※2023年10月20日更新:都内での誤報テストを実施
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
先日事前予告があったユピテルのレーダー探知機2023年モデルですが、本日正式発表がありました。
今回発表されているのは一体型の7型番です。(後日派生型番が続々と追加)
毎度の事ですがユピテルは販路によって同じ製品の型番を変えまくっているので、一見すると全て同じように見えますが、実質的にはWiFiモジュール内蔵、OPの無線LANカード対応の2グレードに分かれています。
その他の特徴は事前にアナウンスがあったMSSSの複数周波数への対応となっています。
2023年モデルの特徴
2023年モデルは、販路によって以下の括りとなっています。
2023年モデルから実装されているMSSSの複数周波数への対応に関する私の見解は以下の通りです。
数年前から一部の都道府県警によるスピード違反の取締に活用されているレーダー式移動オービスのスウェーデンセンシス社「MSSS」ですが、どうやら取締周波数帯を変更して運用されている事を匂わせるような情報が出てきました。
■ユピテルプレスリリース【新製品】レーザー&レーダー探知機<受信範囲拡大>業界初!新レーダー波移動オービス MSSS対応!
この度、受信範囲拡大により業界で初めて新レーダー波 移動オービスMSSSに対応した新レーザー&レーダー探知機を発売します。
MSSSは従来のオービスとは異なり、複数の周波数を使用する移動オービス。そのため、従来のレーダー探知機では警報できない場合があります。
SUPER CATは独自の調査により、MSSSの警報を実現しました。従来型のレーダー探知機のセンシスMSSSへの対応状況
2017年以降に発売されたレーダー探知機では、新Kバンド(24.1GHz)の受信能力を以って、レーダー式小型オービスに対応と謳われる製品が主流となっており、2023年3月現在でもその情勢は変わっていません。
上のユピテルの画像では、センシスMSSSを新型レーダーとして警報しているような描写が見られます。
因みに私自身はMSSSによる取り締まりに遭遇した事がないので、各社レーダー探知機の受信距離を計測した事はありませんが、ごく至近距離ではあるものの、受信を検証している動画なども見られます。
また、MSSSと同じ周波数帯を使用していると考えられる半固定式のSSSでの受信テストは、過去にLaBoon!!でも何度も実施しています。
ただし、私の実体験としても、各社のレーダー探知機Kバンドの受信安定性は極めて低く感じられ、YouTubeなどではMSSSを受信出来ていない動画も見受けられます。
また、この24.1GHz帯はコカ・コーラの人感センサー対応の自販機でも使用されており、自販機の近くを通る度に誤報を発すると言う問題も抱えています。(ブリッツの一部製品では克服済み)
このように2023年3月時点までの各社のMSSSへの対応は、いささか心許ないものがあり、今後の改善が望まれています。
MSSSの取締周波数
MSSSは各都道府県警で積極的に導入されている、東京航空計器(TKK)よりも計測精度が高いと言われており、レーダー探知機での探知も極めて難しい代物です。
その上、世界各国での取締に対応できるように取締周波数を調整出来ると言われています。(以前ソースを確認しましたが、失念)
日本では24.15GHzで技適認証を受けている事が確認されている為、当然この周波数帯で取締りが行われているものと私は理解していました。
ところが、過去のMSSSの受信情報や今回のユピテルの発表を鑑みると、実際の取締では24.15GHz以外の周波数も使われる事があるとも考えられます。
この辺り、過去に「新型レーダー式移動オービス対応」として散々アピールしてきた当のユピテルに詳しく説明して貰いたいところですね。
こちらのユピテルの動画では、北海道のMSSSでは従来と異なる周波数での取り締りが行われている事を確認したとの事です。
レーザー式オービスへの対応
レーザー式オービスに対する受信能力は、「史上最強」と謳われています。
これは先代のLS1000と変わらない第四世代のスペックかと思われますが…
横方向にやたらと探知距離が広くても、ほとんど意味がありませんし、セルスターも2023年モデルから探知距離を伸ばしたと発表しています。
おそらく、以下のような理由から、各社製品の運用上の差はほとんどなくなると考えられます。
第三世代までの評価のおさらい
昨年登場し、今回もその仕様が受け継がれているユピテルの第四世代の機種では、レーザーの探知視野角がアップしていますが、この改善を評価する前に第三世代の評価をおさらいしておきましょう。
直線での探知距離は600mオーバー
ユピテルレーザー探知モデルの第三世代では、直線においては600m台前半の探知距離を実現し、道路に勾配がない条件であれば、さらに長い探知距離が期待出来ます。
600m台の探知距離は、うっかりスピード違反に対する検挙を防ぐには必要充分なものである、と考えられますので、これ以上は直線探知距離を伸ばす必要性は薄いと考えています。
第三世代への脅威となる取締
第三世代までのレーザー探知機では、見通しの良い直線道路での取り締まりに対しては充分に対策出来ていると言えますが、次ようなケースが脅威となっていました。
【レーザー光が遮られ、受信部に当たらないケース】
【カーブの出口を目掛けて至近距離からレーザー光が照射されるケース】
このうち、「標識や電柱などによってレーザー光が遮られ、受信部に当たらないケース」では、受信部にレーザー光が当たっていない状態なので、受信部を増やして車両の左右に設置するなどの対策しか考えられません。
