※2018年4月8日更新~2018年の状況に合わせて記述を見直しました。
「ZDR-012」は2016年6月に発売されたコムテックのエントリークラスのモデルですが、同年末以降はAmazonで1万円以下で販売されるようになり、一時的には業界全体での在庫不足の際に価格の上昇傾向がみられたものの、現状では再び1万円以下の価格に戻り、2018年4月時点でもエントリークラスでは圧倒的な人気となっています。
「ZDR-012」の人気の要因は①コムテックのブランド力の強化、②有名ブランドでありながらの価格の安さ、③エントリークラスとしては充分な録画視野角の広さあ(水平109°)の3つのポイントとなります。
このモデルの競合としては、ユピテルの「WD300」(「ZDR-012」とほぼ同価格で水平95°)、ユピテルの「DRY-ST3000P」(水平108°で価格は1.1万円程度、GPS内蔵)の2つのモデルが有力です。
実際に「ZDR-012」の価格が上昇していた時期はこの2モデルの人気が上がっており、「ZDR-012」の価格が元に戻った途端、「ZDR-012」に抜かれています。
「ZDR-012」のスペック
「ZDR-012」のスペックは以下の通りとなっています。
コムテック |
---|
ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
ZDR-012 |
16.06発売 |
参考価格 18.04.08 |
9,980円 |
Amazon 楽天市場 Yahoo! |
Amazonを頻繁に使うなら、是非とも作っておくべきカード |
1920×1080 |
全国LED信号 |
29fps |
録画視野角 水平109° |
HDR/WDR |
付属8GB |
最大32GB |
64GB~128GBのmicroSDカードを使用する裏技 |
GPSなし |
駐車監視モード |
常時録画+衝撃センサー |
自動 |
専用ケーブル HDROP-05 バッテリーあがり 防止機能あり |
モバイルバッテリーから給電・充電出来るドライブレコーダー |
※スペックは誤りがある可能性もありますので、念の為メーカーサイトでもご確認下さい。 |
この価格帯のモデルでは、「ZDR-012」を含めて各社ともにGPSは非搭載ですが、「ZDR-012」の最大の特徴は109°(レンズ)というこの価格帯で最大レベルの水平視野角の広さかと思います。
中国メーカーの製品であればAUKEY「DR02」などが 価格帯・スペックともに「ZDR-012」とほぼ同等という事になります。
■ AUKEYドライブレコーダー「DR02/DR02D」の修正モデル発売
また、専用の常時ケーブルを使用しての長時間の駐車監視にも対応しています。(駐車監視モードは存在しませんが)
デザインやサイズは標準、マウントは大き目
ドライブレコーダーはここ1~2年で他社がコンパクトな方向に流れているいますが、「ZDR-012」ははっきり言ってゴツイです。
特にマウント部分が大きく、角度の調整には付属の六角レンチを必要としますのでデザインに関してはスマートではありません。
コンセプトとしては「ZDR-012」はエントリークラスのモデルなので、無理に付加価値を追求せずに、限られたコストの中でドライブレコーダーの基本性能の面に重きを置いている印象を受けました。
その基本性能とは、視野角・精細感・逆光補正や夜間の明るさなどです。
水平視野角はレンズ109°だが、録画視野角も同等
レンズ視野角が〇°とスペック表に表示されている場合、メーカーによっては表記よりも数パーセント、ひどい場合には数十パーセントも実際の録画される視野角が狭い場合があります。
この視野角の表記の仕方に規制がある訳ではないので、虚偽の表記とは言いませんが録画視野角を表記して貰わないとユーザーは正しくその製品の価値を認識出来ません。
「視野角170°の超広角」などど記載されていても、実際には「130°しかない」なんて事はザラにあります。
ケンウッド・ユピテルなどの日本のメーカーはレンズと録画の両方の視野角を併記しているので分かり易いですが、そうではないメーカーもまだまだあります。
まあ、普通のユーザーは購入後に他のドライブレコーダーと見比べて視野角を比較したりなどはしませんので、クレームなどには繋がらないのだと思いますが、視野角の広さはドライブレコーダーを選ぶ上での最重要ポイントですので、そういう事もあると認識しておきましょう。
なお、コムテックの「ZDR-012」は撮影動画をケンウッドの「DRV-320」と比較した結果、ほぼ109°の録画水平視野角を確保できていると確認出来ました。
9°の差ですが、左右の録画範囲がかなり違いますね。
なかなか良いんじゃないでしょうか?
