ikeepさんより韓国メーカーのNEEDSの3.5インチ液晶大型液晶タッチパネルの2カメラのドライブレコーダー「X600」のサンプルをご提供いただきました。
※ikeep=代理店という扱いです。
NEEDSというメーカーは韓国ではトップシェアのメーカーではありませんが、韓国のドライブレコーダー自体がどこも似たような仕様になっている為、THINKWAREやFineVuなどとそれほど大きく機能面が異なるという事でもないようです。
NEEDS「X600」についてはフロント・リアともに100万画素の「1280×720」という解像度ですので、最近のドライブレコーダーが「1920×1080」のフルハイビジョンがスタンダードである事を考えると、画質面でのスペックは物足りなく感じる部分がありますが、3.5インチのタッチパネル液晶や、microSDカードのフォーマットフリー機能など、運用面では特定のユーザーのニーズには当てはまるであろう、と考えています。
NEEDS「X600」のスペック
NEEDS「X600」のスペックは以下の表の通りとなります。
NEEDS X600 |
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フロント:1280×720/30fps リア:1280×720/15fps |
LED信号未確認 |
フロント:実測水平98~99° リア:実測水平100° |
付属16GB |
最大64GB |
GPS外付けOP |
駐車監視モード |
動体検知+衝撃検知 |
自動起動 |
専用ケーブル 同梱 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
録画視野角は実測でフロント水平98~99°程度、リアは100°程度でしたので、2カメラドライブレコーダーの中でも若干録画視野角は狭い方です。
機能面では以下の2点が特筆すべきポイントとなります。
- 3.5インチ大型タッチパネル液晶搭載
- フォーマットフリー機能
セット内容について
主なセット内容は①ドラレコ本体、②リアカメラ、③リアカメラ接続ケーブル、④3芯電源ケーブル、④マウント、⑤配線止め、⑥16GBのmicroSDカードとなります。
今回はオプションのGPSユニットも同梱されています。
※電源ケーブルのギボシ処理は私が行いました。
液晶が3.5インチとかなり大きいのが特徴ですね。
【iPhone 7との比較
取り付け位置と取り付け方法について
「X600」ははっきり言ってバカでかいです。
液晶画面が最も確認し易い位置は運転席の目の前になりますが、ドライブバーの視界の妨げにもなりますので、おすすめはやはりミラー裏ではないかと思います。
出来ればルームミラーの付け根の真下辺りに設置して、車両の丁度真ん中に来るようにした方が良いと思いますが、ミラーの付け根の位置によってはドラレコ画面の下側がミラーからはみ出てしまう事もあるので、そう言った場合には少し運転席側にずらした方が良いでしょう。
こんな感じですね。
※ミラー裏に設置すると反射などの問題で、正面から見ないと画面が見えにくくなるというデメリットもあります。
GPSユニットはフロントガラスに貼り付けるタイプとなっています。
フロントカメラとの接続は以下の通りです。
3.5インチ大型タッチパネル液晶とインターフェイス
NEEDS「X600」は、他の韓国製モデルよりも変更できる項目が少ないです。
例えば同じ韓国製のCOWON「AQ2」などは、設定項目が多岐に渡りますので、ガジェット好きには面白く感じるかも知れませんが、機械モノが苦手なドラレコ初心者や年配のユーザーにはとてもおすすめ出来ません。
NEEDS「X600」は設定項目が絞られている分、操作が簡単で分かり易いというメリットがあります。(本来は)
ただし、説明書に本体操作の方法が一切書かれていないので、本体操作自体は簡単ではあるものの、この点はよろしくないですね。
まあ、私自身が現状の日本のドラレコマーケットを俯瞰して、「X600」の製品としての優れたポイントは年配者やドラレコ初心者でも簡単に扱えるという点であると評価しているだけなので、製品自体がそのターゲットに合わせて生産・販売されているかどうかは別問題です。
また、操作方法の部分で説明しますが初期設定に注意が必要な部分があり、この部分は年配者やドラレコ初心者の方にはちょっと敷居が高いと感じました。
