※2019年5月20日更新~2019年モデルが出揃った為、内容を見直しました
カーナビの中でも無料カーナビアプリの浸透で最も打撃を受けているのがスマホやタブレットで代替が効きやすいポータブルナビと言われて来ました。
そうは言ってもスマホのナビアプリも通信費を計算すると意外とコストが掛かるケースがありますし、オフラインで使用が可能なアプリについては500円程度の月額課金制である上、オフライン中はリアルタイムの交通情報が取得できないなどのデメリットもあります。
無料のYahoo!カーナビであれば通信費のみ、カーナビタイムの方は月額課金+通信費、またはオフライン使用であれば通信費は掛かりませんが、何れにせよ月間では500円以上のコストが掛かるケースが多かろうと思いますので、ポータブルナビの存在価値が無くなった訳ではありません。

ただし、インダッシュタイプのカーナビメーカーの最近の動きとしては、以前から年間3,600円での地図更新が可能であったケンウッドに加えて、パイオニアも2019年の春から同様のサービスと開始する流れがあります。
ケンウッドなどの4~5万円台のカーナビはBluetoothやVICS WIDE、ETC2.0などの車載機に対応するなど、一通りの機能は揃っていますし、ここ年のカーナビのアフターパーツの流れを見ているとかなりお買い得感が高まっています。

その一方で一方でポータブルナビに関しては、大手での取り扱いはパナソニックとユピテルの2社のみになっており、ユピテルは地図更新なしの使い切り方、パナソニックは最上位モデルのみが発売から3年間更新が無料、その他の中小のメーカーは有料での地図更新に対応していたりいなかったりと様々です。
従ってカーナビをはめ込むダッシュパネルが2DINや200mmの規格に合っているなら、ポータブルナビではなくインダッシュナビを購入した方が良いと考えられます。(ポータブルナビは車のスピーカーから音も出せませんし)

ただし、操作性や見易さ、案内精度、地図の新しさなどの部分に目をつぶり、ひたすら価格だけを追い求めるのであれば、取り付けが自分で出来て価格も安いポータブルナビに行き着きますので、たまにしか使わないからとりあえず目先の出費を抑えてカーナビと導入したい、スマホのアプリは画面が小さくて見にくいので使いたくない、という方におすすめなのがポータブルナビである、という事になります。
もくじ(クリック・タップで移動できます)
ポータブルナビ パナソニック、ユピテルの違い
日本国内で販売されているポータブルナビは、主にパナソニック、ユピテルによって市場が形成されています。(その他の中国生産のものも多数あるにはありますが、信頼性や使い勝手は未知数)
パイオニアは2015年が最後の更新となり、2016年以降は新モデルを発売しておらずポータブルナビ市場から撤退しています。
販売台数で考えると2年くらい前まではユピテルが最も人気があったようですが、機能的に最もスマホに喰われ易い特性である為、シェアはパナソニックに抜かれているようです。
パナソニックのゴリラナビの特徴
パナソニックのゴリラナビは、カーナビしての基本である測位の精度と渋滞回避を考慮した案内精度を追求したシリーズです。
ルート探索の特徴は一般的なカーナビと比べると狭い道路を避ける傾向が強く、初心者ドライバーや高齢者に優しい案内と言えるでしょう。(2017年モデルでテスト済み)
方向転換を検知するジャイロセンサーの標準搭載はもちろん、最上位モデルでは3年間の地図更新無料や、VICSへの対応、るるぶマップ100冊分の観光データの収録などに加えて、バックカメラのモニターとしても使用する事が出来ます。
最上位機種では、タクシーのリアルタイム走行データを反映する「VICS WIDE」にも対応しており、カーナビとしての基本性能を考えるとインダッシュナビのスタンダードグレードと何ら変わりません。
AV機能については割り切っているものの、それ以外の機能に関しては全てが高次元でまとまっているポータブルナビと言えるでしょう。

ユピテルポータブルナビの特徴
ユピテルのポータブルナビの特徴は、価格が安い上にレーダー探知機機能が搭載されていたり、上位モデルではスマホのようなピンチ系の操作が可能であるなど、付加機能が充実している点が挙げられます。
また、必要最小限の機能のみを搭載した激安モデルもラインナップされており、ユーザーの目的に合わせて多彩な機能をチョイス出来るの点も魅力です。
ただし、カーナビの基本機能の部分でいくつか気になる点として以下の3つのポイントが挙げられるのも事実です。
①ジャイロセンサーを搭載せずに測位を衛星のみに頼っている為、駐車場から出る際などに進行方向が分かりにくくなる
②VICSなどの渋滞情報が搭載されていない為、渋滞を回避できない
③地図が更新出来ないので完全に使い切りになる
最近では無料のスマホのカーナビでもVICS WIDEなどのプローブ情報(リアルタイムの車の走行情報に基づいたもの)を活用していますので、ルート案内能力については必要最小限であるとは言えますね。

