ステアリング(ハンドル)のセンターがずれている時に疑ってみるべき4つのポイントと対策

車のサスペンションを交換したり、縁石に乗り上げてしまったりするとアライメントが狂って車が真っすぐ走らなくなったり、ステアリングのセンターがずれてしまう事があります。

ステアリングのセンターがずれていても、車は真っすぐに走る状態であるケースもありますし、左右どちらかに曲がってしまう事もありますね。

また、アライメントが狂っていなくても社外品のステアリングに交換した際にもセンターがずれてしまう事があります。

私のコペン号は中古で購入した時から、真っすぐ走るもののステアリングのセンターが左にズレている状態でした。

中古車販売店さんには、納車前に治しましょうか?という打診があったのですが、この車はDIY整備のスキルアップの為に購入したという目的もある為、敢えてそのままの状態で納車してもらいました。

ステアリングのセンターがずれている原因

ステアリングのセンターがずれている主な原因としては次の4つが挙げられます。

中古で購入した車なのか、今まで自分が乗っていて縁石に乗り上げたり、足回りを交換したりなどの心当たりがあるかないかによって疑うべきポイントは変わってくるかと思いますが、ここでは中古で購入した車で以前の状況が分からないケースを想定します。

タイヤの空気圧は左右で大きなズレはないか?

左右のタイヤの空気圧の大きな差があると、ステアリングは空気圧が低い方に流れていきます。

車載のエアコンプレッサーなどで空気圧が規定値になっているか4輪チェックしてみましょう。

エアコンプレッサーがない場合にはガソリンスタンドで見てもらうか、シガーチャージャーから電源を取るものが安価で販売されています。

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4輪の空気圧の設定については、運転席のドアを開けた際にボディ側にシールなどが貼られていますのでそれを確認しましょう。

ステアリングを交換してズレてしまった可能性

車のステアリングを外したことがある方はご存知かとは思いますが、ステアリングは車両側のギザギザの軸に、ステアリング側のギザギザの軸受けを合わせることで固定されています。

このギザギザの目盛りが軸と軸受側で微妙にズレているとステアリングのセンターが合わなくなってしまいます。

分かりやすくにすると、左の軸に右のステアリングをはめるとセンターは左右のどちらかにズレてしまいますよね?

このギザギザの山はもっと細かいのでここまでは豪快にはズレませんが、ステアリング側の山の付き方によっては微妙にセンターがズレてしまう事がある訳ですね。

因みに私のコペン号の場合には純正のステアリングではあったのですが、とりあえずの応急処置としてステアリングを外して挿しなおしました。

 

ステアリングを外す手順は、エアバッグが誤作動しないようにバッテリーのマイナス端子を外してから、ステアリングの裏のボルトを緩めてカバーを外します。

コペンの場合にはボルトは緩むだけで下には落ちないようになっていました。

ホーンのカプラーを外したらセンターのナットを緩めます。

ここで完全にナットを外してしまわないようにします。というのは、ステアリングを引き抜く際に力任せにやると腰を痛めたり、ステアリングが顔面にぶつかって怪我をする可能性がある為です。

ステアリングを外す際は力任せではなく、裏から掌の固い部分で小刻みにトントン叩いてやると外れやすくなります。

ステアリングが外れたらここぞという位置に合うようにステアリングを入れ直しますが、私の場合には少しはマシになったものの、今度は若干右にズレてしまいました。(笑)

この後にサスペンションやその他の下回りのパーツを交換予定だったので、2度手間にならないようにとりあえず応急処置という事で。

足回りや下回りのヘタりや損傷はないか?

ステアリングの交換履歴がない車であれば、センターズレの原因は下回りのゴムやブッシュ類のヘタり、ロアアームの歪みなどが原因でステアリングのセンターがズレている可能性があります。

ヘタリや歪みがある場合にはスタビライザーの変形、スタビライザーブッシュ・タイロッドエンドブッシュ、ロアアームブッシュや、ロアアームの歪みなどをチェックしてみると良いかも知れません。

また、サスペンションが経年によりヘタっている事が原因となるケースも考えられますが、目視では分からないのでこの点は他の手を尽くして治らない場合に考えたらよいかと思います。

 

左右のホーイルベースの長さが極端に違うようなら、縁石などに乗り上げた事が原因でロアアームなどが大きく歪んでいる場合もあるようです。

各部位のチェック・交換方法は以下の通りです。

■ ロアアームの交換方法について

■ タイロッドエンドブーツの交換方法

■ スタビライザーブッシュの交換方法

これらをチェックしてみて異常がないようであれば、タイロッドの長さを調整する事でステアリングのセンターを合わせる事が可能です。

そもそもタイロッドって何?

タイロッドとは、車のステアリング操作を反映させる長さ調整が可能な棒状のパーツです。

車を上から見ると、タイロッドはドライブシャフトの前か後ろについています。(車種によって異なる)

ステアリングを左右に切ったときに、タイロッドは以下のような動きをしてタイヤの向きを変えます。

タイロッドがタイヤの後ろに付いている場合、右にハンドルを切ってタイヤを右に向かせると、タイロッドは左側の部分が長くなり、右側の部分が短くなります。(上図)

タイロッドがタイヤの前方に付いている場合にはその逆です。(下図)

・・・で、ハンドルのセンターがズレているという事は、ハンドルをセンターに合わせた状態で左右のタイロッドの長さが合っていないという事になります。

実物だとこんな感じですね。(タイヤの後ろについているケース)

