VANTRUEさんに前後2カメラタイプのドライブレコーダー「N2」のサンプルを供与頂いたのでレビュー報告を行います。
VANTRUEってどこの会社?
VANTRUEは中国の深センエリアの会社が持つカメラ関係のブランドネームです。(他にもカー用品や電子機器類の商標も取っている模様)
深センはエレクトロニクス関係の会社や工場が多いですが、有名どころではスマホやタブレットの「HUAWEI」(ファーウェイ )や、最近モバイルバッテリーのレビューを書いた「AUKEY」などのブランドが挙げられます。
アマゾンでは結構人気があるブランドのようですが、今のところドライブレコーダーやスマホホルダーなど車関係のアクセサリーの販売が多いようです。
VANTRUEさんに詳しく会社の説明は聞いていないですが、ここ1~2年のドライブレコーダーやその他の電子デバイスの流れを見ているとおそらく…ですが他社のOEM製品を作っていた工場が直接立ち上げたブランドではないかと思います。
もしくはその工場とガッツリ提携している感じです。
これは確証はありませんが、色々な製品を見てきてそう感じました。
最近は中国の工場で物を作って、生産者が直接日本のAmazonなどに出品するケースが増えているように思いますが、VANTRUEはおそらくその形態だと思います。(日本で一番モノを安く販売できるパターン)
現状の流通のやITのグローバル化を考えると各国のAmazonのマーケットプレイスを利用して中国の工場か、そこに近いポジションの会社がグローバルに直販を展開するパターンはかなり増えていきそうです。
もともと海外向けのOEMをやっている工場なら品質は問題ない場合が多いですが、あとはローカライズをどうするかという部分はありますね。
メールでやり取りしている限りは、対応もかなりレスポンスが良さそうという印象を受けました。
VANTRUE「N2」のスペックと特徴
VANTRUE「N2」のスペックは以下の通りです。
VANTRUE「N2」 |
---|
16.11発売 |
フロントのみ:1920×1080/30fps フロント+リア 1440×1080/30fps+1280×720/30fps |
LED信号対応状況は未確認 |
フロント 水平100°程度 リア 対角140°、水平不明 |
HDR |
付属カードなし |
最大64GB |
GPSはOP |
駐車監視モード |
動体検知 タイプラプス |
手動起動 |
VANTRUE(UPGRADE) |
ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
このモデルの特徴は1台でフロントとリアを録画出来る点ですので、2台使用時を前提としますが、その場合の解像度はフロント:「1440×1080」、リア「1280×720」となります。
リアカメラに関しては赤外線照射はなし、フロント側に赤外線ライトが付属しています。
なお、西日本LED信号への対応状況は不明、アンチフリッカーは50Hz、60Hzから選択できるようになっていますがこの設定で西日本LED信号の同期に対応出来るかは分かりません。
GPSは別売のマウント一体型のオプションが用意されており、10分程度の内蔵バッテリーと動体検知モードも搭載していますが、駐車監視には別途他社のケーブル等が必要になります。
内蔵バッテリーは駐車監視用ではなくカレンダーや設定を維持する為のものと考えた方が良さそうです。(駐車監視の仕様についての項目で説明します。
また、映像出力用にはminiHDMI、RCAの2つのポートを搭載しています。
VANTRUE「N2」の評価
では、次にVANTRUE「N2」の評価について、以下の項目を順番に見ていきましょう。
- デザインやマウントを含めたコンパクトさや設置のし易さ
- 視野角の広さ
- 精細感や透明度(クリア感)の高さ
- 逆光補正の強さ
- 夜間の明るさ
- インターフェイスの使い勝手
- 付加機能
- 駐車監視の利便性の高さ
デザインや質感はかなり高級感がある
本体はマットブラックの素材を使用していますので、プラスチッキーな感じがせずに高級感があります。
マウントについても本体のイメージに合わせてしっかりデザインされている印象がありカッコいいと思います。(ここは主観の部分なので写真で判断して下さい)
ユピテルの円筒型のドライブレコーダーに比べると、やや幅が大きくマウントも目立ちますが、2カメラタイプなので土俵が違いますし、普通のドライブレコーダーと比べると大き目という感じではありません。
気になる部分としては後方のカメラが向かって右側、前方のカメラは真ん中についているので運転席側に設置すると後方カメラは自分の顔ばかりが映ってしまう事になります。
従って助手席側に設置した方が良いのですが、ワイパーの拭き取り範囲が絡む場合もありますね。
