イエローハットの独占販売という形で発売されたガーミンの「GDR E350J」ですが、どうやらイエローハットの限定モデルの為か、公式サイトには掲載されておらず、イエローハットのパンフレットにスペックが記載されています。
プレスリリースという形で情報が出回っていますが、スペックを一覧にまとめるとこのような感じです。
GDR E350Jのスペック
GDR E350J |
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16.03発売 |
1920×1080/29fps/HDR |
録画視野角 水平90° |
microSD付属8GB |
microSD付属64GB |
GPS内蔵 |
常時/Gセンサー |
安全運転支援機能 |
オービスアラート |
駐車監視機能 |
内蔵バッテリー |
「GDR E350J」は2014年モデルの「GDR33」の後継モデルという位置づけです。
2016年発売のドライブレコーダーの標準機能としては、フルハイビジョン・HDRやWDRなどの逆光対策、西日本LEDへの対応などが挙げられますが、これらの機能を一通り満たしているので割とコンパクトにまとまった良いモデルだと感じます。
特筆すべき点は、641ヶ所のオービスアラートと前方衝突防止アラートが搭載されている点です。
駐車監視モードは衝撃センサーなのかモーションセンサーなのかが分かりませんが、ガーミンの他のモデルを見る限り、おそらくモーションセンサーではないかと思われます。
オービスアラートを搭載したドライブレコーダーは、ほぼ国内初ではないかと思いますので(ユピテルのレーダー探知機セットモデルは除く)、その点は新しい感じがしますが、その他の取締り対する警報はありませんので過信は禁物です。
あくまでも安全運転を促す機能として捉えるべき機能でしょう。
また、安全運転支援機能として、前方衝突防止機能が搭載されていますが、HDR・GPS・内蔵バッテリー搭載のモデルで、この機能を搭載しているのは、現状では「GDR E350J」と3月発売予定のケンウッドの「DRV-610」だけだったかと思います。
まあ、「前方衝突防止機能」にこだわる必要はそこまではないと思いますので、その他の機能のバランスで考えたいところなのですが、「GDR E350J」は残念ながら一つだけ致命的ともいえる弱点があります。
「GDR E350J」の致命的な弱点
それは視野角の狭さです。
「GDR E350J」の水平視野角は僅かに90°しかありません。
これは最近のドライブレコーダーでは最低レベルで、私が考えるドライブレコーダーの基本性能のうち、もっとも重要な部分と位置付けています。
視野角の広さは、解像度より重要な要素だと思うのですが、その理由としては、当て逃げ云々の問題ではなく、事故の際の前後関係、つまり側面から相手が幅寄せしてきて、それを避けようとして自爆したり、他の車に衝突したりといったケースでは、視野角の広さが重要な証拠能力になるからです。
こちらのヒューレットパッカード「f520g」(対角156°・水平不明)とパイオニアの「ND-DVR」(水平105°)の比較動画を見て頂ければその重要性が伝わるのではないかと思います。
この致命的な弱点がある為、「GDR E350J」はおすすめしにくいモデルになってしまっています。
私の個人的な見解ですが、ドライブレコーダーの本来の目的は、事故の際の証拠能力ですから、安全運転支援であるとかオービス警報などの付加機能は、視野角やHDRなどの逆光対策を完備した上で初めて魅力を感じる付加機能だと思います。
この「GDR E350J」の水平視野角90°はかなり痛い弱点ではないでしょうか?
そういった意味では、常日頃から感じていますが、ケンウッドの商品企画とマーケティングの部門は、カーナビも含めてユーザー志向が強く、かなり優秀な印象を受けます。(それだけ人員を割いているのでしょう)
ケンウッドのドライブレコーダーの性能がピカイチという事ではなく、各機能ごとに切り離して考えればそれ以上のモデルはたくさんあるのですが、機能ごとの平均点が高く、機能の組み合わせ方や、グレードの設定の仕方が素晴らしいと思います。
別に特別ケンウッドのファンではないですが、カーナビも更新料が激安なのが理由でケンウッド製品を使用していますし、カーナビ、ドライブレコーダーなど、情勢が違う品種の中で、自社の立ち位置を明確に理解しながら、情勢に合わせて最も鋭く市場の流れを捉えています。
自社の立場の理解と、ユーザーのニーズに合わせた提案が、最も良く出来ているメーカーだと感じています。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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