タイロッドはタイロッドエンドにねじ込んだり、抜いたりする事で左右別個に長さの調整が可能です。

おそらく、自分の車を確認した方が分かりやすいので、ハンドルを目いっぱい左右に切った状態で裏側を覗き込んでみましょう。

タイロッドの長さの調整方法

タイロッドの長さを調整する方法は理屈的には簡単です。

タイロッドはセンターのブーツ側とアウト側のタイロッドエンドに挟まれて固定されています。

タイロッドエンド側にはタイロッドのネジ山が付いている軸受けがあり、指定の位置で固定されるように固定ナットが被さっています。

ジャッキアップしなくてもステアリングを目一杯切れば調整可能ですが、おそらく固定ナットが固着して動かせないケースの方が多そうなので、ジャッキアップしてタイヤを外した方が良いと思われます。

目印の線を入れておく

タイロッドの固定ナットを緩める前に、現在のタイロッドの長さを記録しておく為に、目印の線を入れておきます。

写真だと家にあったインクがあまり出ない修正ペンを使用した為分かりにくいですが、以下のようなものを使用すると良さそうです。

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固定ナットを緩める

これはナットの固着さえなければ大した作業ではないのですが、以下のナットをタイロッドエンド側をネジ山と考えて緩めます。(左右のタイロッドともに同様です)

その際にタイロッドエンドが供回りしないようにスパナなどで固定します。(供回りするとタイロッドエンドのボールジョイントを傷めるかも)

ただ、ナットが固着しているビクともしないと思いますので、タイロッドエンドを固定ているスパナの下にジャッキなどを入れて、固定ナットを緩めるレンチは足で踏んだ方が良いかも知れません。

私はその方法で緩める事が出来ました。(もちろん、潤滑スプレーは吹いた)

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タイロッドを回転させて長さを調整する

次にタイロッドの長さを調整する為に、タイロッドそのものを回転させます。

回転させる方向は長くしたいなら以下の図の方向です。(これは左右のタイロッドエンド同様で、右でも左でもタイロッドエンドを手前に見てこの向きです)

短くしたいならその逆です。

で…長さを変える前に今の自分の車がどうなっているのか把握しましょう。

ステアリングのセンターが左にズレている場合

ステアリングのセンターが左にズレている場合には、ステアリングを真ん中にした時にタイヤが右を向きます。

ようは…この状態だとタイヤが真っすぐなのですがら…

ステアリングのセンターを真ん中にした状態だとタイヤは右を向きますよね?

その状態というのは、タイロッドがタイヤの後ろにある場合には以下の図のようになっています。

この場合は左のタイロッドを短く、右のタイロッドを長くする必要があります。

 

 

タイロッドがタイヤの前にある場合にはこうなっている筈です。

この場合は左のタイロッドを長く、右のタイロッドを短くする必要があります。

ステアリングのセンターが右にズレている場合

ステアリングのセンターが右にズレている場合には、ステアリングを真ん中にした時にタイヤが左を向きます。

その状態というのは、タイロッドがタイヤの後ろにある場合には以下の図のようになっています。

この場合は左のタイロッドを長く、右のタイロッドを短くする必要があります。

 

タイロッドがタイヤの前にある場合にはこうなっている筈です。

この場合は左のタイロッドを長く、右のタイロッドを短くする必要があります。

 

左右同じ分だけ長さをいじらないと今度はトー角が狂ってタイヤの向きが上から見てハの字型になったり、その逆になりますので、左右のタイロッドを回す角度が同じだけになるように注意しましょう。

1回転もさせるとかなりセンターが動きますので、90°程度(1/4回転)で一度試運転をした方が良いと思います。

90°動かした時のセンターの変わり方で、次にどれくらい動かせば良いか分かると思いますので、一発で決まらなくても2回目にはセンターは合うようになるかと思います。

そもそも最初からトーが合っていなかった場合

車が直進せずに、足回りや下回りに損傷やヘタリがない場合には「トー角」が狂っている可能性があります。

「トー角」というのは進行方向に対してのタイヤの角度で、ハの字型の場合がトーイン、その逆がトーアウトと呼ばれています。

上図のトーインの状態の方が直進性が増すので、新車の状態だとほんの少しトーインになっている車も多いようですが、あまりにもきついトーインやトーアウトになっているとサイドスリップテストに落ちて車検には通らないので修正が必要になります。

■ 車検のサイドスリップ検査とは?1発合格するためのポイント

1メートル走行する間に5ミリ以上ズレたらアウトという事ですね。

例えばタイヤの直径を計ってみて、それが仮に1メートルであった場合、タイヤの前面と後面の左右の距離の差が5mm程度であれば許容範囲となるかと思います。

タイヤの直径が50センチでれば、2.5mmくらいですかね。

因みに私のコペンの場合には許容範囲が3mm程度のところ、7mmくらい差がありトーインが強すぎたので調整しましたが、これもタイロッドの長さの調整で行いました。

DIYだと正確には計れませんが、メジャーでタイヤの溝を起点として前後の距離を測りました。

メジャーをしならせないようにして真っすぐにピンと張らないと余裕で1cmくらいズレるので注意が必要ですが、何回か図った結果、コペンのタイヤはこんな状態でトーインでステアリグのセンターもズレている状態でした。(その前にサスも含めて、足回りのブッシュ類は全て交換)

左側を長く、右側を短くするのですが、同じだけ調整しても大きくトーインなので、何回かテストした後に左側を180°分長く、右側を270°分短くしたところでトー角がゼロになりました。(本来は若干トーインが良いようですが)

ステアリングのセンターのズレのまとめ

以上、ステアリングのセンターがズレている際のチェックポイントと対策をまとめてみました。

各種パーツの交換は手間やお金が掛かりますので、とりあえずセンターが合えば良いと考えている場合にはタイロッドの長さの調整だけでもやってみては如何でしょうか?

本気で治したい人はその他のブッシュ類の交換もおすすめです。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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