※2022年10月26日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
最近は360°や3カメラ以上のドライブレコーダーが普及していますが、視野角が広ければ広いほど広範囲の録画が可能である為、私は視野角が広いモデルを積極的におすすめしています。
小売店や大手のキュレーションメディアでは「水平110°以上がベスト」などと書かれていた時期がありますが、そうではなく原則としては広ければ広いほど良いものです。
色んな所で「110°以上がベスト」と言われていたのは、おそらく売る側の事情です。
バカ正直に基準を厳しくして「水平120°以上がベスト」にしてしまうと、自店で販売可能な機種が無くなってしまう事もありますので、無難に「110°」に設定しているものと考えられます。
また、視野角が広すぎてもピラーの部分が映り込んで無駄になる…という意見も目にしますが、そう言った場合にはドラレコの設置角度を少し上向きにする事でピラーの映り込みは回避できますし、視野の広さが無駄になるという事はありません。
2カメラドライブレコーダーでは水平130°クラスが主流になってきた
因みに私は上述のように小売店や大手のキュレーションメディアが根拠なく「水平110°以上がベスト」と訴えていた時期から、更に広角の製品をおすすめしてた経緯があり、2022年時点では一般的な箱型の2カメラドラレコでは、水平130°クラスの録画視野角の製品が各社の主力となっています。
なお、視野角が広くなる事のデメリットもあります。
それは視野角が広くなればなるほどナンバーの読み取り精度が落ちると言う点です。
ただし、それはメーカーごとの企画力や技術力の活かしどころなので、広角でもナンバーの認識精度が高いモデルもありますし、逆に狭角でもにじみが強いものもあります。
従って
・視野角は広ければ広いほど良い
と言えますね。
視野角表記の嘘
ドライブレコーダーブレコーダーを購入する際には、まずは視野角を確認すべきだと思うのですが、ここで注意して頂きたいのは、メーカーによって仕様表に記載されている視野角表記の基準が異なる場合があるという点です。
現状ではドライブレコーダーの視野角について、次の3通りの表記方法があります。
・実際に録画される視野角(水平・垂直・対角)
・レンズと録画視野角の両方
レンズ視野角と録画視野角がイコールであれば全く問題にはならないのですが、残念ながらそうではありません。
カメラは以下の図のようにレンズから入って来た映像をセンサーで取り込みますが、センサーで取り込むのはレンズから入って来た映像の一部分だけです。
ドライブレコーダーに求められるべき視野角は、レンズ視野角ではなく、間違いなく録画視野角である事は言うまでもありません。
ところがレンズ視野角が170°あっても、実際に録画された動画の水平視野角が110°しかない…というのはよくある話です。
では、何故このような紛らわしい視野角表記がまかり通っているのでしょうか?
グローバル基準ではレンズ視野角が一般的だったりする
前述の通り、ユーザーがドラレコの性能を把握する為に必要なのは、「レンズ視野角」ではなく「録画視野角」なのですが、グローバル基準ではレンズ視野角の対角表記みの表記が一般的です。
特に中国系のメーカーは工場段階でのスペック表記がレンズベースの為、工場が提示してくる表記をそのまま鵜呑みにしてスペックを転記しているだけのところが多いのが実情です。
録画視野角については検証すらされていないの製品が多いのですが、レンズ視野角からは録画視野角が全く予測できないと言う問題があります。
ドライブレコーダー協議会のガイドラインは存在してます
平成26年に公表されたドライブレコーダー協議会のスペック表記に関わるガイドラインでは、冒頭で以下の様な記述があります。
ドライブレコーダーの製造者ならびに販売者が本ガイドラインに準じた表記を行うことにより、消費者が製品を購入検討する際に、製品の有する性能・機能等を正確に把握し、購入の際の判断の一助にできることを目的とします。
要するにユーザー保護の目的でこのガイドラインを定めたという訳です。
…で、視野角に関する表記はどのように定められているのかというと
①画角の表記については、映像の歪み方がイメージしやすいように、「水平」「垂直」を記載。
「水平」「垂直」とあわせて、「対角」も列挙が望ましい。実際に記録された映像データの画角を記載。また、数値のレンズ画角/記録画角の種別を明記の事。
とあります。
レンズと録画視野角の両方を記載する事になっています。
まぁ、強制力はなんらありませんけれども…。
中国メーカー製品では録画視野角が表記されていない
