実機レビューXTU「MAX Pro」の評価 4K/60fpsで車載動画が撮影できる中華アクションカム

※2022年6月24日更新:VIOFO「A139」、GoPro HERO 7との画質の比較結果を追記。

※2022年6月18日更新:VIOFO「A129 Pro」との画質の比較結果を追記。

こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。

LaBoon!!では、ドライブレコーダーの景色撮影を評価する為の参考とする為に、定期的にカテゴリーそのものが景色撮影に特化しているはずのアクションカムと、ドラレコの車載動画の比較を行っています。

最近では2020年にVIOFO 「A129 Pro」とGoPro HERO7の比較を実施しましたが、結果としては車載用途に特化した上、彩度の高さや明暗の変化に対する強さの面で「A129 Pro」の方が高画質と言う評価をしています。(林道などの明暗が切り替わるシーンでは、露出の調整に時間が掛かる)

今回は2022年版のテストとして、価格帯がハイエンドなシングルドラレコに近い、中華アクションカムの中ではアッパーミドルからハイエンドの部類に入るであろう、XTU「MAX Pro」の車載動画を購入し、ハイエンドな景色撮影に特化したドラレコと比較しようと思います。

XTU「MAX Pro」のスペック

XTU「MAX Pro」のスペックはこちらの表の通りです。

XTU MAX Pro
チップセット:Ambarella H22
CPU:Cortex-A53/1.2Ghz×4コア
イメージセンサー:SONY IMX377 12M
レンズ視野角:対角166°
3840×2160/60fps
3840×2160/30fps
3840×2160/30fps/Super View
2688×1512/60fps
2688×1512/30fps
1920×1440/60fps
1920×1440/30fps
1920×1080/60fps
1920×1080/60fps/Super View
1920×1080/30fps
1920×1080/30fps/Super View
1280×720/240fps
1280×720/120fps
1280×720/60fps
1280×720/30fps
WDR OFF/WDR ON
手振れ補正OFF/手振れ補正/スーパー補正
露出:調整可
ISO感度:調整可
シャッタースピード:調整可
microSD付属なし/最大256GB
ドライブモード:サポート
GPS:サポートせず
WiFi:サポート
リチウム電池:1350mAh

現在のところ、ハイエンドドラレコの高解像度の録画モードは、4K/30fps、2.5K/60fpsが最高解像度、最高フレームレートとなっていますので、仕様上の録画スペックは「MAX Pro」の方が断然上です。

アクションカムをドラレコ同様にフロントガラスに固定して撮影する場合には、手振れ補正はOFFでも問題ありませんので、この用途では手振れ補正機能はアドバンテージにはなりませんし、手振れ補正をONにすると視野角が狭くなりますので、フロントガラス取り付けの際に限ってはOFFを推奨します。

デザインとセット内容

XTU「MAX Pro」のセット内容はこちらの通りです。

・カメラ本体
・防水ケース
・アタッチメント類
・外部マイク
・リモコン
・取扱説明書
・その他小物

アタッチメント類は豊富ですが、車載用っぽいマウントは左右の角度調整が出来ません。

防水ケースを被せれば、他の付属のマウントでフロントガラスに固定出来ますが、そうするとmicroUSB端子から給電しながらの撮影が出来なくなりますので、今回は別途手元にあった汎用ドラレコ用マウントを使用しました。

カメラ本体

カメラ本体はアクションカムとしてはスタンダードサイズ、筐体下部にはマウントネジ穴を装備、筐体前面にはレンズと小型ディスプレイを備えています。

カバーを開くとバッテリーとmicroSDカードスロットにアクセスできます。(microSDは付属せず)

筐体上側面、右側面には操作ボタン

左側面にはmicroUSB、microHDMIポートが装備されています。

防水ケース

付属のアタッチメント類を使用するには、こちらの防水ケースが必要になりますが、今回は上述のmicroUSBポートから給電しながら録画しますので、防水ケースは使用しません。

※ケースに最初から傷が入ってました。

テストに当たっての設定など

XTU「MAX Pro」はアクションカムですので、ドラレコに比べると設定項目が多いのですが、今回はこのような設定としました。

・録画解像度:4K/60fps、2.7K/60fps
・WDR:ON
・手振れ補正:OFF
・歪み補正:OFF
・録画モード:ドライブモード
・シャッタースピード:自動
・シャープネス:高
・露出:0.5(-3.0~3.0)
・ISO:自動
・測光モード:評価測光

なお、「MAX Pro」は30fpsでの撮影ではちょうど良い明るさですが、60fpsになるとシャッタースピードが変わる為か、昼間でも薄暗い映像になってしまったので、露出は+0.5に調整しました。

