こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ドライブレコーダー業界は2018年から夜間撮影に特化したSTARVIS対応のイメージセンサーを搭載した製品が主流になり、2020年現在では夜間撮影能力が随分洗練されてきたように感じます。
実は2017年の段階で赤外線を使わずに夜間に昼間のような明るさ実現するという技術は存在していましたが、これをドライブレコーダーで実現するのは「夢のまた夢だな!」と感じていたので記事としてとり上げる事はありませんでした。
ところが2020年も半ばに入り少々状況が変わりつつありますので、この記事では「暗視のトンデモ技術」と現行のドラレコでもやり方によってはここまで出来るんだぜ!的な「ドラレコの暗視に関する進捗状況」についてご紹介したいと思います。
夜なのに昼間のように明るく撮影できるスコープ用カメラ
こちらはアメリカの軍事用または趣味としての本格的なミリタリーグッズなどを開発しているアメリカのSierra Pacific Innovations(SPI)社の「X27」というスコープ用カメラの夜間映像です。
「嘘つけ!昼間だろ?」と言いたくなるのは分かりますが、これはれっきとした夜間映像です。
左側が従来のCMOSセンサーを使って撮影した映像、右側が「X27」で撮影した映像です。
技術的な事は良く分かりませんが、「X27」に搭載されているイメージセンサーは従来のCMOSセンサーとは全く異なるカラー暗視能力を備えている的な事が書かれていました。
因みにISO感度は500万だそうです。(笑)
SONYのSTARVISなんて目じゃねーぜってくらい星空が明るく映っていますね。
まあ、こちらは基本的には軍事用の最先端の技術なので、いかにSONYと言えどもコスパを考えるとドラレコ用にここまでの暗視能力を備えたセンサーを作る事はないだろうと思います。
ただし、最近のSONYのSTARVISセンサーと、各社のドライブレコーダーの映像、再生環境などの変化を見ているとあと2~3年したらひょっとすると夜でも昼っぽく見える映像は撮影できるかも知れないと感じています。
現時点でもSTARVISとドラレコビュワーを組み合わせて出来る事
最近のドラレコに使われているSTARVISセンサーでは、200万画素の「IMX327」というセンサーが最も新しく暗視能力にも優れています。
このセンサーを搭載した製品は2020年5月時点では、セルスターの「CS-91FH」、VANTRUEの「S1」のみかと認識していますが、いずれも非常に暗視能力に優れてはいるものの白飛びを防ぐなどのドラレコとしてのバランスをとって暗視面での余力が残された状態です。
確かにドライブレコーダーとして走行中の映像を記録する前提であれば、白飛び対策として明るさ一辺倒のチューニングはすべきではありませんが、ドライブレコーダーの中にはセイワの「PDR800FR」のように夜間の駐車監視モードの際にだけ露出を上げて明るく撮影する「駐車監視ナイトビジョン」などの機能が搭載されている製品もあります。
今のところ200万画素STARVISセンサーの中でも最も暗視能力の高い「IMX327」を搭載した製品で、このような「駐車監視ナイトビジョン」機能を採用した製品はありません。
従って「IMX327」+「駐車監視ナイトビジョン」の実装で、まだまだドライブレコーダーの暗視能力を上げる事が出来る筈です。
また、最近のドライブレコーダーの中には専用のパソコンビューワで明るさやコントラストの調整が出来るモデルが出て来ており、それほど暗視が得意ではない高解像度のSTARVISセンサー「IMX335」の映像でもここまで明るく見せる事が可能になっています。
因みに元になる映像はこちらで
このような暗い場所で撮影しています。
ドライブレコーダーのチップ内でこのような補正処理をする事も可能ですが、白飛びの弊害が出ますので現状ではPCビュワーの補正能力を使ってこのように明るくする方法が最も現実的な手法かと思います。
「IMX327」の次世代センサーと「駐車監視ナイトビジョン」を組み合わせれば?
現時点ではドラレコに使われるセンサーとしては、廉価STARVISの「IMX307」がスタンダード、「IMX327」は一部の製品にしか採用されていません。
従って「IMX327」搭載モデルでもっと暗視が得意な製品が出てくる可能性もありますが、2~3年もすれば「IMX327」の後継センサーも出てきそうですし、そのセンサーと「駐車監視ナイトビジョン」を組み合わせた上で専用のPCビュワーでチューニングを行えば、夜なのに昼間のように明るい映像が見れるのではないかと期待しています。
まだそのような製品ありませんが、最近のセンサーの進化を見ているとそろそろ現実的に登場を期待しても良いような状況になって来ました。
後はメーカーのやる気次第ですね。実は採算ベースに乗るかどうかというだけで、現状の技術でもできるのかも知れませんが…。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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