※2025年7月7日更新:MDR-A002Aとの比較結果、総評を追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
ここ6~7年の間に中華製から始まったスマートミラーですが、徐々に国内メーカーにも波及し、これまでにコムテック・セルスター・ケンウッド・パイオニアなどの大手メーカーが自社製品を展開していますが、2025年4月にセルスターから2021年の「CS-1000SM」の後継機として3年振りの新製品「CS-2000SM」が発売されるようです。
前作の「CS-1000SM」では、他社製品と比べてディスプレイの輝度が低く、にじみが強く、夜間の後続車のヘッドライトの防眩能力も低かった為、LaBoon!!では全くおすすめしていませんでしたが、あれから3年以上経過していますので流石にこれらの問題点は改善されているようです。
本製品のレビューは5~6月を予定していますが、取り急ぎ「CS-2000SM」の特徴を見ておきます。
「CS-2000SM」のスペックと特徴
「CS-2000SM」のスペックは以下の表の通りです。
CS-2000SM |
---|
10.2型液晶 |
25.04発売 |
フロント:1920×1080/29fps リア:1920×1080/29fps |
全国LED信号対応 |
録画視野角 フロント:水平114° リア:水平114° |
microSD付属64GB/最大128GB |
GPS外付け付属 |
フォーマット不要 |
駐車監視モード/自動起動 |
常時録画のみ 常時録画+衝撃検知 動体検知+衝撃検知 |
専用ケーブル GDO-41 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
仕様だけを見ると前後カメラとも水平114°の視野角とスタンダードなものとなっていますが、いくつか先代の「CS-1000SM」からの改善ポイントがあるようです。
ディスプレイの明るさが向上
まず一つ目の改善ポイントですが、ディスプレイの輝度が1200カンデラに向上しています。
※「CS-1000SM」ではディスプレイの輝度は公表されていませんでしたが、1200カンデラは明るさ充分のMAXWINの「MDR-A002」と同等です。
以下の画像では「CS-1000SM」と「MDR-A002」の明るさの差が顕著に出ていますが、これが「MDR-A002」と同等になる筈です。
イメージセンサーがOmnivision製に変更
これは単純に改善とは言えないポイントですが、イメージセンサーが前作のSONYのSTARVIS対応の「IMX307」から、Omnivision製に変更となりました。
なお、他社の「IMX307」搭載のスマートミラーでは高画質な製品が多かった為、前作「CS-1000SM」ではでチューニング精度が低かっただけだろうと予測しています。
「CS-2000SM」では、Omnivision製のPureCel® Plus-S対応センサーに変更となっていますが、このセンサーはコムテックの「ZDR048」にも採用されていますので、韓国系の開発メーカー経由でOmnivision製が推奨されているのかも知れません。
※コムテック・セルスター・ユピテルなどは、韓国系の生産背景に関わりを持っています。
いずれにしても、プロモーション動画を見る限り、前作で問題となっていた後続車のヘッドライトの防眩能力は大幅に向上していると考えらえます。
高速道路での死角検知機能
前作と同様に「CS-2000SM」では時速80km以上で動作する死角検知機能が搭載されています。
これは前作「CS-1000SM」でも搭載されていた機能ですが、全く動作しませんでしたので、本作には正常な動作を期待します。
※正常に動作するなら、非常に有用な機能であると考えられる。
付属品とデザインについて
今回は「CS-2000SM」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・フロントカメラ
・車内専用リアカメラ
・フロントカメラ接続ケーブル(0.8m)
・リアカメラ接続ケーブル(9m)
・DCプラグ シガー電源ケーブル
・GPSアンテナ
・32GBのmicroSD
・取扱説明書
ミラー型筐体
ミラー型筐体のデザインは一般的な10型の中華メーカーのものとさほど変わりませんが…
純正ミラーへの固定はゴムバンドではなく、フックで挟み込むタイプとなっています。(昔パパゴで見られたタイプ)
背面上部はNEOTOKYO式のコネクタを隠す構造です。
最近はパイオニアもコムテックもこの方式を採用してますね。
本体下部には3ボタンと、microSDスロット、本機はタッチパネル操作に対応していませんので、これらのボタンで各種操作を行います。
