※2021年3月19日更新~首都高の山手トンネルでの挙動について動画を追加しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
前回はパイオニアの「DMH-SF700」を用いてCarPlay全般の使い勝手についてレビューしていますが、今回から個別にカーナビアプリのレビューを実施します。
初回はスマホナビアプリの中で私の使用頻度が最も高い「Google Map」からです。
この記事をご覧になっている方はCarPlay対応のカーナビやオーディオの購入、または搭載済みの車両の購入を検討されている方かと思います。
今まではメーカー純正のカーナビや市販のナビを使って来たが、カーナビ機能を「Google Map」に100%依存しちゃっても大丈夫なのか?そう言った方をターゲットにしてこの記事を書いています。
「Google Map」のカーナビ機能の特徴
まずは「Google Map」のカーナビ機能そのものの特徴ですが…
私は都内の一般道・首都高・地方の高速道路・地方の一般道路などで普段からスマホの「Google Map」アプリを使っています。
渋滞回避機能などは優秀ではあるものの、首都高を途中で降ろされて「次のランプで乗れ!」みたいな案内をされる事もあります。
しかも全体の行程が把握しにくい画面構成の中での案内だったりするので、走り慣れない道を走行している際にはついついその案内に従ってしまいます。
また、レーン表示なども分かりにくく精度も怪しいので、分岐の為に2つ以上の車線超えなければならないシチュエーションに頻繁に遭遇する首都高ではあんまり使いたくないです。
こちらはケンウッドの彩速ナビですが、こう言う表示に慣れてしまっているとちょっと…と言ったところですね。側道を降りる時などは滅茶苦茶分かりにくいですし。
一方で都内の一般道では高い渋滞回避能力を感じる場面もあり、田舎道では概ね使い易いものの、たまに車がすれ違えない道に連れて行かれる事もありますので、「Google Map」の案内の特徴を把握していないと快適には使えないと感じています。
この部分はCarPlayとは関係のない部分ですのでCarPlayでの「Google Map」の運用を検討されている方は、まずはスマホアプリでその案内特性が自分に合っているか試してみましょう。
※つい最近ですが、このような車が一台ギリギリ通れるかどうかの狭い道にも連れて行かれました。
「Google Map」を使ってみると、一般的なカーナビの案内がいかに分かり易く、走りやすい道を選び、そして道を間違えないようにさせる為の仕掛けが多いかという事に気が付くでしょう。
「CarPlay」の「Google Map」の使い方
「CarPlay」の「Google Map」を起動させる方法にはこちらの2つがあります。
②Siriによる音声操作
個別の環境による不具合?
起動の際には一つ注意点があります。
これは私がテストに使用した「dmh-sf700-review」の問題、またはiPhone 7(iOS13.7)、接続に使用しているライトニングケーブルの問題である可能性もありますが、スマホで先に「Google Map」を起動させた状態から、「CarPlay」の「Google Map」を起動させないと、音声案内が「プッ!」という電子音になってしまいます。
iPhone 7のGoogle Mapの設定はこちらの通りで、特にバックグラウンドでの動作に制限はしていません。
iPhoneとCarPlay側の音声の設定についても常にONのままです。
このような場合には原因の切り分けが困難ですが、まずはカーナビ・オーディオの製造元に確認すべきなんでしょうね。
※何度かiOSのバージョンアップを重ねているうちに、いつの間にかこの症状は改善されています。
設定項目
アプリを起動して画面をタップするとこの様に右側に歯車アイコンが出てきます。
こちらをタップするとスマホアプリにも存在するこちらの6つの設定項目が選べます。
目的地の設定
目的地の設定はSiriによるアプリ起動前からの指定、キーボード入力、アプリ内部での音声検索、その他の事前登録ポイントからの選択が可能です。
ルートが複数ある場合はボタンチェックで選びます。
※Siriはスマホのアプリを先に起動させておけば、目的地提案まで可能でした。
ピンチ系の操作は出来ず、地図から目的地は選べない
これは「Google Map」に限った事ではなくCarPlay対応のカーナビアプリ全般に言える事ですが、CarPlayの安全面を重視する基本コンセプトに従った仕様の為か、地図画面をピンチ系の操作で自在に拡大・縮小したり、地図から目的地を設定する事は出来ません。
地図の操作はフリックやドラッグ、アイコンで行います。(ここは一昔前のナビみたいですね)
地図から目的地を設定するが出来ませんが、予めスマホで目的地を保存しておく、または複数の経由地を設定した上で案内も開始させてしまう、というような使い方をする分には通常のカーナビよりも便利だと感じます。
経由地の追加
経由地の追加についてはこちらの手順で行います。
案内中に地図部分をタップ→「経由地を追加」をタップ
経由地の場合には選択出来るアイコンが異なり、こちらの6種類となります。
個人的には「保存済みの場所」をこちらにも残して欲しかったです…。
こう言った形で追加できますが、目的地の並べ替えは出来ず直近の経由地として登録されます。
複数の経由地を追加する場合には、スマホのアプリを操作した方が良さそうです。
案内画面は2パターン
案内画面はCarPlayの仕様に依存し、アプリのみの大画面と分割のダッシュボード表示が選べます。
表示されている情報はどちらも同じです。
また、設定から視点をヘディングアップ、ノースアップのいずれかを選択可能です。
ただし、ダッシュボードの分割画面だけをヘディングアップ、アプリのみの大画面だけをノースアップなどのような設定は出来ず、どちらも一括して表示が切り替わります。
個人的には大画面はノースアップの、ダッシュボードの分割画面はヘディングアップ、という設定が可能だと嬉しいのですが。
iPhoneからの乗り換えだと凄く良い!
