※2022年11月11日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ドライブレコーダーに限らず、カメラの映像のクオリティを左右するに最も重要なパーツの一つに、レンズから入って来た映像を取り込む「イメージセンサー」が挙げられます。
ドラレコ市場においては、ここ数年でSONYセンサーを搭載した製品が急激に増え、高画質ドラレコの必須条件のようになりました。
また、最近ではSONY側がドラレコ用途を重視してセンサーを開発する傾向が強まっているように感じられ、SONYがドラレコの高画質化を牽引していると言う図式が成り立っています。
そこでこの記事では、過去に市場を席巻して来たSONYセンサーや、今後も他社よりも頭一つ抜けた高画質を実現しそうな最新センサーまで、SONYのドラレコ用イメージセンサーの種類についてご紹介します。
ドラレコへの採用実績が確認出来たSONYセンサー
2022年11月時点で、ドラレコに搭載実績があると確認出来たSONYセンサーはこちらの表の通りです。
型番 | サイズ | 画素数 | SNR1s値(低照度対応) | STARVIS/STARVS 2 | HDR | セルサイズ |
---|---|---|---|---|---|---|
IMX323 | 1/2.9 | 2.19M | 0.60lx | - | - | 2.80㎛ |
IMX290 | 1/2.8 | 2.13M | 0.23lx | STARVIS | 〇 | 2.90㎛ |
IMX291 | 1/2.8 | 2.13M | 0.23lx | STARVIS | 〇 | 2.90㎛ |
IMX307 | 1/2.8 | 2.07M | 0.24lx | STARVIS | 〇 | 2.90㎛ |
IMX327 | 1/2.8 | 2.07M | 0.18lx | STARVIS | 〇 | 2.90㎛ |
IMX462 | 1/2.8 | 2.07M | 0.18lx | STARVIS | 〇 | 2.90㎛ |
IMX662 | 1/2.8 | 2.18M | 0.18lx | STARVIS 2 | 〇 | 2.90㎛ |
IMX335 | 1/2.8 | 5.0M | 0.59lx | STARVIS | 〇 | 2.00㎛ |
IMX675 | 1/2.8 | 5.0M | 0.30lx | STARVS 2 | 〇 | 2.00㎛ |
IMX317 | 1/2.5 | 8.51M | 未確認 | - | 〇 | 1.62㎛ |
IMX415 | 1/2.8 | 8.4M | 0.79lx | STARVIS | 〇 | 1.45㎛ |
IMX678 | 1/1.8 | 8.2M | 0.29lx | STARVS 2 | 〇 | 2.00㎛ |
ここではこれらのセンサーについて、解像度の低い順に解説します。
IMX323 200万画素
IMX323はドラレコに採用されたSONYセンサーとしては、初期の200万画素センサーです。
日本のメーカーよりも先に、台湾メーカーのパパゴなどの製品で2016年頃から見られるようになり、その後中国・日本メーカーでも同センサーを採用するドラレコが目立つようになりました。
2022年現在でもエントリグレードのドラレコに搭載されているバランスの良いセンサーですが、ドラレコ向けとしては既に第一線から外れて久しく、これから紹介するIMX307にその座を譲っています。
IMX290/291/307 200万画素STARVIS
「IMX290/291/307」の3つの200万画素センサーは、夜間特化型のSTARVIS技術を採用した兄弟センサーです。
「IMX307」は、先行して販売されていた「IMX290/291」の廉価センサーと言った位置付けです。
先にSTARVISセンサーを採用たドラレコを販売していた、韓国のBlackVueやThinkWareなどのハイエンドメーカーでは「IMX290/291」、それから1~2年遅れて日本・中国メーカーでの「IMX307」の採用が目立つようになりました。
現行の日本メーカーの200万画素STARVISのドラレコでは、この「IMX307」を採用した製品が主流で、その夜間撮影能力の高さから、スマートミラーとしてもよく見れらるセンサーです。
3~4年前には既に「IMX323」に代わって、スタンダードグレードの以上の主力センサーとなっており、STARVISドラレコの存在を一般に知らしめる結果となりました。
IMX327/IMX462 200万画素STARVIS 超暗視特化
「IMX327/IMX462」は、廉価の「IMX307」よりも、更に暗視に特化した上位センサーです。
ノイズが発生しない最低照度の目安は、「IMX307」では0.24lxとされていましたが、「IMX327/IMX462」では0.18lxまで対応可能となり、大幅に暗視能力が向上しています。
ただし、コストの問題からかこのセンサーを採用した製品は少なく、現行機種としてはセルスターの「CS-93FH」などに限られています。
そしてドラレコ向けのセンサーとして、さらにレアなのが「IMX327」の上位の位置付けの「IMX462」です。
「IMX462」はほとんど「IMX327」と同等の仕様となっていますが、サポートする撮影フレームレートが「IMX327」の2倍の120fpsとなっており、60fps/HDR撮影をする為の専用センサーのような特性となっています。