フロントガラスへの取り付けについて

今回はこの位置に汎用のドラレコマウントを使用し、「MAX Pro」を取り付けました。

microUSBポートから常時給電する必要がある為、サイドのカバーはこのように開きっぱなしです。

因みに今回はダッシュボードとピラーの映り込みを避ける為、ダッシュボードマットとピラーをマットブラックのスプレー缶で塗装しました(笑)

録画モードごとのデータサイズについて

デジタルカメラ類は、映像を圧縮してmicroSDカードなどの記録メディアに保存しますが、圧縮率が高いほど、少ないデータサイズで書き込む事になり、microSDカードの容量を節約する事が出来ますが、それと引き換えに画質は劣化し易くなります。

従って景色撮影を行う場合には、データサイズは出来るだけ大きい方が良いと言う事になるのですが、通常の場合、このデータサイズは、ビットレートとしてmicroSDカードへの書き込み速度で表現されます。

ビットレート(データサイズ)が足りない場合、このように細部が潰れた画像になります。

 

■景色が綺麗に撮影出来るおすすめドライブレコーダー

ファイルの容量の大きさ=ビットレートで表す事が出来ますが、ビットレートが一番低い「A129 Plus」は、シビアコンディションでは最も映像の崩れが大きく、見るに堪えない映像になってしまいます。

一方で最も安定しているのがビットレートが最高、処理チップの性能も高い「A129 Pro」でした。

例えば、一般的なフルハイビジョンドラレコのビットレートは、

・8000kbps(8Mbps)

です。

これを静止画1ドット当たりの書き込み速度、ビット÷(ドット数×フレームレート)に換算すると…

・8,000,000bps÷(2,073,600pixel×30fps)=0.129bps

となります。

これは、1ドットのデータの書き込みに必要なデータ速度が0.129bpsであると言う事です。

 

一方で景色特化型のドラレコ、VIOFO A129 Proの各モードのビットレートはこちらの通り。

・4K/30fps:58,982kbps(59Mbps)
・2.5K/60fps:52428kbps(52Mbps)

 

ビット÷(ドット数×フレームレート)は以下の通りです。

・4K/30fps:0.237bps
・2.5K/60fps:0.237bps

4K/2.5Kと1画素当たりのピットレートは同じです。

 

そして「MAX Pro」の各モードのビットレートはこちらの通り。

・4K/60fps:100038kbps(100Mbps)
・2.7K/60fps:50004kbps(50Mbps)

 

ビット÷(ドット数×フレームレート)は以下の通りです。

・4K/60fps:0.200bps
・2.7K/60fps:0.205bps

A129 Proの0.237bpsと比べると、いずれも1ドット当たりのビットレートは15%程度低いですね。

A129 Proも、かなり画質にこだわった製品である事が分かります。

XTU MAX ProVIOFO A129 Pro
解像度4K2.7K4K2.5K
ビットレート100Mbps50Mbps59Mbps52Mbps
フレームレート60fps60fps30fps60fps
ビット÷(ドット数×フレームレート)0.200bps0.205bps0.237bps0.237bps

VIOFO「A129 Pro」との比較

まず初めにVIOFO「A129 Pro」との画質を比較しました。

比較ポイントは以下の5つのポイントです。

・録画視野角
・明るさと露出の補正
・色の彩度
・シャープネス
・動画の崩れ

なお、2.5K/60fpsの動画を2つ並べてなるべく劣化なく編集しようとすると、物凄く大きなデータサイズになり、YouTubeでマトモに再生できなくなるので、以下動画はフルハイビジョンに解像度を落として出力しています。

録画視野角

車載での景色撮影においては、録画視野角は広い方が全体を見たす事が出来るので好ましいですが、MAX Proの録画視野角はA129 Proよりも広めの水平115°程度でした。

ソフトウェアによる歪み補正はOFFにしていますが、目立った歪みも感じられず、なかなか好印象です。

明るさと露出の補正

次に、A129 Proとの差が最も大きくでてしまったのが、露出の調整具合です。

MAX Proでは、全体のバランスを見ながら露出の調整を行う「評価測光」と言うモード、露出は+0.5としましたが、通常時の見え方はA129 Proの同等の明るさではあるものの

明暗差の激しい林道に入ると、露出の補正が効き過ぎて明るい部分が白飛びします。

既に勝負あった感がありますね…残念ですが。

MAX Proでは露出を+0.5にしていますので、0に戻せば少しはマシになると思いますが、今度は暗さが目立つシーンが出て来るかも知れません。

色の彩度とコントラスト

色の彩度に関しては、A129 Proの方が強めとなっていますので、肉眼で見た景色よりも綺麗に見えます。

MAX Proは自然な色味に近いですが、私はA129 Proの見え方の方が好みです。

シャープネス

シャープネスに関してはやはりドラレコであるA129 Proの方が非常に強く意識されている部分かと思いますが、こちらもA129 Proが圧倒的に高いと言う結果でした。

