※2023年1月4日更新~最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
今回はドライブレコーダーの解像度についてご質問を頂いたので解説します。
量販店やテレビ、ラジオなどのドライブレコーダーに関するセールストークでは、「このモデルは解像度がフルハイビジョンで200万画素だから安心ですよ」などと勧められる事が多かろうと思いますが、そもそもこの解像度とはどのようなもので、フルハイビジョンだとなぜ安心なんでしょうか?
画素数と解像度は同じものではない
実は「画素数」と「解像度」と言う二つの用語は混同されて使われてる事が多いですが、実は同じものを表す用語ではありません。
ドライブレコーダーに関しては物凄く簡単に説明すると…
・画素数:映像の入力に関わる数値、ドラレコが取り込む事が出来る映像の細かさの限界値
という事になります。
例え画素数が多くても、動画ファイルとして出力する解像度が低ければ、キメの細かい映像にはなりませんし、その逆もまた然りです。
また、画素数・解像度のうち、どちらかの数値の低い方がドラレコとしての限界値になりますので、いずれも出力される「映像のキメの細かさの限界値を決めるもの」と解釈して下さい。
※どちらかが高いからと言って高画質が保証される訳ではない
次にに画素数と解像度について、もう少し詳しく説明します。
ドライブレコーダーの画素数とは
画素数は「映像の入力に関わる数値、ドラレコが取り込む事が出来る映像の細かさの限界値」と説明していますが、これは「イメージセンサー(撮像素子)」と言う基幹パーツのスペックを表現する用語でもあります。
ドライブレコーダーが動画を録画する仕組みは、以下の写真のようにレンズで取り込んだ映像をイメージセンサーに照射して、チップセットで動画を圧縮したり補正しながらmicroSDカードなどのメディアに保存する流れとなります。
チップセットの上にレンズが乗っているのが分かると思いますが、その間にイメージセンサーが挟まっています。
更にバラすとこんな感じです。
※イメージセンサーの方式にも各種ありますが、ドラレコにはCMOSイメージセンサーが使用されています。
メーカーのスペック表に記載されている、イメージセンサーの項目が200万画素などと謳ってあるのは、この真ん中にあるイメージセンサーが、昆虫の複眼のように細かく何区画に分かれているかという事です。
分かり易く言うとトンボの目です(笑)
トンボの目は2万個の複眼が集まっているそうですが、このイメージセンサーは200万個の複眼で映像を捉えていると言えます。(小さいので平らに見えますが)
この「複眼が何個あるか?」を表しているのが、ドライブレコーダーの画素数というスペックになります。
そして人間の目に例えるなら、1億2千万個もある「網膜細胞」と言ったところでしょうか?
構造的には人間の目に例えた方が分かり易いかも知れませんね。
・網膜=イメージセンサー
・チップセット=脳の反射を司る部分
・microSD=脳の記憶する部分
と言えるでしょうか?
つまり、イメージセンサーセンサーの画素数が多いほど、キメの細かい映像になる可能性があるという事です。
画素数を増やす事のデメリットがデカい
イメージセンサーセンサーの画素数が多いほど、キメの細かい映像になる可能性がありますが、良い事ばかりではありません。
実は、イメージセンサーの個々の細胞(セル)の表面は、全て光を受け取る「受光面」で出来ている訳ではありません。(小さ過ぎて見えませんが)
セル面積の何パーセントかは、隣のセルとの仕切りであったり、他の役割を持つパーツが入っていますので、センサーサイズを変えずに無理に画素数を増やしてしまうと「受光面」が減ってしまい、暗くなってしまいます。
隣のセルとの仕切りがない単眼の方が光を集める効率は良いと言えますので、小さいサイズのイメージセンサーで画素数がやたら多いのは、トータルでの画質を考える上で逆効果になる場合もあるという事ですね。
本来なら細かく見えるはずが、光不足でぼやける事も往々にしてあります。
ドライブレコーダーの解像度とは
ドライブレコーダーの解像度は、「1920×1080」などの数字で表記されています。
これはデータとして出力されるファイルの映像の細かさを表します。
「1920×1080」の場合には、横方向に1920個、縦方向に1080個の点で映像を表現する事になり、この細かさで動画をファイルとして保存します。
この場合のドットの数は、1920×1080=2,073,600個ですので、概ね200万画素相当のキメの細かさになります。
因みにイメージセンサーの画素数が100万画素しかない場合でも、映像を引き伸ばして出力ファイル形式を「1920×1080」の200万画素級にする事は可能です、
