※2024年2月25日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
日本で販売されているドライブレコーダーは、日本メーカー・中国メーカーの製品が主流ですが、品質やサポート面などを考えると日本メーカーの製品が安心だ、と考えている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、日本の主要なドライブレコーダーメーカーの製品のうち、最も人気がある2カメラモデルについて、それぞれの特徴を解説したいと思います。
なお、360°ドライブレコーダーに関しては別途記事を起こしていていますので以下記事を参照して下さい。
■ 360度の全方位録画が出来るおすすめドライブレコーダーのまとめ
因みに過去にこのような記事で「ごたごた講釈が多い!」とか、コメントを頂いたことがあります。
講釈なしでおすすめはコレ!とかやってるメディアは、根拠なしで適当におすすめしているところが多いですよ!
長文を読むのが面倒な方は、私を信じてこの製品を購入して下さい。
日本の主要なドラレコメーカーは5社
2024年2月時点での日本の主要なドラレコメーカーは以下の6社になります。
・ケンウッド
・カーメイト
・ユピテル
・セルスター
・パイオニア
これ以外にも大手カーエレクトロニクスメーカーとしては、パナソニックやアルパインなどもドライブレコーダーを取り扱っていますが、ほとんど自社カーナビ連動の専用モデルと化していますので、この記事では取り上げません。
シェアNo.1で実用性が高いコムテック
コムテックは元々はレーダー探知機を主力商品として販売していたメーカーですが、2016年以降は急速にドライブレコーダーの展開モデル数を増やし、現時点では数年間に渡ってシェアNo.1のポジションを維持しています。
レビュワー・マーケターとして実に上手くやっているなぁ~と、感心していますが、コムテックのドライブレコーダーの主な特徴は以下の3つのポイントです。
・ドライブレコーダーに求められる本来の能力である、事故の際の状況証拠の把握に特化している
ドラレコとしての実用性が高いので日本のドラレコの王道と言えますが、他社の製品と比較すると、同社のドライブレコーダーは強烈なHDR補正(2枚の画像を重ね合わせて見易くする処理)の精度の高さが最大の特徴です。
具体的には、強烈なHDR補正を入れる事で昼間の逆光時の白飛びを抑え、夜間の先行車両のナンバープレートにヘッドライトが反射した状態でも、ナンバーまずまず認識出来るという機能性を実現しています。
また、駐車監視の仕様に関してもエンジンに連動して駐車監視モードの開始・終了を自動で行い、走行時の録画モードへの復帰時の告知や、降車・乗車時のドアの開閉に反応しないようなキャンセルタイマー、さらに一時的に駐車監視を行う、または行わない場合のボタン操作の利便性にも優れた扱いやすい特性となっています。
基本的にはハードウェアに大きな負荷を掛けるHDR補正を売りにしていますので、ブロックノイズが出易かったり、ナンバー認識精度を犠牲にしているモデルもあり、景色撮影には向いていないモデルが多いです。
同社の2カメラドラレコは、従来からスタンダードグレードの「ZDR系」が人気でしたが、最近では上位グレードのHDR系の画質が向上した関係で、2023年時点では最上位モデルの「HDR801」をおすすめしています。
本機の特徴は、通常はPCの再生ソフト側で行う明るさの調整をドラレコのソフトウェア側で行う事により、夜間の飛び抜けた明るさを実現している点です。
次点では1グレード下の「ZDR045」になりますが、こちらは「HDR801」のようなドラレコ側での明るさ調整機能は実装されていないものの、全体のバランスとリアカメラの明るさに優れているのが特徴です。
「ZDR045」の1世代前のモデルが「ZDR035」になりますが、こちらは「ZDR045」ほどリアカメラは明るくはないものの、全体のバランスに優れた良コスパの製品となっています。
また、「ZDR045」には最新世代の「ZDR055」と言う後継機もありますが、こちらは画質面では「ZDR045」と同等で、ディスプレイサイズを小さくするなどで生産コストを下げた製品のように見受けられます。
ドラレコメーカーとしては伏兵的なカーメイト