「X600」の操作方法
という訳なので、「X600」の操作方法ついてざっくりと説明しておきます。
まずは日本語への言語変換が必要
まず初めに「X600」は設定項目がmicroSDカードの中に保存されますが、どうも工場の初期設定が韓国語バージョンになっているらしく、カードを抜いた状態だと韓国語でエラーメッセージが流れます。
カードを入れると、韓国語でカードのフォーマットを促されますので、赤で囲った部分のボタンを押すとフォーマットが開始されます。
フォーマットが終わると自動で再起動を行い、起動メッセージが韓国語で流れます。
録画が開始されると次のような画面が表示されますので、左側のHOMEボタンを押してメニューを表示させます。
以下のようなメニュー画面が出てきたら、右上の歯車のアイコンを押します。
右上の言語の設定のアイコンを押します。
日本語を選択し、赤いボタンを押します。
再起動が始まり、日本での起動メッセージが流れ録画開始のアナウンスが行われます。(以下は既に録画されている状態)
録画画面でのアイコンの役割
録画画面では以下の3つのアイコンが表示されています。ここまで来れば見ればどうにか分かると思いますが、各アイコンの役割は以下の通りです。
①音声アナウンスのオン/オフ
②音声録音のオン/オフ
③出力音声のボリューム調整
また、初期設定の状態ではフロントカメラがメイン、サブカメラは右上の小さい枠に表示されていますが、画面のアイコンがない部分を押すと、カメラの表示が切り替わります。
いくつかのパターンに切り替わった後、液晶オフとなり、その状態で真っ暗の画面を押すと液晶がオンになります。
手動で緊急録画を行う場合には、本体左側面のボタンを押します。
メニューの表示とアイコンの役割
メニューは本体左下のHOMEボタンを押す事で入る事が出来ます。
各アイコンの役割は以下の通りです。
※衝撃感度については駐車監視モードと走行モードで共通の設定です。
歯車のアイコンを押すと以下の設定画面が表示されます。
ただし、カードのフォーマットは初回に実施されますし、GPSユニットを接続すれば時間も自動で設定されますので、この環境設定は操作の必要はほとんどありません。
また、通常のドライブレコーダーは本体を出来るだけコンパクトにする為に液晶部分も小さく抑えられていますので、特に老眼になってくると録画映像や操作時の画面の確認が困難になる事もあろうかと思いますが、「X600」については事故の際の状況確認であれば問題なかろうと感じるくらいの液晶の大きさです。
何より、液晶がドライブレコーダーとしては最大級なので、他のガジェットに頼らずに動画の確認がし易いという点がメリットになるでしょう。
フォーマットフリー機能
ドライブレコーダーの動画を記録するmicroSDカードは、概ね2週間に1度程度の手動でのフォーマットが各メーカーに推奨されています。
ある程度の知識がある方、若い方であればそれほど負担になる事もないかと思いますが、例えば年配の両親が運転する車などにドライブレコーダーを設置する事を考えた場合、さらに同居していない場合などには、このような操作面での負担軽減はドラレコを選ぶ決め手の一つになるかと思います。
NEEDS「X600」は、フォーマットされていないmicroSDカードが挿入された状態で電源をオンにすると、自動でフォーマット開始のメッセージが流れ、以後のフォーマットは不要になっています。
microSDの録画時間について
microSDカードは16GBのものが付属しますが、この容量で録画可能な時間は220分(3.5時間強)程度との事です。
最大で64GBまでのmicroSDカードが使用できますので880分(14.5時間強)までの録画が可能となります。
なお、microSDカードの保存領域の変更はPCで専用ビュワーを使用して行います。
ネットで調べる事に慣れている私でもちょっと探しにくいので、機種別にファームウェアやビュワーソフトのページを分けた方が良いですね。
なお、ドライブレコーダーの各種設定はこのビュワーソフトからも可能です。
駐車監視機能について
NEEDS「X600」の駐車監視機能は、付属の3芯ケーブルを使用して設置した場合には、エンジンオフで自動的に駐車監視モードに入り、エンジンオンで走行録画モードに復帰します。
駐車監視モードでは動体検知と衝撃検知での録画を行い、駐車中に衝撃検知録画があった場合には復帰時に告知を行います。(衝撃検知があった旨の音声アナウンス)
