※2021年5月8日更新~レーザー式オービスの受信、誤報のテスト結果について追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
先日のコムテック「ZERO 709LV」に続いてユピテルからも2021年レーダー探知機」が続々と発表されています。
・「GS303」一体型一般店舗向け
・「A370」ネット通販向け
・「LS710」セパレート一般店舗向け
・「Z210L」セパレート指定店舗向け
・「LS30」追加用レーザー受信部
更新ポイントをざっくり見る限りでは、現段階では2021年レーダー探知機業界はコムテック優勢という印象です。
本命はセパレートタイプの「LS710」ですが、ざっくりと2021年モデルの更新ポイントについて見て行きましょう。
2021年モデルの更新ポイント
ユピテルレーダー探知機の2021年モデル全体としての更新ポイントは以下の1点だけと言って良いでしょう。(逆走警報や、インターフェイス面の更新は除く)
テキストとしては従来機から40%の性能UPと書かれていますが、こちらのイラストでは40%の探知距離UPと読み取れます。
残念ながら最新型のレーザー式小型オービス「LSM-310」に関する記述は見つけられませんので、探知不可、または未確認という事でしょう。
※2021年3月27日にユピテルから2019~2020年モデル「LS310」による「LSM-310」の受信動画がアップされました!
注意点としてコムテックと同様にこのような事が書かれています。
※2021年3月現在の確認内容です。
周波数帯の変更を伴う取締機の仕様変更により探知距離が短くなるか、
受信できない場合があります。
これで「LSM-310」に対しての条件はコムテックと並んだ事になります。
タイプ別の更新ポイント
その他、セパレートタイプの「LS710」「Z210」については、このような天吊り用のステーが追加される事となりました。
過去の旧モデル「LS700」のテストでは汎用のステーを使って天吊りしていた経緯があるので、これは嬉しい配慮です。
ただし、ユピテルのセパレートモデルはアンテナの高さが調整出来ないため、ダッシュボード上に設置する場合にワイパーなどの障害物を避ける為、私はこのような汎用ステーを使っています。
天吊りと合わせてこっちも何とかして欲しかった…というのが私の本音です。
レーザー探知ユニットだけの「LS20」については、外観や付属品などの変更はなく「LS10」と同様のデザインと構成で、レーザーの受信距離だけがアップしているようです。
従って性能面については同世代の「LS710」と同等とみなし、個別にテストはしません。
誤報対策は従来機と同様
コムテック「ZERO 709LV」では、4年前から指摘され続けていたKバンドの誤報対策が行われたとの事で(しかも感度を落とす訳でなないので探知距離を落とさない)、この点に注目が集まっていますが、「LS710」その他では従来通りのiキャンセルについての表記しかありません。
これは別の日に同じ場所で誤報を検知すると自動でキャンセルポイントとして登録するシステムですが、地元を走り回るなら有効な機能ではあるものの、初めて走るような土地勘のない場所では全く意味をなしません。
2021年モデルレーダー探知機の評価ポイント
コムテックの誤報カット機能がどれほどの精度であるのかが気になるところではありますが、「LSM-310」に対しては取り締まりに使われる波長がはっきりせず、同じメーカーの旧モデルでも探知できた、できないと真逆の報告があるので今年はグレーゾーンのままでしょう。
ただし、ユピテル・コムテックは自社製品で探知動画をアップしているので一歩リード。
セルスターが似たような動画をアップしない限り、ユピテル・コムテック一歩リードの評価は変えません。
一方でレーダー式小型オービス、センシスMSSSに使われるKバンドによる取締は、レーダー探知機側が自販機や車のセンサーと識別できないという点で私が最大の脅威と感じていたものです。
実は従来までのレーザー式は、交通ジャーナリストでオービス専門家の今井亮一氏によると「案山子」並みに使い物にならない可能性が高いそうです。(「LSM-310」より前の機種では探知機による受信が比較的容易でしたので)