ただし、もともとの情報量は100万しかありませんので、キメの細かさは100万画素相当のままです。(ファイルの容量が大きくなるデメリットしかありません)
画素数と解像度をまとめると
画素数と解像度の関係をまとめると
・画素数:イメージセンサーの目の細かさ
・解像度:動画ファイルの目の細かさ
となり、通常の常識の場合には、これらのバランスを考えて無駄のないように以下の様に設定されています。
センサーの画素数 | 録画ファイルの解像度 |
---|---|
100万画素 | 1280×720 |
200万画素 | 1920×1080 |
400万画素 | 2560×1440 |
800万画素 | 3840×2160 |
解像度による見え方の違い
2014年以降のドライブレコーダーのスタンダードな画素数は200万画素で、出力ファイルの解像度は「1920×1080」のフルハイビジョンとなっていますが、スタンダードクラスの画素数と解像度は8年くらい変化がありません。
では200万画素の「1920×1080」のフルハイビジョンの解像度があれば必要充分なのか?というと、大体のケースでは近距離の車のナンバーを認識する事が出来ますので、必要充分であると言っても間違いではないでしょう。
ただし、同じ画素数や解像度であってもスペック通りのキメの細かい映像になるとは限りません。
例えば…
・ドライブレコーダーの頭脳を搭載するチップセットがショボいものである
・ソフトウェア処理がヘタクソ
・動画をやたらと圧縮し過ぎる
・レンズの組み付けの精度が悪い
などに該当する場合には、にじみやノイズが多い何とも残念な映像になる事もあります。
ただ、最近はSONYのイメージセンサーを使用した製品であれば大外れは少なく、概ね安定したキメの細かさは期待できるようになっています。
100万画素、200万画素、400万画素の見え方の違い
これは理論上の話ですが、100万画素の「1280×720」の解像度でドライブレコーダー設置位置から4m離れた車のナンバーを撮影した時の認識精度は、200万画素の「1920×1080」の解像度で5.7m離れた車のナンバーを撮影した時の認識精度と同等になります。
400万画素の「2560×1440」であれば8m、800万画素の「3840×2160」(いわゆる4K)になると11.3mになります。
・100万画素の「1280×720」~4m
・200万画素の「1920×1080」~5.7m
・400万画素の「2560×1440」~8m
・800万画素の「3840×2160」~11.3m
仮に100万画素のドライブレコーダーであっても、ぶつかるくらいまで接近した状態の車のナンバーであれば充分読み取りは可能ですが、高解像度になればなるほど読み取り距離が長くなります。
なお、ノーズが長い車はドラレコの位置から前方車両までの距離が長くなる傾向がありますので、高解像度のモデルを選んだ方がバランス的には良いと思います。
4Kと謳われている製品には注意が必要
最近は中国メーカーのVANTRUEやVIOFO、日本メーカーのではユピテルなどから、800万画素のイメージセンサーを搭載した「3840×2160」の解像度の正真正銘の4Kドライブレコーダーが発売されるようになっていますが、一昔前の4Kと謳われているドライブレコーダーはなんちゃって4Kしかありませんでした。
※まだまだなんちゃって4Kは多いので注意が必要
このなんちゃって4Kとは
と言った製品です
4Kのキメの細かさは、800万画素のイメージセンサーと、「3840×2160」の録画解像度が組み合わさってこそ実現出来るものですから、これらの4Kと謳われているモデルはなんちゃって4K、または似非4Kという事になりますね。
偽物の4K製品としては以下のJAPAN AVEの「GT65」が代表例になります。
高精細4K対応と謳われているにも関わらず、イメージセンサーは400万画素、最高出力解像度は「2880×2160」と、どこからどう見ても4Kではありません。
まとめ
以上、ドライブレコーダーの画素数と解像度について、ご説明しました。
200万画素のフルハイビジョンモデルは価格も安くなり、お求め易いコスパの高いカテゴリーではありますが、更に上のナンバー認識精度を求めるのであれば400~800万画素の高解像度モデルがおすすめです。
特に2022年後半以降は、SONYの新世代のイメージセンサーを搭載した製品が登場し始めましたので、2023年以降は高解像度のドラレコに注目したいところです。
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