ポータブルナビのおすすめモデル
一口におすすめモデルと言っても、ポータブルナビも機能面ではピンからキリまでありますし、ハイエンドモデルになると5万円を超えてきますので、下手をするとインダッシュナビの安いモデルよりも高くなってしまいます。
また、5インチモデルになってくると液晶の大きさがスマホと変わらなくなる為、手持ちのスマホや通信データ量の契約内容によってはスマホの無料カーナビアプリを使用した方が良い場合もあります。
従ってここでは「既にスマホの無料カーナビを利用した事があるが、自分には合わない」と考えている人向けに、液晶サイズ別に各社のモデルを比較しながら話を進めます。
5型液晶は2モデル
このクラスはスマホと液晶の大きさが変わらないので、今まで使用していたカーナビが7インチ以上だった場合には使いにくく感じると思います。そういう人は5インチはやめて7インチにした方が良いです。
私も昔は5インチモデルを使っていた時期があり、当時は何の不便も感じていませんでしたが、一度7インチを使用してしまうと5インチは小さくて見にくいと感じます。
従って5インチモデルは初めてカーナビを搭載する方、もしくはスマホのカーナビアプリからの乗り換えと言う方におすすめです。
2019年に発売された5インチモデルは、ユピテルが1モデル、パナソニックが1モデルの合計2モデルとなります。
ユピテル WNL55ML | パナソニック CN-G530D |
---|---|
19.04発売 | 19.06発売 |
5型 | 5型 |
4GB/SD | 16GB/SSD |
住所 3,600万件 | 住所 3,870万件 |
TEL 630万件 | TEL 1,930万件 |
周辺 240万件 | 周辺 330万件 |
観光 8万件 | 観光 3.5万件 |
ワンセグ | ワンセグ |
SDカード 音楽再生 | SDカード 音楽・動画再生 |
VICSなし | VICSなし |
ジャイロセンサーなし | ジャイロセンサーあり |
地図更新は不可 | 地図更新は有料 |
オービス&取締データ 7.3万件 | なし |
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方 |
これら2モデルの主な違いは以下の通りです。
①記憶メディアがユピテルは4GB/SD、パナソニックは16GB/SSD
②液晶解像度はユピテルが7.7万画素、パナソニックが38万画素
③方向転換を検知するジャイロセンサーはユピテルは非対応、パナソニックは対応
④地図更新についてはユピテルが非対応、パナソニックは有料対応
⑤オービス・取締データはユピテルが対応、パナソニックは非対応
⑥1DIN用の取付キットはユピテルが非対応、パナソニックは対応
このグレードに関しては液晶がスマホと同サイズで視認性はあまり良くありませんので、出来れば7型モデルをおすすめしたいところですが、価格帯的にユピテルの「WNL55ML」が一万円台とかなり安くなりますので、出来るだけお金を掛けずにとりあえずカーナビを入れたい方は「WNL55ML」がおすすめです。
※以下2019年モデルと機能面ではほぼ同等の「YPL523」でのテスト状況

なお、ユピテルはジャイロセンサーなしなので、リルートが遅いだろうと思っていたのですが、実際に使用してみたところそんな事はありませんでした。
ただし、お店の駐車場から出る場合にはしばらく走行しないと自車位置が測位されませんので、その点は理解が必要ですのし、地図のキメの細かさや案内の精度を重視する方はパナソニックの「CN-G530D」を検討してみても良いでしょう。
7型液晶は4モデル
7型液晶はユピテル・パナソニックともに各2モデルずつのラインナップとなっていますが、いずれもスタンダード・ハイエンドとグレードごとに分かれています。
スタンダードグレード
7インチの2モデルはいずれのメーカーも基本機能は5インチと変わらず、液晶サイズが大きくなっただけです。(ユピテルの7型は解像度がアップ)
ユピテル WNB75ML | パナソニック CN-G730D |
---|---|
19.04発売 | 19.06発売 |
7型 | 7型 |
8GB/SD | 16GB/SSD |
住所 3,600万件 | 住所 3,870万件 |
TEL 630万件 | TEL 1,930万件 |
周辺 490万件 | 周辺 330万件 |
観光 8万件 | 観光 3.5万件 |
ワンセグ | ワンセグ |
SDカード 音楽再生 | SDカード 音楽・動画再生 |
VICSなし | VICSなし |
ジャイロセンサーなし | ジャイロセンサーあり |
地図更新は不可 | 地図更新は有料 |
オービス&取締データ 7.3万件 | なし |
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方 |
これら2モデルの主な違いは以下の通りです。(解像度はいずれも38万画素)
①記憶メディアがユピテルは8GB/SD、パナソニックは16GB/SSD
②方向転換を検知するジャイロセンサーはユピテルは非対応、パナソニックは対応
③地図更新についてはユピテルが非対応、パナソニックは有料対応
④オービス・取締データはユピテルが対応、パナソニックは非対応
⑤1DIN用の取付キットはユピテルが非対応、パナソニックは対応
従って価格で選ぶならユピテル、カーナビの機能や案内精度で選ぶならパナソニックとなりますね。
なお、ユピテルの7型モデルについては機能的に2019年モデルとほぼ変わらない2017年モデルにて実機テストを行っています。