私は車によって使用するナビを使い分けており、サイバーナビ・彩速ナビと並行してスマホの「Google Map」も使い続けています。
結論としては既にスマホで「Google Map」を使っている方であれば、大画面表示+メディア切り替えの際の操作性の良さ、などから高い満足感が得られるのではないかと思います。
一方で一般的なカーナビからの乗り換えを検討されている方は、いきなりだと「Google Map」の便利機能を使いこなせない可能性もある上、癖のあるルート案内に嫌気がさす可能性がありますので、まずはスマホで「Google Map」を使いこなすところから始めた方が良いでしょう。
私個人的にはメディア再生アプリとの連携性が非常に高いので、「CarPlay」+「Google Map」の組み合わせにはそこそこ満足出来ています。
外付けGPSと車速パルスについて
ここまでにCarPlayのGoogle Mapは以下の2つの製品での挙動を確認しています。
・ATOTOの「SA102」:外付けGPSアンテナなし、車速センサー吸出しなし
同じ場所で挙動を比較した訳ではありませんが、トンネル内では「DMH-SF700」と比べると「SA102」の測位ロストが目に見えて早く、「DMH-SF700」では明らかにGPSの測位が出来ていないであろう長いトンネル内でも、多少の位置ずれはあるものの完全に測位ロストした事はありません。
※「DMH-SF700」も通常の長いトンネルなら大丈夫ですが、首都高の地下道では死亡しました(笑)この件については最後に解説します。
一方でYahoo!カーナビの場合には、外付けGPSアンテナあり・車速センサー吸出しありの「DMH-SF700」でも、「SA102」のGoogle Mapのようにトンネルに入ると比較的早い段階で測位ロストします。
因みに2019年11月のYahoo!カーナビに関する記事では、アプリが車速パルスを受け入れない仕様とあります。
現状ではアプリとして車速パルスを受け入れらる仕様にはなっておらず、(それを超えるには)何らかの技術革新が必要かも知れない。アップルには車速パルスを使いたいとの意向は伝えてある」と述べた。
ただし、Google Mapを見る限りではCarPlay自体は車速パルスを使えているような挙動を示していますので(これは外付けGPSの恩恵かも知れないが)、Yahoo!カーナビが車速パルスを使えないだけ?のような気がしています。
従ってこの手のガジェットを選ぶ際には、価格だけでなく外付けGPSアンテナと車速センサー吸出しに対応しているかどうかも考慮した方が良いでしょう。
「DMH-SF700」でも首都高のC2池袋からの地下道ではほとんど死亡!
首都高のC2は池袋から品川辺りまで延々と地下道が続き、途中で中央道、東名道への地下分岐があるのですが、「DMH-SF700」では車速センサーが生きているのでGPSロスト後も車の位置は動くものの、その後の自車位置の修正機能がポンコツで、ロスト初期には側道を走ってる事になっていましたが、だんだんと実際の位置からのズレが大きくなり、全くナビとしての役割を果たさなくなりました。
どんだけズレてんだって(笑)
初ロストの地点が西池袋の少し手前なので500mくらいはズレてなかったのですが…
一度ズレた後は東名に乗るために池尻辺りで地上に出るまでの9キロはリカバリー出来ませんでした。
ヒェエ…恐ろしや。
他の高速や一般道ではこのような現象は確認できた事がありませんが、周囲に道が多いような長いトンネルでは測位がズレる事があるかも知れません。
GPSをロストした時の位置修正のアルゴリズムが市販のカーナビに比べるとかなりのポンコツっぷりです。天下のGoogle様もこういうノウハウはお持ちでないんですね。
お持ちのビッグデータを活用すれば簡単に直せそうな気がするんですが…ヤル気ないんですかね(笑)
以下の動画ではATOTOの「SA102」とパイオニアの「DMH-SF700」の首都高山手トンネルでの挙動を比較しています。
2022年5月25日のテストでも、同様でした。
これはGoogle Mapアプリ側の自律走行に関するアルゴリズムを修正しなければ、改善されないでしょう。
コメント
こんにちは、いつも丁寧なレビューおつかれさまです。
私事ですが今度の新車はトヨタのディスプレイオーディオ(DA)が標準で装備されており、社外品のナビなどを選択しにくい状態になっています。以前Omiさんもどこかで書いてらっしゃったと思うのですが、こういうユーザーの選択を奪うようなやり方にはかなり疑問を覚えますね…。
それはともかく、仕方がないのでDAにオプションでインストールする純正のナビを使うことにしました。
一応DAにはトヨタ純正ナビだけでなく、CarPlayやAndroidAutoを使う機能もあり、便利であればそちらも使っていこうかなと考えています。
私はスマホがAndroidなのですが、GoogleMapを使うという点では共通していると思いますので、Omiさんのレビューは大変参考になりました。
ただGoogleMapを使う上で一つ心配事がありました。これまでの普通のナビでは車の車速やコンパスなどから自車の位置を把握できるのでGPS電波が届かないトンネルや地下道でもかなり正確に案内し続けられていたと思うのですが、CarPlayやAndroidAutoではGPS電波での位置情報把握のみとなっているのでしょうか?