カーメイトはドラレコメーカーと言うよりも、カー用品の総合メーカーとしての印象が強いですが、数年前から360°ドラレコを専門的に展開し続けており、最近では360°ではないスタンダード型の2カメラドラレコ「DC2000R」の発売を開始しました。
カーメイトの「DC2000R」は、PCの専用ビュワーで明るさを調整可能な数少ない製品で、フロントカメラの解像度が400画素オーバーである事が影響して、画質の総合評価では前述の「HDR801」を上回ります。
駐車監視の継続時間面ではコムテック製品に比べて使い勝手が悪いですが、走行中の画質で選ぶなら「HDR801」よりも「DC2000R」がおすすめです。
最近ようやく良い製品が出て来たケンウッド
ケンウッドは2014年にカーナビメーカーの中では最も早くドラレコ市場に参入し、その知名度と安心感、そして当時としては格安の価格で一気に市場での存在感を高め、おそらく参入から1~2年間は業界でNo.1のシェアを獲得していたように思われます。
しかしながら、ケンウッドにとってはドライブレコーダーは多数の事業のうちの一つに過ぎず、コムテックやユピテルなどのように過去の技術の蓄積もなかった為、当時としては絶大なブランド力と大量生産による価格の安さで強引に突っ込んだモデルがバカ売れしていたというのが真相に近いと思います。
中国のOEM工場の既存の技術でケンウッド企画のドラレコを生産していた節があるので、機能的には独自性に乏しく、独自にドライブレコーダーの研究を重ねてきたコムテックなどと比べると仕様的に中華ドラレコと被り易いという特徴があります。(ケンウッドのドラレコはほとんどが中国製)
また、コムテックやユピテル程にドラレコの売上に頼っていない為、ユーザーの目的や嗜好を徹底的に分析した上でのこだわりがあるモデルもありません。
量販店系の販路が強い為、コムテックについで業界2位のシェアとなっていますが、ネットユーザー向けにガチで機能・性能を比較する度に他社品より劣っている面が多い事を実感しています。
従ってドラレコの性能・機能ではなく、ブランドの知名度と安心感で売れているメーカと言えるでしょう。
特に気になるのが不良品率の高さで、過去にテストの為に購入した10機種のうち4機種に不具合が発生しており、3機種は修理に出しています。(初期不良でも送料はユーザー負担)
ただし、最新モデルのスタンダードグレードの「DRV-MR570」に関しては、過去の製品と比べて劇的な画質の改善が見られ、現行の2カメラモデルとしては最高評価となっています。
ケンウッドのドライブレコーダーの特徴を列挙すると以下の通りとなります。
ケンウッドの2カメラドライブレコーダーの中で最も高画質な製品は、2022年1月に発売された最新のスタンダードモデル「DRV-MR570」です。
この製品は過去の同社の製品と比べると夜間の明るさが大幅に改善されており、ケンウッドのドラレコとしては総合評価がNo.1となっています。(2023年6月時点では、「DRV-MR770」である可能性もあり)
現時点でケンウッドの2カメラドライブレコーダーを選ぶなら、この製品一択と言っても良いでしょう。
コンパクトで趣味性が強いユピテル
ユピテルはケンウッドに次いで国内ドライブレコーダーメーカーではNo.3の人気を誇るメーカーとなっています。
同社はコムテックと同様に元々はレーダー探知機やポータブルナビの分野でのシェアが大きいメーカーですが、現在ではドライブレコーダーの開発に最も力を入れており、モデル数に関してはコムテックをさらに上回る豊富なラインナップが特徴的です。
ユピテルのドライブレコーダーはモデル数が非常に多いのですが、全体の方向性と特徴を一括りにまとめると以下の通りになります。
ユピテルのドライブレコーダーは随分前からHDR対応製品が多いのですが、どちらかというと趣味性の強いメーカーで景色も綺麗に撮影出来るように調整されています。
私自身は趣味でドライブレコーダーに入った人間なので、実用品ではあるものの遊び心も残してあるユピテル製品の方がコムテックよりも好みです。
駐車監視については、ほとんどのモデルが動体検知やタイムラプスの開始・終了の際に手動操作を要求され、または駐車監視に入る前に衝撃感度を変更しなければ、走行時のままの衝撃感度になってしまうなどの問題点があります。
従ってコムテック製品に比べると駐車監視の利便性では劣ります。
2023年6月時点では、4K解像度の同社のハイエンドモデル「Y-4K」が高評価となっていますので「少しでも画質が良い製品を」という条件であれば、この製品をおすすめします。