なお、エンジンオフですぐに駐車監視モードには切り替わらず、20秒くらい経過してから駐車モードに入りますので、降車時のキャンセルタイマーは20秒と理解して良いかと思います。
駐車監視中はセキュリティLEDが点滅します。
また、この手のモデルとしては珍しいのですが、走行時と駐車監視時の衝撃感度は共通設定を使用しますので、走行時は鈍感・駐車監視時には敏感に設定した方が良いかと思われます。
最も敏感な設定だとドアの開閉で作動し、最も鈍感だとかなり強く閉めないと反応しません。
走行時については最も鈍感な設定でも、足回りがやや硬めなランエボ10では、段差の乗り越えなどで30分に5回くらい反応しています。(おそらく普通の車ならそこまで反応しないと思われる)
画質について
画質面についてはHDの解像度ですので、粗さを感じる部分はあるのですが、コントラストは比較的強めに出ている感じなので、そこまで文字の認識精度が低いという訳でもなさそうです。
HDモデルは今回初めてのテストですし、HDで比較するモデルがないのでフルハイビジョンのケンウッド「DRV-320」と比較しています。
目の前に停車している車のナンバーの見え方は以下のようになります。
ちょっと粗いですが停車状態であれば充分読み取りは可能です。
リアカメラについては、スモークの影響などもあり、精度はやや落ちる印象です。
白飛びに対する耐性は、HDRモデルではないので弱めの印象ですが、通常のWDRと謳っているモデルとそこまでは差はないと思います。
どちらかというとコントラスト強めで明るめに振っているモデルという印象です。
従って夜間についてはライトなどの絞りが弱い反面、全体的に明るく映ります。
コントラストが強いので、ライトが当たってないところは暗いですね。
ただし、専用ビュワーに明るさを調整する機能がありますので、PCで再生する前提であればライトが当たっていない部分もそれなりに見えるようになります。
因みにこのモデルはパソコンでは専用ビュワーでの再生が前提となっており、他の汎用ソフトではフロント分のみしか再生できない為、比較動画にはリアの映像がありません。
リアカメラの映像ですが、ビュワーで明るさ標準設定だと一般的なドライブレコーダー+α程度の明るさ、暗い部分を見たい時にはビュワーで明るさを最大にすれば更に明るくなります。
【明るさ標準】
【AUTO VOX D6 PRO】
専用ビュワーと動画のバックアップ
専用のPCビュワーに関しては機能面では比較的充実している印象です。
動画部分の全画面表示までは行きませんが、以下のようにPCの画面の大部分に動画を表示させる事も可能です。
また、標準の状態だとウィンドウ大小と2つありますが、それぞれ「フロント動画/リア動画/地図」の3通りから表示を切り替える事も出来ます。
動画のバックアップはmicroSDカードに保存されているバックアップソフトでも可能ですが、物凄く時間が掛かりますので、このビュワーから実行するのがおすすめです。(AVI形式で出力されますが、リア分は不可)
NEEDS「X600」の総評
総評としては解像度は前後HD×2であるものの、全体的にバランスの取れたドライブレコーダーかと思います。
専用ビュワーで明るさの調整が可能ですので、夜間の状態については他のモデルよりも認識し易いでしょう。(PC持ってない人はダメですが)
この手の駐車監視モデルは、よりハイエンドなものを求めるユーザーが多いので、どちらかというと冒頭で説明した通り、年配ユーザーやドラレコ初心者で、事故や煽り運転対策として前後2カメラのドライブレコーダーを検討している方向けと言えますね。
ただ、それを考えると説明書で操作方法の説明がほとんどない点と、初期設定で言語の変更を行わなければならない点がネックになるかと思います。
まあ、このページで説明している以外の操作はほぼないので、初回だけどうにか設定するしかないですね。一度設定してしまえば後は放置でOKですので。
機械オンチの家族の車に設置してあげる分にはこの点はそれほど問題ではないような気もします。
なお、GPSユニットなどをセットで販売している店舗もあるようですので、気になる方はこちらをどうぞ。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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