※2021年7月21日更新~途中経過を追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
最近はiCELLやMIGHYTYCELLなどの駐車監視用の外部バッテリーを使って駐車監視をされている方も増えてきましたが、これらのバッテリーで常時録画を行う為には1日1時間程度の走行時間が必要です。
私のところに来ているご要望の中には、1~2週間に一度しか車に乗らないのでその間はずっと動体検知、もしくはタイムラプスでの録画を継続したいというものがあるのですが、2カメラ以上のドラレコの場合には4W程度の電力を消費しますので、1週間で672Wh、2週間で1,344Whと、なんと1kwhを超える大きなエネルギーが必要になります。
最近のEVだと条件が良ければ10km以上走ってしまいそうな電力量ですね(笑)
参考までに現状市販されているドライブレコーダー用の外部バッテリーの実効最大容量は、iCELL B40Aの380Whで、これは4Wのドライブレコーダーだと95時間、4日強駆動する計算ですが、それでも1週間は持ちません。
外部バッテリーは毎日1時間程度車に乗る方にとっては有効な手段ではありますが、1~2週間車に乗らない上にその間も録画を継続した方の目的を達成できるほどの性能はありません。
では、このような目的を達成する方法はないかというとそうでもなく、色々超えなければならないハードルはあるものの、ソーラ―パネルとiCELLを組み合わせる事で実現できる可能性があります。
…実はこの方法はiCELLの製造元の工場に提案しているのですが、「そんな売れるかどうか分からんものは作りたくない」と言った感じの感触なので、工場へのプレゼンも兼ねて勝手にテストする事にしました。
因みに私自身もそんなものがそれほど売れるとは思っていないので、この回答にはまあ納得してはいますが(笑)
※このテストは理論上は問題ないですが、この方法でiCELLに不具合が出てもメーカー保証の対象外なので絶対にマネしないで下さい。
iCELL B40Aのサブバッテリーポートを使って充電するぞ
ikeepの取り扱っているドライブレコーダー用外部バッテリーには、MIGHTYCELLとiCELLの2種類があり、ソーラー充電の発想自体は1年以上前にMIGHTYCELLを生産している工場の社長に伝えてはいます。
ただ、こちらも「そんな売れるかどうか分からんものは作りたくない」という感触でした。
因みにMIGHTYCELLには車両と接続するINPUT端子と、ドラレコに接続するOUTPUT端子の2つの端子しかなく、車両からの充電以外は許されない構造になっています。
一方でiCELLには車両と接続するINPUT端子と、ドラレコに接続するOUTPUT端子以外に、シガーソケットやバッテリーパックなどを接続できる、サブバッテリー端子が装備されています。
このサブバッテリー端子はバッテリーの電圧をそのまま出力し、電池との間にダイオードなども入っていないようなので電池よりも少し高い電圧を掛けてやると充電も可能です。(公式にはINPUTポート以外からの充電は認められていないのでサポート外)
サブバッテリーポートにこのシガーソケットをぶっ込んで充電してやる作戦ですね。
ソーラーパネルは価格重視
ソーラーパネルについては、商品化を前提に考えるのであれば素材やデザインなど諸々の条件をクリアする必要がありますが、今回はとりあえずどれだけ充電できるものかを試してみたかったので、価格重視で激安の部類に入るこちらの100Wのパネルを購入しました。
コントローラーは前に購入した2,000円程度のものが半年くらいで壊れたのでこちらを選びました。
発電の効率を考えると屋根上に設置がベターですが…
発電の効率だけを考えると日光が垂直に当たりやすい屋根上にパネルを設置した方が良いとは思うのですが、商品化を考えた場合には屋根上だとハードルが上がりそうな気がするので、とりあえず今回はフロントガラス裏に置く事にしました。
※このパネルの小さい版を以前購入した事があるのですが、このパネルは熱に弱く車内に置くとこのようにひしゃげます。
それを承知の上で今回はランエボ号のフロントガラス裏に設置しました。
梅雨で毎日雨か曇りにも関わらず、数日でこんなに歪みました(笑)