とある筋から聞いた話では、日本メーカーのスマートミラーでタッチパネル操作に対応させていない製品は、タッチパネル操作に対応させる事で発生し易くなる熱による動作の不安定化、製品寿命の悪化を考慮しているそうな。
利便性を取るか、製品寿命と動作の信頼度を取るか?と言ったところですね。
上部にはDC電源端子、フロントカメラ入力端子、リアカメラ入力端子、GPSが配置されています。
配線がゴチャゴチャするので、GPSは外付けではなく内蔵タイプが理想ですね。
フロントカメラ・リアカメラ
フロントカメラ・リアカメラはこのようなガラス貼付け専用タイプです。
フロントカメラは前後左右に角度調整が可能なボールジョイントタイプで、長短2種類のステーが付属します。
映像の向きはスイッチ操作で上下・左右の反転の切り替えが可能です。
リアカメラのマウントは前後にのみ角度調整が可能なタイプです。
同様に映像の向きはスイッチ操作で上下・左右の反転の切り替えが可能です。
フロントカメラ接続ケーブルは0.8m、リアカメラ接続ケーブルは9mで、いずれも両側が4極プラグです。
フロントカメラケーブルは両側はL字タイプ
リアカメラケーブルは、筐体側かL字、カメラ側がストレートです。
GPSアンテナ
GPSアンテナはまずまずコンパクトですが、内蔵の方がスマートです。
電源ケーブル
電源ケーブルはこちらのDCコネクタタイプのシガーケーブルが付属します。
取付けについて
10系アクアに「CS-2000SM」の取付を行いました。(画質の比較の為に「ZDR048」の下に吊り下げ)
「ZDR048」はメーカーの仕様表記では10.66型液晶となっていますが、実際はこれはベゼルを含んだサイズで、液晶部のサイズの実測値は9.25型程度です。
一方で「CS-2000SM」は液晶部のサイズの実測値が10.2型ですので、「ZDR048」よりも外寸・液晶サイズとも大きく、見易いと感じました。
※筐体外寸は275(W)×24.5(D)×78.8(H)mmですので、軽自動車などでサンバイザーに干渉しないかチェックしましょう。
リアカメラ中継ケーブルが9mと充分な長さですので、ミニバンなどでも配線を下から這わせる事が出来るでしょう。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。

インターフェイスについて
「CS-2000SM」の電源ONからの起動時間は21秒程度と、一般的なスマートミラーとしてはかなり遅めです。
画面に表示されている情報は、カレンダーやアイコンなどとなっていますが、全て設定から消す事も出来ます。
「CS-2000SM」と「ZDR048」のいずれもタッチパネル操作には非対応で、中華系のモデルが8年ほど前のデビュー当時から静電式タッチパネルを採用している事を考えると、両モデルとも操作性に難アリと言えます。
利便性を取るか、製品寿命と動作の信頼度を取るか?と言ったところですね。
バックカメラ機能について
一般的な中華スマートミラーは、バック信号線を取る事でバックギアに連動して映像を下方向に自動で切り替え、ガイド線を出すことが出来ますが、本製品にはこの機能はありません。(大手日本メーカーの製品はバックカメラ機能はない事が多い)
ただし、本製品ではバックカメラ用の映像の角度や映像範囲を登録し、これを手動で一時的に表示させる事が可能です。(普通は使わない機能かと)
スマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとしての画質は、以下の項目について10系アクアにてコムテックの「ZDR048」と比較しました。(後日、30系アルファードで「MDR-A002A」と比較の予定)
- 視野角と後続車両との距離感
- 映像の滑らかさ
- 画面の明るさ、反射のしにくさ
- 昼間の逆光補正
- 夜間のヘッドライトの防眩効果
- 暗い場所での明るさ
視野角と後続車両との距離感
「CS-2000SM」「ZDR048」とも視野角を調整できるモデルですが、調整前の視野角は
- 「ZDR048」が水平138°
- 「CS-2000SM」が水平114°
です。
これをそれぞれのモデルの最大倍率まで拡大した際には
- 「ZDR048」が水平92°(1.5倍)
- 「CS-2000SM」が水平45°(2.5倍程度)…説明書の記載が見当たらず実測
となります。
ディスプレイサイズが大きい為、取り付けた車種にもよりますが、最大倍率で「CS-2000SM」は概ね平面鏡と同程度の距離感となります。
今回のテストでは夜間の防眩テストの光源の大きさを合わせる為、「ZDR048」の後続車のサイズと「CS-2000SM」の後続車のサイズが同程度になるように視野角を合わせました。
映像の滑らかさ