MAX Proはシャープネスを最高に設定していても、動きが速い部分のにじみが目立ちます。(シャッタースピードの問題かも)

動画の崩れ

動画の崩れに関しては編集後の動画と素の動画では随分印象が変わりますので、無編集の動画を比較します。

MAX Proの方はSocの処理が追い付いていないのか、4K/60fpsモードのシビアコンディションでは、時々画面全体がモザイク状になる事がありましたので、推奨は2.7K/60fpsモードになります。

マイクの音割れがヤバいですね。

【MAX Pro 4K/60fpsモード無編集】

なお、無編集動画は元のビットレートが100Mbpsくらいあるので、普通の通信環境ではマトモに再生出来ないかも知れません。

また、YouTubeにアップロードすると、それなりに画質が劣化して崩れが大きくなるので、素の動画をお見せる事が出来ないのが残念です。(遅延が酷い場合には720Pで小さいウィンドウのまま再生して下さい。本来はその精細感のまま大きい画面で再生出来る画質です)

※おそらく、海岸線や市街地など、明暗の変化がないシーンは4K/60fpsモードでも問題ないと思います。

2.7K/60fpsモードでは、それほど動画の崩れは目立ちませんでした。

【MAX Pro 2.7K/60fpsモード無編集】

A129 Proの方も、それほど動画の崩れは目立ちませんが、遠景が若干崩れるシーンがあります。

【A129 Pro 2.5K/60fpsモード無編集】

今回のテストでは、特に明るさの補正に難があると言う結果でしたので、これならA129 Proの方が遥かに良いと感じました。

次回は露出を0に戻してA139との比較を実施する予定です。

「A139」「GoPro HERO 7」との比較

次に「A139」とSUGI MAGのSUGI氏から借りて来た、「GoPro HERO 7」との比較を行いました。

ビットレートのデータはこちらの通りです。(A139は可変で26~40Mbps)

MAX ProHERO 7A129 ProA139
解像度2.7K2.7K2.5K2.5K
ビットレート50Mbps60Mbps52Mbps31Mbps
フレームレート60fps60fps60fps60fps
ビット÷(ドット数×フレームレート)0.205bps0.246bps0.237bps0.141bps

※今回は2.5K/60fps+2.7K/60fps+2.7K/60fpsの動画を4K/60fpsの68Mbpsのサイズにエンコードしています。回線が貧弱だとマトモに見れないかも知れません。

録画視野角

録画視野角はどれもそこそこ広く、景色撮影には適していると言えそうです。

・MAX Pro:水平115°
・A139:117°
・GoPro HERO 7:120°

明るさと露出の補正

今回は全ての製品で露出は+-0の標準設定としました。

露出を標準設定にすると以前のような白飛びは抑えられますが、明るいシーンでは暗く感じられるようになりました。

この辺りは「A139」が最もバランスが良く、かなり差が開いて「HERO 7」、僅差で「MAX Pro」と言った印象です。

色の彩度とコントラスト

色の彩度に関しては、「MAX Pro」と「HERO 7」は似たような感じに見え、「A139」の彩度の高さが際立ちました。

やはりVIOFOのドラレコは、景色を綺麗に撮影する事に特化していると感じます。

シャープネス

シャープネスに関してはやはりドラレコであるA139の方が非常に強く意識されている部分かと思いますが、HERO 7もそこそこ高め、MAX Proはややにじみが強く出ています。

【A139】

【MAX Pro】

【HERO 7】

動画の崩れ

動画の崩れに関しては、ビットレートの差がそのまま表れ、「HERO 7」が最も少なく、次いで「MAX Pro」、「A139」が最も出易いと言う結果でした。

こちらは動画のキャプチャリングでは映像が更に劣化してしまいますので、高ビットレートでエンコードした単体動画を見てご判断下さい。

まとめ

以上、XTU「MAX Pro」のレビューと裏テーマのドラレコ VS アクションカムの景色撮影能力の比較でした。

アクションカムは高解像度、高フレームレートの録画モードでの動画の崩れが少ない点が魅力ですが、車載前提で考えた場合、よほど環境に恵まれない限りは、彩度や明るさの補正の面でハイエンドドラレコには敵わないようです。

今の流れを見ていると、アクションカムに期待するよりも、VIOFOがビットレートを上げた方が理想の映像に近くなりそうですね。

新しい発見はなく、残念なテスト結果に終わってしまいました。

 

このような超絶美麗に見える動画は、おそらくPCの編集時に彩度を補正していると思います。

こう言うのが撮りたいな~と、いつも考えていますが、なかなか難しいですね。

でも、それ以前にこれはロケーションが反則ですよね。

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