※2024年4月12日更新:実機レビューを終了しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
最近、WEB広告でNextbaseと言うブランドのドライブレコーダーをよく見掛けるようになったのですが、どうやらこのブランドは欧州・米国でのドラレコシェアがNo.1であるようです。
弊社は世界最大規模のドライブレコーダーメーカーであり、本社のある英国では市場の80%以上のシェアを獲得し、欧州・米国でもNo.1シェアを獲得しています。
ざっくりと製品の特性を見る限り、VIOFOやVANTRUEのハイエンドモデルのようなスペックですが、通信系の機能が充実しているように見受けられ、画質に関してもさらにアクションカム寄りの美麗さに振った特性のように感じています。
そこでこの記事では後日レビューを前提に、前準備として同社の最上位モデルである「622GWR」の特徴について見て行きます。
「622GWR」のスペックと特徴
「622GWR」のスペックは以下の表の通りです。
622GWR |
---|
23.??発売 |
フロント:3840×2160/30fps 2560×1440/60fps 1920×1080/120fps リア:1920×1080/30fps |
LED信号対応不明 |
レンズ視野角 前:水平140° 後:水平140° |
リアカメラケーブル?m |
microSD付属32GB/最大128GB? |
GPS対応 |
駐車監視モード |
衝撃検知 |
専用ケーブルは付属 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
※ダッシュボードの反射を防止する偏光フィルターがカメラに内蔵
プロダクトページには詳しい機能説明がないのですが、カメラ仕様の部分では録画視野角は前後カメラとも超広角の水平140°となっている事から、単純なハードウェア仕様の面では、VANTRUEの製品よりも更に実用的であると判断されます。
一方でイメージセンサーはSONY製ではなく、Ominivison製となっています。
過去の経験上の話ではありますが、同世代の動画素数のセンサーを比較した場合、SONY製>Ominivison製となっている事が多かった為、最新のSTARVIS 2センサーを搭載したVANTRUE、70maiの4Kモデルに対しては、ハードウェア構成の面で不利ではないか?と感じています。
なお、この製品にはドラレコとしては珍しい…と言うよりもむしろ不要とも言える手振れ補正機能が実装されており、アクションカム的な特徴が強いと言えそうです。
【手振れ補正OFF】
【手振れ補正ON】
セット内容とデザイン
今回は「622GWR」のサンプルを購入し、実機レビューを行いました。
海外メーカーですので、プロダクトページの情報だけでは仕様が分かりにくかったのですが、箱の裏の仕様表はこのようになっていました。
特筆すべき点は、イメージセンサーがSONYのSTARVIS 2対応の4Kセンサー「IMX678」と同サイズの1/1.8のOmnivisionセンサーとなってる部分です。
セット内容についてはこちらの通りとなります。
・リアカメラ
・リアカメラ中継ケーブル(7m)
・miniUSBシガー電源ケーブル
・miniUSB電源ケーブル
・GPS内蔵?マウント
・32GBのmicroSD
・その他取付用品
・取扱説明書
フロント筐体
フロント筐体は正面に液晶ディスプレイと1ボタン配置(基本はタッチパネル操作の為)
向かって左サイドに電源ボタンとmicroSDカードスロット
向かって右サイドにminiHDMI形状のリアカメラ入力端子
上側面にはminiUSB電源端子が装備されています。
リアカメラ
リアカメラはマウントとケーブル一体のボール型
7mの中継ケーブルは〇mのminiHDMIっぽい規格です。
ミニバンなどの場合にはリアカメラケーブルを車両の上側に這わせる必要があるでしょう。
電源ケーブル
付属の電源ケーブルはminiUSB端子のシガープラグです。
※ノイズ低減の為のフェライトコアが装着されています。(いらなければ外してOKと言う説明が書いてある用紙が入っていました)
インターフェイスについて
「622GWR」の電源オンから録画開始までの起動時間は12~13秒で、2カメラドライブレコーダーとしては一般的です。
メニューについては、録画アイコンをタップして録画を停止しなければ歯車アイコンが出て来ません。
メニューに入ってしまえば、このようなアイコン操作がメインになりますので使い勝手は悪くはないのですが…
メニューを終了しても自動で録画が再開されず、録画アイコンをタップしなければならないのは、古い中華ドラレコの悪しき仕様ですので、この辺りは最近の人気中華ドラレコメーカーとは違い、ユーザーの声を製品開発に反映させる仕組みが確立されていないように見受けられます。
WiFiアプリについて
「622GWR」のWiFiでは、ライブビューの視聴から各種設定まで一通りの操作が可能です。
全てのメニュー設定がアプリから変更出来る為、使い勝手は良いと感じました。(ドラレコよりもGoProのWiFiアプリに近い操作感覚となっています。)
車内への取付けについて
今回はアクアに「622GWR」の取り付けを行いました。
ミラー裏に簡単に隠せますが、なるべくレンズが車の真ん中近くになるように設置したいところです。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダーの画質については、前後カメラの映像を4Kドラレコとしては最高画質の70mai「A810」と比較しました。
比較ポイントはこちらの通りです。
・逆光補正能力