映像の滑らかさについては、一般的な29fpsモデルと言う事で可もなく、不可もなくと言ったところです。
画面の明るさ、反射のしにくさ
画面の明るさについては、おそらく「ZDR048」と同等なのかと思われますが、「CS-2000SM」の方はカメラのシチュエーションによって露出の変動幅が大きいようで、「ZDR048」よりも明るく見えたり暗く見えたりする事があります。
全体的には反射具合は「ZDR048」との差はなく、スマートミラー全体の中では明るい製品である事には間違いないでしょう。
昼間の逆光補正
昼間の逆光補正については、トンネル内で「CS-2000SM」の方がやや白飛びの範囲が広がるタイミングがありますが、実用上の問題はないレベルかと思います。
夜間のヘッドライトの防眩効果
今回はGoProのHDR機能をオンにした状態で夜間の映像を撮影したのですが、全く肉眼での見た目とは違った映像が撮れてしまいました。
スマートミラーの比較動画を撮影する際に毎回最も苦労するのがこの部分なのですが、「ZDR048」の映像がかなり白飛びして映ってしまっています。
実際にはこちらのドラレコ映像のような見え方です。
なぜこのように肉眼と大きく違った見た目になってしまうのかと言うと、「CS-2000SM」の方がモニター全体がほんの少しだけ「ZDR048」よりも夜間の明るさを絞っており、GoPro側が絞られた「CS-2000SM」に合わせて露出を上げてしまうからです。
※他のHDR対応カメラを使っても同じような結果になります。
なお、これは液晶ディスプレイの明るさのチューニングも絡んでくるので、ドラレコの影像を見比べても分からない事ですが、「ZDR048」よりも「CS-2000SM」の方が光源が広がり、白飛びする範囲が若干広いですが、明るさの絶対値は「CS-2000SM」の方が抑えられており、モニター内での明暗差が少ないと言う特徴があります。
スマホのカメラで撮影した画像ですが、街灯を見て頂けると街灯の光の広がり方と中心部の明るさの差が分かると思います。
「ZDR048」もスマートミラーとしての見え方は悪くないですが、夜間の光源の明るさの絶対値を絞っている「CS-2000SM」の方が、特に年配者には目に優しい見え方と言えます。
夜間の市街地での明るさ
夜間の市街地での明るさは「ZDR048」と同程度で申し分のないレベルです。
GoProのHDR補正が思ったよりも低く「ZDR048」が派手に白飛びしてますが、「ZDR048」に露出が合ってる状態ではこんな感じの見え方です。
暗い場所での明るさ
「CS-2000SM」は夜間はモニターも明るさは絞られていますが、カメラの暗視能力は高めとなっており、「ZDR048」よりも高感度ノイズを抑えた上で同等程度の明るさを確保しています。
以下もスマホのカメラで撮影した画像です。
※スマートミラーの画質については、後日「MDR-A002A」とも比較します。
ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてコムテック「ZDR048」と前後カメラを比較しました。
- 録画視野角
- 逆光補正能力
- ナンバー読み取り精度
- 夜間の明るさ
録画視野角について
「CS-2000SM」の録画視野角は前後カメラともドラレコとしては一般的な水平114°程度でした。
ドラレコとしての実用性を考慮すると、水平138°の「ZDR048」の方がアドバンテージがあります。
逆光補正能力について
逆光補正能力については、強いHDR補正の効果で非常に高めとなっており、白飛び・黒潰れを高い精度で抑えられています。
※「ZDR048」とかなり似た画質の特徴となっています。(同じ開発会社使ったの?と言うくらい似ています)
【前】
【後】
ナンバー読み取り精度について
「CS-2000SM」前後カメラとも標準的な解像度であるフルハイビジョン、録画視野角も標準的な水平114°ですので、ナンバー認識精度はフルハイビジョンドラレコとしては標準的であり、録画視野角が広い「ZDR048」よりもナンバー認識が得意です。
【前】
【後】
夜間のヘッドライトが反射したナンバー認識精度についても、「ZDR048」とほとんど同じ見え方で、一般的なドラレコと比べると高めです。
夜間の明るさについて
ネオンや街灯が多い市街地ではフロントカメラ・リアカメラとも、現行のドラレコとしては明るい部類に入ります。
街灯が少ない暗い場所でも同様ですが、リアカメラについては照度が一定値以下になると、「ZDR048」よりも若干明るいと感じました。
【前】
【後】
「MDR-A002A」との比較結果
GoProでの撮影に無理があった為、「MDR-A002A」との夜間映像の比較時にはパナソニックのHDR対応のデジタルビデオカメラを使用しました。
それでも白飛びは抑えられませんが、GoProでは随分マシです。