「LSM-310」は今後どれだけの規模での導入が見込まれているかは分かりませんが、センシスMSSSについては昨年の段階で導入・追加される都道府県警があるとの報道がなされています。
このような背景から、おそらく2021年はグレーのまま終わるであろう「LSM-310」への探知状況(そもそも移動式なので検証が困難)よりも、Kバンドの探知距離と誤報対策の結果に重きを置いた評価をしようと考えています。
「LS710」のセット内容とデザイン
今回は最上位グレードに当たる、セパレートの「LS710」を購入してテストを行いました。
「LS710」のセット内容はこちらの通りです。
・アンテナユニット
・シガー電源ケーブル
・直結電源ケーブル
・ステー&両面テープ類
・取扱説明書
液晶筐体
液晶筐体部分は、先代の「LS700」と全く同じデザインでアンテナやGPS類を内蔵しない為、一体型と比べるとかなりの薄型です。(自分で貼った反射防止フィルムがかなり適当ですが)
アンテナ部分
アンテナ部分もデザインに変更はありません。レーザー・レーダー受信機・GPSアンテナが一体化したものなのでそこそこ大きめです。
天吊り用アンテナステー
今回からアンテナ天吊り用に専用ステーが付属する事になりました。
これが使える車には大変便利ですが、フロントガラスに日除けのドットやUVカットの為の色がついている場合には使えません。
ダッシュボード上にアンテナを設置するならやはりコレですね。
社外品の無線LANカードの使用
本来は無線LANカードは専用品を使用する事になっていますが、専用品は割高なので毎度の事ではありますが安価な東芝のFlashAirを使用しました。(最近はFlashAirも高いです)
今回は家に転がっていた旧世代の8GBのFlashAirを使っています。
使用手順はレーダー探知機に挿さっているカードのデータを丸ごとPCに保存、それをFlashAirにコピペします。
この方法で特に不具合は出ていません。
起動画面と音声のカスタマイズ
ユピテルのレーダー探知機は起動画面と警報音を任意の画像・音声にカスタマイズが可能です。
設定方法は以下記事にて解説しています。
車内への取り付け
初回は仮設置という事で、アクアに「LS700」他と合わせて取り付けました。
インターフェイスについて
インターフェイスや操作系については「LS700」から若干の見直しがあり、トップツリーからの分岐が3から6に増えた事で目的の項目に辿り着き易くなっています。
メニューの中身もこのように1画面で見れる項目が増え、2019年より前のインターフェイスに近くなった部分もあります。
センシス製固定式小型オービスでの警報の出方について
センシス製のKバンド24.1GHz帯を使用した小型オービスは可搬式と固定式の2種類が運用されていますが、狙ってテストが可能な固定式は埼玉県北本市と岐阜県大垣市の二箇所にしかありませんし今後も増える様子はありません。(従来のレーダー式オービス・ネズミ捕りのXバンドとは周波数が違います)
逆に可搬式は増加傾向だそうです。(以下朝日新聞の記事に出ている小型オービスはは価格帯から予測して、東京航空計器のレーザー式ではなくセンシス製のKバンドレーダー式だと、オービス評論家の今井さんが解説してます。)
今年度は未配備の山形、茨城、新潟、鳥取、山口、徳島、高知、鹿児島、沖縄の9県警に計10台を置く。すでに配備実績がある北海道や埼玉、千葉、岐阜、三重、大阪、兵庫、福岡、佐賀など18都道府県警にも計33台を追加する。費用は1台800万円ほどだ。
今回は先行して埼玉県北本市にあるセンシス製の小型オービスで先代の「LS700」との探知距離の比較を行いました。
テスト環境はこちらの通りです。
なお、当初は直近のテストで好結果が出たコムテックの「ZERO 709LV」も合わせての比較を行うつもりでしたが、この3機種では「709LV」に電磁波干渉の影響が強く出るらしく、全くKバンドを探知しなくなるというトラブルに見舞われました。
試しに「LS700」「LS710」の2台の電源を落として「ZERO 709LV」を単独で動かした場合には先日の平均探知距離であった300m手前付近で探知を行いましたので、おそらく「LS710」の電磁波の影響で探知しなくなったと判断しました。