ドライブレコーダーは上下方向に視野角が広くても、そらやダッシュボードが映るだけなので意味はなく、実際に重要になるのは水平方向の録画視野角です。
日本の中堅以上のメーカーでは、ドライブレコーダー協議会のガイドラインに従って水平録画視野角が記載されている一方で、中国メーカーの製品では相変わらずレンズ視野角を記載している製品が多いのが実情です。
そもそも、日本のドラレコ市場は海外と比べるとガラパゴス的な動きをしている部分があり、日本メーカーではスタンダードになっている水平録画視野角130°以上の製品は、中国メーカーの製品では360°タイプのドラレコ以外にはありません。
中国メーカーは録画視野角について、さほど重要とは考えていませんので、事故の際の状況証拠を優先する場合には、日本メーカーの製品がおすすめです。
※3カメラ以上なら中国メーカー製品もあり
録画視野角が広いおすすめドライブレコーダー
最近では360°タイプや、3カメラモデルなど、録画視野角が広いドライブレコーダーが増えていますが、LaBoon!!では以下の製品をおすすめしています。
コムテック「ZDR037」
事故の際の状況認識能力の面では、前方の視野角が広い360°タイプの方が有利になります。
コムテックの「ZDR037」は2021年2月に発売された同社の第三世代の360°+リアカメラドラレコで、他社製品と比べると以下の2点で頭一つ分抜け出ています。
・STARVISセンサーと露出調整による夜間の明るさと暗視能力
事故対策ではナンバー認識精度は重要ではありませんので深くは触れませんが、800万画素、4K相当の解像度を活かして従来型の360°ドラレコと比べるとナンバー認識精度が大きく向上しています。
夜間の撮影能力の面では3カメラのVANTRUE「N4」などと比べると、あと2世代ほどの進化を待たなければ追いつけないような印象を受けていますし、夜間の駐車監視ではほとんど役に立ちませんが…
それでも他社の360°ドラレコと比べると夜間の全体の撮影能力は高めとなっています。
従って夜間の駐車監視をしない人向けに最もおすすめの製品が「ZDR037」と言えるでしょう。
なお、リアカメラに関しては夜間は若干のにじみが出るものの、非常に明るく、2カメラドラレコのリアカメラとしては最高クラスの評価となっています。
セルスター「CS-361FHT」
セルスターの「CS-361FHT」は、一応360°ドラレコとしての括りで考えてはいますが、フロント筐体部分が通常の360°モデルのような天球タイプではなく、1つの筐体の前後に水平180°の広角カメラを配置する事で全方位の録画を行うモデルで、これにセパレートのリアカメラが追加された製品です。
フロントカメラの撮影範囲のイメージは、このような形になります。
「CS-361FHT」は未テストなので「CS-360FH」のテスト結果に基づいた話になりますが、一般的な360°ドライブレコーダーは、1つのカメラで明るい前方、暗い後方を撮影しなければならないので、露出の調整が難しく、HDR補正を掛けても薄暗い映像になりがちです。
一方で本機に関しては前方・後方とターゲットとする周囲の明るさが異なりますし、どちらも明るさ優先の調整が入っています。
昼間はやや白飛びが出易い傾向があるものの、夜間撮影能力では他社の製品よりも頭1つ~2つほど抜け出ており、価格帯を考えても本命と言える総合力となっています。
カーメイト ダクション360D「DC4000R」
カーメイトのダクション360Dは、筐体中央の360°カメラに前方を撮影するフロントカメラ、後方を撮影するリアカメラを追加した、360°+2カメラのハイエンドモデルです。
従来の360°ドラレコは、一般的な2カメラドラレコと比べると広範囲の録画が可能な為に事故の際の状況証拠を捉える目的では有利でしたが、ナンバーの認識能力が致命的に低い点が弱点でした。
本製品では筐体下部の400万画素カメラで360°の全方位の録画を行った上で、前後は200万画素のカメラでフルハイビジョン録画を行うという理想的な仕様となっています。
駐車監視モードにはやや癖がありますが、その他は万人向けの特性ですので駐車監視をしないユーザーはまずこの製品を検討すると良いでしょう。
ユピテル「Y-3000」
ユピテルの「Y-3000」は、スタンダードな箱型のフロント筐体+円筒型のリア筐体の前後にカメラの搭載する、珍しい1+2タイプの3カメラドラレコです。
従来型の3カメラドラレコは、3ピースのセパレート、またはフロントカメラ筐体の前後にカメラを搭載した2+1タイプが主流でした。
「Y-3000」ではリア筐体に2つのレンズを搭載する事で、運転の邪魔にならない位置にフロントカメラ筐体を取り付けられる上、取付の手間も通常の2カメラドラレコと変わらないというメリットも備えています。