文字認識精度も標準レベルを確保
広角モデルは全体的に映像が小さく映りますので、ナンバーの認識は苦手になりますが、「ZDR-012」については水平100°のケンウッドの「DRV-320」と同等の認識精度ですので、この点に関してもなかなかバランスが取れていて良いと思います。
※文字認識精度に関しては「DRV-320」をベンチマーク基準として比較した結果、ユピテル「DRY-ST3000c/p」や、SONYのExmor IMX323 イメージセンサーを搭載しているAUKEY「DR02」の方が高いと思われます。
逆光補正はHDRとWDRの選択式
逆光補正についてはメニューで「HDR」、「WDR」のいずれかを選ぶことが出来ます。
本来であれば「HDR」は「ソフトウェアによる合成手法」を指す言葉、「WDR」は「ハードウェアの性能が高いので逆光などに強い」という状態を指す言葉であるとされていますが、「ZDR-012」の場合は「補正なし」という設定もあるので、両方ともソフトウェアで何らかの処理をしているようです。
この辺りもメーカーによって言葉の使い方が様々です。
また、「HDR」の処理自体もメーカーやモデルによって見え方が全く違いますので、スペック表記は参考程度に捉えて実際の動画を見てみるのが一番です。
なお、「ZDR-012」の「HDR」処理は確かに白飛びには標準以上の効果を発揮していますが、全体的に暗く映り、黒潰れし易くなります。
白飛びも黒潰れもしにくくなるのが「HDR」の筈なので、露出も同時にいじってるのでは?という気がしなくもありません。
昼間なのにやたらと暗く映るんですよね。
※記事の最後に昼・夜のHDR/WDRの撮影動画を掲載します。
「WDR」の方はどちらかというと補正なしの見え方に近く、それでも白飛びのレベルは「DRV-320」と同程度ですので、「ZDR-012」では「HDR」ではなく「WDR」を標準で使用した方が良さそうです。
「WDR」の方が全体的に明るく綺麗に映ります。
コムテックのドライブレコーダーは「HDR」・「WDR」の選択式なのですが、今までテストしてきた4モデル共に、どちらかが何らかの理由で微妙なモードになっています。
エントリーモデルなので「景色を綺麗に撮影したい」などの目的で購入する人は少ないと思いますが、そういう目的ならもう少し上のグレードのものを選んだ方が良いです。
景色や色目はどちらのモードでもあまり綺麗ではないですね。
夜間はWDRがかなり明るめ
夜間の明るさについてはHDRはかなり暗め、WDRの方は他のドライブレコーダーと比較しても明るめの部類に入ります。
やはり設定はWDRのままで固定する方がよさそうですね。
駐車監視の基本は常時+イベント録画
コムテックのドライブレコーダーの駐車録画の仕様は、年式やモデルによって仕組みや使い勝手が全く違います。
「ZDR-012」には駐車監視モードは存在しませんが、専用のタイマー付きの常時電源ケーブル「HDROP-05」と合わせて使用する事で、タイマー設定・電圧管理による駐車中の録画は可能です。
駐車監視の仕様がなかなか分かりにくい部分があるのですが、「ZDR-012」には駐車監視モードがないので、衝撃の検知は「HDROP-05」が行います。
「HDROP-05」の設定次第ではエンジンオフ後の2分間のキャンセルタイマーを経て次の録画方法のうち、いずれかを選択します。
- タイマーで設定した時間だけ「ZDR-012」に給電し、走行状態と同じ常時録画+衝撃検知録画(感度は走行時と同じ)を行う
- 「ZDR-012」の電源は落ちた状態で、「HDROP-05」が衝撃検知待機を行い、衝撃検知で「ZDR-012」に1分間の給電を行う(衝撃が加わってから1~2秒で録画が開始される為、前後の状況は映らない)
なお、駐車監視モード自体が存在しない為、衝撃感度を調整しなければドアの開閉程度では衝撃録画は行われません。(0.1G~1.0Gの間で調整)
また、走行中の録画モードで駐車監視を行っている為、車に戻ってエンジンを掛けた際のイベント告知もありません。
駐車監視の際に衝撃感度を走行時のまま変更しないのであれば、32GBのmicroSDカードを使用した最高画質では400分のデータの保存が可能です。
常時録画/衝撃録画の保存領域は、それぞれ70~90%/30%~10%の範囲で変更が可能ですので、実質的なそれぞれの録画時間は以下の通りとなります。
- 常時録画280分+衝撃録画120分
- 常時録画320分+衝撃録画80分
- 常時録画360分+衝撃録画40分
コムテックの他のモデルでは駐車監視の仕様が異なるので、コムテックの他のモデルと比較したい方は以下の記事を参照して下さい。
■ 分かりにくいコムテックドライブレコーダーの駐車監視の仕様について解説!!
