※2025年5月09日更新:レーダー波の誤報チェックを実施しました。
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
2025年3月にユピテルからJMA-520/JMA-401の受信に対応し、Kバンドの誤報識別に対応するレーダー探知機2機種が発売されています。
※後日に以下機種が随時追加
これらの1世代前の2024年モデルの機種群「YK-2000L」などにも、JMA-520/JMA-401の受信機能と、Kバンドの誤報識別は実装されていますが、2025年モデルでは誤報識別の際に識別中プリアラート警報を発する設定が追加されている模様です。
ちょっと複雑なユピテルの誤報カット機能【2024年モデルまで】
ユピテルのプロダクトページをざっくり見ただけでは、これらの製品でどのような仕組みで誤報がカットされているのかが分かりにくいのですが…
2024年モデル以降では共通して以下の3つの機能が柱となっています。
Kバンドを識別する機能
Kバンドの識別をエリアごとに自動制御する機能
上述の「Kバンドを識別する機能」をアクティブにした状態では、警報距離が短くなる事がある為、その対策として実装されているのがこの機能です。
- YK-2000L:45回
- A1200L:14回
- YK-2000L:2回
- A1200L:26回

「MSSS・JMAが配備されていないエリア」では快適ですが、配備エリアでは誤報が多く本物の警報を見分けにくくなります。
キャンセルポイント自動登録
指定期間内に2度通過した誤報ポイントを自動でキャンセルポイントとして登録する機能です。
この機能については従前から実用性は高いと感じています。
2025年モデルで実装されたプリアラート機能
2025年モデルでは、2024年モデルの「Kバンドの識別をエリアごとに自動制御する機能」を「プリアラート機能」として進化させる形となっています。
この文面を見る限り、ベースは2024年モデルと同様に「Kバンドの識別をエリアごとに自動制御する機能」のようですが、「MSSS・JMA配備済みエリア」においても識別を行い、識別中にはプリアラート警報を出す仕様と見られます。
つまり、ブリッツの2024年以降のモデルと同じ仕組みで識別を行っているように見受けられます。
従って「MSSS・JMA配備済みエリア」においてはブリッツ製品と同じ様な挙動を示し、「MSSS・JMAが配備されていないエリア」では、従来機と同様にプリアラートすらしなくなるものと考えられます。
誤報カットの精度はユピテルの方が高そうですね。
捕まりににくさを考えると、ブリッツの自動でのレーダー・レーザー式取締りの周辺車両への拡散機能も捨て難いです。
「YPK-21L」のセット内容とデザイン
今回は一体化モデルの「YPK-21L」を購入して実機テストを行いました。
セット内容はこちらの通りです。
・シガー電源ケーブル
・ダッシュボード用マウント
・フロントガラス用ステー
本体筐体
本体液晶筐は、正面からのぱっと見は従来の一体型と変わらないデザインのように見受けられます。
センシス製固定式小型オービスSSSでの警報の出方について
MSSSでの受信テストを実施したいところですが、移動式はそう簡単に遭遇出来ないので今回は埼玉県北本市にあるセンシス製の小型オービスSSSで、2024年モデルの「YK-2000L」と合わせて受信テストを行いました。
受信感度設定は2機種こちらの通りです。(左が2025年モデル、右が2024年モデル)
プリアラート・Kバンド警報タイプは「自動切替」ですので、MSSS・SSSが導入済みの埼玉県内においてはKバンドの受信機能がアクティブ状態です。
今回は何度か測定したのですが、前方がクリアだったのが1回のみでしたのでその映像のみ公開します。(先行車がいる状態でも結果はほとんど変わりませんでしたが…)
結果は以下の通りです。
因みに先日テストを実施した、ブリッツの2024年モデル「TL404R」では以下ような結果でした。
この結果から、Kバンドの受信感度そのものは、「YPK-21L」>「TL404R」と言えますが、本警報に切り替わるタイミングにはそれほど大きな差はないと感じました。
ブリッツ・セルスターの2025年モデルとの比較
追加でブリッツ・セルスターの2025年モデルとの比較も実施しています。
※Kバンド受信感度設定はどの製品も最高設定、識別機能はアクティブな状態にしています。
結果は以下の通りです。
ユピテルのプリアラート機能をどのように捉えるで変わってきますが、過去に良い結果が出た事がないセルスターが、良い感じの距離での発報となっています。
※ここまで使用した感じでは「AR-925AW」は誤報も少ない為、警報精度の面でも三社横並びに近い結果になるかも知れません。
Kバンドの誤報の状況について