これは左ハンドルの車をベースと考えて作られているからだと思いますが、上下反転させても取り付けられるような本体とマウントの構造だと面白いと思います。(今後2カメラタイプを発売するなら)
そのうち360°カメラとかを出してきそうな気がしますけどね。
視野角の広さ
録画視野角についてはケンウッドのDRV-320と同等ですので、水平102~3°と言ったところです。
スタンダードクラスの標準的な視野角+αですね。
精細感やクリア感
基本的には2カメラがセールスポイントだと思ったのですが、リアカメラはほぼ昼間の車内撮影用で車外の状況証拠としてはダイナミックレンジが狭すぎます。
このモデルは2カメラはオマケで、普段は1カメラでの運用を前提で考えた方が良いと思います。
1カメラとしてはかなり動画のクオリティは高く、DRV-320の1~2ランク上くらいでしょう。
1440×1080の解像度でも、DRV-320の1920×1080よりも精細感は高いです。(やっぱCMOSの性能ですね、文字が潰れにくいのは)
フロントカメラだけの録画時であればさらに綺麗ですね。フロントカメラのレンズやCMOSセンサー、CPUなどはかなり良いものを使っていると思います。
この時点で結構有名なブランドの製品を作っている工場で作られたものだと確信に近くなりました。(具体名は言えない)
まあ、フロントがこんな感じなのでリアカメラはオマケです。2万円台ならもっと良いの作れるんじゃないですかね。
逆光補正の強さ
逆光補正は見え方を重視してあまり強めではないですが、必要充分と言ったところだと思います。
リアカメラはこの限りではありません。
夜間の明るさ
夜間に関しては動画を見て頂くと分かるかと思いますが、かなり明るい部類に入ると思います。
HDRを入れた状態で撮影していますが、補正はかなり弱めですね。
ただ、状況証拠という意味では補正が強過ぎて暗くなるよりも良いと思います。
リアカメラの方は夜間はほとんど何も映らないです。
また、赤外線ライトはほとんど意味がありません。
そもそもこの手のドライブレコーダーについている赤外線は照射距離が短く、フロントガラスにも反射しますので逆にフロントガラスの汚れを目立たせて終わる場合もあります。
インターフェイスは取っ付きにくいが慣れると使い易い
VANTRUE「N2」は向かって左側の2つと底面の4つのボタンで操作を行います。
アイコンがプリントされているのでボタンの役割は分かり易いかと思いますが、一番右のMボタンを押すとトップメニューに入ってそこから分岐するタイプではありません。
Mボタンを押すと「録画設定」のツリーが選択出来る状態になり、左右のボタンで「録画設定」「システム設定」「GPS設定」「ファイル管理」の中から選択するツリーを切り替えます。
設定を変更したい項目でOKボタンを押すと直下のツリーが表示されます。因みに初期状態では英語表示なのでシステム設定で日本語に切り替えます。
なお、録画されている状態ではメニューに入れませんのでOKボタンで録画を停止してからMボタンを押します。
慣れてしまうと画面上に解像度やその他のアイコンで設定状況が一目で分かりますので意外と使いやすいかも知れません。
サイドのmicroSDカバーについてはデザイン優先の作りになっている為、爪を引っかけなければ開かず、開閉には手間取ります。
爪が短い状態だと開けられないかも知れません。
付加機能について
VANTRUE「N2」には、これと言った付加機能はありません。というよりも価格帯を考えると2カメラである事が付加機能と言えるでしょう。
ただし、このリアカメラはダイナミックレンジが狭くHDR補正も入れていないようですので白飛びが酷いです。
あくまでも昼間の室内撮影とのオマケと考えた方が良いでしょう。
駐車監視の利便性
VANTRUE「N2」の駐車監視の仕様については少し分かりにくいかも知れませんが、内蔵バッテリーは緊急時の録画の維持と、しばらく車に乗らない時の設定やカレンダーの保持の為と思った方が良いです。
基本的には電源ケーブを抜くと電源が落ちます。その状態で強引に電源ボタン長押しで起動は出来ますが、10~15分くらいでバッテリーは切れますし、バッテリーが空の状態が続くと設定が飛ぶ可能性が高くなると思います。
ただし、電源さえ別に用意出来れば意外と駐車監視の使い勝手は良い方に入るかと思います。(感度はまずまずで人が前を横切ると反応します)
今回は専用常時ケーブルは使用していませんが、見る限り電圧監視のみのようです。
動体検知をオンにした状態で常時録画を行い、5分間動体を検知しないと「駐車モード」に入り、Pのアイコンが表示されるようになります。(録画中にPボタンを長押しする事で強制的に「駐車モード」に入れる事も可能)
この「駐車モード」に入った状態で動体を検知すると、最小で10秒間の録画を行い、追加で動体を検知すると録画を延長します。