ドラレコとしての採用実績は、現在のところスマートミラー型のMAXWIN「MDR-A002」以外には確認出来ていません。
IMX662 200画素STARVIS 2対応の最新センサー
「IMX662」は現時点ではコムテックの「ZDR045」でのみ採用されていますが、今後は「IMX327」を飛ばしてこのセンサーがハイエンドドラレコの主力になる可能性があります。
※「ZDR045」のプロダクトページにはセンサー型番の表記はありませんが、200万画素カラーのSTARVIS 2は、現在のところ「IMX662」しかない筈。
従来のSTARVISセンサーは、夜間の明るさには優れているものの、露光性能が高い為に白飛びを抑えるチューニングが難しいと言う問題点がありました。
「IMX662」では、STARVISの上位機能でダイナミックレンジが広がったSTARVIS 2に対応しています。
STARVIS 2は、白飛び、黒潰れを抑えてあらゆるシチュエーションで視認性が優れた映像を記録する事が求められるドライブレコーダー向けの機能と言えるでしょう。
IMX335 500万画素の定番STARVIS
「IMX335」は「2560×1440」の録画解像度をサポートする、高解像度ドラレコでの採用実績が多数ある、ハイエンドモデルの定番STARVISセンサーです。
画素数が500万画素と多い為、ナンバー認識などの用途では強力な性能を発揮します。
一方でセンサーサイズは200万画素と同様の1/2.8型であり、受光面積の目安となるセルサイズが2.00㎛と、200万画素の2.90㎛に対して70%弱しかない為、明るさの面では200万画素センサーよりも随分劣るのが弱点です。
主要なドラレコとしては、VANTRUEの「N4」、VIOFO「A139」などでの採用実績がありますが、暗視対応力はSATRVISではない「IMX323」と同程度しかないので、ドラレコメーカーごとのチューニングの良し悪しが画質に影響し易いセンサーと言えます。
IMX675 500画素STARVIS 2対応の最新センサー
「IMX675」は現時点ではドラレコでの採用は確認出来ていませんが、今後はこのセンサーがハイエンドドラレコの主力になる可能性があります。
センサーサイズとセルサイズは「IMX335」と同等の1/2.8型・2.00㎛ではありますが、最低照度への対応力を表すSNR1s値は、0.30lxと「IMX335」の0.59lxから大幅に改善、200万画素の「IMX307」の0.24lxに近い数値を実現しています。
現行の「IMX335」を搭載したドラレコでも、PCでの補正ありきの「N4」などでは、高い暗視能力を実現出来ていましたので、「IMX675」では高解像度と広いダイナミックレンジの両立を実現出来るのではないかと予測しています。
IMX317 800万画素
「IMX317」は、世代的にはやや古めの4K対応800万画素センサーですが、初期の4KドラレコであるVATRUE「X4」、VIOFO「A129 Pro」などでの採用実績があります。
昼間は色の階調も豊かで、高い精細感の影像を撮影出来ますが、ダイナミックレンジが狭い為にトンネル内での白飛びや、夜間の撮影能力の面では200万画素センサーに大きく水をあけられています。
ドラレコとしては、ナンバー認識特化型・景色撮影特化型の用途で使われていました。
IMX415 800万画素 STARVIS
「IMX415」は前述の「IMX317」よりも新しい4Kセンサーで、こちらはSTARVISに対応しています。
ただし、センサーサイズが200万画素の「IMX307」と同じ1/2.8型、受光面積の目安となるセルサイズは「IMX307」の50%の1.45㎛となっている為、STARVISセンサーではあるものの、SNR1s値は0.79lxとSTARVISではない200万画素の「IMX323」の0.60lxよりも劣ります。
ドラレコとしてはMAXWINの「DVR-D019」での採用実績がありますが、映像の印象は「IMX317」と採用した製品と大差なしと言った感じで、トンネル内での白飛びや、夜間の撮影能力が弱点となっています。
IMX678 800万画素 STARVIS 2
「IMX678」は、現時点ではVIOFOの「A139 Pro」でのみ採用されていますが、今後は360°ドラレコや4Kモデルなどのハイエンドドラレコの主力になる可能性があります。
センサーサイズはドラレコとしては過去に前例のない1/1.8型、セルサイズは2.00㎛と、500万画素の「IMX335/675」と同様です。
最低照度への対応力を表すSNR1s値は、0.29lxと「IMX415」の0.79lxから大幅に改善、200万画素の「IMX307」の0.24lxに近い数値を実現しています。
従来の200万画素センサー「IMX307」のダイナミックレンジと夜間撮影能力を4K解像度で実現出来そうなスペックですので、今後の動向に注目したいところです。
まとめ
以上、ドラレコに採用実績のあるSONYのイメージセンサーについて、それぞれの特徴を解説しました。
ドラレコの画質は、基幹部品であるSONYセンサーのバージョンアップに合わせて大幅に向上する傾向が強いので、STARVIS 2の登場によって今後1~2年で大幅にドラレコの画質が向上する可能性が高いと考えています。
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