2024年モデルの「YK-2000L」と2025年モデルの「YPK-21L」では、Kバンドのプリアラートと誤報識別機能に差異がありますが、MSSS配備済みの埼玉県内において誤報識別の挙動を比較する為、「TL404R」を加えた3機種でのテストを実施しました。
Kバンド識別設定は以下の通り。
結果は以下の通りとなります。
プリアラート中にKバンドの識別を行う、「YPK-21L」「TL404R」ともに、識別にはある程度以上の強度の電波の受信が必要なように見受けられます。
これら2機種とも、コカ・コーラ自販機との距離がそこそこある場合には受信する電波強度不足の為か、プリアラートの完了までに時間が掛かり、近接するとプリアラートが完了します。(今回「TL404R」については、マツダ車の後方ではプリアラートすら表示されず識別完了したと見受けられる)
SSSの受信状況や誤報の出方を見る限りでは、「YPK-21L」「TL404R」とも、僅かな周波数の差を検知して本物の取締とそれ以外を識別しているように見受けられます。
その為、遠距離での微弱電波の状態では識別が困難であり、識別が完了するには一定の距離まで接近する必要があるようです。(あくまでも仮説)
例えばセンシスSSSのKバンドは
と言う結果でしたので、ホンモノをホンモノと確定させる為には「YPK-21L」の場合には180m、「TL404R」の場合には140m手前まで近づく必要があると言う事です。
ニセモノをニセモノと確定させるには、どの距離まで近づく必要があるかは不明ですが、自販機に正面から近づくテストでは、両者に差は認められなかったものの、斜め前方から側面に掛けて電波が照射されるシチュエーションでは、「YPK-21L」のみプリアラートが一瞬発生、「TL404R」は沈黙のケースが多く見られました。
また、「TL404R」には実装されていない「YPK-21L」独自の機能として、Kバンドの取締りが実装されていないエリアにおいては、自動でKバンド警報をしない(と見られる挙動を示した)モードが設定可能です。
従ってブリッツの「TL404R」とのレーダー受信強度と識別機能の比較については、Kバンド取締実装済みエリアにおいては、受信強度が「YPK-21L」の方が強く、誤報が増える傾向があります。
※ブリッツの「TL404R」はJMA-520/JMA-401には対応しない機種の為、後継の「TL315R」「TL405R」では、また違った挙動になる可能性も考え得る
一方でKバンド取締りの非導入エリアにおいては、「YPK-21L」の方が誤報が圧倒的に少なく快適と言えそうです。
ただし、「YPK-21L」Kバンドの受信感度が「TL404R」よりも高い為、「TL404R」では反応しない取締以外の微弱なKバンドの電波に対しても「YPK-21L」だけがプリアラートを行う事も多く、プリアラートの発報に慣れてしまい易くなるかも知れません。
本警報が出るのが180m手前だとすると、60キロ制限の道路を80キロで走っていた場合には、撮影ポイントが40m地点である前提では2秒で減速しなければなりません。
従ってプリアラートの段階で、スピードのチェックと場合によっては減速が必要になると言えそうです。(プリアラートに慣れてしまわないように気をつけねば…)
いずれにせよ、対2024年モデルの「YK-2000L」との比較では、Kバンド取締の実装エリアにおいては、誤警報が出ている時間が劇的に減っています。(「YK-2000L」は延々と鳴り続けるので…)
また、ユピテル製品には複数の日に同じ誤報ポイントを通過すると、自動でキャンセルポイントとして登録する機能もありますので、対ブリッツの「TL404R」では遠距離でのKバンドの探知と、Kバンドの取締りが実装されていないエリアにおいては、誤報の少ない快適さを実現出来ると言えそうです。
ブリッツ・セルスターの2025年モデルとの比較
追加でブリッツ・セルスターの2025年モデルとの比較も実施しています。
今回は2025年5月時点での各社最新モデル、ユピテル「YPK-21L」、ブリッツ「TL315R」、セルスター「AR-925AW」の3機種でKバンド取締導入済みの埼玉県、未導入の東京都内において以下の要領にて誤報の傾向をチェックしました。
- コカ・コーラ動体検知自販機での誤報の挙動チェック
- マツダ車後方での誤報の挙動の挙動チェック
- 誤報回数のチェック
走行経路はこちらの125kmです。
・池袋から山手線に沿って内回りで品川へ
・品川から国道1号線→4号線で埼玉県久喜市へ帰還
レーダー波の受信感度は全てのモデルで全ての周波数を最高設定、ユピテルの誤報対策機能は自動切り替えとしています。
コカ・コーラ動体検知自販機での誤報の挙動