梅雨時期でもそこそこ充電出来ている模様
こちらのコントローラー、電圧設定による充電制御などの機能はありますが、モニタリング機能が怪しく、充電流がずっと0です。(笑)
なので、合わせて中華モニターで電圧・電流・充電量を計測していますが、こっちも結構誤差があるので20~30%のズレは織り込む必要があります。
iCELLの電池を限界近くまで放電させた後に、梅雨時期に3日間放置してみましたが、131Whの発電量でした。
iCELLの充電量表示は50%程度まで回復していましたが、こちらも結構誤差があるので実際には30%程度の充電量かも知れません。
いずれにしても1日当たり30~40Wh程度の充電はされていたようですので、週に換算すると200~300Wh程度の発電は可能かと思います。
4Wのドラレコの駆動時間に直すと50~75時間ですね。380Whまでバッテリーを充電した状態からスタートするなら、好条件が重なれば680Wh程度の電力量をドラレコの駆動に確保できる事になり、ギリギリ1週間は持つ計算です。
※冬場は日照時間が短くなるので半分以下かも…。
パネルをどこに置くか?それが問題だ
屋根の上にこのパネルを2枚設置する事が出来れば、同じ気象条件でも3倍くらいの発電能力を得られる気がするので、やろうと思えばエンドレスの駐車監視も可能かも知れません。
ソーラーパネルは温度が上がると発電効率が下がるので、ルーフキャリアを取り付けてその上に設置する方法が最も効率が良さそうですが、趣味でやる分にはそれで問題はないものの、製品化となると「ポン付け、以上!」が理想ですね。
この辺りを考えるとなかなか難しいですね。
一応、全てのパターンを試してみる予定ですが、どうしたものでしょう。
でも、こういう実験は面白いですね(笑)
梅雨時期で8~9日で満充電になった
今回は梅雨時期のテストでしたがドラレコを駆動させない状態で放置したところ、ほぼ空の状態から8~9日で満タンになりました。
特に最終日は晴れていたのでモリモリ充電されてました(笑)
瞬間的には25W程度、翌日の午前中には満タンになっていましたが1日で90Wh以上は充電されています。(いつ満タンになったか分からないのでそれ以上は不明)
関東の梅雨明けはまだ先ですが、今後は再びドラレコ駆動状態でテストを継続します。
晴れの日が続けばエンドレスで監視出来そうだが
今回テストに使用しているドラレコは電力大食いのVIOFO「A139」で駐車監視中に8W程度の電力を消費しますので、24時間だと192Whになる計算なのですが、使用しているチェッカーの誤差なのか1日100Wh程度の発電量でiCELLはほとんど満タンのまま減っていません。
ただし、熱の問題か晴れた日にはドラレコが熱暴走を防ぐためにシャットダウンしてしまっているようで、夏場の炎天下で南方向を向けて駐車監視を延々と継続する為には何か熱対策が必要になります。
※今回は熱によるシャットダウンが原因と特定出来た訳ではないです。iCELLの充電量が100%の状態で録画が止まっていたというだけで…。
取り敢えず当面の熱対策にのFANを手配しました。
※この後、再び駐車監視中に電源が落ちており、再起動も出来ない状態だったので熱で壊れたかと思いきや、ギボシ部分の接触不良でした。
製品化を考えると100Wはデカ過ぎ
ここまでに色々試してみた結果、マニアックな個人が趣味でDIY制作する分には100W級のパネルを屋根の上に設置する方法がベストなように思えますが、製品化を考えた場合には取り付けの難易度と見た目のカッコ悪さ、洗車時の面倒臭さなどの問題が出て来て、滅茶苦茶ユーザーを絞る結果になりそうだという考えに至りました。
100W級のパネルの発電量は晴れた日であれば2カメラドラレコを運用するのに充分であると確認出来ましたので、次や設置のし易さや使用しない時の収納方法なども考慮してこのような折り畳み式の60Wのパネルとサンシェードを組み合わせて運用する事にしました。
これなら畳んだ時にあまり場所を取りません。しばらくはこの60Wのパターンでドラレコの運用をテストしてみます。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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