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「622GWR」の録画視野角はこちらの通りでした。
逆光補正能力について
トンネル内での逆光補正能力は「A810」も含めた最近の4Kモデルと比べると、白飛びが強めに出る特性である事が確認されました。(特に出口付近の露出調整の処理が遅い)
【前】
【後】
リアは「A810」と同レベルの黒潰れが出ています。
また、偏光フィルターの効果で映り込みが軽減されている事が確認出来ました。
ナンバー読み取り精度について
「622GWR」、「A810」とも、フロントカメラの録画解像度は4Kですが、4Kなりの精細感の高さが確認出来ました
リアに関してはにじみが強い画像である点が気になりました。
夜間のヘッドライトが反射した状態のナンバー認識精度も同様に非常に高いものでした。
夜間の明るさについて
夜間の市街地での明るさは、「622GWR」は明るさが調整出来る専用ビュワー、「A810」は明るさが調整出来る汎用ビュワーのVLCで補正した映像も合わせて比較しています。
明るい場所ではSONYのSTARVIS 2センサーを搭載した「A810」とそれほど明るさは変わりません。
暗い場所では、センサーの性能差が大きく出ており、「A810」とは大きな明るさの差が出ています。
景色の撮影について
景色の撮影能力については、60fps撮影が可能なフルハイビジョンモードで、VIOFOのA139と画質を比較しましたが、以下の理由により全くおすすめしないと言う結果になりました。
西日本LED信号の見え方について
「622GWR」のフレームレートは27.5fps出力となっていますので、LED信号の同期はないと考えられます。
駐車監視について
「622GWR」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
動画ファイルの再生方法について
動画の再生については以下の4つの方法をテストしました。
・スマホアプリでの再生
・PC専用ビュワーでの再生
・PC汎用ビュワーでの再生
本体ディスプレイでの再生について
ドラレコ本体での動画の再生は、液晶サイズが比較的大き目でデザインも箱型のスタンダードな為、ドラレコとしては見易い部類に入ります。
スマホアプリでの再生について
スマホアプリでの再生についてはストリーミングとスマホのアプリ内、またはアルバムにダウンロードしてから再生する方法があります。
ストリーミング再生でもカクツキは見られず、動画のダウンロードには1分当たり30~40秒程度の時間が掛かります。
ストリーミング、ダウンロード再生のいずれにおいても、動画を再生するとこのように走行軌跡が地図上に表示される仕様です。
PC専用ビュワーでの再生について
NEXTBASEの専用ビュワーはこちらからダウンロード出来ます。
こちらのビュワーにはVANTRUEと同様に、明るさ調整機能が実装されています。
その他の機能的には以下のようにドラレコのビュワーとしてはスタンダードなものでした。
・映像の拡大縮小~×
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整~コマ送りのみ
・明るさの調整~〇
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、スマホアプリの他に、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」、汎用ビュワーで明るさが調整出来る「VLC」での再生も可能でした。
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズ干渉に関しては、アルファード+サイバーナビの組み合わせで起動テストを行いましたが、フルセグがギリギリ映る場所で電源をオンにしても変化はありませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
Alexa機能について
最近はVANTRUEのElementシリーズ、N5、N4 Proなど、音声コマンドを認識するドラレコが増えつつありますが、 「622GWR」ではAlexaスキルを使って音声コマンドに対応しています。
設定からドラレコとスマホのAlexaアプリを連携させる事で、ドラレコの起動時にスマホ側もAlexaアプリが立ち上がるのですが、これがまた使い勝手がすこぶる悪いです。
以下対応コマンドを見て頂けると、なぜ使い勝手が悪いかお分かり頂けるでしょう。
なんじゃこりゃ?って感じのコマンドですよね。
インシデント検知機能について
本製品には事故を検知して保険会社などのアプリで指定したメールアドレスに事故発生メールを送信する機能があります。
ただし、こちらで試した限りにおいては、ドラレコを叩いて大きな衝撃を与えても指定したアドレスにメールは届きませんでした。
緊急SOS機能について
本機にはインシデント機能の他に、有料OPとして救急車を呼んでくれるSOS機能が採用されています。
ドラレコが事故の衝撃を検知→位置情報をオペレーターに転送?→救急車を手配、と言った流れなのかと思われます。
救急車が呼ばれるまでに何度かスマホに警告が出るそうですが、保険会社のドラレコにセットになっていそうな機能ですね。
「622GWR」の総評
最後に「622GWR」の総評ですが、4KモデルとしてはSONYのSTARVISセンサーを採用した70maiやVANTRUEの製品には夜間の画質で及ばず、価格面ではかなり割高です。
また、海外メーカーと言う事で景色撮影にこだわった製品に期待していましたが、こちらも全く使い物にならないと言う結果で、画質面では他社製品を差し置いておすすめする理由がありませんでした。
コメント