従って今回は「ZERO 709LV」の探知距離は記録せず、途中から「709LV」の電源を落としています。
今回はトータルで9回の計測のうち「LS700」「LS710」のいずれも前半6回をL2以上を警報、後半3回をL1以上を警報としました。
結果はこちらの通りとなりました。
Kバンドの受信状況は先代の「LS700」と全く同じと言って良いでしょう。
なお、旧機種も含めた過去計測分のSSSの探知距離の平均値はこちらの通りです。
「LS710」「LS700」は最大感度の探知距離こそ高いものの、誤報が多い為にこのモードは実用的ではありません。
誤報の傾向は体感的には「LS710」「LS700」は同等ですので、今年はコムテックの製品をおすすめしない理由が今のところ見当たらない状況です。
レーザー式取締機の探知距離について
こちらは2021年4月のテスト実績です。
比較に使用した5機種
今回はこちらの5機種を使用してテストを行いました。
2021年発売の一体化モデル(コムテックのレーザー探知モデルとしては第三世代)
2020年発売の一体型モデル(コムテックのレーザー探知モデルとしては第二世代)
2021年発売、レーザー・レーダー・GPSアンテナがセパレート(ユピテルのレーザー探知モデルとしては第三世代)
2019年発売、レーザー・レーダー・GPSアンテナがセパレート(ユピテルのレーザー探知モデルとしては第二世代)
2020年5月発売の最新最上位モデル、レーザー・レーダー・GPSアンテナがセパレート(セルスターのレーザー探知モデルとしては第一世代、第二世代以降は未発売)
今回はこちらの4つのレーザー式固定オービスでのテストとなります。
・大阪府吹田市
・大阪府枚方市
・大阪府阪南市
車内のテスト環境
今回はアクアでテストを行いました。
機種配置はこちらの通りですが、各オービス4回の計測のうち、2回は「ZERO 709LV」と「ZERO 808LV」の位置を入れ替えています。
レーザーの探知は電磁波による影響は受けないと考えていますので、電磁波を遮るアルミ板などは今回は設置していません。
また、固定オービスのGPS警報がならないようにレーダー探知機の設定を変更しています。
レーザー探知距離結果報告
テスト結果はこちらの通りです。
枚方のレーザー式固定オービス
枚方のオービスは手前が1km程度の直線ですので、前方がクリアな状態ではかなり手前から探知する事が出来る為、各製品の限界探知距離のチェックには最も適しています。
前回に引き続き、今回は深夜のテストでしたので過去最高の探知距離となりました。
ユピテル・コムテックの4機種は安定して600m前後、セルスターのAR-7のみ短めの455mでした。
昨年までのテスト結果も合わせるとこのような形になります。
前方がクリアな状態ではユピテルの第二世代以降、コムテックは全ての世代で長距離受信が可能となっており、新しい世代の方が毎回の誤差が少なくなっているような傾向が見られます。
なお、今回気が付いたのですが、枚方のオービスポイントでは手前が1km近い直線ではあるものの、オービスに向かって緩やな斜面を下って行く形になっていますので、レーザーの光が遮断されないような環境であれば、今回600m級の数値が出た機種に関しては更に受信距離が伸びる余地があるように思います。
豊中のレーザー式固定オービス
豊中のオービスは400m手前まで緩やかな左カーブが続き、その後はオービスまで直線になりますのでこちらも比較的早い段階での探知が可能でした。
こちらでもユピテル・コムテックの4機種は安定して300m超え、最新機種では400m近くとなり、セルスターのAR-7のみ極端に探知距離が短いという結果になりました。
昨年までのテスト結果も合わせるとこのような形になります。
こちらも2021年モデルの「LS710」「709LV」の2機種が安定した遠距離の探知となっています。
吹田のレーザー式固定オービス
こちらも豊中と似たようなシチュエーションで、左カーブを抜けた後に200m程度の直線となります。
ただし、3車線の道路を左右2つのレーザーでカバーしている為、カーブを抜ける手前から右側から飛んできたレーザーを探知可能です。
ここでも「LS700」「LS710」「709LV」が安定して長距離の探知を行いましたが、昨年の計測時と同様に「808LV」の探知距離が若干落ちてしまい、「AR-7」が健闘しました。
