※2025年6月6日更新:AiBox-HDMI アダプターの実機レビューを追記しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
車載オーディオ向けのAndroid系のAIドングルは、2022~2023年に掛けて日本に上陸したOttocastがトップシェアを誇っているように見受けられ、相対的に他社よりも高価格帯での製品展開を行っています。
https://car-accessory-news.com/ottocast-tigai/
一方でOttocast以外のメーカーも続いて市場に参入した経緯がありますが、Ottocastほどのプロモーションや代理店を通してのサポート業務などを行っていない為、認知度は下がり、それ故に低価格帯での商品展開を迫られている状況に見えます。
このOttocast以外の一翼を担っているのが、この記事でご紹介するCarlinKitです。
価格帯的にOttocastよりも2~3ランクは安い為、購入しやすいブランドと言えそうですので、この記事では、これからCarlinKitのAIドングルの導入を検討されている方に向けで、同社から展開されている各製品の違いについて解説します。
※私は同社の製品を使用た事がありませんので、信頼性については不明です。
なお、記事タイトルと冒頭で、便宜上「AIドングル」と言う呼称を使用していますが、ここでは「AIドングル」=CarPlay・Android Auto用のオーディオ側のUSB端子を活用して、何か別の機能を持たせるガジェットと定義します。
AIドングルの括りで販売されている製品カテゴリー
この記事ではCarPlay・Android Auto用のオーディオ側のUSB端子を活用して、何か別の機能を持たせるガジェットのうち、以下の物を「AIドングル」と定義します。
なお、③のHDMI入力機能を持たせるものについては、現行のOttocast製品では単体でその機能だけを搭載した製品は存在せず、①②に組み合わせた形となります。
いきなり機能MAXの複合機を照会してもややこしくなると思いますので、以降はこれらの製品群のうち、機能面が単純なものから順にご紹介します。
CarPlay・Android Autoを無線化するもの
この無線化ガジェットには、対応するOSの種別によって以下の3つのタイプが存在します。
-
有線CarPlayを無線CarPlay化
- 有線CarPlayを無線CarPlay化、有線CarPlayを無線Android Auto化
- 有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化
最近は有線CarPlay、有線Android Autoに対応している車種もあるようですが、7~8年前の車の場合には、有線CarPlayのみに対応しているケースも多い為、有線CarPlayを無線Android Auto化するガジェットも存在します。
また、最近の製品ではこれらの機能に加えて、HDMI入力ポートを装備し、Fire TVその他のHDMI出力ガジェットの映像をCarPlay・Android Autoの有線ポートからオーディオに出力可能なものもあり、従来型のカーナビ以上にAV機能を充実させられるようになっています。
CarlinKit 「Mini SE」
「Mini SE」は最も低価格帯の有線CarPlayを無線CarPlay化するガジェットです。
価格帯的には最低ではあるものの、少々動作の遅延がある模様です。
CarlinKit 「3.0 Mini」
「3.0 Mini」は前述の 「Mini SE」の後継版で、高速動作に対応させた製品のようです。
機能面では同様に有線CarPlayを無線CarPlay化するものです。
価格は 「Mini SE」と大きくは変わりませんので、起動時の遅延が気になりそうな方は、こちらを選ばれた方が良いでしょう。
CarlinKit 「4.0」
CarlinKit 「4.0」は、線CarPlayを無線CarPlay化、有線CarPlayを無線Android Auto化するものです。
他社製品と比べると価格は安いですが、高温に弱く夏季は動作が安定しない事もあるようです。
CarlinKit 「Mini SE Pro」
「Mini SE Pro」は、有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化するものです。
世代的には「Mini SE」と同等と見受けられる為、新しいバージョンの製品と比べると動作に遅延がある可能性が考えらえます。
CarlinKit 「 5.0」
CarlinKit 「 5.0」は、「Mini SE Pro」の後継版で、高速動作に対応させた製品のようです。
機能面では同様に有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化するものです。
CarlinKit 「CarPlay-Fire TV Stick-HDMIアダプター」
「CarPlay-Fire TV Stick-HDMIアダプター」は、有線CarPlayポートを活用してHDMI機器の入力に対応した製品です。
車内でFire TVやChromecastなどを使用したい方向けにおすすめです。
CarlinKit「TBox Plus」
「TBox Plus」は、有線CarPlayを無線CarPlay化、有線CarPlayを無線Android Auto化するだけでなく、Android OSを搭載して各種アプリを使用出来るようになるガジェットです。
このガジェット自体がAndroid端末になり、ネットへの接続は、SIMスロットとWiFiから行います。
Ottocast製品で言うところの「OttoAibox P3 Lite」の機能構成に該当します。
なお、この「TBox Plus」にはメモリ/ストレージのバージョンが4GB+64GB/8GB+128GBのバージョンが存在します。
「OttoAibox P3 Lite」は現在のところ4GB+64GBのみの展開ですので、性能重視であれば「TBox Plus」の8GB+128GBバージョンがベターと考えらえます。(それでもP3 Liteより安い)
CarlinKit「Tbox Ambient SE」
「Tbox Ambient SE」は、有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化するだけでなく、Android OSを搭載して各種アプリを使用出来るようになるガジェットです。
