※2018年2月15日~実機レビューを追記しました。
AUKEYから500万画素、「2880×2160/24fps」の高解像度の録画に対応したドライブレコーダー「DR02J」が発売されています。
「DR02J」は最新のCMOSセンサー「Aptina AR0521」を搭載しているのが注目のポイント!
「2880×2160/fps」の録画解像度のモデル自体は、2017年にアーキサイトから「X-RUN M7」というモデルが発売されていますが、このモデルはCMOSセンサーが400万画素であった為、メーカーの公称スペックは「2560×1440」というものでした。
因みに「2880×2160」の解像度で画質を落とさずに録画を行う為には622万画素のCMOSセンサーが必要になりますので、500万画素のCMOSセンサーは折衷策によるチョイスであったのかも知れませんが、いずれにせよ「DR02J」に使用されているCMOSセンサーは米Micron社の「Aptina AR0521」という2018年発売のCMOSセンサーが使用されていますので、個人的には興味深いモデルではあります。
因みにこの「Aptina AR0521」というCMOSセンサーは1/2.4のドライブレコーダーとしては現行最大サイズとなっており、従来の1/3.0、1/2.7のC MOSセンサーに比べると一格上の明るさや表現力が期待できます。
そもそも私自身「Aptina」ブランドのCMOSセンサーを搭載したドライブレコーダーを使用した記憶がないので(公表されていないだけで実はテストしたモデルの中にあったかも知れないが)、画質の特徴がどんなものであるのか興味深々です。(事前情報では夕方の明るさが素晴らしいとの事)
海外でも「Aptina AR0521」の登場は結構話題になっているようで、もともと「Aptina」のCMOSセンサーは200万画素の「AR330」でドラレコ業界に先行して導入され、その後Omnivisonの400万画素「OV4689」、SONYの「IMX322/323」にシェアを奪われた為、巻き返しの為にMicron社が「Aptina AR0521」を投入してきたという様な記事が見られました。
SONYと比べてMicronはブランド力に欠ける為、巻き返しが可能かどうかは不明であるとの見方もあるようです。
個人的には今後のドラレコ市場のCMOSセンサーのトレンドはスタンダードのフルハイビジョンモデルではSONY「IMX323」、夜間特化型としてはSONYの「IMX291」、高解像度モデルではOmnivison「OV4689」、Aptina「AR0521」が柱になろうかと予測しています。
まあ、基本的には「AR0521」は「2560×1440」での録画を前提としたCMOSセンサーなので、クラス的には現状のハイエンドモデルの域からはみ出すものではないと考えていますが、今後のグローバルでのドラレコの売れ筋パーツ構成を左右しそうなモデルである事は間違いないでしょう。
おそらく…ですが「DR02J」の「J」は日本向けの記号で、従来はグローバルメーカーは海外で販売→日本へ導入という流れが多かったのですが、AUKEYは日本市場をかなり重視してきているようで、日本で売れた実績でもって海外展開につなげる方向性なのかと推察されます。
3~4年前までは日本のドラレコ市場の規模が小さかった為に日本での展開が遅れがちでしたが、最近では日本市場を重視しているメーカーが増えていますので、海外モデルを遅れて日本で発売する方法はそろそろ通用しなくなるかも知れませんね。
「DR02J」のスペック
「DR02J」のスペックは以下の表の通りです。
DR02J |
---|
18.02発売 |
2880×2160/24fps 2560×1440/30fps 2304×1296/30fps 1920×1080/60fps 1920×1080/30fps |
LED信号対応 |
レンズ視野角 水平110° |
WDR |
microSD付属なし |
最大128GB |
GPS OP AUKEY GM-32 |
駐車監視モード |
動体検知orタイムラプス |
手動起動 |
専用ケーブルなし |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
基本的には解像度以外の面においてはAUKEYの他のモデルと同様です。
レンズ視野角が水平110°というのが気にかかる点ではありますが、実際の撮影動画については後日レビューを追記します。
「DR02J」のレビュー
「DR02J」を実際にテストしてみましたので実機レビューを追記します。
デザインとサイズは「DR02」と同様
「DR02J」は他の「DR02系」と全く同じ筐体を使用している為、デザインやサイズ・設置方法も同様となります。
付属品は2ポートのUSBシガーチャージャー・USB-A to miniUSBケーブル・マウント類・配線止めとなります。
最近はコムテックなどもこのデザインを採用して来ていますが、レンズがフロントガラスに近づく為、ガラスへのダッシュボードの映り込みを軽減できるのがメリットですね。
インターフェイスについて
インターフェイスに関しては他の「DR02系」と同様で、グローバルモデルとしては比較的分かり易い仕様です。(ただし、ドラレコ初心者の方の中には非常に分かりにくいと感じる方もいるようです)
なお、操作系に関しては以下のページで詳しく説明しています。
■ AUKEYドライブレコーダー「DR02/DR02D」の修正モデル発売
まあ、国内メーカーのモデルに比べると分かりにくい部分もありますので、ドラレコ初心者で機械系が苦手な方は国内メーカーのモデルを選んだ方が無難かもしれません。
GPSユニットについて
GPSユニットについてはおそらく同社の「GM-32」が対応品となりますが、日本国内では欠品状態になっているようです。
駐車監視の仕様について
駐車監視についても「DR02系」と同様で、手動による動体検知・タイムラプスとなります。(作動中に衝撃検知を行うとファイルロックを行うが、感度は走行中と同様)