録画視野角が前:水平138°、中:水平138°、後:水平128°と、特にインナーカメラの視野角を従来モデルよりも広げた事で、ドアパンチの撮影能力も高くなっている点が最大の特徴です。
3カメラドラレコ VANTRUE「N4」
前述の3機種が発売される前までは最強の高画質を誇っていたのが、VANTRUEの3カメラモデル「N4」です。
本製品はフロント筐体の前後とリア用の筐体に、それぞれ500万画素・200万画素・200万画素のSONYのSTARVIS対応のイメージセンサーを搭載し、2.5K/フルHD/フルHDの高解像度録画を行います。
フロントカメラは2.5Kの高解像度録画を行いますので、ナンバー認識精度が非常に高い上、動画の明るさを自在に調整できるPCのVANTRUEビュワーを使って再生する事で、従来のドラレコの明るさの限界値を余裕で振り切る明るさを実現しています。
従来の感覚からするとちょっとおかしいだろう?と感じるくらいの暗視能力で、前後と合わせて室内・左右の録画も可能ですので、現行のドラレコとしては走行時の事故、運転トラブル、駐車監視のあらゆるシチュエーションで最強クラスの証拠能力を誇ると言っても過言はありません。
ただし、ドラレコやガジェットの操作が苦手であったり、機械系が全般的に苦手という方にはユピテルやセルスターなどの日本メーカーの製品をおすすめします。
3カメラドラレコ VIOFO「A139」
VIOFOの「A139」は2021年に発売されたWiFi対応の液晶なし3カメラドライブレコーダーです。
3カメラともにSONYの夜間特化型STARVISセンサーを搭載し、フロントカメラは2.5Kの高解像度とVANTRUEの「N4」によく似た仕様となっています。
VANTRUEのPCビュワーの性能を考えると、ドラレコとしての実用性で「N4」を上回る事は難しいと考えていますが、VIOFOのドラレコには景色撮影能力が高い製品が多いので、美しく綺麗な映像を撮影した方向けの製品になりそうです。
VANTRUE「S2」
これまでに他社に先駆けて3カメラモデル「N4」を販売し続けて来たVANTRUEが、2022年8月に新たにラインナップに加えたのがWiFi対応の「S2」です。
「N4」と同じくフロント筐体に前後2カメラを搭載するものの、インナーカメラが筐体下部に設置されるなど、ルームミラーを回避し易い構造となっており、取付の際の汎用性では一定の改善が見られます。
画質面ではフロント、インナーカメラはほぼ「N4」と同等、リアカメラは明るさの面で「N4」に劣ります。
3カメラとしての括りの中での画質面での総合力は、僅差ではあるものの、「N4」>「A139」>「S2」と言った印象です。
GARMIN「47Z」
GARMINは言わずと知れたアメリカのGPSメーカーでガジェットメーカーとしては抜群の信頼性を誇ります。
同社の「47Z」は2019年6月に発売された、WiFiとBluetoothでネットワークを構築する2カメラドライブレコーダー「46Z」の2021年向けの後継機ですが、このネットワークリアカメラ相当の単品モデル「mini2」を2台まで追加する事で、最大で4台の構成が出来ます。
3台構成の場合には3台目を車内向きに、4台構成なら左右のクォーターガラスに外向きに取り付けるなど方法でユーザーの要望に合わせて撮影範囲を調整する事が可能です。
本機はSTARVISセンサーを採用している訳ではありませんが、ソフトウェアによるチューニング技術が優れており、昼間の白飛びを抑えながら夜間も比較的明るく撮影できるのが特徴です。
AKEEYO「AKY-Z3GT」
AKEEYOの「AKY-Z3GT」は現在市販されている個人向けのドラレコとしては珍しい最大4カメラ録画に対応した最新モデルです。
5.5型の大型液晶にセパレート型の4つのカメラを接続する事でフルハイビジョン×4カメラでの録画に対応していおり、それぞれのカメラの逆光補正能力やナンバー読み取り精度、夜間の明るさのいずれの面でも、ドラレコとしての必要な水準は余裕でクリアしています。
走行中の事故や煽り運転に遭った際の状況証拠を残すという目的においては現行機としては最強の性能と言えるでしょう。
サイドカメラを車外に取り付ける為、証拠能力では最高と言えますが、取り付け難易度が高いのが問題点です。
TCL「WHSR-1040」
TCL「WHSR-1040」も「AKY-Z3GT」と同様に4つのカメラで全方位録画を行うタイプのドラレコです。
「AKY-Z3GT」との最大の違いは、サイドカメラを車内に取り付ける点です。
また、液晶タッチパネル操作に加えて、WiFiにも対応していますので操作性や使い勝手に優れた特性となっています。
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