コカ・コーラの一部の自販機は、スピード違反の取締で運用されているものとほとんど同じ周波数で節電を目的とした動体検知による人感センサーが搭載されており、Kバンド取締りが実装されてからは各社のレーダー探知機の誤報が一気に増えています。
2025年モデルでは、各社製品ともKバンドの誤報識別機能が実装済みですが、Kバンド取締導入済みの埼玉県においては、ユピテル・ブリッツ製品は正面から自販機に接近するパターンでは同じようなタイミングでプリアラートが発報され、識別が完了しています。
一方でセルスターの製品は、直前で誤報が出るケース、誤報が出ないケースの2パターンが確認されました。
プリアラートも誤報である事には変わりありませんので、コカコーラの動体検知自販機対策としてはセルスターが最も高精度であると言えそうです。
マツダ車後方での誤報の挙動
マツダ車の後方ミリ波も同様にスピード違反の取締で運用されているものとほとんど同じ周波数となっている事から、従来のレーダー探知機はマツダ車探知機と揶揄されるほどマツダ車の後方では狂ったように誤報を発し続ける問題がありました。
2025年モデルのユピテル製品は、Kバンド取締が導入されているエリアでは、警報を抑制する制御を行わず、未導入エリアでは無駄な誤報を抑える為に、警報を抑制する制御を行います。
今回はKバンド取締が導入されている埼玉県内、未導入の東京都内でのテストを実施しましたが、それぞれ以下のような挙動を示しました。
Kバンド取締が導入されている埼玉県内
Kバンド取締が導入されている埼玉県内では、ユピテル製品・ブリッツ製品とも、遠距離ではプリアラート、ある程度接近するとプリアラートが止まるパターン、接近してもプリアラートが止まらないパターンが確認されました。
後方からマツダ車に追い抜かれるようなケースでは、最短時間のプリアラートの発報となり、徐々に電波が強まるよりも、一気に強い電波を浴びた方が識別時間が短くなるような挙動が確認されました。
一方でセルスター製品は、今のところマツダ車後方での誤報は確認出来ておらず、3社の中では最も精度の高い識別がされているように感じました。
Kバンド取締が未導入の東京都内
Kバンド取締が未導入の東京都内では、ユピテル製品は警報が抑制される制御が入る為、プリアラートは発生せず、ブリッツのみ誤報が出る結果となりました。
誤報回数のチェック
誤報の回数は以下の通りとなりました。
誤報回数 | セルスター | ユピテル | ブリッツ |
---|---|---|---|
埼玉県 Kバンド導入済 | 8 | 33 | 18 |
東京都 Kバンド未導入 | 17 | 8 | 56 |
計 | 25 | 41 | 74 |
誤報対策はセルスターが最も精度が高いと言えそうです。
レーザー受信性能について
レーザー受信性能については、はここ3年位は各社とも進化がありませんので、おそらく3社とも横並びの性能ではないかと考えられます。(今回はテストしません)
ユピテルレーザー探知モデルの第三世代では、直線においては600m台前半の探知距離を実現し、道路に勾配がない条件であれば、さらに長い探知距離が期待出来ます。
600m台の探知距離は、うっかりスピード違反に対する検挙を防ぐには必要充分なものである、と考えられますので、これ以上は直線探知距離を伸ばす必要性は薄いと考えています。
レーザー式はKバンド取締に比べると探知距離が長く、誤報も少ない為、大きな脅威ではなくなっています。
ユピテルの2025年モデルレーダー探知機の総評
最終テストでは、主にレーザー式の取締よりも脅威と考えられるKバンドの周波数を使ったレーダー式の取締に対する回避能力の高さを比較しています。
例え探知距離が長くても、誤報が多過ぎると本物の取締を受信した際に反応が鈍くなりますので、受信距離と誤報の多さのバランスが重要かと思います。
Kバンドを使用したセンシス製の小型オービスSSSの受信距離は
ですので、ユピテル製品が他社の3割増し程度になりそうです。
一方で誤報対策の面では、セルスター製品は対自販機・対マツダ車とも3社の中で最高の精度、誤報の絶対数も最も少ないと言う結果でした。
誤報回数 | セルスター | ユピテル | ブリッツ |
---|---|---|---|
埼玉県 Kバンド導入済 | 8 | 33 | 18 |
東京都 Kバンド未導入 | 17 | 8 | 56 |
計 | 25 | 41 | 74 |
従って2025年モデルのレーダー探知機は、セルスター製品がベストバイと言えそうです。
因みに私は複数の車両にユピテル製品のステーと配線が引かれていますので、簡単に乗り替えは不可の状況です。
頑張ってキャンセルポイントの登録を進めつつ、時速40km以下の警報はカットするなど、誤報に慣れてしまわないような工夫をしようと思います。
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