どうやら車が動き出すと「駐車モード」を解除して、再度5分間動体を検知しない状態になるまでは「駐車モード」に入らない仕様のようですが、「駐車モード」を解除するフラグが一定以上の衝撃なのか、一定時間以上の動体の検出なのかは良く分かりません。
テスト中には動体検知をオンにしっ放しにしても、走行中の録画が途切れる現象は確認出来ませんでした。(5分以上停車したら一旦駐車モードに入るかも?)~使った感じではASUSのRECO Classicと同じ仕様ではないかと思います。
microSDカードは200GBまでの動作を確認
microSDカードに関してはテストしたものは全てドラレコでのフォーマットで問題は確認出来ませんでした。
VANTRUE | VANTRUE N2 標準64GBまで | |||
---|---|---|---|---|
128GB | Team 128GB | TOSHIBA 128GB | Transcend 128GB | SanDisk 128GB |
使用フォーマッター | ドラレコ○ | ドラレコ○ | ドラレコ○ | ドラレコ○ |
200GB | - | - | - | SanDisk 200GB |
使用フォーマッター | - | - | - | ドラレコ○ |
〇の物は1時間以上の正常な動作・再生を確認 |
なお、録画容量は2カメラで5分のファイルが650~700MB程度、フロントカメのフルハイビジョンのみだと500MB程度です。
2カメラで1時間あたり8.4GB程度ですので64GBだと7時間強、128GBだと12時間強、200GBなら22時間程度になります。
VANTRUE「N2」をリアに設置しても面白いかも
VANTRUE「N2」をフロントに設置するもの良いですが、デザイン的には正方形のでっぷりしたタイプではないので、意外とリアウィンドウに取り付けても野暮ったくないと感じますね。
リア用のカメラがダイナミックレンジが狭いので、運が良ければ周りも映る程度ですが、趣味の範疇なら面白いかも知れません。
また、駐車中に隣に車が停まっているいる場合にはそこまで白飛びしませんので、ドアパンチ毎回チェックしているような方なら役に立つかも知れません。(動体検知はフロントカメラのみなので、その場合は動体検知オフで常時録画をしなければならない)
Amazonでは悪い評価もそこそこある
Amazonのレビューでは全体の1割程度は★1つ~2つの低評価がついています。
理由は以下の通りです。
・地デジの干渉がある
確かに若干干渉があるように思います。受信する局によっては影響がない事もありますがアンテナ3が2になる局もありました。
・時間の設定がリセットされる×1
GPSなしのドライブレコーダーで内蔵バッテリーの接触がが悪いとあり得ますね。
・シガープラグから給電されない×1
シガープラグを交換してもらったそうですが改善されなかったみたいなので、内部の接触不良のようです。
・再起動を繰り返す×1
この3点に関しては初期不良っぽいですね。ただ、再起動を繰り返すのはmicroSDカードの相性が悪いとそのような現象が起きる事もあります。
・駐車監視が10分しか使えない×1
この点に関してはAmazonの説明書式自体が分かりにくいという原因がありますが、もともとそういう仕様です。
・マウントがグラグラになる×2
マウントが両側のネジで固定されていますので初期状態でネジの締め付けが弱い可能性があります。
ネジの締め増しをすれば改善されます。(ネジ穴がバカになっていなければ)
・microSDカードの相性がシビア×1
これは今後何種類かのカードでテストしますが、サムスン製のEVOが推奨と書いてありますね。
VANTRUE「N2」の総評
VANTRUE「N2」は2カメラというのがメインのおすすめポイントではなく、フロントカメラの画質のクオリティとデザイン面、駐車監視の利便性などが優れたドライブレコーダーだと思います。
リアカメラについてはオマケ的なものなので「使い方はユーザーが考えて下さい」という位置付けになります。
2カメラの広範囲の証拠能力は期待できません。
専用の常時ケーブルがないので他社のものを流用するしかありませんが、使いこなせればなかなか面白いドライブレコーダーですし、フロントのメインカメラは画質は昼も夜もかなり良く基本性能はしっかりしています。(ユピテルのDRY-ST7000cのような極精細ではなく、景色が綺麗に撮れる系ですね)
デザインがスタイリッシュで、スタンダードよりも画質が良いもの、または少し趣味的に使って遊びたい人におすすめのドライブレコーダーと言えるでしょう。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
マウントのグラグラ、ねじを増しじめしても、治らない。