また、少し価格帯を下げたところでは「Y-300R」の系統が、ドラレコとしての実用性も高く、景色も綺麗に映る特性となっています。
年配者に優しく、最近は高画質なセルスター
セルスターはユピテル、コムテックとともにレーダー探知機メーカーとしてのイメージが強いメーカーですが、こちらも同様に法人向けのドライブレコーダーを継続的に生産してきました。
もともと中位以上のグレードでは、直観的な操作が可能なタッチパネルを搭載した製品が特長的でしたが、最近ではそれに加えて夜間の明るさに特化した製品や、2.5Kの高解像度でナンバーの認識に特化した製品など、画質面でも優れたモデルが増えています。
セルスターのドライブレコーダーの特徴を列挙すると以下の通りとなります。
ここ1~2年の間に発売された製品は、特に画質面での進化が著しく、最上位モデルの「CS-92WQH」では、前後カメラで2.5Kでの高解像度をが可能な上に、夜間の明るさにも優れた万能型となっています。
また、「CS-92WQH」の1世代前の「CS-91FH」は、前後フルハイビジョンではあるもものの、2023年時点でも業界でほぼ唯一のSONYのドラレコ用STARVISセンサーの中でも最も暗視能力に優れた「IMX327」と搭載した夜間撮影特化モデルとなっています。
他社に比べて年配層向けの企画が多いので、扱い易くガジェットが苦手な方にもおすすめですが、他社同クラスの製品よりも価格が1~2ランク高いというデメリットもあります。
常に期待は高いが、万年発展途上中のパイオニア
パイオニアはカーナビ市場では楽ナビ・サイバーナビの2つのブランドを擁する存在感No.1の人気メーカーですが、ドライブレコーダー市場への参入ではケンウッドよりも1年程度遅れました。
しかも、参入当時はドライブレコーダーに関する独自の技術やコンセプトがないままにケンウッドの二番煎じの道を走ろうとした為に失敗し、ドラレコ市場でのマスにはなり切れていなかったのが2016~2018年までの流れです。
2019年には方針を全面的に変更し、オリジナリティの強い独自規格と見られる製品の開発を開始しましたが、コンセプトは立派だったものの製品の完成度が低く、プログラムのバグによる初期動作不良を起こすなど「中華ドラレコでもそんな不具合はないよ系」のお粗末な仕上がりで市場の評価を落としています。
2021年に販売されている製品は独自企画の第二世代と見られ、従来のような動作の不安定さやバグなどは見られませんが、画質面や機能面ではコムテック・ユピテル・セルスターの3社の後塵を拝する形となっています。
パイオニアのドライブレコーダーの特徴を列挙すると以下の通りとなります。
・ハイエンドモデルでも他社に比べると価格が安い
最新モデルの「VREC-DH300D」は、フロントカメラが2.5Kの高解像度モデルですが、リアカメラの性能が低く、前後カメラともコムテック・ユピテル・セルスターの3社の上位モデルと比べると画質が劣る上、保証期間も1年と短めです。
唯一、これらの3社の製品よりも価格が安いのが救いとなっています。
ドライブレコーダーの日本メーカーのまとめ
以上、日本の主要なドライブレコーダーメーカー5社から販売されている、おすすめの2カメラドライブレコーダーについてご紹介しました。
2023年6月時点では、画質で選ぶならコムテック>ケンウッド(DRV-MR570のみ)>ユピテル>セルスター>、コスパを優先する場合にはコムテックの型落ち「ZDR035」を軸に考えて行くと間違いがないでしょう。
コメント
久しぶりの各社の特徴のまとめ記事、ありがとうございます。
最近、偶然みた家電批評という雑誌のサイトでは、パイオニアのVREC-DH300Dがイチオシでした(しかも殿堂入りw)
ドラレコに限らずあの雑誌やモノクロは忖度無しで選ぶという点では評価していますが、
時々、えっ?ってなるような製品を選んで「あの欠点に気づかないの?」と思う時もあります。
今回もおそらくomi様のようなテストはしていないんでしょうね。
まあ、同様のテストをしてるところはないはずですがw
https://360life.shinyusha.co.jp/articles/-/34584
HCR32様
雑誌やWEB媒体でもメーカーへの忖度もありますし、評価は感覚だと思います。
お金が絡んでるケースもあるんじゃないですかね、
パイオニアの最近のドラレコって独自企画の商品ではなくて中国メーカーのODMじゃないですか?
