※2023年11月14日更新:実機レビューを終了しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
ケンウッドから2023年向けの新型スマートミラー「DRV-EM4800」が発表されています。
同社のスマートミラーは過去に2021年モデルの「DRV-EM4700」をレビュー済みですが、以下のような最悪の最終評価でした。
「DRV-EM4700」のスマートミラーとしての評価は
・ディスプレイが暗く反射に弱い・ぼんやり滲んた感じの映像・1秒ごとにフレームスキップの為のカクツキが出る・ヘッドライドの防眩能力が弱い・夜間の明るさも弱いと、全く良いところがありませんでした。
ここまでは事前の想定の範囲内でしたが、1日使用しただけで壊れた上に、ほぼ初期不良であるにも関わらず発送時の送料はこちら持ち、という日本メーカーのお手本のような対応をされました。(もちろん嫌味です)
従って総合評価では
・スマートミラーしての画質が悪い・品質が悪い・サポート対応も悪い・中華メーカーの企画に乗っただけで、ケンウッドとしてのオリジナル要素が何一つない・その割に保証が1年と短い・価格が高いとなります。
今回発表されている「DRV-EM4800」で、ケンウッドは汚名返上出来るでしょうか?
「DRV-EM4800」のスペックと特徴
「DRV-EM4800」のスペックは以下の表の通りです。
DRV-EM4800 |
---|
12型IPS液晶 |
フロント:1920×1080/28fps リア:1920×1080/28fps |
LED信号対応 |
録画視野角 フロント:水平133° リア:水平133° |
microSD付属32GB/最大128GB |
GPS外付け付属 |
リアカメラケーブル9.8m |
駐車監視モード |
衝撃検知/自動起動 |
OP駐車監視ケーブル CA-DR550 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
仕様上の数値だけを見ると、前後カメラとも録画が視野角が水平133°の超広角となっており、他社製品と比較するとドラレコ機能に特化しているように見受けられます。
また、前後カメラともセパレート型となっており、背面の接続を隠す構造は最近のスマートミラーの流れを踏襲したものとなっています。
また、最近のスマートミラーの必須機能になりつつある、リアカメラ映像の拡大・縮小機能も実装されています。
見掛け上の機能・仕様の面では他社製品に劣っている部分は見られませんので、スマートミラー画質が改善されているようであれば「買い」と言えるかも知れません。
サンプルは既に発注済みですが、9~10月は少し忙しく、レビューは11月以降になるかも知れません。
付属品とデザインについて
今回は「DRV-EM4800」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・車内専用フロントカメラ
・車内専用リアカメラ
・リアカメラ接続ケーブル(9.8m)
・シガー電源ケーブル(miniUSB)
・GPSアンテナ
・32GBのmicroSD
・ゴムバンド長短
・クロス
・取扱説明書
本機は中国製の1年保証です。
ミラー型筐体
ミラー型筐体のデザインは正面は一般的な12型ディスプレイですが
背面はNEOTOKYOのミラーカムと同様にコネクタの接続部を隠せる仕様となっています。
液晶の電源を落とすと通常のミラーとして使えるように、そこそこ反射はするようになっていますので反射が気になる方は反射防止フィルムなどで対策しましょう。
本体下部にはスタンダードな1ボタン、このボタンで液晶表示、または電源のON/OFFを行います。
上部にはminiUSB電源端子、リアカメラ入力端子、microSDカードスロットが配置されています。
フロントカメラ・リアカメラ
フロントカメラ・リアカメラはこのようなガラス貼付け専用タイプで、前後に首振りが可能です。
リアカメラ接続ケーブル
リアカメラ接続ケーブルは電源ケーブルを兼ねたターミナル型で、フロントカメラ・リアカメラ・GPSアンテナを集約して本体にType C端子で接続します。
GPSアンテナ
GPSアンテナはこちらの両面テープタイプです。
電源ケーブル
電源ケーブルはこちらのシガープラグタイプが付属します。
取付けについて
今回は30系アルファードに「DRV-MR4800」の取付けを行いました。
この車には既にMAXWINの「MDR-A002A」が付いていますので、比較の為にスマホ用のステーを加工して「DRV-MR4800」を下に並べる形としました。
この製品は純正ミラーに被せるタイプですので、取り付け手順は一般的な2カメラドライブレコーダーと変わりません。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。
インターフェイスについて
「DRV-MR4800」の電源ONから録画開始までの起動時間は9秒程度と、2カメラドライブレコーダーとしては標準的です。
この起動音は大小様々な中華メーカーで採用されているフリー素材のようなものですので、かなり手抜きしているなぁという印象を受けました。(先代からですが)
初期状態で画面に表示されている情報は、録画状態を示すアイコン、その他の状況を示すアイコン類、カレンダーとなっています。
これらの表示項目のうち、アイコンはしばらくすると自動で消え、カレンダーについては設定から表示をOFFにする事が出来ます。
その他の操作はこちらの通りです。
メニューは先代と比べるとトップツリーが細かく分割され、使いやすくなったように思います。
音声コマンド
「DRV-EM4800」では静電式タッチパネル操作と合わせて、こちらの5つの音声コマンド操作にも対応しています。
・写真撮影
・フロントカメラ
・リアカメラ
・全てのカメラ
先代の「DRV-EM4800」では、AKEEYO製品と同じ怪しい日本語コマンドが含まれており、中華OEM臭がきつかったのですが、本機ではこなれた日本語に改善されています。
バックカメラ機能について
一般的なスマートミラーは、バック信号線を取る事でバックギアに連動して映像を下方向に自動で切り替え、ガイド線を出すことが出来ます。
先代の「DRV-EM4800」にはこの機能は実装されていませんでしたが、本機では実装済みです。
※ガイド線は出ません
スマートミラーとしての画質の比較