ハイエンドグレード
7インチのハイエンドグレードは以下の2モデルとなります。
ユピテル YPF7550ML | パナソニック CN-G1300VD |
---|---|
19.04発売 | 19.06発売 |
7型 | 7型 |
8GB/SD | 16GB/SSD |
住所 3,600万件 | 住所 3,870万件 |
TEL 630万件 | TEL 1,930万件 |
周辺 490万件 | 周辺 330万件 |
観光 8万件 | 観光 3.5万件 |
フルセグ | ワンセグ |
SDカード 音楽再生 | SDカード 音楽・動画再生 |
VICSなし | VICSなし |
ジャイロセンサーなし | ジャイロセンサーあり |
地図更新は不可 | 地図更新は2022年7月まで無料 |
オービス&取締データ 7.3万件 | なし |
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方 |
ユピテル「 YPF7550ML」の特徴
ユピテルの「YPF7550ML」の特徴は以下の6点となり、同社とパナソニックのポータブルナビで以下の機能を搭載しているモデルはありません。
①フルセグ地デジが視聴可能
②静電式タッチパネルでフリックだけでなくピンチ系(拡大縮小)の操作が可能
③レーダー探知機ユニットとの接続で、GPSだけでなくレーダー波の探知が可能
④OBDⅡコネクタとの接続で車両情報の表示が可能
⑤ユピテルの各種安全運転支援ユニットとの連動が可能
一方で下位モデルと変わらず、カーナビ機能のうち以下のものには非対応です。
①方向転換を検知するジャイロセンサー
②地図更新
③バックカメラ
④1DIN取付キット
この系統は2017年モデルでテストを行っていますが案内精度は下位モデルと変わりませんので、一番のポイントはスマホライクにピンチ系の操作(拡大縮小)の操作がストレスなく出来る点かと思います。
操作系が重視であれば「YPF7550ML」がおすすめですね。
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以下は2017年モデルの同系統モデルのレビュー記事です。

パナソニック「CN-G1300VD」の特徴
ユピテルの最上位モデルはカーナビとしての基本機能よりも付加価値や操作性を重視していますが、パナソニックの「CN-G1300VD」はよりカーナビとしての基本機能を重視した特徴を持っています。(最近はゴリラの方が売れているのは、ユピテルの特性がスマホアプリで代替が効き易いからでしょう)
①地図更新が発売から3年間無料
②VICS WIDEのプローブ情報を活用した渋滞回避オートリルートに対応
③バックカメラに対応
④1DIN用の取付キットに対応
カーナビ機能の面ではインダッシュナビのスタンダードグレードとほぼ同等ですが、価格的にもインダッシュのエントリークラスを超える場合があります。
インダッシュナビはパネルの形状で付けられないと言う場合には、カーナビ機能で選ぶなら「CN-G1300VD」一択で良いのではないかと思います。
なお、同グレードの2017年モデルに関しては以下記事にて過去にレビューを行っています。

まとめ
以上、ポータブルナビの2019年おすすめモデルについてご紹介しました。
まとめると、初期コストを抑えるならユピテルのエントリー、操作性ならユピテルのハイエンド、カーナビの基本機能を重視するならパナソニックのハイエンドを選ぶべきとなりますね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
はじめまして、ほんとうに参考になる情報を事細かくいつもありがとうございます。
該当URLの文面の説明でCN-G1200VDに対して『OBDⅡ対応』とありましたが、この機種から非対応のようです。オプションOBDⅡBluetoothアダプターも廃版になっているようです。
1100では対応だったので使用してトンネル内など少しでも精度を上げたい目的として使用て便利と感じていましたが、このモデルの機能一覧では対応表からはずされています。
これが本当なら非常に残念としか言えません。
私が思うパナソニックポータブルのメリットは他にはないバックカメラ連動接続や、Bluetoothオプションにより車速が拾えたり、ジャイロ装備など安価ポータブルにはない使いやすさが魅力だったのが少しづつ他車と似てくると価格が安いほうに移りがちになってしまいます。
メーカー確認していないので確かな事は言えませんが表記やオプションを探すと販売終了になっている店舗が多い事から参考にしている方々が戸惑うかもしれないと思いました。
間違っていたらご容赦ください。
たかはし様
ご指摘ありがとうございます。
確かに以前はあったOBD2に関する表記がなくなっていますね。
説明書の方にも1200VDからOBDの表記が消えていましたので、記述を修正しました。
今後とも何かありましたらお知らせ頂けると幸いです。
カーナビ・ポータブルナビ業界はかなりの縮小市場になりつつありますし、パナソニックも法人相手のOEMにはかなり注力しているようなので、あまり儲からない事はやらないようになるのかも知れませんね…。
おそらく、今後はandroid OSを搭載した中華ナビやポータブルナビがこれに代わる様な感じになるのかと(笑)