こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
クラファンのGREENファンディングに掲載されているKEIYOのeMMC対応2カメラドラレコ「AN-R092」についてご質問を頂いたので解説します。
■ 日本メーカーの挑戦!ドラレコ革命!MicroSDカード不要の64Gメモリー内蔵【AN-R092】
KEIYOは日本のメーカー
KEIYOは私がドラレコデビューした2013年以前から、日本で中国製ドラレコを展開する老舗メーカーです。
ドラレコの累計販売台数は25万台となっていますので、販売実績の大きいメーカーではあるのですが、私はこのメーカーのドラレコに対してはあまり良い印象を持ってはいません。
その理由はこちらの通りです。
という訳で「AN-R092」の解説前にメーカーに対するネガティブバイアスが掛かっている事を宣言しておきます。
「AN-R092」のスペックと特徴
「AN-R092」のスペックはこちらの表の通りです。
AN-R092 |
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21.0?発売 |
フロント:2560×1440/27.5fps/STARVIS リア:1920×1080/27.5fps/STARVIS |
録画視野角 フロント:水平115° リア:水平102° |
LED信号対応 |
microSD非対応/eMMC64GB |
WiFi対応 |
リアカメラケーブル?m |
GPS内蔵 |
駐車監視モードなし |
専用ケーブルはOP |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
eMMC対応のドラレコは、VIOFOやYAZACOなど、最近中国メーカーでぼちぼち見られるようになって来ましたが、「AN-R092」はメインストレージを内蔵の64GBのeMMCとする事でmicroSDカードを不要としているのが最大の特徴です。
※microSDカードを使う事は出来ません。
その為、microSDカード代を節約できる、microSDカードの相性問題が起きない点が主なメリットとなります。
因みに「日本メーカーの挑戦!ドラレコ革命!」と言ったタイトルであくまでも自社企画のオリジナル商品のような雰囲気を漂わせていますが、ベースとなる汎用製品があるようです。
このAlibabaに掲載されている製品は「R68」という型番でこのようなハードウェア構成となっています。
KEIYOの「AN-R092」ではeMMCが32GB→64GBにアップグレード、イメージセンサーはSONY製に置き換えられていますが、ベース基盤の構造やチップセットは「R68」と同一なのではないかと考えられます。
確かにmicroSDカードを必要としない部分については、録画の確実性のメリットはあるのですが、デメリットも結構大きいです。
産業用のPSLC方式の64GBのカードは1万円と表記されていますが
一般向けで最も耐久性が高いと言われるMAX ENDURANCEは2000円台です。
そもそもドラレコ付属の小さいサイズのカードを除いて、後から産業用のmicroSDカードを購入して使うケースなど一般にはほとんど見受けられないにも関わらず「それを引き合いに出して1万円お得!」という表現はよろしくないような?
選択肢としてはアリだが価格が高い
eMMCのメリットをおさらいすると、microSDカードの相性の問題を心配する必要がなく、耐久性もmicroSDカードよりも高い、という点に尽きますが…
日本の大手メーカーのドラレコでサポート範囲のmicroSDカードが使えなかったり、エラーが出たりする現象は一部の不具合ロットを除いてはほぼありません。
また、「AN-R092」の寿命の比較の部分の表記が気になったのですが
と異なる基準の数値を比較しています。
価格では産業用のmicroSD、耐久性は一番安いカードのそれを記載し、しかも年数計測の基準が違っているという…これは酷いですね。
耐久性の面でも一般向けで最も耐久性が高いと言われるサンディスク(現Western Digital社)のMAX ENDURANCE(64GBなら2,500円)は、フルハイビジョンのシングルドラレコなら3万時間の耐久力と書かれています。
一般的なフルハイビジョンのデータサイズを6GBとして計算すると、書き込み回数1回当たり10時間なので3000回になります。
従って書き込み回数を基準とした耐久性はどちらも同じになります。
1万円と価格の比較で引き合いに出している産業用のPSLCでは1~2万回と言われていますので、耐久性はeMMCの3~7倍です。
なのでこれら二つを併記するのはユーザーの誤解を招く可能性が極めて高いように感じます。
なお、本製品は2.5K+フルハイビジョンの2カメラなので一般的なドラレコベースで考えると1時間当たりの録画データは18GB程度になる見込みです。
64GBのカードであれば3.33時間で1周します。
3,000回なら1万時間の録画が可能ですので、1日8時間の使用でも3.5年は持つ計算なので、eMMCよりも先にドラレコが壊れるという観点からは必要充分な耐久性と言えるでしょう。
従って日本メーカーにこだわるなら、microSDカードのフォーマット不要機能を搭載した製品とMAX ENDURANCEのmicroSDカードを併用する方を私はおすすめします。
メリットデメリットの面では微妙だが、なんだか新しいものが好き、という方はこの製品を検討されても良いでしょう。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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