だとすれば、地下に潜ったり出たりを繰り返す首都高や長いトンネルの多い道では自車の位置を見失ったりしませんか?
本文中でも首都高などではあまり使いたくない、との言葉がありますが…
私は地方住みなのであまり普段はあまりそういった複雑な道や渋滞回避などの状況に遭遇することはないのですが、年に数回関東や関西方面に出向いたりもしますので、そういったときに頼りになるか、ちょっと心配です。
ぷれち様
トンネル内で改めてテストはしてないですが、スマホ側の仕様に依存するみたいです。
加速度センサーありの場合には結構正確みたいですね。
CarPlay、Android Autoの場合には筐体側に入ってきている車速センサー情報が測位に生かされれば自車位置を見失う事はないと思いますがどうでしょう。
首都高に乗る時は普通のナビならあまり次の分岐に気を遣わない事も多いですが、GoogleMapだと常に標識や車線の状況に気を遣いながら走る感じになりますね。
30年前のナビなし時代に、地図を片手に太陽の位置を見ながら走っていた事を考えると便利ですが、便利なものに頼ると人間の機能はかなりダメになりますね(笑)
ご返信ありがとうございます。
なるほど、スマホにも加速度センサーなどが搭載されている場合は、Google Mapはそれを活用して位置を推測するのですね。
確かに車側のセンサー情報をディスプレイオーディオ側で取り入れてくれれば、通常のナビと同じように正確な位置がわかると思うのですが…。
私の場合は、昔のガラケーのしょぼいナビを頼りに知らない道を行こうとしたら案内が遅すぎて逆に迷ってしまった経験があります。
確かに今はカーナビがついてない状態で知らない場所へ行こうと思えなくなってますし、文明の利器は人間を堕落させますね(笑)
ぷれち様
9月末に埼玉から大阪に車で往復するので、その際にCarPlay、Android Auto試してみますよ。
毎回一般道ではGoogle Mapを使う事が多いんですけどね。
前はiPhoneを彩速ナビにミラーリング出力してました。
Yahoo!カーナビのレビューもやってほしいです。
tobetchi様
ざっくりテストはしています。
https://car-accessory-news.com/carplay-yahoo-carnavi/
「DMH-SF700」との組み合わせではトンネル内で位置を見失いました。
ディスプレイオーディオの購入検討をし始め貴サイトを拝見するようになりました。
GoogleMapもしくはAndroidAutoで自立航法機能を持つものを探しています。
クラリオンのTY-1000A-Bが対応しているとのことですが、貴サイトで紹介されている
AndoroidOS搭載カーナビ、ディスプレイオーディオのなかで自立航法機能を持つ物が
あるようでしたなら教示いただければ幸いです。
ATOTO 「A6」実機レビューでは”車速パルス信号線”が生えていないとのことでしたので
ATOTO 「A6」は自立航法機能に対応していなさそうな事は分かったのですが。
よろしくお願いいたします。
Takota様
ATOTOの製品もパイオニアの製品も自立航法機能はサポートされてないですね。
そもそも「Apple CarPlay」「Android Auto」に自立航法機能が適用可能とは知りませんでした。
パイオニアのは車速パルスは吸いますが、ジャイロ・Gセンサーの情報は反映されてないと思います。
https://youtu.be/xfetYk0n8w0
後は可能性としてはアルパインですが、こちらは未使用の為不明です。
Takota様
自立航法機能はOSとアプリの仕様にも左右されそうですが、クラリオンのTY-1000A-Bはapple map使ってますよね。
Google Mapだと反映されない可能性もあるかと思います。