昨年までのテスト結果も合わせるとこのような形になります。
阪南のレーザー式固定オービス
阪南のオービスは坂を下りながら100m手前付近まで続くカーブを抜けた先にあり、最も探知が困難となっています。
今回も全機種とも押し並べて探知距離が短かく、100m手前付近まではレーザーが当たっていないように見受けられます。
昨年までのテスト結果も合わせるとこのような形になります。
今回16回計測の平均値
今回計測を行った4地点×4回の計測結果の平均値はこちらの通りです。
全体の傾向としては「LS700」「LS700」「709LV」が安定的に探知距離が長く、「AR-7」が落ちると言った形になっています。
2020年に行った32回のテスト結果も加味するとこちらのようになります。
ユピテル・コムテックのレーザー対応モデルは、ほぼ一年ごとにレーザー受信部の改良が施されていますが、僅差ではあるものの新しい製品ほど探知距離が長いという傾向が見られます。
ただし、今回の枚方のように前方が完全にクリアな状態でなければその受信性能は発揮できません。
実際の取締の際には電柱や標識、道路のカーブや勾配に遮られて遠距離受信が出来ない事も多いと思いますので、その点はご了承頂きたいところです。
対レーダー・レーザーの誤報の状況について
過去の誤報テストでは、Kバンドを受信できるコムテック・ユピテルの最新モデルと旧モデルを合わせた、4台程度の同時テストを実施して来ましたが、今回はユピテル2021年モデルの「LS710」がコムテックの2021年モデル「ZERO 709LV」に対して、著しい電磁波干渉を及ぼしているような挙動が見られた為、ユピテルの「LS710」と2019年モデルの「LS700」2台での比較を行いました。
※何れもレーダーの警報設定はL2以上としています。
走行経路はこちらの125kmです。
・池袋から山手線に沿って内回りで品川へ
・品川から山手線の外回り→4号線で埼玉県久喜市へ帰還
都内テスト | 125km |
---|---|
LS710 | 56回 |
LS700 | 65回 |
10キロ当たりの誤報回数に直すと4.5回と先代の「LS700」と比べると15%程度減っていますが、先日テストした「ZERO 709LV」には圧倒的な差をつけられています。
ユピテルファンの方、既に「LS710」を購入してしまった方にとっては残念な結果ですが、今年の上半期のレーダー探知機はコムテック一強です。
ユピテル製品にこだわる方は直接メーカーにコムテックと同様のKバンド対策を要望されてはいかがでしょうか?
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
ユピテルもLSM-310レーザー光受信警報の動画公開しました。
https://www.youtube.com/watch?v=h2Y1qO-KFFk
teru様
お知らせありがとうございます!
やっぱりLSM-310は波長が変えられる機種っぽいですね。
このまま従来の波長で取締まりが行われれば良いのですが…。
LS710が発売されます
teru様
実は、そろそろかな~と思ってたんですよね。
一体型よりもこっちが本命ですね。
高速メインで考えていたとしてもコムテックの方がよさそうな感じでしょうか?
暴走90様
今の段階ではコムテックが良いと思います。
今までKバンド対応のレーダー探知機を使っていた者からすると、この誤報の少なさは神レベルと感じます(笑)
Omi様
お久しぶりです。
最近車の代替えを真剣に検討し始め合わせてレーザー/レーダー探知機の買換えも検討を始めました。
(現車はZERO806VとLS10の併用)
で、検討機種がZERO809LVとZ210L(指定店モデル)なので5月上旬に予定されている比較期待しております♪
ちなみに代替え予定が外車なのでOBDⅡ接続は断念いたしました(> <)
M様、明日から大阪でテストします。
709は今のところほとんど誤報が出ないですね。自販機のドップラーを識別してる気がします。
Omi様
今日ですね!レビューお待ちしております♪
709良さそうですね~候補は画面の大きい4インチの809LVなですが性能は同等なんてでしょうか???