ODM先もモデルによってバラバラなためUIに統一性もなく品質も安定せず問題だらけです。
ケンウッドはたしかにブランド力があり、台湾MioのOEMモデルは低価格を武器にシェアを拡大したのは事実です。が、DRV-830、DRV-410、DRV-N520等自社開発自社製造のモデルもあります。DRV-830のようなカードスロットが2つあるドライブレコーダーなんて他にはないですよね?ですので、「機能的には独自性に乏しく、独自にドライブレコーダーの研究を重ねてきたコムテックなどと比べると仕様的に中華ドラレコと被り易いという特徴があります。」という指摘は当たらないと思います。
まぁ、今はその自社工場もなくなってしまってOEMばかりなんですけどね…
さきそふぉ〜ん
ご意見ありがとうございます。
パイオニアのドラレコもパーツ部分は汎用品を組み合わせてる感じは強いですね。(VANTRUEとそっくりなのもあり)
https://car-accessory-news.com/vrec-dh300d/#toc2
だた、不具合が多いのは逆に自社の意向が強く反映されているからと解釈しました。
どちらかと言うと市場全体では純ODMの方が、不具合が少ない印象です。(色んな所で出尽くした仕様だからと考えています。これをいじくると不具合が出ると)
基本的にはどこも何らかの形で海外のリソース使ってるので、どこまでが自社企画・どこからが流用かを判別するのは難しいですね。
DRV-830、DRV-410、ここら辺は自社企画(どこまではかは不明)っぽいですが、この系統の後継と見られるDRV-MR8500は、ソフトウェア開発もよそに投げてる感じがしました。
https://car-accessory-news.com/drv-mr8500/#toc12
ドラレコの生産って色んなパターンがあって、工場が組み立てだけやるケースもありますし、ソフトウェアの開発も請け負う事もあるので、ケンウッドが自社工場で組み立てだけやって
基板の構成とソフトウェア開発は他所に投げるパターンもあるかなと思ってます。
生産形態の線引きがなかなか難しいところが有りますね。
短絡的に講釈が長いとか言っちゃう人間は、考えて取捨選択できないスマホ脳なんで放っておけば良いです。
いつも的確でわかりやすい解説ありがとうございます。
とおりすがり様
ありがとうございます(笑)
こちらの記事を熟読しコムテック製のHDR801かZDR045のどちらかを購入しようと思っております。
車種は家族が使用している「トヨタ CH-R」です。
ここで、こちらの「日本メーカー製のおすすめ2カメラドライブレコーダー」の前後2カメラモデルの総評をみると、2023年時点では最上位モデルの「HDR801」をおすすめしております。
一方でZDR045の紹介ページでのコメントでは
『私ならZDR045を選びますよ。』
ドラレコとして出力される画質はHDR801>ZDR045ですが、VLCなどで補正を掛ける前提ならZDR045>HDR801です。
HDR801は既にドラレコ側でソフトウェア補正が掛かっており、ハードウェアのスペックはZDR045>HDR801です。(コメント回答を引用)
とあります。
これは質問者からのコメントですが、「日本メーカー製のおすすめ2カメラドライブレコーダー」の記事によって2023年時点では最上位モデルの「HDR801」をおすすめしおり、「実機レビュー「ZDR045」の評価 コムテック「STARVIS 2」対応のSONY新型センサーを搭載した2カメラドラレコ」の記事のコメント欄では、HDR801と比較してZDR045の方をおすすめしておりましたので、どちらの製品も候補にあがっていましたので、どちらを購入した方が良いのか迷ってしまいました。
多分、こ「ZDR045」の評価のコメントでは質問者が価格差にも触れていたので、その時のコストパフォーマンスも配慮しておすすめしているのかなとお見受けしております。
そこで、2023年10/4現在では、AmazonでHDR801(21,820円)ZDR045(27,000円)で駐車場監視直接配線コードも合わせて購入となると価格差約5,000円であり、上位グレードの「HDR」が、スタンダードグレードの「ZDR」の価格が逆転しており、大きな価格差とも感じられません。
気になるところは、夜の画像で「Recolize」方式のHDR801か「STARVIS 2」対応のSONY新型センサーのZDR045どちらがいいのか?です。
このことから踏まえて、価格は関係なく機能重視として考えるなら、どちらがおすすめでしょうか?
2023年上半期のコムテックの前後2カメラモデルの最強はどちらに軍配があがるのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
ちなみに、4~5年前にこの記事を参考にして、自分の使用車「トヨタエスクァイア80系」のフロントにコムテック製HDR-352GHPを、リアにHDR-751Gを購入し現在でも運用しております。
tancya様
VLCなどのフリーソフトウェアを使える方ならZDR045、そうでない方はHDR801ですね。
リテラシーが高い方はZDR045、普通の方はHDR801って感じです。
素のままの性能はHDR801>ZDR045
ドーピングありならZDR045>HDR801
です。
HDR801はドラレコ内のソフトウェアで既にドーピングされていますので、それ以上のドーピングは無効です。
鈴木 様
的確アドバイスをしていただきありがとうございます。
VLCなどのソフトウェアを使用した加工等の知識はある方なので、ZDR045にしたいと思います。
なるほどドーピングですね。
とても分かりやすいです。
カメラの画像データでいうとRAWとJPEG画像の違いということですかね。
カメラ画像ではRAWで撮ったものは、画像編集ソフトでファイルの情報を損なうことがなく、柔軟に露出の編集ができますが、JPEGで撮影した画像の露出補正はカメラ側で適切に行っていないと後から編集は困難ですからね。
カメラの場合はカメラ側の露出設定で性能というわけではありませんが、ドラレコでいうとソフトウェアの性能ですね。
よく分かりました。
お忙しい中、ご回答いただきありがとうございました。
tancya様
また何かございましたらご相談下さい。