX291」などのイメージセンサーを搭載したモデルと比べるとどうしても厳しくなります。

この4機種の中ではユピテルの「SN-SV40c」がSTARVIS対応モデルとなりますが、特に街灯が少ない場所ではヘッドライトの明るさの拾い方がかなり違いますし、ヘッドライトを消した状態だと更に差が大きくなります。

夜間のナンバー反射耐性

夜間に先行する車のナンバープレートにヘッドライトがもろに当たった場合、ほとんどのドラレコはナンバーの読み取りが不可能になりますが、強めのHDR補正や明るさを絞ったモデルの場合には読み取り可能なシチュエーションが広くなります。

「VREC-DH400」「ND-DVR10」については、WDRモデルの中では耐性は高いものの、強めのHDR補正を入れているモデルに比べるとやはり厳しくなりますね。

なお、「ND-DVR10」の動画についてはその他以下の1万円クラスの7モデルとも比較を行っています。

■ 1万円程度のコスパが高いドライブレコーダー おすすめ8選

動画の再生方法について

動画ファイルの保存形式は「MP4」、映像コーデックはH.264、音声コーデックは音声コーデックは「IMA ADPAM」となっており、ドライブレコーダーの液晶画面の他、PCの専用ビュワー、Windowsの汎用ビュワー、スマホなどでの再生が可能でした。

パソコンでの専用ビュワーでの再生について

「VREC-DH400」「ND-DVR10」はGPS内蔵のモデルなのですが、「ND-DVR10」の発売当初は専用ビュワーが用意されておらず、サポートに確認したところ今後もビュワーへの対応は予定されていないとの回答を頂きましたが、現在ではパイオニアのドラレコ用に専用ビュワーが用意されています。

一応、専用という事になっていますが、ケンウッドとパイオニアのほとんどのドラレコは動画ファイル形式、映像コーデック、音声コーデック、GPSログなどが全く同じ形式となっており、互換性があります。

■ パイオニアビューアーソフト「Driving Viewer」

ビュワーもほとんど同じです。

【ケンウッド ROUTE WATCHERⅡ

【パイオニア Driving Viewer

ビュワーとしての機能はシンプルで、1/4・1/2・1.5・2倍速などの再生速度の調整と地図やGセンサーのグラフの表示は可能ですが、デジタルズームなどは出来ません。

パソコンの汎用ビュワーでの再生について

パソコンの汎用ビュワーでの再生については、Windows 7→10にアップデートしたPCで行いました。

結果は以下の通りです。

・メディアプレイヤー12~動画の再生は可能だが、音声は出力されず

・Quick Time Player~映像・音声の再生が可能

スマホでの再生について

スマホでの再生については、以下の方法でiPhone 7、android端末での再生が可能でした。

iPhone 7の場合には、カードリーダー機能付きのモバイルバッテリーを使用しました。

モバイルバッテリーでドラレコの駐車監視をする方法について解説
...

android端末については、microSDカードスロットからでも可能ですが、今回は以下のカードリーダーを使用しました。

駐車監視の仕様について

「VREC-DH400」「ND-DVR10」の駐車監視の録画方式は、①動体検知+衝撃検知、②動体検知のみ、③衝撃検知のみの3通りです。

衝撃検知については衝撃を検知した後からの録画となり、保存領域は動体検知と衝撃検知ともに共通のParkingフォルダとなります。(復帰時の告知なし)

駐車監視については以下の2通りの起動方法があります。

①エンジンのオフに伴い、自動的に内蔵バッテリーによる50分間の監視を行う方法

②外部電源などにより、常時給電状態を維持して一定時間、一定以上の振動を検知しない事を以って監視を行う方法

 

何れの方法でもガソリン車であればエンジンオンの振動で駐車監視が終了し常時録画に戻ると思いますが、EVやHV車の場合にはエンジンが始動しないケースもあるので、出入りが意図せぬタイミングになる事も考えられます。

内蔵バッテリーを搭載している事を除けば、ケンウッドの5V/miniUSBのドラレコと駐車監視の仕様は同じですので、ケンウッドの常時電源ケーブル「CA-DR150」を使用してタイマー管理も可能です。(サポート外ですが)

なお、iCELLなどの外部電源を使用しての駐車監視も可能です。

2年保証のドラレコ駐車監視用バッテリー iCELL「B12AP」
...

なお、常時電源ケーブルや外部電源を使用した場合には、ドラレコ本体の内蔵バッテリーが消費されるのはminiUSB電源ポートからの給電が遮断されたタイミングからになります。

使用可能なmicroSDカードの最大容量について

microSDカードは32GBまでがサポート範囲内ですが、以下のものを使用し、1時間程度の録画・再生に異常は見られませんでした。

「VREC-DH400」「ND-DVR10」の総評

「VREC-DH400」「ND-DVR10」はケンウッドの「DRV-230/320/325」の系統のモデルと比べると、録画視野角がやや広く、白飛び耐性高いです。

夜間の明るさは同程度になりますが、50分間の内蔵バッテリーも搭載していますので、価格が1万円程度であれば2018年10月現在でもそこそこコスパの高いモデルと言えるかと思います。

なにやら「VREC-DH400」の方は2万円近い価格がついてますが、これは酷い価格設定だと思います。

パイオニアのブランドネームの部分を考慮しても、1.3万円以下が適正価格ではないかと感じますね。

「ND-DVR10」が現状それくらいの価格なので、これならパイオニアファンの方には良いのではないでしょうか?と言ったところかと思います。

なお、パイオニアからは解像度をアップさせた上位モデルも出ていますので、そちらも検討してみても良いかも知れません。

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(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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コメント

  1. 遠藤三千男 より:

    先月購入したDVR10には専用のソフトが無く不便を感じていたが、ある日 DRー350のSDカードと謝ってDVR10のSDカード入れてたら、ケンウッドDRー350のソフトウェアで何ら変わりなくDVR10を再生できました、他にも共通点が、本体の取り付け部とシガープラグコード、2台の車のドライブレコーダーの本体 簡単に交換出来ます、ケンウッドとパイオニアはお互い技術協力しているのでしょうか?

    • ドライブレコーダー専門家 LaBoon!!編集長 鈴木朝臣 管理人Omi より:

      遠藤様
      ドライブレコーダーの録画方式自体はいくつかの共通したものに従っており、ファイルの形式同じであれば他社のソフトウェアでも問題なく作動する事が多いです。
      マウントやプラグコードなども、ケンウッドやパイオニアが独自に企画しているというよりも下請けの部品メーカーなどに生産させているか、出来合いのマウントに合うように本体を設計しているのではないかと思います。

      一番多く流通していて安く作れるものを選んだ結果、あのような形になっていると思います。

      パソコンなどと同じで、チップセットやレンズ、その他の個々のパーツは、それらのパーツの専業メーカーが作っている事が多いので、よほど特殊なものが必要にならない限り、個々のパーツの組み合わせやソフトウェアの仕様を企画するというのが、パイオニアやケンウッドがやっている事だと思います。

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