専用の常時電源ケーブルがないようなので、モバイルバッテリーなどの外部電源との併用が前提となります。
詳しくは「DR02D」の駐車監視の項目を参照してください。
■ AUKEYドライブレコーダー「DR02/DR02D」の修正モデル発売
録画視野角と画質について
「DR02J」の録画視野角は、レンズ段階で水平110°との公称スペックですが、録画視野角水平120°のユピテル「DRY-ST7000c」と比較した結果、ほぼ110°の水平録画視野角が確保されていました。
気になる画質についてですが、「DR02J」の最大のセールスポイントである「2880×2160」での精細感を比較した結果、ユピテルの「2560×1440」モデルの「DRY-ST7000c」よりも劣ると感じています。
また、「DR02J」の「2560×1440」と「2880×2160」の録画モードの精細感の差は体感出来ませんでした。
動画をフルハイビジョン~4Kのモニターで比較してみると、「DR02J」の動画にはデジタル的な微細なにじみが出ている印象で、これはレンズの歪みや焦点距離などの問題ではなく、おそらくハードウェアのスペックの限界かソフトウェアの調整不足ではないかと感じます。
まあ、一言で表現すると「DR02J」の動画を見た後に「DRY-ST7000c」の動画を見ると、「DRY-ST7000c」の方がクリアでパキッと映っているという印象です。(スマホの画面で見る限りは分からないかも知れません)
以下動画で後半は3秒ごとに「DR02J」と「DRY-ST7000c」の映像を入れ替えています。
「DR02J」はHDR補正は掛けていませんが、F値1.8のレンズ・1/2.4のCMOSセンサーを使用している事もあり、白飛びや黒潰れには比較的強いという印象です。(白飛びに関してはHDRモデルに分がある)
屋根付き駐車場などでは「DRY-ST7000c」よりも全体が明るく映っています。
「DR02J」に使用されている「Aptina AR0521」というCMOSセンサーは、夕方が明るいという海外での評判でしたが、
「DRY-ST7000c」と比較したところ、「DR02J」の方が明るめではありますが、劇的に明るいというレベルではないと感じました。
因みに「DRY-ST7000c」は高精細でバランスの取れた良モデルだと思いますが、業界の平均値と比べると昼間の屋内駐車場での明るさ、夕方の明るさが物足りないと感じていますので「DR02J」の明るさが最近では標準レベルになるつつあるかと思われます。
以下、「DRY-ST7000c」と他のモデルとの比較映像です。
ケンウッドの「DRV-610」よりもやや明るめ、パパゴの「GoSafe 520」よりも暗めと言った感じですね。
夜間に関しては「DRY-ST7000c」と同等程度の明るさですので、ドラレコ全体の中では明るめのモデルと言えるかと思います。
また、WDRながら対向車のヘッドライトの絞りはそこそこ効いているようですので、CMOSセンサーのダイナミックレンジはかなり広そうだという印象を受けました。
Omnivisonの400万画素「OV4689」のWDR仕様のドラレコよりも、Aptinaの500万画素「AR0521」のWDR仕様の方が素の状態でのダイナミックレンジは広いかも知れません。(レンズが違うので単純比較は出来ませんが)
なお、当機の画質については以下のモデルとも比較を行っています。
「DR02J」の総評
冒頭でも説明した通り、「DR02J」は最新の500万画素のCMOSセンサー「AR0521」を使用している事が注目のポイントでした。
因みにCPUが載っているチップセットはNovatek社の「NT96660」と説明書に記載があります。
「AR0521」+「NT96660」+「F値1.8のレンズ」の組み合わせで、録画視野角は水平110°程度となります。
なお、同社の一格下のモデルである「DR02」の方は、同じチップセットを搭載しており、ソニーの「IMX323」+「NT96660」+「F値1.8のレンズ」の組み合わせで、録画視野角は水平107~108°程度です。
今回のテスト結果としては「DR02J」よりも「DR02」の方が評価が高くなりますが、その理由は500万画素のCMOSセンサー「AR0521」の性能が低いからという事ではなく、調整不足と感じる点があったからです。
「IMX323」+「NT96660」の組み合わせはドラレコ業界ではかなりスタンダードになっていますので、ソフトウェア的にもどう処理をしたら高精細で明るい動画が保存できるかというノウハウも一般化されていると思うのですが、「AR0521」+「NT96660」の組み合わせはほぼ新規のチャレンジになったかと推察されます。
それが遠因となって「2880×2160」モードでの精細感が、ユピテルの「DRY-ST7000c」の「2560×1440」の録画モードよりも落ちるという結果となっているのではないかと感じました。
まあ、価格的な面では「DRY-ST7000c」とは2倍近くの差がありますし、コスパは高いと思いますが購入を検討しているユーザーとして、最終的には下位モデルの「DR02」と比べてどうかという話にもなってくるかと思います。
「DR02」との比較では文字認識精度は「DR02J」の方が高いと思いますが、感覚的には劇的に…というレベルではないと思いますので、コスパ重視で考えるなら「DR02」の方がおすすめし易いですね。
■ AUKEYドライブレコーダー「DR02/DR02D」の修正モデル発売
ただし、「AR0521」の基本性能の高さは体感する事が出来ましたので、AUKEYさんには今後のソフトウェア部分での研究・改善を期待したいと思います。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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