サイドスリップとは何か?
サイドスリップとは直進走行時のタイヤの横滑りのことを指します。
タイヤは進行方向に対して垂直に向いていると思っている方も多いかと思いますが、実はほとんどの場合垂直にはなっていないのです。
なぜタイヤは進行方向に対して垂直ではないのか?
タイヤの向きはたいていの場合進行方向に対して垂直ではなくハの字や、逆ハの字になっています。
このタイヤの向きのことをトーと呼びます。
進行方向に対してハの字になっているのがトーイン、逆ハの字がトーアウトといいます。
サイドスリップはこのトーを調整することによって行います。
サイドスリップは車両ごとにメーカーで適正値を設定しています。
これはサスペンション形式など様々な条件によって変わってきます。
タイヤが横に滑らない、サイドスリップ0の状態が直進の抵抗が少なくて一番良いのでは?と思う方も多いでしょう。
もちろんそれが一番良い場合もありますが、全てがそうではないのです。
これはタイヤの摩耗と関係しています。
サイドスリップが0だとタイヤが偏摩耗しやすいのでそれを防ぐためにあえてサイドスリップをインやアウトにしているのです。
そうすることでタイヤをなるべく均一に摩耗させてタイヤを長持ちさせることができるのです。
サイドスリップに関する保安基準
保安基準第91条
自動車のかじ取装置の強度、性能等に関し、保安基準第11条第一項の告示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。
一 自動車のかじ取装置は、堅ろうで安全な走行を確保できるものであること。この場合において次に掲げるものはこの基準に適合しないものとする。
~中略~
四輪以上の自動車のかじ取車輪をサイドスリップ・テスタを用いて計測した場合の横すべり量が、走行1mについて5mmを超えるもの。
ただし、その輪数が4輪以上の自動車のかじ取り車輪をサイドスリップ・テスタを用いて計測した場合に、その横滑り量が、指定自動車等の自動車制作者等(自動車を製造することを業とする者又はその者から当該自動車を購入する契約を締結している者であって当該自動車を本邦に輸出することを業とするものをいう。)がかじ取り装置について安全な走行を確保できるものとして指定する横滑り量の範囲内にある場合にあっては、この限りでない。
国産車の場合、サイドスリップが1mにつき5mmを超えてはならないということです。
輸入車の場合は、自動車メーカーの定める基準値内であれば1mにつき5mmを超えても良いとされています。
測定するのは前輪のサイドスリップのみで後輪のサイドスリップは5mmを超えても検査には問題ありません。
5mmというのは0±5mmです。サイドスリップがインでもアウト(内側に滑るか外側に滑るか)どちらでもOKです。
サイドスリップはどのように検査を行うのか?
検査場の検査ラインには進入線が引いてあり、それと垂直になるよう左右に2枚の鉄板が検査ラインの床に埋め込まれるかたちで設置されています。これがサイドスリップテスターです。
その鉄板の上を通過する際にサイドスリップの検査が行われます。
サイドスリップ検査で落ちないようにするには?
- <liサイドスリップテスターの上を通過する際は決してハンドル操作を行わないこと。ハンドルを切ると落ちます。
- 進入線に対して斜めに進入しないこと。前輪を進入線に合わせてハンドル操作を行う。後輪も前輪と同じ進入線に合わせようとしなくて良い。
- 空気圧を適正にする。空気圧が不足しているとタイヤの横滑り量が多くなるため。
テスター屋さんに持ち込んで調整してもらう際の料金の目安
- サイドスリップ調整の料金は2000~3000円程度
- 測定だけで済めば500~1000円程度
持ち込む前には空気圧を適正(またはそれより少し多いくらい)にしておきましょう。
ハンドルをどちらかに切らないとまっすぐ進まない(ハンドルのセンターがずれている)場合はどちらにどれくらいずれているかを申告します。
申告すればそれに基づいてなるべくセンターに近づくように調整を行い、申告しなければハンドルのセンターは変わらないように調整します。
(ライター:自動車整備士 SkyLight)
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