セイワからスマートミラー型の2カメラドライブレコーダー「PDR770SM」が2018年12月に発売されています。
現時点ではオートバックスの専売モデルのようで、他の店舗では取り扱っていないようです。
なお、セイワというメーカーはOEMによるガジェットの生産が多く、自社で企画した物ではなく既に流通している製品に自社ブランドをつけて販売するパターンが目立ちますので、モノの良し悪しは提携先の工場やメーカーに大きく左右され易いという特徴がありそうです。
今回ご紹介する「PDR770SM」については、「PDR800FR」とは異なる中国の提携先の工場で生産しているモデルを日本向けにローカライズしたものであると思われます。
「PDR770SM」のスペックと特徴
「PDR770SM」のスペックは以下の表の通りです。
PDR770SM |
---|
18.12発売 |
不明だが、おそらく液晶解像度 IPS 400×1600(64万画素) |
フロント:1920×1080/27.5fps リア:1280×960/25fps |
フロントのみLED信号対応 リアは東日本で同期すると思われる |
フロント:水平115°(レンズ) リア:水平120°(レンズ) |
リアカメラケーブル?m |
microSD16GB |
microSD最大128GB |
GPS付属(外付け) |
駐車監視モード |
衝撃検知 |
自動起動 |
専用ケーブルOP PDR002 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
フロントカメラはフルハイビジョン、リアは珍しくカメラの画素数をそのまま出力し、「1280×960」となっているようです。
通常だとアスペクト比を16:9に合わせる為にイメージセンサーは「1280×960」であったとしても出力される動画は「1280×720」なっている事が多いのですが、このモデルは昔のテレビと同じ「4:3」のアスペクト比になっていますね。
なのでリアの精細感はほんの少し上がる可能性はあります。
「PDR770SM」のフロントカメラはミラー下
「PDR770SM」は純正ミラーに被せるタイプですが、フロントカメラはレンズ部分が筐体下に突き出しており、最近の各種安全運転支援系の装備が映り込まないように配慮されています。
フロントガラスに他のセンサーやカメラ類が付く場合には、助手席側のミラー裏が多そうですので、通常のミラー型のドライブレコーダーだとちょうどレンズの目の前が隠れてしまいます。
筐体の下側にレンズが付いていれば、これらの装備が動画に被りにくくなるという事ですね。
なお、似たようなコンセプトのモデルとしてはAUTO VOXの「A1」が挙げられます。
「PDR770SM」の機能について
「PDR770SM」の機能は他の類似モデルと同様に2カメラドライブレコーダー+ガイドラインありのバックカメラ機能+スマートルームミラーとなります。
これらの機能について気になる点をいくつか…。
スマートルームミラー機能
「PDR770SM」はリアカメラのレンズ視野角が水平120°とかなり広めになっていますが、スマートミラーに出力される範囲はそれほど広くはなく、純正ミラーの1.5~1.8倍だそうです。
これは車種によってかなり変動しますので、ミニバンなどでは3倍くらいになるんじゃないかな?と思うのですが、どうなんでしょう。
AUTO VOXの「X1」はリアの録画視野角は水平85°程度しかありませんが、30系アルファードで純正ミラーとの視野を比較した結果、3倍近い差がありました。
【着座位置から見た純正ミラー】
【AUTO VOX X1】
スマートミラーとての視野角は、広ければ広いほど良いというものでもなく、あまりにも広すぎると純正ミラーとの距離感の差が半端ない事になります。(水平95°でもサイドミラーよりも物が小さく映る)
そもそも「PDR770SM」にはレンズ視野角のみで録画視野角の表記がなく、中国工場のモデルはレンズ視野角と録画視野角の差が大きいケースが多いので、録画視野角は水平70~80°くらいしかない可能性もありますね。
または、スマートミラーに表示されるのはリアカメラで録画している映像の一部分だけ、という事も考えられますが、それだと今度は画像の粗さが目立つようになる可能性がありますね。
リアにフルハイビジョンのカメラを使用して拡大表示・または拡大率をピンチ操作で調整出来るのが現時点で考えられるベストな仕様かと…技術的にはそんなに難しい事ではないと思うんですけど。
なお、スマートミラーの画質で最も重要なのが夜間の明るさとヘッドライトの絞り具合、白飛び耐性です。(反射の問題はこの手のモデルは全て光沢なので、どれも同じかと)
夜間は後方が明るく見えた方が接近してくるバイクや自転車などの認知確率が上がり、ヘッドライトの絞りが効いているほど後方車両との距離感が掴み易くなります。
また、後方から陽射しが挿し込んだ状態だと、白飛び耐性が低いモデルでは淡色系の車は空との境界線が分からなくなってしまう事がありますので、白飛び耐性も重要です。
「PDR770SM」については昼間のプロモーション動画を見る限り、そこそこ白飛び耐性は高そうです。
問題は夜間の見え方なんですが、何故か夜間の撮影シーンや画像が一切見当たりません。
この手の製品の知識が多少でもあるようなら、ユーザーが夜間の明るさや後続車両のヘッドライトの映り方が気になるであろう事は想像に難くないかと思いますが、セイワの担当者さん、自分たちであんまりドラレコ使ってないでしょ?…と言いたくなりますね。(笑)
因みに…、最近の都心部の若い方は車に乗らない率が高いですが、結構大きいカーエレクトロニクスのメーカーでも営業の方が車を持ってない率が高かったりします。
まぁ、私もかつては全く興味のないカテゴリーの製品を扱う会社に勤めていましたので人の事は言えませんが、別に批判している訳では無く、客観的な事実を元に推察と評論をしてるだけです。
ユーザーとしては、プロモーション動画に夜間のシーンを入れて欲しいと思うのは当たり前かなと。
なお、リアカメラの設置に関しては車内に設置する事を前提に専用のステーが用意されていますので、この点ではアドバンテージがありそうですね。
AUTO VOX製品はミニバンやハッチバックの場合ステーを曲げないとカメラが思いっきり下を向いてしまいます。
ドライブレコーダー機能
「PDR770SM」のドライブレコーダー機能については、レンズ視野角と録画視野角の差が大きい可能性がありますし、フロントのドラレコ動画もリアの夜間映像も出ていない為、全くの未知数です。
駐車監視については専用のOPケーブル「PDR002」を使用しますが、衝撃検知後の30秒間の録画となりますので衝突の瞬間は映らない仕様ですね。
衝撃から録画開始までのタイムラグは不明です。
バックカメラ機能について
バックカメラ機能については、垂直方向に100°くらいの視野角があり、かつカメラを外出ししないとバンパーが映らないかと思いますので、純正位置のバックカメラのような使用感は得られないと思います。(バンパーが映らないので距離感が掴めない)
【PDR770SM】
【純正バックカメラ位置(パイオニア)】
「PDR770SM」のまとめ
「PDR770SM」は基本機能的には悪くはなさそうですが、肝心の夜間の画質やドライブレコーダーとしての視野角が全く不明で、凄く良いかもしれないし、微妙である可能性もあります。
リアのイメージセンサーには低照度センサーが使用されていますので「凄く悪い!」という事はないと思いますが、AUTO VOXの同クラスの製品と比べると価格的にちょっと高めかな?という印象ですね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント