私が免許を取得した頃は、まだMT車とAT車の比率が3:7程度でしたが最近では国内で販売されている乗用車のMT比率はおそらく1%未満であろうと考えられます。
MT/AT車比率 | MT | AT | 販売台数 |
---|---|---|---|
1985年 | 51.2% | 48.8% | 289万台 |
1990年 | 27.5% | 72.5% | 409万台 |
1995年 | 19.2% | 80.8% | 318万台 |
2000年 | 8.8% | 91.2% | 272万台 |
2005年 | 3.4% | 96.6% | 310万台 |
2010年 | 1.7% | 98.3% | 271万台 |
2011年 | 1.5% | 98.5% | 212万台 |
【現代ビジネス】
私の場合には過去26年間で11台の車を乗り継いでいますが、そのうちMT車が4台・AT車が7台、現在使用している車はMT車が2台・AT車が1台となっており、完全に世の中の流れに逆行している事になります。
所謂、「一寸変わった人」という表現にも当てはまりそうな事になっていますが、MT車のクラッチには油圧式もありますので、そのうちのワイヤー式のクラッチケーブルの調整や注油をDIYでやろうと考えるような人は1万人に一人くらいの変態かも知れません。
従ってこんな記事を書いても誰の訳にも立たないという結果になる恐れもありますが、今回コペンのクラッチケーブルの調整と注油を行いましたので、備忘録も兼ねてその方法について記録しておきます。
クラッチのタッチ段付きで違和感を感じた
最近、ポンコツコペン号を購入して久しぶりにワイヤー式のMT車に乗る事になったのですが、実はこの症状は最初からあったものの、今まではランエボ10の重い油圧式のクラッチに慣れてしまっていたので何も違和感を感じていませんでした。
具体的にはクラッチのタッチに引っ掛かる部分があり、「ギュギュ」っと摩擦を感じる領域が存在し、しかもそれが半クラの領域であるという症状です。
まあ、ワイヤー式ってこんなもん?と思っていたのですが、実はそうではなく先日北海道でコペンのレンタカーを借りてみたところ、クラッチのタッチに引っ掛かりが無かった為、これはポンコツコペン号の特有の症状であることが分かりました。
色々調べた結果、バイクと同様に注油を行うことでタッチが改善することもあるようでしたので、ポンコツコペン号のクラッチケーブルを行う事にしました。
ケーブルが伸びていたようだったのでついでに調整も
これも最初は分からなかったのですが、ポンコツコペン号はクラッチのミートポイントがやたらと奥に存在し、これもそんなもん?と感じていたのですが、レンタカーで借りたコペンはそこまで奥ではなかったのでポンコツコペン号の特有の症状であると判断しました。
ランエボ10がやたらと手前にミートポイントがあり、重さも全く違うので、車を乗り換えた直後はクラッチ操作がかなりぎこちなくなるのですよね。
重さに関しては調整しようがないのですが、ミートポイントに関しては踏み込んだ時に遊びがかなり多かった為、おそらくケーブルが伸びているのだろうと思いますが、ミートポイントを手前に調整する事にしました。
クラッチケーブルの構造
実は事前にクラッチケーブルを点検したところ、先端のブッシュが千切れており、16万キロも走行した車なのでいきなり切れて不動になる前に交換しようと考えていました。
なので手元に新品のクラッチケーブルがあります。(笑)
写真の向かって右側がクラッチペダル、左側がレリーズフォーク(フック状の金具)です。
真ん中のボルトが刺さっている部分がバルクヘッド(車内とボンネット内の仕切り)に固定するところになります。
左側のレリーズフォーク側を拡大するとこのようになっています。
〇印のところがレリーズフォーク側の金具に引っ掛ける部分です。
次の〇印のところがケーブルを車体に固定するフックに引っ掛ける部分です。(ネジ山には噛んでいません)
次の〇印のところがケーブルの張りを調整する部分です。(ネジ山に噛んでいます)
実際にボンネットの中ではこんな風になっています。以下はフックに引っ掛ける部分の写真です。
レリーズフォーク側はこんな金具に引っ掛かっています。(左がレリーズフォーク、右がワイヤー)
実は作業に入る前に色々とネットで調べてみたのですが、全体の構造が分かるものがなかなか見つからなかった為、分かり易くまとめてみました。
クラッチケーブルの調整方法
クラッチケーブルの遊びやミートポイントを調整するには、以下の部分のダイヤルを回す必要があります。
その前にクラッチケーブルの位置を探す必要があるかと思いますが、大体こんな感じで伸びているのではないかと思います。(車種によりけりかも)
バルクヘッド(車内とボンネット内の仕切り)から生えているケーブルを探せば見つかるんじゃないかと思います。
ミートポイントや遊びを調整するには以下のダイヤルを時計まわりに回すとミートポイントが手前になります。
奥に回すとミートポイントは奥になります。
ただし、ケーブルには常に圧力が掛かっているので、このままではダイヤルは回りません。
そこでバルクヘッド(車内とボンネット内の仕切り)から生えているケーブルの根元を車内側に引っ張って若干たわみを作ります。
そうする事でダイヤルが自由に動かせるようになり、クラッチのミートポイントや遊びを調整する事が出来ます。
クラッチケーブルの注油方法
クラッチケーブルにはゴムや樹脂類への攻撃性が低く、粘度が低く流動性の高いグリスを使用する必要があります。(全体に流れないと意味ないので)
今回使用したのはバイクのクラッチケーブル用のグリスです。
また、グリスを流し易くする為以下のワイヤーインジェクターも使用しました。
このインジェクターですが、元がバイク用でケーブルを通す穴が小さい為、千枚通しなどで穴を広げる必要があります。
穴を拡大したらケーブルを通してサイドのネジを締めて横の穴からノズルを通して注油します。
…とその前にクラッチケーブルをレリーズフォークから外さなければなりません。(以下のフック)
これを外す為にはケーブルを緩める必要がありますので、調整の項目で説明したようにダイヤルを半時計回りに最大限まで回してクラッチを目一杯たわませます。(クラッチを踏んでも切れない状態)
そうすると上のフックの部分が自然に外れるか、もしくはレリーズフォークを車内側に押し上げる事で外れます。
ワイヤーとレリーズフォークを仲介している金具も張力がなくなると自然に外れますので、落ちてエンジンルームの奥底に消えてしまわないように手で押さえておくと良いでしょう。
なお、ワイヤーグリスを注油すると車内のクラッチペダル側にグリスが垂れてきますので布などで対策しておきましょう。
因みに、私の場合はケーブルの仕様が途中で変わっていたらしく…、新しいものはケーブルに直接注油が可能なのですが、ほぼ初期型のコペンの為なのかケーブルがゴムで完全に密着状態で覆われていました。(笑)
このゴムですが、クラッチペダルのところまで同様の状態なのでケーブルに直接注油が出来ない使用の為、後で仕様変更されたのかも知れません。
何れにしても折角なのでゴムの外側からになりますが目一杯グリスを注油してやったところ、かなりクラッチのタッチが改善されましたので結果オーライと言ったところです。
なお、もう少し涼しくなったら禁断のクラッチケーブルの交換にチャレンジしようと考えています。
車種によっては簡単っぽいですが、コペンの場合には位置や手の入るスペースの問題でかなりの難易度の高さらしいです。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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