セルスターから2019年モデルのエントリー・スタンダードクラスのドライブレコーダー「CA-11FH」「CS-21FH」が発売されています。
このクラスのモデル更新は「CSD-660/670FH」が発売された2017年1月以来となりますが、純粋な後継機というよりは新たに作られた別系統のモデルという印象です。(特性が異なるので並行して販売されると思われる)
「CS-11FH」「CS-21FH」のスペックと特徴
「CS-11FH」「CS-21FH」のスペックは以下の表の通りです。
CS-11FH | CS-21FH |
---|---|
19.04発売 | |
1920×1080/30fps/HDR | |
録画視野角 水平107° | |
LED信号対応 | |
microSD付属8GB/最大64GB | |
GPS非対応 | GPS内蔵 |
microSDフォーマット不要 | |
駐車監視モード/自動起動 | |
常時録画/動体検知/衝撃検知 | |
専用ケーブル GDO-10/GDO-24 |
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「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
おそらく仕様表や画質を見る限り、ベースとなるイメージセンサーは「CSD-660/670FH」のものを踏襲しているのではないかと考えられますが、大きな違いは以下の3つとなります。
①駐車監視の録画方式に動体検知が追加された
②本体と液晶サイズが若干小さくなった点
③タッチバネルではなくボタン操作になった
サイズに関しては幅が1cm程度小さくなり、液晶は1.44インチとユピテルの円筒モデルの1.5インチとほぼ同等です。
特筆すべき点としてはmicroSDカードのフォーマット不要機能を搭載している点が挙げられますが、これは「CSD-660/670FH」にも実装済みですし、画質の特徴も「CSD-660/670FH」と非常に良く似ているという印象です。
セルスターがアピールしているセールスポイントのウソホント
プロモーション動画と公式ページではこのモデルのセールスポイントとして以下の2点が謳われています。
①SONY Exmorイメージセンサーを使用する事により、ノイズが少なく鮮明で美しい画像
②HDR補正で白飛び・黒潰れを防止、夜間の明るさを実現
ノイズが少なく鮮明で美しい画像
SONYのExmorはノイズが少ない…、というよりも全般的にじみが少ない動画が仕上がってくるモデルが多く、「CSD-660/670FH」もExmorを搭載していますが、過去のセルスターのモデルはどれもにじみとブロックノイズが強く出る傾向があります。
従って現段階では「ノイズが少なく鮮明で美しい画像」はセルスター基準の絶対評価では「ホント」かも知れませんが、他社と比較した上での相対評価では「ウソ」である可能性が高いと見られます。
ハードウェアというよりもソフトウェアの処理が他社に比べるとイマイチである為にノイズが発生し易くなっているのではないか?と推察されますね。
HDR補正で白飛び・黒潰れを防止
セルスターのドラレコはほとんどがHDR補正に対応しているのですが、これまで「ナイトビジョン」と呼んでいた機能を今回から「HDRの夜間補正」と呼び方を変えたようです。
見ての通り、全く同じ画像が使われていて一体どのモデルで撮影したのか分からない状態ですが(これはどのメーカーもやってます)、これらは同じ機能なのでしょう。
確かにセルスターのナイトビジョンは他社のモデルと比べても夜間がかなり明るく映りますので、この点は高評価です。
ただし、露出を上げて明るくしつつ、白飛びし過ぎないようにHDR補正を掛けていますので、ヘッドライトが反射した先行車のナンバー認識は苦手だったりします。(明るさに加えてこれを上手くクリアできてるのはコムテックくらい)
…、という訳で白飛び・黒潰れ防止に関しては中国系のWDRモデルに比べると幾分高いレベルであるとは言えますが、国内主要メーカーの中では微妙なレベルと言えます。
ただし、ナンバー認識は苦手であるものの、夜間も含めた全体の認識能力は高いのでこれはこれで良いのでは?と感じるところでもあります。
インターフェイスと操作系について
「CS-11FH」「CS-21FH」は筐体が小型化されたのは良いですが、液晶が1.44型と小さくタッチバネル操作も不可です。
しかもボタンが3つしかないのでそれぞれのボタンに「短押し」「長押し」の2種類の操作が割り振られており、これはちと分かりにくそうですね。
う~ん、これは使いにくそうです。
駐車監視モードの仕様と運用について
「CS-11FH」「CS-21FH」の駐車監視の録画方式は、最新のセルスター規格に合わせて以下の3つからの組み合わせとなります。
①「常時録画」
②「動体検知」
③「常時録画」+「衝撃検知」
④「動体検知」+「衝撃検知」
なお、駐車監視には別売のケーブル「GDO-10」(5m)または「GDO-24」(9m)を使用し、こちらのディップスイッチでタイマーや電圧等の設定を行います。
各種設定項目は以下の通りです。
①タイマー~0/1/2/4/6/8/12/時間
②衝撃感度~1~10の10段階
③カットオフ電圧~11.5/11.8/12.0/23.5/23.7/24V
駐車監視の運用については、本体側の設定をONにしておくとエンジンOFFで自動で駐車監視に入り、エンジンONで常時録画モードに戻ります。
一見便利なようですが本機には電源ボタンが存在しない為、自宅などで駐車監視をしない場合には本体操作で駐車監視をOFF、またはタイマーケーブルのディップスイッチでタイマーを0にする必要があります。(または電源ケーブルを抜く)
また、駐車監視モード中は録画視野角が狭くなり、解像度も30万画素に落ちますので駐車監視向けのモデルとは言えないでしょう。
まとめ
以上、「CS-11FH」「CS-21FH」について「CSD-660/670FH」との違いを中心にざっくりと説明しました。
「CSD-660/670FH」と比べると本体がコンパクトになった以外には操作性・液晶の視認性が悪化しただけのモデルである可能性が高そうです。
駐車監視では動体検知モードが使えるようになってはいるものの、そもそも駐車監視をするならセルスターのモデルは不向きですのでこの用途でも微妙ですね。
従ってセルスターの単体モデルであれば「CSD-660/670FH」、「CSD-750FHG」辺りを選んだ方が良さそうです。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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