このガジェット自体がAndroid端末になり、ネットへの接続は、SIMスロットとWiFiから行います。
有線Android Autoを無線Android Auto化する点が、前述の「TBox Plus」とは異なりますが、ハードウェアのスペックは4GB+64GBのみの展開となり、上位モデルは品名が異なります。
CarlinKit「Tbox Ambient」
「Tbox Ambient」は同SEの上位版で、有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化するだけでなく、Android OSを搭載して各種アプリを使用出来るようになるガジェットです。
このガジェット自体がAndroid端末になり、ネットへの接続は、SIMスロットとWiFiから行います。
SEよりもチップセットのグレードが上がる上(QCM 6115→QCM6225)、メモリ/ストレージも4GB+64GBに加えて、8GB+128GBバージョンも展開されています。
CarlinKit「AiBox-HDMI アダプター」
「AiBox-HDMI アダプター」は、有線CarPlayを無線CarPlay化、有線Android Autoを無線Android Auto化するだけでなく、Android OSを搭載して各種アプリを使用出来るようになるガジェットです。
このガジェット自体がAndroid端末になり、ネットへの接続は、SIMスロットとWiFiから行います。
チップセットはQCM6225、メモリ/ストレージは8GB+128GBとなり、Ottocastのフラッグシップモデルである「OttoAibox P3」と比べると価格は半額程度となっています。
ブランドよりコスパを選ぶなら、OttocastではなくCarlinKitをおすすめします。
「AiBox-HDMI アダプター」の実機レビューと評価
最後にご紹介した「AiBox-HDMI アダプター」については、自己使用を前提に実機レビューを実施しています。
セット内容とデザイン
セット内容はこちらの通りです。
- AIBOX本体
- USB A to Cケーブル
- USB C to Cケーブル
- HDMI to miniHDMI変換ケーブル
- SIM取り出し用クリップ
ポート類は側面にCコネクタ、SIMスロット、microSDカードスロット
反対側の側面にはminiHDMIポートが装備されています。
正面には動作状態を示すインジケーターが装備されています。
CarPlayオーディオへの接続
これらのAIBOXは、原則としてサードパーティ製のディスプレイオーディオでの動作を保証していませんが、今回はパイオニアの「DMH-SF700」でのテストを行いました。

付属のUSB C to Cケーブルで「DMH-SF700」とAIBOXを接続し、エンジンを掛けて双方を通電させます。
しばらくすると、オーディオ側のCarPlayインジケーターがアクティブになり…
AIBOXの初期起動画面が表示されますので、案内に従って操作を進めます。
設定からWiFiに接続します。今回はスマホのテザリング選択しました。
スマホ側ではAIBOXとBluetoothのペアリングを行います。
既にAIBOXをAndroid端末として使用可能な状態となっています。
この状態から各種Androidアプリを使用しても構いませんし、Google Mapを起動させる事も出来ますが、CarPlay/Android Autoを使用する場合には、AutoKitのアイコンをタップします。(設定で自動で起動させる事も出来る)
ペアリングされているスマホのOSに応じて、CarPlay/Android Autoが起動します。
今回はAndroid Autoで試しました。
無事にAndroid Autoが起動
Android端末としての動作チェック
Android端末としての動作については、以下項目についてチェックしました。
- Prime Video、YouTubeの視聴動作
- 画面分割表示の動作
- 動作の安定性
Prime Video、YouTubeの視聴動作
Prime Video、YouTubeについては、充分な通信速度が確保出来ている状態における、アプリの単独使用では、ストレスなく視聴が可能でした。
画面分割表示の動作
画面の分割表示は、画面をタップして出現するこつちらのアイコンから開くメニューで操作を行います。
ただし、動作は安定せず、Google Mapも分割表示に対応していないようでしたので、実用性はほとんどありません。
動作の安定性
動作の安定性については、バックグラウンドで動作するアプリが3~4個ある状態で、特定のアプリを起動させると動きが極めて遅くなる事がありました。
YouTube、Prime Video、その他2~3個のアプリを閉じずにオービスガイドを起動させた際に、動作がガクガクになり、ほぼ操作不能に陥った為、再起動しています。
無駄なアプリは、その都度こちらのアイコンから閉じる習慣をつけた方が良いでしょう。
無線Android Autoのの動作チェック
無線Android Autoを起動させる為には、エンジンをオンにしてオーディオ側でCarPlayを起動させ、AIBOXのホーム画面が立ち上がってから、AutoKitのアイコンをタップする必要があります。
こちらの設定から、AIBOXが起動した後に自動で無線Android Autoを起動させる事も可です。
「DMH-SF700」では、無線Android Autoが起動するまでにエンジンをオンにしてから60秒程度掛かりました。
AIBOXのシステムが起動するまでが30秒、無線Android Autoの起動に30秒、合計60秒と言ったところです。
因みにWiFiはデフォルトでは自動接続にはなっていませんので、設定て自動にしておきましょう。
「AiBox-HDMI アダプター」の総評
最後に「AiBox-HDMI アダプター」の総評ですが、いくつものAndroidアプリをバックグラウンドで動かす前提でなければ、Android端末としての動作は快適ですし、無線Android Autoについても起動までに1分程度の時間が掛かるものの、起動するまではスマホのナビアプリで案内をさせるような使い方であれば、それほどストレスは感じないと思います。
価格的にはOttocast製品よりもかなり安めですので、目的を絞れば悪い選択ではないと思います。
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