スマートミラーとして画質は、MAXWINの「MDR-A002A」と次の5つの項目について比較しました。
・視野角と後続車両との距離感
リアカメラの取付位置は、「MDR-A002A」が車外、「DRV-EM4800」が車内です。
ディスプレイの明るさ
ディスプレイの明るさについては、先代から大きく改善されており、「MDR-A002B」と同レベルとなっています。
従って車内の反射にも強めです。
ただし、ソフトウェアの処理の問題なのか、先代と同様ににじみが強い画質ではあります。
クリア感の面では「MDR-A002B」の方が断然上です。ただし、「DRV-EM4800」もぱっと見は悪くない印象。
また、先代で気になったおよそ1秒に1回、コマ飛びによるカクツキが出る点に関しては大幅に改善されてはいますが、28fpsドラレコと同様にフレームスキップ・フレームサンプリングが使われている様子ですので、若干のカクツキは感じられます。(ただし、それほど気にはならないレベル)
※「MDR-A002A」は60fpsの滑らかな映像とクッキリ感がセールスポイントの製品なので、どう頑張っても28fpsの「DRV-EM4800」はその部分では比較になりません。ただし、25fps~30fpsの一般的なスマートミラーと比べると非常に高画質と言えます。
視野角と後続車両との距離感
「DRV-EM4800」のスマートミラーとしての倍率を変更していない状態での視野角は、スマートミラー全体の中では広めのな水平133°程度です。
この状態では「MDR-A002A」よりも後続車が若干大きく映る上、両サイドが広く映っています。
一方で、どちらも最大倍率にした場合にはこのような見え方の差が出ます。
「MDR-A002A」は平面鏡のルームミラーと同じ大きさですが、「DRV-EM4800」は1.5倍までしか拡大が出来ない為、平面鏡よりも小さく映っています。
昼間の逆光補正
「DRV-EM4800」は「MDR-A002A」と同程度の強度のHDR補正が入っており、昼間のトンネルや屋根付きの駐車場などでの見え方に問題はなく、充分に実用的です。
ミラーの映像は撮影側の機器の問題でそこそこ白飛びしていますが、実際の見え方はこちらのドラレコ映像の方が近いものとなります。
夜間の明るさ
昼間の見え方は撮影側のカメラの性能の問題で、「EM4800」の方が「MDR-A002A」よりも明るく、白飛びも出てしまっていますが、実際はほとんど同じような見え方で、ほんの少しだけ「EM4800」の方がヘッドライトの絞りが弱いと言う印象です。
街灯が少ない場所や、街灯が無いような暗い場所でも「MDR-A002A」と同等の見え方です。
後続車両のヘッドライトの見え方
後続車両のヘッドライトの防眩能力は、スマートミラーとして最も重視したいポイントです。
ミラーを撮影した映像は派手に白飛びしてしまって参考になりませんので、ドラレコ映像を見てみましょう。
「MDR-A002A」と比べると若干絞りが弱いですが、実用上は問題のないレベルです。
ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてMAXWIN「MDR-A002A」と前後カメラを比較しました。
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「DRV-EM4800」の録画視野角は前後カメラとも仕様表記通りです。
前後の水平133°の広角レンズは、広い範囲の状況の撮影が可能という点で評価は高くなります。
逆光補正能力について
逆光補正能力については、先代から大きく改善されドラレコ全体の中でもトップクラスと言えるでしょう。
【後】
ナンバー読み取り精度について
フロントカメラは録画視野角がドラレコとしては最高クラスですので、ナンバー認識精度の面では不利になり、フルハイビジョンクラスとしては最低でした。
【前】
夜間のヘッドライトが反射したナンバーの読み取り能力はそこそこ高めです。
夜間の明るさについて
ネオンや街灯が多い市街地では前後カメラともまずまず明るめとなっています。
【後】
街灯が少ない暗い場所でも同様です。
動画ファイルの再生方法について
「DRV-EM4800」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの専用ビュワー、PCの汎用ビュワーでのテストを行いました。
ミラー液晶での再生について
ミラー液晶での再生は、ディスプレイの右半分が再生ウィンドウになります。
画面が大きいので見易いのですが、再生中に表示され続ける真ん中の一次停止アイコンが邪魔です。
PC専用ビュワーでの再生について
専用のPCビュワーはこちらからダウンロードします。
・映像の拡大縮小~×
・地図への走行軌跡の表示~〇
・速度の表示~〇
・方位計の表示~×
・Gセンサーグラフの表示~〇
・再生速度調整(0.5~2倍速)~〇
・明るさの調整~×
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」での再生も可能でした。
フレームレートとLED信号の映り方について
「DRV-EM4800」のフロント・リアカメラのフレームレートは28fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。
安全運転支援機能について
本機にはBSDなど、いくつかの安全運転支援機能が装備されていますが、残念ながら1時間以上経ってもキャリブレーションが完了しませんでしたので、テストを断念しました。
駐車監の仕様について
「DRV-EM4800」の駐車監視については別途専用ベージを作り、こちらで解説しています。
■「DRV-EM4800」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。
「DRV-EM4800」の総評
最後に「DRV-EM4800」の総評です。
「DRV-EM4800」のスマートミラーとしての評価は
と、概ね高評価です。
NEOTOKYOのミラーカムなどと比べても、ディスプレイの明るさや夜間の明るさなどの面で勝っていると言う印象ですので、先代の「DRV-EM4700」から大幅に画質が改善され、貼付型のスマートミラーとしては、ほぼ最高画質と言えるでしょう。
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