一方で「カーブの出口を目掛けて至近距離からレーザー光が照射される」ケースに関しては、「受信部の改良で探知距離が伸びるだろう」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、実はそうはなりません。
カーブ出口で探知距離が短くなる理由
カーブの出口で探知距離が短くなる事例としては、阪南の固定オービスでのテスト結果が最も分かり易い事例となります。
こちらの事例では、どのレーダー探知機もオービスまで100mを切った辺りで一斉に探知していますが、おそらくレーザーの照射範囲はこのようなものとなっていると考えられます。
探知機側の感度がどんなに優れていても、光が遮られていては検知出来ませんので、こちらも探知機側の感度や受信範囲の調整では対処不可能なケースです。
水平検知範囲を広げる事の効果
レーザー受信部の検知範囲を水平方向に広げた場合、どのようなメリットがあるかというと、このような斜め方向から飛んできたレーザーを受信出来る事が考えられます。
ただし、阪南の事例のようなコーナーの内側はブラインドになっている事が多く、私はこの改善はほとんど無意味なもので、取締りに対する実質的な探知距離は、従来モデルとほぼ変わらないだろうと予測しています。
※内側がブラインドではないコーナーでは、取締りがドライバーから丸見えです。
Kバンドの誤報対策は実装されていない模様
これ以外のポイントに関しては従来機と同様で、私が最も期待していたコムテックの「ZERO 709/809LV」、ブリッツの「TL311R」「TL401R」で実装されている、Kバンドの誤報カット機能の実装は残念ながら見送られています。
現時点では判断が難しいところ
今回のモデル更新の目玉は、MSSSの複数周波数への対応ですが、MSSSが24.1GHz帯以外の周波数で取締りを行う場合、その周波数を受信出来るようになる事によって誤報が増たりはしないと思います。
従ってブリッツが複数周波数に対応するようになれば、今まで通りブリッツ推し、そうでなければユピテル推しになりそうですが、あのKバンドの誤報の多さでは、いざと言う時に本物の取締と認識して減速する自信は私にはないです。
「LS340」のセット内容とデザイン
今回は一体化モデルの「LS340」を購入して実機テストを行いました。
セット内容はこちらの通りです。
・シガー電源ケーブル
・ダッシュボード用マウント
・フロントガラス用ステー
・取扱説明書
本体筐体
本体液晶筐は、正面からのぱっと見は従来の一体型と変わらないデザインのように見受けられます。
センシス製固定式小型オービスでの警報の出方について
MSSSでの受信テストを実施したいところですが、移動式はそう簡単に遭遇出来ないので今回は埼玉県北本市にあるセンシス製の小型オービスSSSでの受信テストを行いました。
受信感度設定はこちらの通りです。
結果は2回の測定で何れも80m手前からの警報と、従来機種よりも大幅に短めでした。
因みに2022年モデルのLS1000では200m程度手前から警報が出ていましたので、ひょっとするとSSSでも日々周波数の調整が行われている可能性はありますね。
誤報の多さは体感的にはLS1000と同等ですので、かなり多めです。
コカ・コーラ自販機の前でガッツリ警報します。
現在、ユピテル製品を使用していて他社に乗り替えるつもりがないなら、2023年モデルに乗り替える価値はあると思いますが、この誤報の多さはなんとかして欲しいです…。
特に誤報が少ないブリッツ製品になれてしまっている身としては、やっぱりいざと言う時に本物の取締と認識して減速する自信は私にはないです。
対レーダー・レーザーの誤報の状況について
以下2023年10月17日の都内での誤報テストの結果です。今回はブリッツのMSSS対応2023年モデル「TL313R」と合わせてテストしました。
何れも探知感度は最高の設定、走行経路はこちらの125kmです。
・池袋から山手線に沿って内回りで品川へ
・品川から山手線の外回り→4号線で埼玉県久喜市へ帰還
結果は以下の通り。
10キロあたりの誤報回数では
となりました。
体感的には「TL313R」の誤報回数もかなり多いです。
ユピテルのMSSS対応2023年モデルレーダー探知機の総評
レーザー受信距離が他の2社に劣るセルスターを外した場合、ユピテル・コムテックの二択になりますが、仕様上はこれらの2社の製品はほとんど同等です。
ただし、都内での誤報テストの結果では「TL313R」の方が40%程度誤報が少なくなっており、データ更新費用の面でもユピテルは有料ですので、おすすめはブリッツとなりそうです。
コメント
omi様
LS1100がMSSSに反応している様子が、youtubeのユピテルチャンネルにアップされていますね。
セルスターのAR-333は、MSSSに無反応な様子がユーザーにアップされています。
セルスターを購入するのは様子見ですね。
でもどり様
メーカーは何を探知出来て、何を出来ないのか、せめて受信可能なバンド帯の詳細は公表して貰いたいですね。
omi様
現在LS1000を使用していますがMSSS対応のLS1100が気になります。
買い換える意味はありますか?
最近小型オービスの前を通過しても何も反応ないので、もしかしたらMSSSなのかな?と。
えんじぇる様
考え方次第ですね。
ユピテルのレーダーは誤報が多すぎますので。
以下記事の総評を参考にしていただければ幸いです。
https://car-accessory-news.com/tl312r/#toc14