他社のモデルとの駐車録画の方式の違いについては以下の記事を参照して下さい。
大容量のmicroSDカードの使用状況について
「ZDR-012」はmicroSDカードの最大使用容量が32GBまでとなっていますが、本体のメニューからのフォーマットで以下のmicroSDカードで1時間以上の録画・再生を行ったところ、問題は確認できませんでした。(仕様上では対応外ですので、自己責任でお願いします)
コムテック | ZDR-012 標準32GBまで | |||
---|---|---|---|---|
64GB | Team 64GB | TOSHIBA 64GB | Transcend 64GB | SanDisk 64GB |
使用フォーマッター | ドラレコ○の報告アリ | ドラレコ○ | 未確認 | ドラレコ○の報告アリ |
128GB | Team 128GB | TOSHIBA 128GB | Transcend 128GB | SanDisk 128GB |
使用フォーマッター | ドラレコ○ | ドラレコ○ | ドラレコ○ | ドラレコ○ |
200GB | - | - | - | SanDisk 200GB |
使用フォーマッター | - | - | - | ドラレコ○ |
〇の物は1時間以上の正常な動作・再生を確認 |
コムテックのドライブレコーダーはモバイルバッテリーでは駆動不可だが?
「ZDR-012」を含めてコムテックのドライブレコーダーはほどんどのモデルが12V入力です。
従って5V出力であるモバイルバッテリーでの駆動は不可能ですが、5Vから12Vへの電圧変換ケーブルを使用する事でモバイルバッテリーでの駆動が可能になります。
特に「ZDR-012」は最初から駐車監視モードが存在していないので、コムテックの中では唯一モバイルバッテリーでの駆動に向いた仕様と言えるかもしれません。
「ZDR-012」の総評
私はコムテックさんからサンプルの供与も貸し出しもして頂いた事はありませんが、コムテックのドライブレコーダーはどれも企画がかなり良いと感じます。
ターゲットになるユーザーを細かく分析して、エントリーモデルとしての必要最小限の機能+かなり広めの視野角、そしてこの価格の安さ、と3拍子揃っていますね。
性能や多機能性という点ではこの価格帯でもっと良いものもあります。
ただし、ドライブレコーダー初心者の大部分が欲しいと感じるであろう「基本性能」を上手にまとめてあり、価格も絶妙なので、悔しいですが「ZDR-012」はかなりおすすめですね。あと2千円高かったらおすすめしないかもですが(笑)
コメント
日産ラシーンに装着可能でしょうか。よろしくお願いいたします。
東和範様
ご質問ありがとうございます。
ドライブレコーダーは12V車のシガーソケット搭載車であれば原則としては駆動は可能なように作られていますが、個別の車種についてはこちらで検証・確認は出来ませんので、「おそらく問題ないであろう」というとしかお答えできません。
なお、フロントガラスの角度(どちらかと言うと垂直に近い)を気にされてのご質問であるなら、「ZDR-012」はマウントの可動範囲が広く垂直面への設置も可能ですので問題はないかと思います。