「ZDR048」との比較では、まずまずこれを上回る評価項目が多かった「CS-2000SM」ですが、「MDR-A002A」と比較すると、以下の点で「MDR-A002A」の方が「CS-2000SM」を上回っています。
- ヘッドライトの防眩能力
- 高感度ノイズの少なさ
- ディスプレイの眩しさの低減
一方で明るさそのものは同等でしたが、「MDR-A002A」が60fpsモデルである事を考えると、ハードウェア仕様や技術的な面ではまだまだ「MDR-A002A」を超えられている製品はないと言う印象です。
動画ファイルの再生方法について
「CS-2000SM」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワーでのテストを行いました。
PC専用ビュワーでの再生について
専用のPCビュワーはこちらからダウンロードします。
機能的には以下のようにドラレコのビュワーとしては充実しています。
・映像の拡大~〇
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整(~4倍速)~〇
・明るさの調整~×
ミラー液晶での再生について
ミラー液晶での再生については、前後カメラ映像の同時再生は出来ませんが、一般的なドラレコに比べると大画面ですので、非常に見易くなっています。
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」、汎用ソフトのVLCでの再生も可能でした。
フレームレートとLED信号の映り方について
「CS-2000SM」のフロント・リアカメラのフレームレートは29fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。

駐車監の仕様について
「CS-2000SM」の駐車監視については内容が濃いので後日別途専用ベージを作り、こちらで解説します。
■「CS-2000SM」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
安全運転支援機能について
「CS-2000SM」の安全運転支援機能は、以下の5種類となっており概ね他機種と同等ですが、「死角検知機能」という時速80~100キロで動作する高速道路用の実用的な機能実装されています。
それぞれの評価は以下の通りです。
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。

「CS-2000SM」の総評
最後に「CS-2000SM」の総評です。
この機種を検討されている方は3年保証の日本メーカー製品にこだわっている方が多いと思われますので、直接のライバルはやはりコムテックの「ZDR048」になろうかと思います。
駐車監視などの利便性の面では「CS-2000SM」は12時間まで、「ZDR048」は無制限となっていますが、デジタルミラー画質のみで比較した場合、夜間のディスプレイが「ZDR048」よりも目に優しいと言う観点から、特に年配の方には「CS-2000SM」がおすすめになります。
そもそもセルスター製品を検討している方は年配者が多いと思われますので、「CS-2000SM」を検討されている方は買いで良いと思います。
個人的には死角検知機能もまずまず実用的と感じています。
コメント
セイワからRAY26 60fpsのデジタルインナーミラーが出ましたね!
ものがよかったらMDR-002Aから乗り換えようか考えてます。
センサーがOmnivisonなのでMDR-A002よりハードウェア仕様的には劣りますね。(SONY製は高いので最近はOmnivisonセンサーを使っている製品が増えています)
因みにMDR-A002は画質面ではまだまだかなり高いレベルですよ。
RAY26の夜間映像見ましたが、暗い気がします。
セイワ製品は保証期間が明記されておらず、1年のような気もしますし…。
早速のお返事ありがとうございます。
流石としか言いようがないですね。
一瞬で気の迷いが止まりました笑
僕はここのブログが大好きですのでMDR002を超える商品が出てないか日々気になっております!
それを超える商品レビューがあればすぐに乗り換えます!
ありがとうございました。
因みに最近聞いた話ですが、MDR-A002はそろそろ廃番になるそうです。
おそらく、原価が高過ぎるのが最大の理由ではないかと思います。
以下MAXWINの社長に私が伝えた内容の原文です。
「MDR-A002の廃番の件、承知致しました。
私の製品に対する評価ですが、MDR-A002は現状でもこれを超える画質の製品が無いと考えております。」
これ以上コストを掛けられないようなので、画質面での進化は難しいのではないかと感じています。